サムワイズ・ギャムジー

概要

カテゴリー人名
スペルSamwise Gamgee
その他の呼び名サム(Sam)
剛毅の士サムワイズ(Samwise the stouthearted)*1
サムワイズ殿(Master Samwise)
庭師サム(Sam Gardner)*2
ベアハイル(Berhael)*3
種族ホビット
性別
生没年庄暦1380年(第三紀2980年)*4~不明*5
ハムファスト・ギャムジー(父)、子善家のベル(母)
兄弟ハムソン(兄)、ハルフレッド(兄)、デイジー(姉)、メイ(姉)、マリゴールド(妹)
配偶者ローズ・コトン第三紀3020年5月1日)
エラノールフロドローズメリーピピン金捲毛ハムファストデイジープリムローズビルボルービィロビントルマン

解説

ホビット庄庄長
小足家のウィル
?~1427
?~6
サムワイズ殿(7期)
庄暦1427~1476年(49年間)
第四紀6~55年
不明

指輪の仲間の一人のホビット。愛称サム
ハムファスト・ギャムジー子善家のベルの息子。フロド・バギンズより12歳の年少。メリアドク・ブランディバックより2歳、ペレグリン・トゥックより10歳の年長。長子エラノールは彼の41歳の、末子トルマンは62歳の時の子供で、西方に去ったときには102歳。

ハムファストの代からお山バギンズ家に仕える庭師であり、主人にあたるフロド・バギンズを「フロドの旦那」と呼んで深く敬愛している。
朴訥ながら鋭い感受性と理解力の持ち主。一方でフロドのことを第一に考えるあまり警戒心が強く、アラゴルン二世ファラミアと初対面の時はなかなか彼らを信用しようとはせず、わけてもゴクリに対しては始終懐疑の目を向け続けた。

フロドの変化を察知した彼の親しい友人たちの一人でもあり、中でもサムワイズはフロドの心身を誰よりも慮ってその旅に最後まで同行した従者となった。そこでわずかな間ながら彼も一つの指輪の重荷を担い、指輪所持者となる。

しかしサムの中で望みが消えた、あるいは消えたかに思われたちょうどその時、それは新たな力に転じました。サムの飾りけのないホビットの顔は、その心に決意が固まるにつれてきびしくなり、ほとんど怖いほど決然とした顔になりました。そしてかれは四肢に震えが走るのをおぼえ、まるで自分が絶望にも疲労にもはたまた終わることない不毛の旅路にも克服されない、石か鋼の生きものに変わっていくかのように感じました。*6

後にホビット庄庄長を7期務めるなど地元の名士となり、お山庭師家の祖となった。

生い立ち

袋枝路三番地に住むギャムジー家の第五子(末息子)として生まれる。
父のハムファスト袋小路屋敷バギンズ家に仕える庭師であり、サムワイズは幼少期から頻繁に屋敷に出入りしていた。大旦那にあたるビルボ・バギンズからは読み書きを教わるとともに、エルフにまつわる伝承を聞いて育つ。そのためホビットにしては珍しい、昔話を信じる若者に育った。わけてもエルフに大きな憧れを抱き、いつかエルフに出会ってその魔法を目にすることを望んでいた。

やがて年老いた父の仕事を引き継いで袋小路屋敷の庭師となり、旦那にあたるフロド・バギンズの親しい友人の一人となった。

旅の仲間

ビルボの失踪後、フロドもまた姿を消すのではないかとの懸念が友人たちの間で広まると、メリアドク・ブランディバックペレグリン・トゥックフレデガー・ボルジャーらとともに陰謀団を結成。サムは身近でフロドの動静を見張る役目を引き受けた。
第三紀3018年(大いなる年)の4月、来訪したガンダルフによってフロドの相続した指輪が冥王サウロンの「一つの指輪」であることが明らかになり、フロドがホビット庄から旅立つ決意を固めると、その一部始終を盗み聞く。盗み聞きはその場でガンダルフに見咎められたが、サムワイズが心底からフロドの身を案じていることを察したガンダルフはその旅に同行するよう命じ、彼は嬉々としてこの言いつけに従った。

裂け谷ではエルロンドの会議を無断で立ち聞きし、エルロンドによって九人の徒歩の者の一人に任命される。
旅においてはフロドの身の回りの世話をするとともに、鍋と塩を持参して料理係を努めた。

ロスローリエンではガラドリエルによって念願だったエルフの「魔法」を目にする機会を与えられるも、故郷のホビット庄に厄難が迫っている予兆はサムワイズを苦悩させた。ロスローリエンを去る時には、ガラドリエルより彼女の庭の土が入った小箱贈り物として与えられる。サムワイズはこの小箱を胸元奥深くにしまい、旅の間も大切に持ち続けた。

