ガンダルフ †
概要 †
カテゴリー | 人名 |
---|---|
スペル | Gandalf |
その他の呼び名 | 灰色のガンダルフ (Gandalf the Grey) 灰色の放浪者 (Grey Pilgrim, Grey Wanderer) 白のガンダルフ (Gandalf the White) 白の乗手 (White Rider) ミスランディア (Mithrandir) サルクーン (Tharkun) オローリン (Olorin) インカーヌス (Incanus) ラススペル (Lathspell) |
種族 | マイアール(イスタリ) |
性別 | 男 |
生没年 | 不明 |
解説 †
灰色のガンダルフとして知られるイスタリ(魔法使い)の一人。シンダール語では「灰色の放浪者」を意味するミスランディアと呼ばれた。
その正体は、サウロンと戦う自由の民を助けるためにヴァラールによって遣わされたマイアであり、本来の名はオローリンである。
彼は中つ国では自分の家というものを持たずに広く放浪を続け、白の会議の一員として、あるいは単独で、サウロンと戦う人々を援助し、困窮する者には誰にでも手を差し伸べて歩いた。迫り来る危難を誰よりも早くに予測して対策を立て、また他に助けが望めない者には進んで力を貸し、多くの破局から人々を救ったが、一方で「不吉の運び手」というような不名誉な見方をされることもあった。
任務に従事する中ではあくまで何者にも束縛されず、また何者も束縛しない援助者・助言者の立場に徹することを望んだ。白の会議の議長となることを辞退した一件や、デネソール二世に向けたわしもまた執政ですからなといった言葉などにそれが表れている。そのため、統治者の立場にある者からはしばしば不興を買ったが、力なき者や市井の者からは信望を集めた。
花火の製造やパイプ草の煙遊びをはじめとして、火、煙、光にまつわる技に熟達しており、いざとなれば火薬や火種に頼らずにそれらを生じさせることができた。
ルーン文字の「G」を自らの印とする。筆跡は雄勁にして優美。エルフの名剣グラムドリングの使い手であり、名馬飛蔭のこよなき友。
中つ国で彼を出迎えたキーアダンから密かに火の指輪ナルヤを譲り受けており、第三紀を通じてその守護者であった。
長くて先のとんがった青い帽子をかぶり、灰色の長いマントを着て、銀色のスカーフを巻いた老人でした。長い白い顎鬚と帽子のつばより長く突き出したもじゃもじゃ眉毛の持ち主でした。*1
荒れ地の国から西の海辺にかけて、 北の荒野から南の山中にかけて、
あの人は歩きまわった、思いのままに、 竜の臥処も隠し戸も、暗い森も。ドワーフやホビットにも、エルフや人にも、 死すべき者にも、不死の者にも、
枝の小鳥にも、ねぐらの獣にも、 他には知られぬそれぞれの言葉でかれは話した。必殺の剣、生命いやす手、 重荷に折れたわむ背、
われ鐘の声、火をふく杖、 疲れた漂泊人は、旅にあった。智恵の王者の御座に坐して、 たちまち怒り、たちまち笑う、
ひしゃげた帽子のこの老人は、 とげある木の杖にすがっていた。*2
第三紀のガンダルフ †
「第三紀はわしの時代じゃった。わしはサウロンの敵じゃったからな。」*3
第三紀1050年頃、復活したサウロンによって緑森大森林に影が差し始めると、西方からイスタリが船に乗ってやってきた。最後にやってきたのがガンダルフであり、彼は中つ国北西部をあまねく歩きまわって自由の民の友となったが、中でもエルフと親しく交流した。
2063年には力を増した闇の森の影を憂慮して、死人占い師の正体を見極めるために単身ドル・グルドゥアへ潜入した。その結果死人占い師は要塞を捨てて逃亡し、警戒的平和がもたらされた。
死人占い師がドル・グルドゥアに帰還し、警戒的平和が終わると、賢人達はこれに対処するため2463年に白の会議を結成、ガンダルフもその一員となる。発起人のガラドリエルは当初ガンダルフを議長に推したが、ガンダルフが辞退したため、白のサルマンが議長となった。
