#author("2018-05-07T17:24:51+09:00","","")
#author("2018-05-21T22:03:45+09:00","","")
* ヴァラール [#wb2dc3ac]
#contents
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[種族]]|
|~スペル|Valar((複数形。単数形ヴァラ(Vala)。女性形ヴァリエア(Valier)、女性単数形ヴァリエ(Valie) ))|
|~その他の呼び名|諸力、諸神、力ある者(Powers) &br; アルダの諸力、アルダの諸神(Powers of Arda) &br; 西方の諸王(Lords of the West) &br; ヴァリノールの諸王(Lords of Valinor) &br; 世界の守護神(Guardians of the World) &br; 偉大なる者たち、大いなる者たち(Great Ones) &br; アルダの支配者たち、アルダの統治者(Rulers of Arda) &br; 神々(Gods)|


** 解説 [#Explanation]

[[クウェンヤ]]で''諸力''(Powers)の意。ヴァラールは複数形で、単数形は''ヴァラ''。女性形は''ヴァリエア''(単数形''ヴァリエ'')であり、彼女たちは「ヴァラールの妃(Queens of the Valar)」とも呼ばれる。
[[エア]]が創造されたとき、[[アルダ]]を築き、治める存在としてやってきた[[アイヌア]]。彼らは[[中つ国]]の民には''神々''と解釈されることも多いが、実際にはあくまで唯一神[[イルーヴァタール]]に仕える天使のような存在である。だが、イルーヴァタールがアルダにほとんど介入しなかったこともあり、ヴァラールのほうが(特にイルーヴァタールについての話を直接ヴァラールより聞いたことがない中つ国の民にとっては)身近な存在となっている。

ヴァラールには真の意味では肉体は存在しない。ただアルダの者に接するときなどに都合が良いため、普段は肉体の“姿”を装っている(そのためかれらには肉体的な性別は存在しないが、精神的な性別は存在し、男あるいは女の姿をとることによってそれが示される)((ただし[[メルコール(モルゴス)>モルゴス]]は自分が生み出した邪悪な存在に力を分け与えるうち、やがてこの能力を失って、肉体に縛られるようになった))。
ヴァラールには真の意味では肉体は存在しない。ただアルダの者に接するときなどに都合が良いため、普段は肉体の“姿”を装っている(そのためかれらには肉体的な性別は存在しないが、精神的な性別は存在し、男あるいは女の姿をとることによってそれが示される)((ただし[[メルコール(モルゴス)>モルゴス]]は自分が生み出した邪悪な存在に力を分け与えるうち、やがて自由に姿を装う能力を失って、肉体に縛られるようになった))。

>さてここで、ヴァラールは、地上の形と色を身に着けた。かれらは、かれらが望みをかけている[[イルーヴァタールの子ら]]への愛に引かれてこの世界に引き寄せられたのであるから、イルーヴァタールの示された幻の中でかれらが見たイルーヴァタールの子らの形を真似たのである。ただ、かれらの威厳と燦たる輝きは、イルーヴァタールの子らの及ぶところではなかった。さらに、かれらの形は、世界そのものというより、むしろ、目に見える世界についてかれらが懐いている知識から出たものである。 &br; … しかし、この偉大なる者たちが装う姿は、必ずしもイルーヴァタールの子らの王たち、王妃たちの姿に似ているわけではない。なぜなら、時にはかれらは、自分たちの考えるあるものに合わせて身を包み、威厳ある恐ろしい姿をとって現われることもあるからである。((『[[シルマリルの物語]]』「[[アイヌリンダレ]]」))

*** ヴァラールの一覧 [#ib97e39d]

- ヴァラール(単数形ヴァラ)
-- 風の王[[マンウェ・スーリモ>マンウェ]]
-- 水の王[[ウルモ]]
-- 工人[[アウレ]]
-- 狩人[[オロメ]]
-- 運命の司[[ナーモ(マンドス)>マンドス]]
-- 夢の司[[イルモ(ローリエン)>イルモ]]
-- 強者[[トゥルカス]]

- ヴァリエア(単数形ヴァリエ)
-- 星々の女王[[ヴァルダ・エレンターリ(エルベレス)>エルベレス]]
-- 大地の女王[[ヤヴァンナ・ケメンターリ>ヤヴァンナ]]
-- 嘆きの[[ニエンナ]]
-- 癒し手[[エステ]]
-- 織姫[[ヴァイレ]]
-- 常若の[[ヴァーナ]]
-- 踊り手[[ネッサ]]

