カルドラン

概要

カテゴリー地名
スペルCardolan

解説

シンダール語で「赤い丘の国」の意と思われる。三国に分裂したアルノールのうち南の国。
西はバランドゥイン(ブランディワイン)川、東はグワスロ(灰色川)ミスエイセル(にびしろ川)、北は東街道を国境とした。

イシルドゥアの血統はほどなく絶えてしまい、アルセダインアルゲレブ一世が再びアルノール全土の統治権を主張するとそれに同調する(だがアングマールと結託したルダウアはこれを拒否した)。
第三紀1356年にアルゲレブがルダウアとアングマールの攻撃を受けて討死すると、カルドランはリンドンと共にアルヴェレグ一世を援助して風見丘陵から敵を駆逐する。その後アルセダインとカルドランは協力してルダウアとの国境線(風見丘陵、東街道、ミスエイセル)を武力で保持した。

だが1409年のアングマールの大攻勢によって守りは破られ、カルドランの国土は荒廃する。この時に最後の君主(last prince)が討死し、カルドランのドゥーネダインの残党はティルン・ゴルサド(塚山丘陵)古森に逃れて抵抗を続けた。
1636年には悪疫エリアドールに広がり、カルドラン(特にミンヒリアス)に残っていた住民のほとんどが死に絶えた。これによってカルドランのドゥーネダインは滅び、塚山丘陵にはアングマールとルダウアからやってきた悪霊(塚人)が棲み着くようになった。

指輪物語』作中でフロド・バギンズたち4人のホビット塚人に囚われたは、1409年の戦いで討死したカルドラン最後の君主のものであったらしい。

「むろん(おぼ)えておる!」と、かれはいいました。「カルン・ドゥームのやつらが昨夜われらを襲ったのだ。そしてわが陣営は敗れた、ああ! 予の心臓に突き刺さった(やり)の穂先!」*1

トム・ボンバディルはこの塚山から塚山出土の剣を発掘してホビット達に与えた。

Iron Crown Enterprisesによる設定

歴史

アルノールエアレンドゥアは3人の息子たちの内、次男のエルダカールを最も寵愛していた。彼がドゥーネダインの基準でも並外れて強健な心身の持ち主だったのがその理由だった。彼は本来の名よりもシンダール語で黒い鷲を意味するソロンドゥア(Thorondur)の名で知られていた。
ソロンドゥアに王杖を渡そうとするエアレンドゥアに、王の議会は慣習に従って長子のアムライスに王位を継がせるよう異を唱えた。そして、ソロンドゥア自身も、内心では兄を愚鈍で虚弱だと見下し、玉座を欲していた。
エアレンドゥアは王国を分割し、息子たちにそれぞれの国の王として相続させる事で王家の不和を解決する道を選んだ。かくしてアルノールは三国に分かれ、アルセダインアムライスが、カルドランをソロンドゥアが治める事になった。末子のアルダリオンにはルダウアが与えられた。

ソロンドゥアは都に定めたサルバドを要塞化し、商業によって国力の充実を図った。だが、死後にアモン・スールに置かれたパランティーアの管理権を巡って三国が争い始めると、ソロンドゥアの事業が財政を圧迫するようになった。四代王タランディル(Tarandil)は、多数の村落を大規模な牧羊場として囲い込み、組合と商人に特権を与えることで経済の建て直しを試みた。この試みは成功し、一時期のカルドランは三国で最も強固な軍を保持するまでになった。

1215年、五代王カリメンディル(Calimendil)は、父王の軍事力をもって王統の断絶したルダウアに侵攻した。だがルダウアでは山岳人の首長ルッガ(Rhugga)が人々の支持を得て即位しており、両者は20年に渡って争った。1235年、カリメンディルはルダウアの王都カメス・ブリン(Cameth Brin)の城外に到達し、そこで二度目の戴冠を行おうとした。だがルッガと同盟を結んだ霧ふり山脈オークが夜陰に紛れて陣地を襲撃し、王と諸侯の大半を討ち死にさせた。

領土の東半分を喪失し、イシルドゥアの王統が途絶えたカルドランは激しい内紛に陥った。サルバドから地方の田舎まで、至る地域で暴動が起こり、アルセダインとゴンドールもこれに介入、一時期はモリアドワーフまでもが交易を守るために出兵する事態となった。最終的に宮廷は忠実なる者の家系の出のタルキル(Tarcil)を6代王に選び、内紛の終結を見た。