2850年、ガンダルフは再びドル・グルドゥアへ潜入し、死人占い師の正体がサウロン本人であることを確認するとともに、その土牢で今際のきわにあったあるドワーフから、エレボール(はなれ山)の隠し戸の鍵とスロールの地図を受け取る。後にガンダルフはこの鍵をトーリン二世に渡し、彼らがはなれ山に潜入するのに使われることになった。
これに相前後する時期、スライン二世の消息を追い求めてモリアを東から西へ通過したようであり、この経験が後に指輪の仲間を同地へ導く助けとなった。
2758年から翌年に渡って到来した長い冬は、各地に甚大な被害をもたらしたが、ホビットも例外ではなく、その折にガンダルフは彼らを援助するためにホビット庄へやって来た。以来、多年に渡ってホビットと親しく交友し、この種族の真価を見抜くに至ったおそらく唯一の人物となる。ホビットの間では、ガンダルフはもっぱら巧みな花火師として名声を得ており、その打ち上げ花火は語り草となっていた。トゥック翁として知られるゲロンティウス(2790~2920)と親しかったが、彼の死後は上述のドル・グルドゥア潜入等の任務のため、長らくホビット庄をおとなうことがなかった。
約20年ぶりとなる2941年、ガンダルフはホビット庄を訪れ、ドワーフのエレボール遠征のためにトゥック翁の孫であるビルボ・バギンズを旅に連れ出した(『ホビットの冒険』)。
さらにエレボール遠征の途上で発見された一つの指輪の存在にもいち早く気づき、3018年から3019年(大いなる年)にかけて、一つの指輪の破壊を任務とした指輪の仲間の一員にもなり、第三紀を締めくくる指輪戦争においても中心的かつ主導的な役割を果たした。その中で一度は戦いに傷つき倒れるも、「白のガンダルフ」として復活。任務を完遂した唯一のイスタリとなった(『指輪物語』)。
エレボール遠征 †
「ガンダルフ! ガンダルフですって! これはしたり。では、旅から旅へ、ところさだめぬ魔法使いではありませんか。 … おとなしい若者たちを、見知らぬ土地へ船出する船につれこんで、青海原へむかわせ、むこうみずな冒険へとかりたてたのが、ガンダルフではありませんか。」*4
当時ガンダルフは、サウロンがドル・グルドゥアから機先を制してロリアンと裂け谷を攻撃する準備を進めていること、すでに北方の自由の民はゴブリンや龍によって分断されており、もしサウロンの攻撃が実行されればそれに抗しきる望みがないこと、加えてこの攻撃にスマウグが破滅的な役割を果たすかもしれないことなどを思い悩んでいた。
2941年、休息のためホビット庄へ向かっていた途上、ブリー村で偶然トーリン二世と出会う。トーリンのスマウグへの復讐計画に事態を打開する望みを見出したガンダルフは、彼の遠征を手助けすることを約束するとともに、(サウロンの妨害を避けるため)遠征は隠密任務とするべきであることと、助っ人としてホビットのビルボ・バギンズを連れて行くべきであるとトーリンを説得した。
ビルボを連れて行くことを思いついたのは、ホビットが隠密任務に大いに役立つだろうという見込みと、少年時代のビルボが外界への憧れを抱いていたことを見抜いていたためだったが、主として説明のつかない虫の知らせによるものだった。だが中年に達したビルボはすっかり腰を落ち着けてしまっており、そのためトーリンの説得とビルボを焚き付けるのに大いに苦慮するはめになる。
思いがけないお茶会を演出し、スロールの地図と鍵を切り札に使うことでその二つをなんとか切り抜けたガンダルフは、そのままトーリンとその仲間の旅に同行し、彼らを助けた。だが白の会議を動かすため、闇の森の入り口でトーリンらと別れる。
サウロンがトーリンらの遠征を妨害することを阻止する必要性から、ガンダルフはドル・グルドゥアへ攻撃を加えるよう会議を説得し、彼自身も攻撃に加わった。この攻撃によって、死人占い師をロヴァニオンから追い出すことに成功する。
その後、五軍の合戦がはじまろうとするはなれ山においてビルボと再会。また、ゴブリンとアクマイヌの連合軍が迫っていることを各陣営に警告するなど、自由の民が合戦を切り抜けられるよう尽力した。
