サムワイズ・ギャムジー†
概要†
カテゴリー | 人名 |
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スペル | Samwise Gamgee |
その他の呼び名 | サム(Sam) サムワイズ殿(Master Samwise) 庭師サム(Sam Gardner)*2 ベアハイル(Berhael)*3 |
種族 | ホビット |
性別 | 男 |
生没年 | 庄暦1380年(第三紀2980年)*4~不明*5 |
親 | ハムファスト・ギャムジー(父)、子善家のベル(母) |
兄弟 | ハムソン(兄)、ハルフレッド(兄)、デイジー(姉)、メイ(姉)、マリゴールド(妹) |
配偶者 | ローズ・コトン(第三紀3020年5月1日) |
子 | エラノール、フロド、ローズ、メリー、ピピン、金捲毛、ハムファスト、デイジー、プリムローズ、ビルボ、ルービィ、ロビン、トルマン |
解説†
指輪の仲間の一人のホビット。愛称サム。
ハムファスト・ギャムジーと子善家のベルの息子。フロド・バギンズより12歳の年少。メリアドク・ブランディバックより2歳、ペレグリン・トゥックより10歳の年長。長子エラノールは彼の41歳の、末子トルマンは62歳の時の子供で、西方に去ったときには102歳。
父ハムファストの代からお山のバギンズ家に仕える庭師であり、主人にあたるフロド・バギンズを「フロドの旦那」と呼んで深く敬愛している。
朴訥ながら鋭い感受性と理解力の持ち主。一方でフロドのことを第一に考えるあまり警戒心が強く、アラゴルン二世やファラミルと初対面の時はなかなか彼らを信用しようとはせず、わけてもゴクリに対しては始終懐疑の目を向け続けた。
フロドの変化を察知した彼の親しい友人たちの一人でもあり、中でもサムワイズはフロドの心身を誰よりも慮ってその旅に最後まで同行した従者となった。そこでわずかな間ながら彼も一つの指輪の重荷を担い、指輪所持者となる。
しかしサムの中で望みが消えた、あるいは消えたかに思われたちょうどその時、それは新たな力に転じました。サムの飾りけのないホビットの顔は、その心に決意が固まるにつれてきびしくなり、ほとんど怖いほど決然とした顔になりました。そしてかれは四肢に震えが走るのをおぼえ、まるで自分が絶望にも疲労にもはたまた終わることない不毛の旅路にも克服されない、石か鋼の生きものに変わっていくかのように感じました。*6
後にホビット庄の庄長を7期務めるなど地元の名士となり、お山の庭師家の祖となった。
生い立ち†
袋枝路三番地に住むギャムジー家の第五子(末息子)として生まれる。
父のハムファストは袋小路屋敷のバギンズ家に仕える庭師であり、サムワイズは幼少期から頻繁に屋敷に出入りしていた。大旦那にあたるビルボ・バギンズからは読み書きを教わるとともに、エルフや龍にまつわる伝承を聞いて育つ。そのためホビットにしては珍しい、昔話を信じる若者に育った。わけてもエルフに大きな憧れを抱き、いつかエルフに出会ってその魔法を目にすることを望んでいた。
やがて年老いた父の仕事を引き継いで袋小路屋敷の庭師となり、旦那にあたるフロド・バギンズの親しい友人の一人となった。
旅の仲間†
ビルボの失踪後、フロドもまた姿を消すのではないかとの懸念が友人たちの間で広まると、メリアドク・ブランディバック、ペレグリン・トゥック、フレデガー・ボルジャーらとともに陰謀団を結成。サムは身近でフロドの動静を見張る役目を引き受けた。
第三紀3018年(大いなる年)の4月、来訪したガンダルフによってフロドの相続した指輪が冥王サウロンの「一つの指輪」であることが明らかになり、フロドがホビット庄から旅立つ決意を固めると、その一部始終を盗み聞く。盗み聞きはその場でガンダルフに見咎められたが、サムワイズが心底からフロドの身を案じていることを察したガンダルフはその旅に同行するよう命じ、彼は嬉々としてこの言いつけに従った。