パルス・ガレンでは仲間の誰もがフロドの心中を推察できなかった中、ただ一人その真意を見抜き、彼が単身モルドールへ向かおうとしていることに気づいて追いすがった。そのため指輪の仲間の離散後も、サムワイズは従者として最後までフロドに同行して彼を支えることになった。

フロドの従者

「行き着いてみせるとも、この骨のほかは何もかも置いていくとしても。」と、サムはいいました。「そしてフロドの旦那は、おらが背負って行く。たとえこの背中が折れ、心臓が破れたとしてもよ。」*7

フロドとサムワイズは仲間と別れて間もなく、エミン・ムイルで二人の後を追跡していたゴクリを捕獲する。フロドは慈悲心を示してゴクリを助命し、モルドールへの道案内として同行を許したが、サムワイズはそんなフロドを尊敬する一方でゴクリのことはあくまで信用せず、ゴクリの中にある二つの人格を「こそつき」「くさいの」と呼んで決して警戒を怠らなかった。
このためサムワイズは、旅の果てにゴクリが改悛しかけたその一瞬、彼に心ない言葉を浴びせてしまい、それと知らずゴクリが善に立ち帰る機会を永遠に失わせてしまう。

トレヒ・ウンゴルにおいてゴクリは裏切り、シェロブに襲われたフロドが毒針で噛まれてしまうと、サムワイズはフロドが落とした玻璃瓶つらぬき丸を駆使してシェロブを撃退。これはかつてのベレンに匹敵するような勲であった。
冷たく横たわるフロドを見て主人は死んだものと信じたサムワイズは、任務を続けるために一つの指輪をフロドの身体から引き取り、短期間ながらも指輪所持者となる。
だがフロドは仮死状態に陥っていただけであり、そのことがオークの言葉から判明すると、サムワイズは単身キリス・ウンゴルの塔に入り込んでフロドを救い出した。しかし指輪の魔力はすでにサムワイズに作用し始めており、それ以上に強くフロドを囚らえていた。サムワイズは指輪をフロドに返却する段になってそれを痛感する。

もはやサムワイズは指輪の重荷を負うことはできなかったが、それを一身に受けるフロドを支えることで、二人は滅びの山への過酷な旅を成し遂げる。
短期間ながら指輪所持者となったことで、サムワイズはゴクリの苦しみをおぼろげながら察することができるようになっており、火の室を前にして襲いかかってきたゴクリをサムは殺さず、その命を助ける。はたして滅びの罅裂においてフロドは指輪の魔力に屈し、そのフロドから指輪を奪い取ったゴクリがはずみで罅裂に落ちたことで、指輪所持者の任務は達成された。

滅びの山の噴火に巻き込まれる中、サムワイズはあくまで希望を失うまいと努め、正気に戻ったフロドを連れてできるだけ遠くに逃れる。そのため二人は噴煙で気を失ったところを、ガンダルフの乗るグワイヒア大鷲に発見されて救われた。
コルマルレンの野の栄誉礼において、炎の中で夢見た通りに「九本指のフロドと滅びの指輪の物語」が吟遊詩人によって吟じられたことは、サムワイズを大いに感動させた。

サムワイズら四人の旅人たちホビット庄へ帰り着いたが、そこはかつてガラドリエルの鏡でサムワイズが幻視したように、シャーキーとその配下のごろつきによって荒廃させられていた。水の辺村の合戦でシャーキーとごろつきは庄から一掃されたが、故郷の豊かな自然が破壊されたことはサムワイズを大いに悲しませる。
サムワイズは多くの庄民の助けを借りてホビット庄の自然を取り戻すために奔走し、庄内各地で植樹作業を主導。その際、ガラドリエルから与えられた小箱に入っていた土が大いに役立てられることになった。小箱の土とサムワイズ達の尽力によってホビット庄の自然は速やかに回復し、第三紀3020年は「大いなる豊饒の年」と呼ばれる豊年となった。

サムワイズは幼馴染のローズ・コトンと結婚し、フロドの勧めで袋小路屋敷で暮らすようになり、初子となるエラノールを儲ける。
だが主人のフロドがしばしば病んで臥せることは、サムワイズの気がかりだった。やがてフロドはサムワイズを連れて旅立ち、末つ森ビルボ・バギンズエルフたちに出会う。フロドはほとんど完成した赤表紙本をサムに託し、袋小路屋敷をはじめとした財産と中つ国で得るはずだった幸せの全てをサムワイズに譲ると、灰色港から船で西方に去っていった。
この時ばかりはサムワイズもフロドについていくことはできず、フロドから「欠けることのない一つのものとして」幸せな歳月を送るよう言い残され、メリアドクペレグリンと共にその船出を見送る。やがてサムワイズは家族の待つ袋小路屋敷にひとり帰り着いた。