結果として、トーリンの戦死をはじめとしたいくつもの犠牲はあったものの、エレボール遠征は上首尾に終わり、山の下の王国と谷間の国は再建され、スマウグとゴブリンの多くは滅び、北方の安全と交通、諸種族の束帯は大いに回復された。
これによってサウロンの当初の計画は頓挫したばかりでなく、後の指輪戦争においてモルドールが動員するはずだった兵力を減らし、戦禍が広がるのを大幅に食い止めることができた。
指輪の正体の捜索 †
「考えつく限りのもっともな理由をいろいろあげてみても、最初からわしは心中不安でならなかった。」*5
エレボール遠征の途上、ビルボは指にはめると姿を消すことができる「魔法の指輪」を手に入れたが、ガンダルフは早くからそのことに気づき、一抹の不安を抱く。
ビルボを問い詰めて彼が指輪を手に入れた本当の経緯を聞き出したガンダルフは、善良なビルボがこの件に限って嘘をついたことを不穏に思い、さらにいつまでも老いる様子がないビルボの外見にも不審を抱いた。
そこでゴクリに見張りをつけ、彼を捕まえて指輪の出処とその影響を確かめようとした。しかしゴクリは見張りの目を逃れて行方をくらましてしまう。
ビルボの長寿は母方の血筋に過ぎず、彼の指輪は力の弱い魔法の指輪に過ぎないのかもしれない、という考えに一度はガンダルフの不安もまどろんだ。
だがビルボの111歳の誕生日の夜、指輪が彼に決定的に邪悪な影響を与えているのを目の当たりにしたことで、それまでの漠然とした不安は切迫した恐怖に変わった。ひとまずビルボに指輪を手放させ、それをフロドに譲らせることに成功したガンダルフは、今度こそ指輪の正体を確かめるべく多年の調査に身を投じることになる。
友人のアラゴルン二世に「疑念」を打ち明けたガンダルフは、野伏にホビット庄の守りを任せる一方、アラゴルンと共にロヴァニオンからモルドールの境界に至るまでゴクリを捜索。さらに調査の目を転じたガンダルフは、ゴンドールで古文書を渉猟してイシルドゥアが書き残していた巻物を発見、指輪の判別法の知識を得る。時を同じくしてアラゴルンがゴクリを捕獲したことにより、ゴクリの口から指輪がイシルドゥアの没したあやめ野で発見されたいきさつも聞き出した。
大いなる年の3018年4月、ガンダルフは袋小路屋敷にフロドを再訪し、彼の指輪を火中に投じてその表面に暗黒語の銘が浮かび上がることを確認、それがまぎれもないサウロンの一つの指輪に他ならないことを明らかにした。
指輪の旅の先導 †
「そなたと、そなたの忠実な僕とともに、ガンダルフが行くだろう。なぜといえば、これはかれ一代の大仕事となるだろうし、おそらく生涯のいさおしをしあげる花となるかもしれぬ。」*6
一つの指輪の危険性を知ったフロドがホビット庄から旅立つことを決意すると、ガンダルフはその従者としてサムを選び、隠密に裂け谷へ向かうよう忠告する。
そのままガンダルフはフロドに同行するつもりで袋小路屋敷に滞在していたが、サウロンのオスギリアス攻撃の報が届いたことで大きな不安に満たされる。情報を集めるためブリー村まで足を伸ばしたガンダルフは、そこで茶色のラダガストに出会い、彼からナズグールが出現したことを聞かされた。不安が的中したガンダルフは、フロドに直ちに出発するよう警告する手紙をバーリマン・バタバーに預けると、自らは助力を申し出た白のサルマンに応じるため急遽アイゼンガルドへ向かった。
だがこれはサルマンの罠であり、サルマンは一つの指輪を我が物とするためにガンダルフをアイゼンガルドへおびき寄せたのであった。中つ国の覇権を狙うサルマンに与することを拒絶したガンダルフは、サルマンによってオルサンクの塔の頂上に監禁されてしまう。
ふた月後、飛来したグワイヒアに救出されたガンダルフは、ローハンで飛蔭を借り受けるとフロドを救うためホビット庄に急行した。既にナズグールがフロドの間近にまで迫っている絶望的な状況であったが、アラゴルンがフロド達に合流したとの報せに希望を託し、自らはナズグールを撹乱するのに全力を上げることにする。
