オーク†
概要†
解説†
星々の時代にメルコール(モルゴス)が自らの奴隷とするために、捕らえたエルフを堕落させて作った存在であるとも、エルフや人間を真似て作り上げた存在であるとも言われる種族。
以来オークはイルーヴァタールの子らの醜いまがい、冥王の主だった奴隷として、自由の民のもっとも忌まわしい敵となった。
(『追補編』によると)オークという言葉はローハン語に由来し、そのまま西方語の言葉として使われるようになった。シンダリンではイルフ、またはグラムホスと呼ばれ、野人にはゴルグーンと呼ばれた。暗黒語ではウルクと呼ばれるが、この語は主に第三紀に現れた大型の兵隊オークを指す。
オークに相当する英語はゴブリンだが、その語は『ホビットの冒険』に多用されているのみで、『指輪物語』などではあまり使われていない。
あの
凶眼 の・黒手の・蟹股 の・薄情の・鉤爪 の・腹黒の・吸血の、モリマイテ=シンカホンダ*4
特徴†
外見†
醜く恐ろしい風貌をしている*5。肌の色は浅黒や黒または土気色。吊り目で、牙や鉤爪を持つ。体格は概して人間やエルフに比べて劣っているが、人間やエルフと遜色のない大柄な者もいる(ウルク=ハイ)。血は赤くなく黒い。
能力†
暗闇を見通す目と、犬のように利く鼻を持つ。大股で独特の走り方をし、大柄な者でも狭い洞窟内部を屈んだ姿勢のまま素早く走れる。体格は他種族に劣るが、力の強さや足の速さは侮れない。
普通の生物と同じように繁殖して数を増やすことができる。寿命の有無は不明瞭だが、暴力的な生涯のために全うすることは滅多にない。
太陽の光を忌み嫌い、その下では疲弊する。
知識は高くなくても知能は決して低くなく、奸智が働き、悪意でもってはかりごとを行う。しかし意志の力は弱いため、不利な状況や相手の覇気に気圧されると恐慌状態に陥ることが多い。ただし執念深さも併せ持っており、敵に対しては執拗に追撃を行って復讐を遂げようとする。
文明・文化†
好戦的で、しょっちゅう争いに身を置いている。農耕や狩猟より略奪を好み、捕らえた捕虜や奴隷に労働を行わせる。機械仕掛けの類を好み、戦争のための兵器や、労働を軽減する装置を編み出すことができる。しかし基本的には独自の文化を持つというより、他種族の文化をオーク流に捻じ曲げて用いることが多い。
オーク特有の武器として弓なりに湾曲した三日月刀と黒い羽根の矢が挙げられる。オークの刃や矢には毒が塗られている場合が多い。強行軍に役立つ強壮酒や、効能の素早い傷薬など彼らなりに優れた技術も持つが、それらは不快であったり傷跡が残ったりと忌まわしいものである。
オークのみでは大きな国家というものは作らず、部族単位で力によって支配された集団を作るが、冥王の意志に隷属しているため、その下では統制された大集団を作る。ただしその中でも小規模な内紛は日常茶飯事のようである。
住居†
洞窟を自分達で拡張した地下都市や、他種族から奪った砦などに住む。ドワーフの住居を奪うこともある。掘削の技能は高く、洞窟に彼らなりの改良を施す。
氏族†
ウルク=ハイは第三紀にモルドールとアイゼンガルドより現れた戦闘用のオークであり、通常のオークよりも大柄で、太陽の光に耐性があった。小型のオークは特にウルクよりスナガ(奴隷)と呼ばれた。
ウルク=ハイのような大柄の兵隊オークがいる一方で、小柄な種族には匂いの追跡に特化した鼻を持つ者がいるなど、役割によっても外見や身体能力が異なるようである。
妖術など何らかの方法で人間と混血した半オークと呼ばれる者たちもいる。
言語†
オーク語は他種族の言葉をオークが借用して捻じ曲げたものであり、方言が数多く、部族が違えばほとんど通じなかった。そのため第三紀には、オークは部族間の意思疎通のために崩れた西方語を用いた。
暗黒語はサウロンがオークをはじめとした配下らの共通語となるように考案したものだが、結局は成功せず、語彙などがオーク語に取り込まれるに留まった。ただしバラド=ドゥールのオークには崩れた暗黒語を話せる者もいた。
偏見†
エルフを憎み、極度に恐れる。他の種族の全て(あるいは自分の種族も)を憎み、蔑んでいる。主人である冥王も憎んでいるが、その力に抗うことができないため、恐れながら付き従う。アイゼンガルドのオークはサルマンに従属している。