裂け谷ではエルロンドの会議を無断で立ち聞きし、エルロンドによって九人の徒歩の者の一人に任命される。
旅においてはフロドの身の回りの世話をするとともに、鍋と塩を持参して料理係を努めた。
ロスローリエンではガラドリエルによって念願だったエルフの「魔法」を目にする機会を与えられるも、故郷のホビット庄に厄難が迫っている予兆はサムワイズを苦悩させた。ロスローリエンを去る時には、ガラドリエルより彼女の庭の土が入った小箱を贈り物として与えられる。サムワイズはこの小箱を胸元奥深くにしまい、旅の間も大切に持ち続けた。
パルス・ガレンでは仲間の誰もがフロドの心中を推察できなかった中、ただ一人その真意を見抜き、彼が単身モルドールへ向かおうとしていることに気づいて追いすがった。そのため指輪の仲間の離散後も、サムワイズは従者として最後までフロドに同行して彼を支えることになった。
フロドの従者†
「行き着いてみせるとも、この骨のほかは何もかも置いていくとしても。」と、サムはいいました。「そしてフロドの旦那は、おらが背負って行く。たとえこの背中が折れ、心臓が破れたとしてもよ。」*7
フロドとサムワイズは仲間と別れて間もなく、エミュン・ムイルで二人の後を追跡していたゴクリを捕獲する。フロドは慈悲心を示してゴクリを助命し、モルドールへの道案内として同行を許したが、サムワイズはそんなフロドを尊敬する一方でゴクリのことはあくまで信用せず、ゴクリの中にある二つの人格を「こそつき」「くさいの」と呼んで決して警戒を怠らなかった。
このためサムワイズは、旅の果てにゴクリが改悛しかけたその一瞬、彼に心ない言葉を浴びせてしまい、それと知らずゴクリが善に立ち帰る機会を永遠に失わせてしまう。
トレヒ・ウンゴルにおいてゴクリは裏切り、シーロブに襲われたフロドが毒針で噛まれてしまうと、サムワイズはフロドが落とした玻璃瓶とつらぬき丸を駆使してシーロブを撃退。これはかつてのベレンに匹敵するような勲であった。
冷たく横たわるフロドを見て主人は死んだものと信じたサムワイズは、任務を続けるために一つの指輪をフロドの身体から引き取り、短期間ながらも指輪所持者となる。
だがフロドは仮死状態に陥っていただけであり、そのことがオークの言葉から判明すると、サムワイズは単身キリス・ウンゴルの塔に入り込んでフロドを救い出した。しかし指輪の魔力はすでにサムワイズに作用し始めており、それ以上に強くフロドを囚らえていた。サムワイズは指輪をフロドに返却する段になってそれを痛感する。
もはやサムワイズは指輪の重荷を負うことはできなかったが、それを一身に受けるフロドを支えることで、二人は滅びの山への過酷な旅を成し遂げる。
短期間ながら指輪所持者となったことで、サムワイズはゴクリの苦しみをおぼろげながら察することができるようになっており、火の室を前にして襲いかかってきたゴクリをサムは殺さず、その命を助ける。はたして滅びの罅裂においてフロドは指輪の魔力に屈し、そのフロドから指輪を奪い取ったゴクリがはずみで罅裂に落ちたことで、指輪所持者の任務は達成された。
滅びの山の噴火に巻き込まれる中、サムワイズはあくまで希望を失うまいと努め、正気に戻ったフロドを連れてできるだけ遠くに逃れる。そのため二人は噴煙で気を失ったところを、ガンダルフの乗るグワイヒィルら大鷲に発見されて救われた。
コルマッレンの野の栄誉礼において、炎の中で夢見た通りに「九本指のフロドと滅びの指輪の物語」が吟遊詩人によって吟じられたことは、サムワイズを大いに感動させた。
サムワイズら四人の旅人たちはホビット庄へ帰り着いたが、そこはかつてガラドリエルの鏡でサムワイズが幻視したように、シャーキーとその配下のごろつきによって荒廃させられていた。水の辺村の合戦でシャーキーとごろつきは庄から一掃されたが、故郷の豊かな自然が破壊されたことはサムワイズを大いに悲しませる。