風見が丘でナズグールと交戦したガンダルフは、9人のうち4人を自分に引きつけることでフロド達から脅威を逸らすことに成功。一足先に裂け谷に到達すると、エルロンドと共にブルイネンの水流を操って浅瀬でナズグールを押し流し、間一髪でフロドを救出した。
エルロンドの会議で一つの指輪は滅びの罅裂に投げ込むべきことが決定され、フロドが指輪所持者に指名されると、ガンダルフは指輪の仲間の統率者としてあらためてフロドの旅の導き手となる。
彼は地上の旅においてはアラゴルンの、地下の旅においてはギムリの助けを借りつつ、モルドールへの道を探し求めた。しかしモリアにおいてガンダルフはただ一人バルログに立ち向かって諸共に奈落に落ちた。これによりガンダルフは死んだものと思われた。
だがガンダルフは地の底から山の頂に至るまでバルログと戦い続けていた。山頂の闘いにおいてとうとうバルログを滅ぼしたが、彼自身も傷つき斃れた。
白のガンダルフ †
その髪は日にきらめいて雪のように白く、その長衣は白く輝いています。秀でた眉の奥の目は明るく輝き、陽光のように
炯々 と光りました。その手には力がありました。*7
一度は斃れたガンダルフだが、使命を成し遂げるべく送り返される。黄泉路をくぐり抜けた彼は身内に宿る焔と遠方を見通す視力を与えられ、白衣を身に纏う白のガンダルフとして蘇生した。
山頂で息を吹き返したガンダルフは再びグワイヒアに見出されてロスローリエンに運ばれ、治療を受けた後、離散した指輪の仲間の後を追った。アモン・ヘンでフロドに迫るサウロンの目を逸らしたのはガンダルフだった。またファンゴルンの森でメリーとピピンが木の鬚に保護されたのを見届けると、同地でアラゴルン、レゴラス、ギムリに再会する。
ローハンでは、病に蝕まれたセオデンを癒やすと共に、正式に譲り渡された飛蔭の俊足を活かして散り散りになっていた友軍を呼び集め、角笛城の合戦を勝利に導いた。
合戦後はエントによって陥落したアイゼンガルドへ向かい、サルマンと最後の談判を行う。ガンダルフはサルマンに投降と協力を呼びかけたが、サルマンが拒絶したため、白の賢者としてサルマンの杖を折り、彼をイスタリと白の会議から追放した。
この時偶然得られた黒い球がパランティーアであることに気づくと、その危険性を見抜き、ピピンを連れてミナス・ティリスへ向かった。
ゴンドールでは、しばしばその身に宿る白い焔を顕わにし、ナズグールが投げかける恐怖の影から人々を救い出した。
ペレンノール野の合戦では魔王と対峙したが、狂気に陥ったデネソール二世がファラミアを巻き添えに焼身自殺を図ったため、ファラミアの救援を優先して都に留まった。
合戦後は黒の息に侵された人々を救うべく「癒しの手」を持つアラゴルンを城内に招き入れた。
ガンダルフは指輪所持者の任務達成にしか望みがないことを承知しており、黒門の戦いにおける西軍の捨て身の陽動攻撃を提案したのもガンダルフだった。
サウロンはガンダルフが多年に渡って自らの敵として働いてきたことを承知しており、指輪を手にすれば自らを打倒するに足る存在であることも認識していた。そのため門前に現れたサウロンの口は特にガンダルフを責め苛むよう命を受けており、フロドから押収された装身具を携えていた。だがガンダルフは脅迫に怯むことなくサウロンの口の虚勢を見抜き、彼から装身具を奪い返した。
戦いの最中に指輪所持者の任務は達成され、一つの指輪は破壊されてサウロンは滅びた。それを見届けたガンダルフは、大鷲たちを呼んでフロドとサムを滅びの山の崩落から救出した。
コルマルレンの野において生き残った指輪の仲間は一堂に再会し、フロドはガンダルフが奪い返した装身具によって身を飾られる。
エレスサール王の戴冠式では、ガンダルフの手によって王冠が新王の頭に戴せられた。その後ガンダルフは王をミンドルルイン山の聖所に導いて白の木の苗木を見出させ、自らの使命は終わり中つ国の行く末は人間の手に委ねられたことを告げた。
家路 †