かれはほーっと一つ深い息をつきました。「さあ、戻ってきただよ。」と、かれはいいました。*8

庄長サムワイズ

その後サムワイズは庄長に七度選出された。
彼はお山庭師家の起こりとなり、エラノールの他にフロドフロドローズメリーピピン金捲毛ハムファストデイジープリムローズビルボルービィロビントルマンら十三人の子供の父親となった。これはトゥック翁の子沢山記録を上回るものであった。
エレスサール王との親交も保ち続け、庄長として北王国の顧問官の一員に任じられると共に、王がブランディワイン橋に御幸した際にはドゥーネダインの星を与えられた。

第四紀61年に妻のローズが他界すると、長女のエラノール西境の赤表紙本を与え、最後の指輪所持者として灰色港から西方へ去ったという。

略歴

画像

寺島龍一作画による香草入り兎シチューを作るサムと眠るフロド

姓名について

サムワイズ・ギャムジー(Samwise Gamgee)という名は、西方語Banazîr Galbasi(Galpsi)の英訳である。
Banazîrは「うすのろ(halfwise)」、「お人よし(simple)」の意味で、本来は綽名だったものが日常では使用されなくなり、名前として残ったものである。
対応する意味の古い英語samwísを現代化したものがサムワイズ(Samwise)であり、Banazîrの短縮形Banにはサム(Sam)の語があてられている。

姓のGalbasi(より短くした形はGalpsi)はもともと一族の住んでいた村の名Galabasが由来である。
そこでGalabasには対応する意味の訳語ギャムイッチ(Gamwich)(発音はGammidge)があてられ、Gamwichを崩したGammidgyを更に縮めたギャムジー(Gamgee)の語がGalbasi(Galpsi)にあてられている。

サムワイズの父ハムファストは、袋小路屋敷の庭師だった緑手家のホルマン(ハムファストの父の母方の従弟)の見習いとなり、その縁からホビット村に移住してきたと思われる。

備考

J.R.R.トールキン 或る伝記』によるとサムのモデルは、第一次世界大戦で通信将校として従軍したトールキンが知り合った、一般の兵士達ということである。

「わが『サム・ギャムジー』は、実はイギリス兵の、一九一四年の戦争で知った兵たちや従卒たちの、おもかげを伝えたものである。彼らは私よりずっと立派だと、今でも私は思っている」

映画『トールキン 旅のはじまり』ではこの話にちなみ、第一次大戦におけるソンムの戦いでトールキンに付き従っていた従卒(劇中ではひとりの兵士)が「サム」と呼ばれている。

映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定

俳優ショーン・アスティン
日本語吹き替え谷田真吾

ホビット庄の掃蕩のエピソードがカットされているため、マルローンのエピソードは登場せず、ロスローリエンで受け取った贈り物ヒスラインのロープとエルフのマントのみになっている。
フロドから袋小路屋敷を受け継いだエピソードも表面上は描かれておらず、エンディングで帰宅してエラノールローズに出迎えられるのは、袋枝路の家となっている。

画像

『ロード・オブ・ザ・リング』におけるサム 『ロード・オブ・ザ・リング』におけるサム 『ロード・オブ・ザ・リング』におけるサム 『ロード・オブ・ザ・リング』におけるサム

グッズ

ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定

『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における裂け谷でのサムワイズ・ギャムジー 『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるフロドとサム(キリス・ウンゴルにて)