サムワイズは多くの庄民の助けを借りてホビット庄の自然を取り戻すために奔走し、庄内各地で植樹作業を主導。その際、ガラドリエルから与えられた小箱に入っていた土が大いに役立てられることになった。小箱の土とサムワイズ達の尽力によってホビット庄の自然は速やかに回復し、第三紀3020年は「大いなる豊饒の年」と呼ばれる豊年となった。
サムワイズは幼馴染のローズ・コトンと結婚し、フロドの勧めで袋小路屋敷で暮らすようになり、初子となるエラノールを儲ける。
だが主人のフロドがしばしば病んで臥せることは、サムワイズの気がかりだった。やがてフロドはサムワイズを連れて旅立ち、末つ森でビルボ・バギンズとエルフたちに出会う。フロドはほとんど完成した赤表紙本をサムに託し、袋小路屋敷をはじめとした財産と中つ国で得るはずだった幸せの全てをサムワイズに譲ると、灰色港から船で西方に去っていった。
この時ばかりはサムワイズもフロドについていくことはできず、フロドから「欠けることのない一つのものとして」幸せな歳月を送るよう言い残され、メリアドク、ペレグリンと共にその船出を見送る。やがてサムワイズは家族の待つ袋小路屋敷にひとり帰り着いた。
かれはほーっと一つ深い息をつきました。「さあ、戻ってきただよ。」と、かれはいいました。*8
庄長サムワイズ†
その後サムワイズは庄長に七度選出された。
彼はお山の庭師家の起こりとなり、エラノールの他にフロド、フロド、ローズ、メリー、ピピン、金捲毛、ハムファスト、デイジー、プリムローズ、ビルボ、ルービィ、ロビン、トルマンら十三人の子供の父親となった。これはトゥック翁の子沢山記録を上回るものであった。
エレッサール王との親交も保ち続け、庄長として北王国の顧問官の一員に任じられると共に、王がブランディワイン橋に御幸した際にはドゥーネダインの星を与えられた。
第四紀61年の夏至に妻のローズが他界すると、長女のエラノールに西境の赤表紙本を与え、最後の指輪所持者として灰色港から西方へ去ったという。
略歴†
- 2980年 生誕。
- 3001年 21歳。ビルボの別れの宴。
- 3018年 大いなる年、指輪戦争 38歳。9月23日、フロドと共にホビット村を旅立つ。12月25日、指輪の仲間の一員として裂け谷を発つ。
- 3019年 大いなる年 39歳。2月26日、パルス・ガレンで一行の離散、フロドと共にモルドールへ。3月13日から14日にかけて、負傷したフロドに代わり一時指輪所持者となる。25日、任務達成。10月30日、ホビット庄へ帰還。11月3日、水の辺村の合戦。指輪戦争終結。
- 3020年 大いなる豊饒の年 40歳。4月6日、ガラドリエルから贈られたマッロルン樹が開花。5月1日、ローズと結婚、袋小路屋敷へ。
- 3021年 第三紀最後の年 41歳。3月25日、第一子エラノール生まれる。9月29日、灰色港にてフロドらを見送る。10月6日、袋小路に帰る。
- 2年 43歳。第二子フロド生まれる。
- 4年 45歳。第三子ローズ生まれる。
- 6年 47歳。初の庄長選出。第四子メリー生まれる。
- 8年 49歳。第五子ピピン生まれる。
- 10年 51歳。第六子金捲毛生まれる。
- 11年 52歳。第七子ハムファスト生まれる。
- 12年 53歳。第八子デイジー生まれる。
- 13年 54歳。エレッサール王により北王国の顧問官に任ぜられる。二度目の庄長選出。
- 14年 55歳。第九子プリムローズ生まれる
- 15年 56歳。エレッサール王のブランディワイン橋行幸、「ドゥーネダインの星」を与えられる。第十子ビルボ生まれる。
- 17年 58歳。第十一子ルービィ生まれる。
- 19年 60歳。第十二子ロビン生まれる。
- 20年 61歳。三度目の庄長選出。
- 21年 62歳。妻ローズ、娘エラノールと共にゴンドールに一年滞在。末子トルマン生まれる。
- 27年 68歳。四度目の庄長選出。
- 34年 75歳。五度目の庄長選出。サムワイズの願いにより、緑樫のファストレドが西境の区長となる。