そして波止場には、大きな灰色の馬の傍らに、全身を白い長衣に包んだ人物が一人、かれらを待って立っていました。かれがこちらを向いてみんなの方にやってきた時、フロドはガンダルフが今や公然とその手に第三の指輪、偉大なるナルヤをはめているのに気づきました。それについている石は火のように赤く燃えていました。*8
ガンダルフはフロドら旅人たちと共に、ゴンドールからローハン、裂け谷、ブリー村まで旅をしたが、その先で四人と別れ、トム・ボンバディルに会いに行ったようである。
第三紀3021年(第三紀最後の年)9月29日、ガンダルフは灰色港でフロド達と最後の再会をする。そして指輪所持者であるフロドとビルボ、そして他の指輪の守護者であるエルロンドとガラドリエルと共に、ガンダルフもまた船に乗って西方へと去って行った。
マイアとしてのオローリン †
マイアールの中で最も賢明なのはオローリンであった。かれもまたローリエンに住まっていた。しかしかれは、しばしばニエンナの許を訪れ、かの女から憐れみと忍耐を学んだ。*9
ヴァリノールにおいてオローリンはもっぱら目に見える姿をとらずにエルフの間を歩き回り、その心に美しい心象を注入するマイアだった。
『終わらざりし物語』にはより詳細な記述がある。オローリンはマンウェとヴァルダに所属するマイアであり、アマンにおいても彼は旅にあり、纏う衣も灰色であった。彼はサウロンを恐れ、イスタリの任務に当たるには力劣ると自認していたが、それゆえに一層マンウェとヴァルダにイスタリとして推挙されたという。
彼の名を構成する語幹「オロル(olor)」あるいは「オロス(olos)」とは、クウェンヤおよびシンダール語において「夢、心象、ファンタジー」を意味し、未だアルダに先在していないがもし実現されれば世界を豊かにするであろう美しいヴィジョンを指す概念であると説明されている。
多数の名の意味 †
『わしの名はさまざまな国でさまざまに呼ばれる。』と、かれはいった。『エルフの間ではミスランディア、ドワーフにはサルクン、今は忘れられた西方での青年時代にはわしはオロリンだった。南の国ではインカヌス、北の国ではガンダルフ、東の国には行かぬ。』とな。*10
- ガンダルフ (Gandalf)
- 北方の人間の言葉で「杖持つエルフ(Elf of the Wand)」の意。彼をエルフだと勘違いした人間たちが付けた名。(トールキンはこの名を『古エッダ』「巫女の予言」に登場するドワーフの名前から取り、その理由を「(魔法の)杖を持つエルフ的人物」の意味と考えられなくもないから、としている)
- ミスランディア (Mithrandir)
- シンダール語で「灰色の放浪者(Grey Pilgrim)」の意。エルフが付けた名。ゴンドールの高貴な身分の人間もこの名で呼んだ。
- サルクーン (Tharkûn)
- クズドゥルで「杖持つ人(Staff-man)」の意。ドワーフからの呼び名。
- インカーヌス (Incánus)
- 未詳。ハラドリムの言葉で「北方の間者(North-spy)」を意味するインカー+ヌーシュ(Inkā + nūš)がクウェンヤに取り入れられた名という説*11と、全盛期のゴンドールで付けられた「心の支配者」という意味のクウェンヤ名であるという説がある。*12(なおトールキンはこの名を「灰色髪(grey-haired)」を意味するラテン語のインカーヌス(incánus)から考案したようである)
- オローリン (Olórin)
- ヴァリノールにおけるクウェンヤでの名。彼は美しい啓示を与えるマイアであった。
- ラススペル (Lathspell)
- 古英語で「凶報(Ill-news)」の意。危難に先立ってそれを警告しに現れる彼を、蛇の舌が侮蔑して呼んだ名。
関連項目 †
画像 †
映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定 †
原作の記述をおおむね踏襲しているが、原作で見せた叡智の働きや、高貴な力などは、物語の単純化のためか大幅に割愛されている。
