アル=ファラゾーン

概要

カテゴリー人名
スペルAr-Pharazôn
異訳アル=ファラゾン
その他の呼び名タル=カリオン(Tar-Calion)
黄金王アル=ファラゾーン(Ar-Pharazôn the Golden)*1
種族人間ヌーメノール人
性別
生没年第二紀3118~†3319年(享年201)
ギミルハード(父)
配偶者ミーリエル

解説

ヌーメノールの王
第24代
タル=パランティア
3177~3255
第25代
黄金王アル=ファラゾーン
第二紀3255~3319年(64年間)
滅亡

クウェンヤでの名はタル=カリオンヌーメノール25代目にして最後の王。彼の治世にヌーメノールの国威と堕落は絶頂に達し、黄金王の名で知られる。
ギミルハードの息子でタル=パランティアの甥にあたり、従姉妹にあたるミーリエルと強引に結婚して王位を簒奪した。

王位簒奪

ファラゾーンは父のギミルハードに似て傲慢で、王党派の筆頭格としてヴァラールエルダールを敵視していた。ギミルハードは、タル=パランティアの改悛(反ヴァラール、反エルダールを改めようとする行為)に抵抗し続けたが、ファラゾーンもそれにならい、ギミルハードの死後もそれを続けた。しかもファラゾーンは若い頃は中つ国に遠征して略奪を行い、その富をヌーメノールに持ち帰って人々に与えたので、ヌーメノール人の人望を集めていた。

タル=パランティアが死ぬとファラゾーンは、パランティアの娘でファラゾーンの従姉妹にあたるミーリエルに、自分と結婚するよう強要(又従兄弟以上に近い血縁の者の結婚を禁じる、ヌーメノールの法を無視するものでもあった)。
こうしてファラゾーンはヌーメノールの王位を簒奪する。

中つ国の覇権の確立

サウロンは、中つ国においての強敵であったファラゾーンが王位簒奪のためヌーメノールに戻ると、中つ国の沿岸都市からヌーメノール人を追い落として支配下に置こうとし、自ら「人間の王」を称した。これらの話を聞くとアル=ファラゾーンは激怒。彼はサウロンを撃破し自分こそが人間の王であることを証明するため、大軍を指揮してウンバールに上陸した。
このときウンバールの港を埋め尽くしたアル=ファラゾーンの大艦隊は、忠実なる者達ですら思い返すたびに誇らしさを覚えるのを禁じ得ないほど壮大なものであり、後々まで記憶された。アル=ファラゾーンの軍勢のあまりの強大さに、サウロンは武力で抗う望みがないことを悟り、降伏してヌーメノールの陣営に投降することを選ぶ。

アル=ファラゾーンは、サウロンの臣従の監視と彼の王国に対する人質として、また、自らの権勢を示す証として、サウロンを捕虜としてヌーメノールに連れ帰った。

ヌーメノールの堕落

しかしサウロンはほどなくして、堕落したヌーメノール人の心と死を恐れる気持ちに付け込み、影響力を行使するようになる。
アル=ファラゾーンはサウロンの甘言に耳を傾け、彼を自らの相談役に引き立てると、その助言のもとでますます中つ国から富の収奪を繰り返し、いよいよ国力を増大させていった。
さらにサウロンは王にメルコールへの崇拝を求め、イルーヴァタールヴァラールが考え出した嘘に過ぎないと吹き込む。メルコールとその暗黒を崇拝するようになったアル=ファラゾーンと王党派は、神官たるサウロンの指導の下、自分たちが不死になることを願って、人身御供をはじめとした数々の忌まわしい儀式を執り行い、忠実なる者をますます迫害した。

アル=ファラゾーンは、ニムロスと王家の運命は結びついているとかつてタル=パランティアが予言したことを覚えており、サウロンがニムロスを刈り倒すよう勧めても、当初は難色を示していた。しかし結局はサウロンに従い、ニムロスを伐り倒す(その直前にイシルドゥアがニムロスの実を救い出した)。

こうした行状とともに、次第にヌーメノールに与えられていた恩寵は薄れていった。悪天候や船の難破が頻発するようになり、人心は荒廃して争いが絶えず、人々を襲う死はいっそう速やかかつ惨たらしくなり、かき立てられた憎悪と恐怖はサウロンによっていっそう煽り立てられた。
だが国力は増大し続けたため、多くの国民はヌーメノールの繁栄を疑わず、アル=ファラゾーンはモルゴス以来世に存在したことのないほど強大な暴君となった。

アマンへの進軍

やがて忍び寄る老いと死への恐怖を感じ始めたアル=ファラゾーンは、いよいよ判断力を失い、ヴァラールから不死を奪い取ることが可能だというサウロンの甘言を信じ込む。
アル=ファラゾーンは長い時間をかけてヴァラールと戦うための軍備を整え、ヌーメノールの西の海上を真っ黒に埋め尽くしたその大艦隊は、かつて世界に比を見ないほど強大なものであったという。
西方からは、数々の不吉な警告の印がもたらされたが、アル=ファラゾーンはあくまで心を変えようとはせず、武装して王冠を戴くと、旗艦アルカロンダスに乗り込み、落日とともに挑戦のトランペットを吹き鳴らして西方へ出撃した。