- 41年 82歳。六度目の庄長選出。
- 48年 89歳。最後の庄長選出。
- 55年 96歳。庄長を辞任。
- 61年 102歳。夏至、妻ローズ死去。9月22日、袋小路屋敷を発つ。その後エラノールに見送られて塔山丘陵から灰色港へ向けて去り、最後の指輪所持者として海を渡ったと伝えられる。
画像†
姓名について†
サムワイズ・ギャムジー(Samwise Gamgee)という名は、西方語のBanazîr Galbasi(Galpsi)の英訳である。
Banazîrは「うすのろ(halfwise)」、「お人よし(simple)」の意味で、本来は綽名だったものが日常では使用されなくなり、名前として残ったものである。
対応する意味の古い英語samwísを現代化したものがサムワイズ(Samwise)であり、Banazîrの短縮形Banにはサム(Sam)の語があてられている。
姓のGalbasi(より短くした形はGalpsi)はもともと一族の住んでいた村の名Galabasが由来である。
そこでGalabasには対応する意味の訳語ギャムイッチ(Gamwich)(発音はGammidge)があてられ、Gamwichを崩したGammidgyを更に縮めたギャムジー(Gamgee)の語がGalbasi(Galpsi)にあてられている。
- サムワイズ・ギャムジーの父方の系統に見る姓名の変遷
- ギャムイッチ村のハムファスト / Hamfast of Gamwich
- ワイズマン・ギャムイッチ / Wiseman Gamwich
- 縄作りホブ・ギャミッジ(ギャミジィじいさん) / Hob Gammidge the Roper (Old Gammidgy)
- ホブソン(縄作りギャムジー) / Hobson (Roper Gamgee)
- ハムファスト(ハム・ギャムジー)とっつぁん / Hamfast (Ham Gamgee) the Gaffer
- サムワイズ・ギャムジー(サム) / Samwise Gamgee (Sam)
サムワイズの父ハムファストは、袋小路屋敷の庭師だった緑手家のホルマン(ハムファストの父の母方の従弟)の見習いとなり、その縁からホビット村に移住してきたと思われる。
備考†
『J.R.R.トールキン 或る伝記』によるとサムのモデルは、第一次世界大戦で通信将校として従軍したトールキンが知り合った、一般の兵士達ということである。
「わが『サム・ギャムジー』は、実はイギリス兵の、一九一四年の戦争で知った兵たちや従卒たちの、おもかげを伝えたものである。彼らは私よりずっと立派だと、今でも私は思っている」
映画『トールキン 旅のはじまり』ではこの話にちなみ、第一次大戦におけるソンムの戦いでトールキンに付き従っていた従卒(劇中ではひとりの兵士)が「サム」と呼ばれている(フルネームはサム・ホッジズ(Sam Hodges))。
映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定†
俳優 | ショーン・アスティン |
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日本語吹き替え | 谷田真吾 |
ホビット庄の掃蕩のエピソードがカットされているため、マッロルンのエピソードは登場せず、ロスローリエンで受け取った贈り物はヒスラインのロープとエルフのマントのみになっている。
フロドから袋小路屋敷を受け継いだエピソードも表面上は描かれておらず、エンディングで帰宅してエラノールやローズに出迎えられるのは、袋枝路の家となっている。
画像†
グッズ†
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Include/指輪の仲間†
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