『旅の仲間』では、オルサンクで変節したサルマンと対峙した際、互いに魔法の念動力で闘うという独自の描写がなされた。またモリアの西門を開く合言葉がわからず、フロドが代わりに言い当てる形となっている。
『二つの塔』では、白のガンダルフとしてサルマンと似た髪型となって再登場。原作では普段は白衣を灰色の外套で隠しているが、映画ではほとんど常に白一色の姿となっている。セオデンがグリマを切り捨てようとした際に傍観するという原作と大きく異なった描写がなされており、代わりにアラゴルンがセオデンを止める形となっている。
『王の帰還』では、ローハンに救援を求めようとしないデネソールにしびれを切らし、ピピンを使って独断で烽火を上げさせる形となっており、加えてデネソールの今際には狂乱した彼を飛蔭の前蹴りで炎の中に突き飛ばす挙に及んでいる。また、原作では力がほぼ拮抗しているように描かれていた魔王に対し、一方的に打ち負ける描写もなされた。
グッズ †
映画『ホビット』における設定 †
俳優 | イアン・マッケラン |
---|---|
日本語吹き替え | 羽佐間道夫 |
原作では最初から、エレボールの旅の最後はビルボ・バギンズとトーリンの一行に任せるつもりだったことになっているが、映画ではガンダルフはエレボールまで皆と同行するつもりでいた。だがガラドリエルの警告を受けて急遽ラダガストとともにルダウアにあるナズグールの塚の確認に向かった。そこが空になっているのを知った後、単身でドル・グルドゥアへ向かった形となっている(ガンダルフは、一行がエレボールに入る前に再び合流するつもりだったが、ドル・グルドゥアで時間を取られたため間に合わなかった)。
ガンダルフは、死人占い師こと正体を現したサウロンの力に圧倒され、囚われの身となる。そこにガラドリエル、エルロンド、サルマン、ラダガストが救援に現れ、ガンダルフはガラドリエルによって蘇生させられたあと、ラダガストによってドル・グルドゥアから脱出させられる。その後、ガンダルフはラダガストから馬を借りると、エレボールを攻撃しようとしているドル・グルドゥアの軍勢のことを警告するため、自らもエレボールへ急行した。
ビルボは(原作とは異なり)指輪のことを終始秘密にしていたが、ガンダルフはゴブリンの洞窟で魔法の指輪をビルボが拾ったことに気づいていた(ただしそれが一つの指輪だとまでわかったわけではない)。そして帰郷時の別れ際「魔法の指輪は軽々しく使うものではないぞ」と忠告している(この時ビルボは指輪を落としたと噓をついている)。そしてビルボと別れたあと、意味深な表情を浮かべ去っていった。
ゴブリンの群れを光と衝撃波で吹き飛ばす、同じ系統の魔法で砦内の敵を探知したり、バリアーを張ってサウロンに取り込まれるのを防ぐ、脱走を防ぐ幻術を破る、杖で大岩を砕くなど、『ロード・オブ・ザ・リング』三部作よりも魔法を使用する場面が多い。エクステンデッド・エディションではドル・グルドゥアから救出されたあと、ラダガストより杖を借りるシーンが明示されているが、その杖がうまく扱えず、五軍の合戦ではトロルに呪文を唱えるものの不発に終わっている。
日本語吹き替え版では、『ロード・オブ・ザ・リング』でガンダルフを担当した有川博が2011年10月に死去したため、『ホビット』では羽佐間道夫が吹き替えを勤めている。
グッズ †
ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定 †
サルマンのもとから脱出し、ブリー村に到着した直後のガンダルフと冒険者が遭遇、東街道の偵察や、ラダガストの援助を冒険者に依頼してくる。
その後、指輪の仲間として出立するガンダルフを見送った後、ガラドリエルの依頼により、モリアのいやはての石の土台と無限階段でガンダルフの痕跡を発見。このことをガラドリエルに報告する。
その後、白のガンダルフと再会することになる。
コメント †
最新の10件を表示しています。 コメントページを参照