ヴァラールの禁を破って禁じられた海域を越えたアル=ファラゾーンの大艦隊はアマンに到達し、トル・エレッセアを包囲してその海上をびっしりと埋め尽くす。
さしものアル=ファラゾーンもこの世ならぬタニクウェティルの山と不死の国の岸辺を目にした時はふと恐怖を覚えたものの、結局は禁じられた地に足を印し、この地は自分のものだと宣言する。上陸したアル=ファラゾーンとヌーメノールの軍勢は、エルフ達が逃げ去ったあとのトゥーナの周囲で野営した。
だがその時、ヴァラールからアルダの統治権を返上されたイルーヴァタールがアルダを作り変え、その結果ヌーメノールの島は覆って海中に沈み、大艦隊もその淵に引き寄せられて飲み込まれた(世界の変わる日)。アル=ファラゾーンと彼の軍勢は崩れる山々の下敷きとなり、忘却の洞窟世界が終わる日まで閉じ込められていると言われている。
このことはアカルラベースに語られている。

こうしてアル=ファラゾーンは滅びたが、神をも恐れぬ彼の無敵艦隊(アルマダ)の伝説は後の世まで記憶された。

コメント

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • 如何に強大な軍団を率いていたとはいえ、あのサウロンを捕虜にできるって…魔法の檻でも用意したのでしょうか。あるいは実体化してたから可能だった?映画版ホビットのように霧状なら無理かと -- 2016-07-11 (月) 23:03:44
    • いくつか可能性が考えられます。仮説1:アル=ファラゾンが勝手に捕まえた気でいただけ(サウロンの目的はヌメノールを内部から滅ぼすことだったので、逃げる意志がそもそもない) 仮説2:魔法の鎖のようなものを持っていた(ヌメノールはアマンから技術を学んでおり、アンガイノールに準じるような魔法の鎖を製造できたのかも) 仮説3:マイアといえどそう簡単に肉体から自由になれるわけではない(フアンに喉首を抑えこまれた例もあるように、いったん捕まると肉体を放棄しないと逃げられないのかも) -- 2016-07-11 (月) 23:44:16
      • 仮説1が正解でしょう。アカルラベースにヌーメノールに連行されることはサウロンの意に沿うものだった事を伺わせる一文があった覚えがありますし、トールキンの書簡集#211にもそういった事が書かれてます。 -- 2016-07-12 (火) 00:36:23
      • ↑連行がサウロンの策略であるのは確かなことですが、それは必ずしもいつでも物理的に逃げることが可能であったという事には直結しないと思いますので、仮説としました。 -- 2016-07-12 (火) 03:39:17
      • アカルラベースの前稿に当たる「失われた道」や「アナドゥーネーの沈没」でも特にサウロンを縛に就けてる描写はありませんし、むしろ投降したサウロンが臣従を誓っただけでそれを受け入れているフシがあるので、個人的には仮説1が正しいのではないかと思います。おそらくその気になれば何時でも始末できるから捕縛の必要はないと考えていたのではないですかね。 -- 2016-07-26 (火) 01:55:51
      • パーマンに出てくる怪盗千面相よろしく、何度捕まえようとしても簡単に脱獄してしまうサウロンさん -- 2016-07-27 (水) 00:19:04
      • 仮説1だと思いますね。サウロンはヌーメノール人が初めて目にするアイヌアですから。アイヌアがどういった存在なのかも漠然とした知識しかないでしょう。そうでもなければ後に西方の諸王に喧嘩売ろうとしないでしょうし。ファラゾーン王はアイヌアを甘く見ていたんだと思いますよ。 -- 2017-02-20 (月) 10:37:52
      • トールキンの書簡#156を見るに、仮説2・仮説3はおそらく無いだろうと思います。 -- 2017-04-01 (土) 15:23:51
    • あと、アル=ファラゾンがサウロンを捕虜にしたのは、中つ国の彼の王国に対する人質という意図もあったのですが、逆に言えばサウロンに対しては中つ国の彼の王国が人質(妙な真似すると今度こそお前の王国滅ぼすぞ)ということも成り立つので、物理的な拘束は不要だったということも考えられます。 -- 2016-07-11 (月) 23:45:10
  • 仮にも先王の世継ぎを強引に妻にするってどんな手を使ったんだろう。人質でも押さえて脅迫したのか、あるいは軟禁の上で書面を捏造とか? -- 2017-01-22 (日) 00:49:52
    • この頃は王統派が大勢を占めてましたから、普通にクーデターでしょう。 -- 2018-03-01 (木) 08:05:41
    • アル=ファラゾーンは超イケメンで従姉ミーリエルは昔からメロメロだった。という妄想が生まれた -- 2019-01-02 (水) 00:37:28
      • エルサレム王国のシビーユ女王とギー=ド=リュジニャンみたいな関係か。
        王国の滅亡に繋がった結婚という点においては似てなくもないな。 -- 2021-06-19 (土) 18:20:03