[[マンウェ]]がヴァラール(ヴァリエア)の指導者であり、また全[[アルダ]]の長上王であった。
とはいえヴァラールはアルダを知悉する者としていずれも同格にあり(後述のアラタールにおいては特にそうであった)、アルダと[[自由の民]]の命運にかかわる重要な案件は[[審判の輪]]に集い、合議によって決定された。

[[冥王]][[メルコール(モルゴス)>メルコール]]もかつてはヴァラールの一員であったが、度重なる叛逆によってその座を追われ、もはやヴァラールの一人には数えられない。
[[冥王]][[メルコール(モルゴス)>モルゴス]]もかつてはヴァラールの一員であったが、度重なる叛逆によってその座を追われ、もはやヴァラールの一人には数えられない。

*** アラタール [#Aratar]

ヴァラールのうち、特に偉大な者たちは''アラタール''(Aratar)(([[クウェンヤ]]で「いと高き者たち(the Exalted)」の意))、すなわち「アルダのいと高き者たち(the High Ones of Arda)」と呼ばれる。
これには[[マンウェ]]、[[ヴァルダ>エルベレス]]、[[ウルモ]]、[[ヤヴァンナ]]、[[アウレ]]、[[ナーモ]]、[[ニエンナ]]、[[オロメ]]の八人が含まれる。

こちらも元々は[[メルコール]]を含めて九人だったが、彼はアラタールから除外された。
こちらも元々は[[メルコール]]を含めて九人だったが、叛逆によって除外された。

** アルダの諸力 [#se9a45b1]

*** ヴァラールによるアルダの形成と、中つ国からの撤退 [#e02b7b6b]

[[アイヌアの音楽>アイヌリンダレ]]を奏でた後、[[エア]]に下った[[アイヌア]]の中で、特に主導的な役割を果たしたのがヴァラールであり、中でも[[アルダ]]の形成において中心的な役割を担ったのが[[マンウェ]]、[[ウルモ]]、[[アウレ]]であった。ヴァラールは彼らの下に[[マイアール]]を集めてアルダの形成を進めていったが、[[メルコール]]とその下に集まった悪霊達による絶えざる妨害に遭った。そのため、ヴァラールによるアルダ建造の計画は、常に変更と挫折を余儀なくされた。とはいえ、[[トゥルカス]]によってメルコールが一旦放逐されると、ヴァラールはアルダの形成を成し遂げた。

アルダが形を成すと、ヴァラールは世界を照らす光として[[二つの灯火]]を築き、[[中つ国]]の[[アルマレン]]に住まった([[灯火の時代]])。しかし虚空から舞い戻ったメルコールによって二つの灯火が破壊されると、これ以上アルダが傷を被ることを恐れたヴァラールは西の果てにある[[アマン]]へ撤退する。
この時にメルコールが招いた騒乱と破壊のため、ヴァラールが元々抱いていたアルダの構想は二度と実現不可能となった。

*** [[二つの木の時代]]におけるヴァラール [#u7e0a3dd]

[[アマン]]へ撤退したヴァラールはそこに[[ヴァリノール]]を築き、防壁として[[ペローリ]]の山脈を積み上げた。[[ヤヴァンナ]]は新たにヴァリノールを照らす光として[[二つの木]]を生み出す。
[[ヴァルダ]]が[[テルペリオン]]の雫から星々を作ると、中つ国の[[クイヴィエーネン]]で[[エルフ]]が誕生する。[[オロメ]]は[[中つ国]]に遠征した際、クイヴィエーネンでエルフを発見し、彼らが[[メルコール]]の暗闇に脅かされているとの報をヴァラールにもたらした。そのためヴァラールはエルフを救い出すため、軍勢と共に進撃してメルコールを打ち破り、捕囚としてアマンへ連行し三紀の間幽閉することを決める([[力の戦い]])。

メルコールの脅威が取り除かれると、ヴァラールはエルフをアマンへ連れてこようとしたが、全てのエルフがそれに応じたわけではなかった(詳細は[[エルフ]]の項目を参照)。
アマンに渡った[[上のエルフ]]は、その地で直接二つの木の光とヴァラールの教えを受け、大いに才能を開花させた。一方でヴァラールは、[[中つ国]]に残ることを選んだ[[エルフ]]や、その他の中つ国の住人に対しては、なるべく介入しない方針をとっていた(オロメや[[ウルモ]]、[[ヤヴァンナ]]といったごく一部のヴァラだけが、[[上古]]にもたびたび中つ国を訪れた)。