この頃より、北方でアングマールが台頭しルダウアを影響下に置いた。そのため、七代王タラストール(Tarastor)の弟で摂政のミナルカールは、アルセダイン王アルゲレブ一世をアルノール全土の上級王として名目上承認することで、兄王の死後に八代王となった。両王はアングマールに対する共同戦線を張り、一時的に侵略軍を追い返す事に成功した。
1408年、再びアングマールの侵略が始まると、九代王オストヘアは軍を率いてアモン・スールに布陣し、アルセダインと裂け谷からの援軍を待った。だが、援軍の到来を前に魔王風見が丘に攻撃を仕掛け、これを落城させた。カルドラン軍は塚山丘陵の西に逃れ、古森の軒下に誘い込む作戦で敵を殲滅したが、オストヘアと王子たちは全員戦死、サルバドに残っていた娘のニナルデル(Ninardel)だけが残された。そのニナルデルも宰相ニムヒア(Nimhir)の謀略で暗殺され、再び王統は途絶えた。

ゴンドールはサルバドに総督職(Canotar)を置きフェオタール(Feotar)の領主アンナエル(Annael)を据えてカルドランを支配下に置こうとした。しかし、諸侯がこれを権威として承認する事はもはやなく、国家としてのカルドランは事実上消滅した。

分裂後の諸公国は、カランティアとドル・ティナレが独立を保つ一方、ティルン・ゴルサドとギリスリンはアルセダインに臣従した。また、ドゥーネダインの力が減じた事で、多くの民が諸侯の支配から脱して独自の生活を営むようになり、彼らの一部は総督から自治を認められた。サラライン(Saralainn)のように、武力でドゥーネダインを追い出して国を築く勢力も現れた。しかし、そうした民も含めた全ての国々が悪疫塚人などの脅威によって緩やかに数を減らしていく運命を辿った。

1974年、アングマールとアルセダインの双方が戦争で滅びると、ゴンドール軍は敵の残党に利用されるのを避けるため、エリアドールの各地に残っていた居住地と要塞の多くを破棄した。2052年にサルバドの駐屯軍が解散、本国へ撤退すると、わずかに残っていた住民もそれに付き従った。こうしてカルドランの名残は全て失われた。

歴代王

名前在位
初代ソロンドゥア(Thorondur)861~936 (75年間)
2代トゥランバール936~1001 (66年間)
3代キリオン1001~1079 (78年間)
4代タランディル(Tarandil)1079~1153 (74年間)
5代カリメンディル(Calimendil)1153~1235 (82年間)

カリメンディルを最後にイシルドゥアの血統は途絶え、代わって王に付き従っていた忠実なる者の子孫の家系から王が輩出された。

名前在位
6代タルキル(Tarcil)1235~1287 (52年間)
7代タラストール(Tarastor)1287~1332 (45年間)
8代ミナルカール1332~1381 (49年間)
9代オストヘア1381~1409 (28年間)
10代ニルナデル(Nirnadel)1409~1412 (3年間)

諸侯国

グワスロ流域にはヌーメノール時代から多数の入植地が築かれており、その一部は公国に発展した。後からやって来たイシルドゥアの家系が王として一帯を治めるためには、こうした諸侯の支持を取り付け、時には利害関係を調停する必要があった。そのためカルドランは、第三紀に開かれたアルセダインや元々人口の少ないルダウアと比べると国家としてのまとまりに欠けている面があった。
そして実際、諸侯の多くは王家の断絶後も長い間、祖先の開拓した領地を保持し続けていた。