コメント

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • サムがぶじにアマンにたどりつけたのかずっと気になってる。。 -- 2015-03-18 (水) 01:56:25
    • 慈しみ合った数十年の果てに最愛のローズさんを看取ったサムさん、娘夫婦に見送られ独り飄然と灰色港に現れます。中つ国の沢山の友達の言葉を伝えたキーアダンさんに見送られ、夕映えの航路をアマンに向けていざ出航。やがて・・・灰色の雨のとばりが夜明けのひかりにまきあげられるようにひらかれて、老いたサムさんの目の前にけがれをはらうアマンのみどりの野原や力なす山々の大景が・・・そうしていつしかふねはみなとにつきます。たえなるエルフの音楽が鳴り響く中、ガラ様はじめ、エルロンドさん、レゴラスさんやオローリンさんやなつかしいみなさんもみんなそろってうたっておどってお出迎えですよぉ。「かっこいいやつが~、かっこいいやつがぁ、ふね~でぇやっってきたぁ~!」 利尻、礼文のこと知らない皆様、ごめんなさい。 -- 2015-03-19 (木) 22:23:43
      • レゴラスはサムより後にアマンに行ったのでは? -- 2015-03-20 (金) 10:17:10
      • ご指摘ありがとうございました。レゴラスさんアマン到着年代間違えましたことお詫び申し上げます。よく似た人と見間違えたようです・・・ サムさんの旅立ちは大いなる年の63年後(荘歴1482年)、レゴラスさんとギムリさんが仲良く船出したのはそれからさらに59年後(荘歴1541年)以降でした。もしかすると、二人がアマンについたときにも、フロドさん達やサムさんの時と同じように友達みんなで盛大にお出迎えされたのかもしれませんね。 -- 2015-03-20 (金) 20:23:56
      • ケレボルン「はっはっはっ」 -- 2015-03-20 (金) 20:48:10
      • グロールフィンデルさん「ぼくのこと、おぼえてる?」 -- 2015-03-20 (金) 21:32:59
  • 映画観ただけの頃は「なんだか垢抜けないし、犬っぽいな」という印象。一通りの中つ国の歴史と主要登場人物のバックグラウンドを知った後では、ええとこの子ではないほぼ唯一の普通の一般人であるところから、一番感情移入し応援したくなる。あのやぼったささえ愛しくなったw -- 2015-07-24 (金) 08:43:01
  • ファンタジー作品多しと言えども、庭師の肩書きを持ったキャラクターはこの人ぐらいじゃないか? -- 2015-12-10 (木) 14:51:10
    • ヴァラールのヤヴァンナとか、エント女も庭師と言えなくもないのでは・・・少し違うか -- 2015-12-11 (金) 01:59:02
      • ヤヴァンナは原生林、エント女は果樹園のイメージがする -- 2015-12-11 (金) 03:18:16
    • 確かに他作品だと庭師の概念すらありませんね。 -- 2015-12-11 (金) 09:28:15
    • 庭園のように美しい農村の庭師が旦那様の従卒となって遠くの戦場へ、という光景は第一次大戦下の英国社会でありがちなことだったのでしょうか。 -- 2015-12-13 (日) 14:20:51
      • かなり階級の高い人間であって、お互いが都合の良い部隊に配属されていない限り、以前からの知人を部下に選ぶことはできないでしょう。軍ってのは巨大な組織ですし、さまざまな仕事・任務がありますから。軍に入ってから同じ部隊などで上官、部下や同僚などの関係となって、退役後に一般企業で共に働く、というのは現在でもありますけど。あと、知人だった特殊な技術者などを従軍後、民間から招請して軍に入れ部下にするというケースもありましたが -- 2015-12-28 (月) 17:27:47
      • 戦火の馬では、主人公が故郷で険悪だった地主の息子と一緒に塹壕から出撃してたな -- 2018-12-25 (火) 22:18:06
    • どうなんだろう、気に入った従卒を退役後に従者にするってのは、結構例があるらしいけど…答えになってないね(汗 -- 2015-12-26 (土) 01:22:40
      • そのモデルの従卒たちは、どんな人たちだったのでしょうね・・ -- 2015-12-27 (日) 13:36:45
  • 二つの塔でアラゴルンとガンダルフも期待したように、サムがいなければフロドの旅は無理だしフロドもサムに感謝していた。庭師と雇い主の関係だけではなく友情があった。 -- 2015-12-26 (土) 16:00:35
  • ホビット最高の詩人だよなぁ -- 2016-03-06 (日) 05:25:28
    • 1部2部3部ともに終わり頃にサムの名セリフに泣かされますね。 -- 2016-03-09 (水) 11:19:54
      • 王の帰還でのキリスウンゴルでの「お月さまの照る西の国に」と歌うシーンは指輪物語のテーマそのものでした。望みのない状況で生きる勇気がふつふつと沸いてくるというか -- 2016-06-18 (土) 05:05:07
  • どこかの詩に、最初と変わってしまうという歌詞がありましたね。残念なことです。 -- 2016-12-19 (月) 20:11:10
  • その他の名前が一つ抜けていますよ…勇者サムワイズがね(笑) -- 2017-06-04 (日) 18:06:54
  • 勇者サムワイズ! -- 2017-06-17 (土) 14:20:29
  • サムのセリフはピーナッツのチャーリー・ブラウンみたいな子供に聞かせてるようで大人になってからこそ分かる感じ -- 2017-07-22 (土) 00:22:32
  • 原作も映画も、サムの「I can't carry it for you, but I can carry yo!」とセオデン王の演説突撃だけは何十回目にしても涙が出てくる。 -- 2019-09-02 (月) 23:46:19
    • Yo!ってなんだよ!台無しだyo! -- 2019-09-02 (月) 23:46:53
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