しかし三紀の刑期を終えて釈放されたメルコールは、エルフの間に不和を撒いてヴァラールから引きはがそうと目論み、その悪意が露呈すると二つの木を枯死させてヴァリノールに暗闇をもたらす。[[シルマリル]]を奪われた[[フェアノール]]はメルコールを[[モルゴス]]と呼んで追跡を誓い、[[ノルドール]]族を扇動して[[中つ国]]へ帰還した。
ヴァラールは当初、ノルドール族の造反を黙認したが、かれらが[[同族殺害]]を犯すに及んでついに怒り、[[マンドス]]によって[[ヴァラールの宣告>マンドスの呪い]]が下される。ヴァラールは[[ヴァリノール隠し>ヌアタレ・ヴァリノーレヴァ]]によってアマンと中つ国の往来を遮断し、中つ国においてモルゴスを敵として戦う者達に救いの手が差し伸べられることはほとんどなかった。

*** [[月と太陽の創造>ナルシリオン]]と[[第一紀]] [#v3ec7fd6]

しかし、ヴァラールは完全に[[中つ国]]を見棄てたわけではなく、[[ヤヴァンナ]]の歌と[[ニエンナ]]の涙によって生じた[[二つの木]]の最後の花と果実から、ヴァラールはそれぞれ[[月]]と[[太陽]]を築き、新たに中つ国を照らす光として送り出した。また、[[ウルモ]]は[[マンドスの宣告>マンドスの呪い]]に抗い、中つ国の民へさまざまな助力を行った。
[[第一紀]]末に[[エアレンディル>エアレンディル(トゥオルの息子)]]が[[アマン]]への航海を達成し、モルゴスと戦う中つ国の民への救助と憐れみを乞うと、ヴァラールはそれを聞き入れ、三度目となる[[ヴァリノール]]の軍勢を派遣して[[アングバンド]]を攻撃し、モルゴスを打ち破って捕らえ、[[虚空]]へと放逐した([[怒りの戦い]])。

[[マンドスの呪い]]は停止され、[[エルフ]]には再び[[アマン]]へ渡ることが許されるようになる。

*** [[第二紀]]のヌーメノールの創造と破壊 [#m700592f]

ヴァラールは、[[人間]]の中で唯一モルゴスを敵として戦った[[エダイン]]に報いるため、海底から[[ヌーメノール]]の島を持ち上げてエダインに与えた。[[ヌーメノール人]]はヴァラールから与えられた恩寵によって、[[中つ国]]の人間を遥かに凌駕する技量と寿命を持つにいたる。しかしヴァラールは、かれらが人間には許されない“不死”を望むようになるのを防ぐため、かれらにものが朽ちることのない[[西方(アマン)>アマン]]へ渡航することを禁じた([[ヴァラールの禁]])。
にも関わらず、ヌーメノール人の心には次第に影が忍び寄り、かれらは自分達には許されていない“不死”を妬むようになる。堕落したヌーメノール人は[[エルフ]]やヴァラールを敵視するようになり、とうとう[[サウロン]]に誑かされて、力ずくで不死を奪うために[[アマン]]へ進軍してくるにおよび、ヴァラールはアルダの統治権を一時返上して[[イルーヴァタール]]の裁きを求めた。

結果イルーヴァタールによってヌーメノールは沈められ、それにとどまらずアルダの構造は大変革を被って球形に作り替えられた。アマンは人間には到達できない[[世界の圏外>世界の圏]]に取りのかれたが、このためにヴァラールの中つ国に対する影響力はさらに減少することになった。

*** [[第三紀]]以降のヴァラールと中つ国 [#a3627845]

ヴァラールは、[[第三紀]]以降の[[中つ国]]の歴史には、ほとんど、あるいはまったく関わっていないと考えられている。だが[[サウロン]]と戦う中つ国の住民を助けるため、[[イスタリ]]を送り出した。

>君、幾許か知らむ アマンの地に 西方の諸王の 密かに集いたるを。 … &br; 嘗てありし西方より 微睡む人の耳へ 風はそを伝えけむ、 夜の影蔽える &br; 静寂に、 便りをもたらす 忘れられし地 また、過ぎ去りし時より &br; 数多の歳月を越え 尋ぬる想いに応う。 &br; 長上王は 全て忘れたるに非らず。 彼見給いけむ サウロンこそ禍の種なれ、と……((『[[終わらざりし物語]]』「イスタリ」))
>君、幾許か知らむ アマンの地に 西方の諸王の 密かに集いたるを。 …
嘗てありし西方より 微睡む人の耳へ 風はそを伝えけむ、 夜の影蔽える
静寂に、 便りをもたらす 忘れられし地 また、過ぎ去りし時より
数多の歳月を越え 尋ぬる想いに応う。
長上王は 全て忘れたるに非らず。 彼見給いけむ サウロンこそ禍の種なれ、と……((『[[終わらざりし物語]]』「イスタリ」))

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