ギリスリン
ミンヒリアスの南西、ギリスリン高地(Girithlin Highland)と呼ばれる一帯の地域。第二紀の2700年頃、ヌーメノール人が森林を切り開いて築いた入植地を始まりとする。バランドゥイン河口の川床から採取される琥珀によって、諸侯国で最も強権的かつ富裕な領域として繁栄した。東端の半島にエリン・ヴォルンの森があり、その中に住む先住民やフオルンを監視する役割も担っていた。17世紀頃から悪霊らしき存在が跋扈するようになり、急激に衰退した。その後何度が再建が試みられるが、いずれも謎の存在に追い払われて失敗した。
ドル・カラディア(Dor Caladir)
サルバドの南東部、グワスロの中流域一帯の名称。第二紀27世紀頃にヌーメノールの入植地が築かれ、カルドランの時代には同国を構成する諸地域の中でも最も豊かな土地として栄えた。公国はカルドランの滅亡後も第三紀1700年頃まで存続し、ドゥーネダインが去った後も土着のエリアドール人の集落が多数残っていた。
エン・エレドリアス(En Eredoriath)
ティルン・ゴルサド
後の塚山丘陵。バランドゥインからアモン=スール?まで、南街道沿いに50マイル程広がる帯状の領域。王族の埋葬地としての重要性から、比較的多くのドゥーネダインの人口を抱えていた。ブリー郷の南にあるフェアギル(Feagil)がその首府とされていたが、1409年頃、アングマールとの戦争で破壊されると、さらに南のミナス・マルロス(Minath Malloth)に政治の中心を移した。塚人の侵入以降はアルセダインに臣従し、その庇護を受けた。
ドル・ティナレ(Dor Tinare)
ドル・ティネレブ(Dol Tinereb)ともいう。ティルン・ゴルサドのすぐ南、モリアより発するドワーフ道沿いの領域。
フェオタール自由州(The free cantons of Feotar)
ファエルドール(Faerdor)ともいう。エレギオンの東、グワスロを挟んだ対岸の地域。カルドラン最後の王の死後、土着の人間たちと軍が結託して反乱を起こし、圧政を敷く領主を倒して自治を認められた。中小規模の町や村の緩やかな連合帯で、比較的長く、バルログによってモリアが滅ぼされ取引相手を失うまで国としての形を保った。
サララニン(Kingdom of Saralain)

コメント

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • このセリフがとても痛ましい。どれほど無念だったことでしょう -- 2008-01-14 (月) 23:16:58
    • アングマールに滅ぼされたカルドランの最後の王がメリーの口を借りて叫んだのだとしたら、この時既にメリーがアングマールの魔王を剣で貫く事を運命づけられていたとも言えます。原作を初めて読んだ人は「王の帰還」の頃にはすっかり忘れているであろう、ものすごい伏線。 -- 2008-01-25 (金) 23:34:21
      • 伏線というより「御筆先」でしょうね。このように長大な物語にはよくあることです。 -- 2014-01-09 (木) 07:21:13
      • これには気づかなかった。 -- 2016-03-05 (土) 01:40:06
    • 分裂したカルドランで魔王の攻撃に抗い最後まで残った国の王の最後の言葉ですからね。本当に悲痛です。 -- 2012-05-02 (水) 15:28:35
  • ICE設定で同国の末期はバラバラに分裂していたみたいだね。其処に疫病とアングマールの攻撃が加えられていたらしい。 -- 2011-11-16 (水) 16:27:35
    • カルドランの最後の王とされている人物は分裂したカルドラン諸国、最後の国家の最後の王ですから確かに最後の王なんですね。 -- 2012-04-19 (木) 21:35:51
      • 一体どこの誰が最後の王を荘重に葬ったのか気になる所です -- 2014-01-12 (日) 11:23:07
      • 逃げのびたカルドランの残党かカルドランと協力関係にあったアルセダイン国民が、後に葬ったと考えるのが自然でしょう。 -- 2015-08-08 (土) 01:24:15
      • カルドランの残党かアルセダインに逃げ延びたカルドラン国民か、それともアルセダイン国か、そのへんでしょうね -- 2015-12-02 (水) 17:21:43
      • ICE設定だと、塚山の王を葬ったのはニルナデルということになるんでしょうか -- 2019-02-02 (土) 03:24:19
  • 割と根性を見せた国、という印象。だが相手と立地が悪すぎた。 -- 2019-02-03 (日) 19:39:25
  • 一部議論の出ていた、ICE独自の地名の項目を統合しました -- 管理人 2019-02-15 (金) 18:13:00
    • Girithlinはミンヒリアスの方に載せた方が良いと思います -- 2019-02-15 (金) 21:18:23
      • Girithlinはカルドランの諸侯国ではないのですか? 正直私はそこまでのICE設定についてはわからないので、編集者の方にお任せします -- 管理人 2019-02-15 (金) 22:34:38
      • Girithlinはミンヒリアスの一地域、ミンヒリアスはカルドラン領、ってことで -- 2019-02-15 (金) 23:12:27
      • ICE設定詳しくないですが、地名としてのGirithlinの直上はミンヒリアス(地名)、諸侯国としてのGirithlinの直上はカルドラン(国名)という感じになるんじゃないでしょうか。ミンヒリアス公領の配下にあるGirithlin領、ということとかならまた別でしょうけど -- 2019-02-16 (土) 08:00:58
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