  • サウロンに対して、ひとつの指輪をよこせ、あるいは自分のために新しい指輪を作れと要求するような発想はなかったのかな? -- 2017-06-03 (土) 23:42:24
    • wikipediaによるとアル=ファラゾーンは力の指輪の存在自体知らなかったようです。教授の書簡にそう書かれているとか。 -- 2017-06-03 (土) 23:56:02
      • 力の指輪は中つ国の復興のために作られたものなので
        中つ国から収奪しかしていないヌメノール王が知る由もない -- 2021-06-18 (金) 09:03:42
  • サルマンとセオデン王の一件を見るに、アル=ファラゾーンの自我は完全に抑え込まれていて操り人形状態で、サウロンを超える力の持ち主にしか正気に戻せなかったのではない? アマンディルはアマンのエルフの助言で確信を得てアル=ファラゾーンに憑いている悪霊の除霊を懇願するために西に向かったのでは。サウロンの排除ができてサウロンの悪意が明らかになればアマン侵攻も避けられたかもしれない。 -- 2018-03-05 (月) 17:38:51
    • サウロンとアル=ファラゾーンにはマイアールの監視もあったでしょうから、サウロンの力に支配されていたのならヴァラールもその事を周知して、遅くともアマン上陸時には影響を除去していたのではないでしょうか。アマン侵攻はサウロンにそそのかされていたとはいえ基本的にはアル=ファラゾーン自らの決断であり、更には大多数のヌーメノール人の意思だったからこそ、ヴァラールはエルに審判を任せたのでしょう。 -- 2019-12-14 (土) 20:51:24
  • ヌメノールの没落時に、その国力の99%以上は失われただろうに一握りの残党が作った国家は、エルフの助けもあるとはいえ指輪をはめたサウロンの軍と彼自身を撃破した。と考えると、没落前のヌメノールの異常じみた強さがわかる。 -- 2020-09-03 (木) 07:55:10
    • 最後の同盟時にはサウロン自身の力もモルドールの国力も低下してますよ。 -- 2020-09-03 (木) 09:39:00
      • そりゃそうですがそれ以上にヌメノール(ドゥーネダイン)の被害は圧倒的+壊滅的ですからねー。指輪そのものとモルドール本国は無傷なんですし。
        それでも勝てたのはギル=ガラドらエルフの力が残っていたからでもありますが、ヌメノールの力の残滓が文字通り残りカスでありながら、当時の文明を質量ともに圧倒していた証ではないでしょうか。 -- 2021-04-27 (火) 13:16:51
  • もしヌメノールと彼の没落がなかったとしたら、中つ国は更に酷いことになったのかな。
    史上最強最大の軍隊も結構だが、それを支えてるのは中つ国で奴隷のように収奪される人々なんだろうし。
    それに明確にアマンを征服するという目的がない分、更なる領土、更なる収奪という方向に向かうとしか考えづらい。 -- 2021-05-03 (月) 14:27:38
  • 中つ国の兵藤会長 -- 2021-05-03 (月) 22:03:12
    • 福本先生に描かせたらまあそうなるわな -- 2021-06-19 (土) 23:20:10
  • 最も皮肉な形で不死を得た人 -- 2021-06-18 (金) 07:45:41
  • 確かにww。
    ダゴールダゴラスまでなにもできない状態 -- 2021-06-19 (土) 16:41:55
  • いかに当時のヌメノール人の大半が強欲で、サウロンの後ろ楯や使嗾があったとはいえ、落伍者がいた様子もなく未曾有の大軍を神の国に攻め入らせるとは並外れた統率力だと思うんだよね。
    さすがは仮にもヌメノール最盛期を築いた王なだけはある。
    悪に堕ちさえしなかったなら、アラゴルンのような名君になれたかもしれないのに。 -- 2021-06-19 (土) 18:16:26
    • 邪悪な時代の邪悪な暴君だからこそ、それほどの統率力を発揮したのではないかと思います
      彼だけ善良だったとしても、タル=パランティアがそうだったように周囲はついてこず強権は振るえなかった(振るわなかった)でしょうし、彼も周囲も善良だったとしたらそもそも強権を振るう必要(アマン侵攻など)が生じなかったでしょう
      アラゴルンほどの名君でも、黒門進軍には少なからず落伍者が出たことを忘れるべきではないと思います、そしてそれが決して否定的には描かれていないことも -- 2021-06-19 (土) 18:41:05
    • ヌメノールの繁栄のすさまじさは一個人の感傷や良識を超えたレベルだったということ。
      これは節士派ですらあの無敵艦隊を誇りにしていたことからもわかる。
      ヌメノールが没落することはたとえ神の意思であっても許されなかったのだ -- 2021-08-21 (土) 10:26:16
      • 「神の意思」というのはこの場合エルではなくヴァラールを指しているという事でしょうか。 -- 2021-08-21 (土) 18:03:42
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