ワーグ(狼)とは利害が一致した場合は協力して行動することがある。
歴史†
星々の時代、目覚めたエルフの存在を察知したメルコール(モルゴス)が、ウトゥムノの地下牢深くで生み出した種族だと言われている。
オークの存在がエルフ達に初めて知られたのは星々の時代も末期になってからで、主人が帰還する気配に呼応するように中つ国の東方に出没して自由の民を恐れさせた。太陽の第一紀にモルゴスが中つ国に帰還してからは、アングバンドに君臨するモルゴスの主要な手勢としてベレリアンドのエルフの諸侯や人間(エダイン)の諸族と戦った。怒りの戦いでは、ヴァリノールの軍勢にほとんどが滅ぼされたが、少数が遁れて生き残った。
第二紀以降は、モルゴスの跡を継いだサウロンに支配され、その下で再び数を増やしたが、サウロンが最後の同盟に敗北すると小さな集団ごとにばらばらになる。だが第三紀にサウロンが蘇ると、再び彼の意志の下で働くようになった。
モルドールより送り込まれたオーク達は、廃墟となっていたモリアを占拠し、また霧ふり山脈の山道沿いにいくつも拠点を設けて、リョヴァニオンとエリアドールの通行を妨げた。それらの拠点は2793年から97年にかけてのドワーフとの戦争によってほとんどが滅ぼされた。さらに2941年の五軍の合戦によって、北方に残っていたオークの大部分も殲滅される。
しかし指輪戦争の頃には、モルドールに戻ったサウロンの支配の下で勢いを盛り返しつつあった。一部はサルマンに取り込まれ、アイゼンガルドの手勢としても働いた。
登場するオークの名(ウルクも含む)†
他作品に与えた影響†
名称こそ古英語からの借用だが、「悪の尖兵である悪鬼的な種族」としてのオークはトールキンの創作である。そして後発のファンタジー作品においてもオークという種族が登場することが定番になった。
後発の作品ではオークは豚顔や豚の頭部を持つ人型種族とされていることがあるが、トールキンのオークにそのような設定はない。またトールキンにおいてゴブリンはオークの別名(英語訳)だが、後発の作品では別々の種族として登場することも多い。
映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定†
モリアのオーク、アイゼンガルドのオーク、モルドールのオークはそれぞれ異なるコンセプトの元に、姿が異なるようデザインされている。
モリアでのマザルブルの間のように、知能が低いトロルをオークが利用しているようすも描かれている。
なお、オークの声は子供のゾウアザラシの声を加工している。
登場するオーク(ウルクも含む)†
映画オリジナルのオークは太字で示す。
グッズ†
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原作ではゴブリンの呼称が使われていたが、映画ではグンダバド出身のオークとしてアゾグとその配下などがオークの名で登場。ゴブリン町のゴブリンとは、デザインなどでも差別化が図られている。
五軍の合戦では投石機を運ばせたり、スタンピーなどのように直接操って暴れさせたりするなど、オークがトロルを使役している様子が『ロード・オブ・ザ・リング』よりもさらに描かれている。
一部のシーンを除き、会話には一貫してオーク語を使っている。
登場するオーク(ゴブリンも含む)†
映画オリジナルのオークは太字で示す。
ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定†
敵として多数登場する。ゴブリン、ホブゴブリンとは別の氏族として明確に区別されており、時には対立することもある。
エピッククエストではアゾグ、ボルグの子孫としてマゾグ、Goagarが登場している。
またPvMPではオークの略奪者(Orc Reaver)という攻撃型前衛クラス、オークの冒瀆者(Orc Defiler)という支援型後衛クラスを操作することができる。
コメント†
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