* &ruby(おど){躍};る&ruby(こうまてい){小馬亭}; [#p4f70707]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[地名]]|
|~スペル|Prancing Pony|

** 解説 [#Explanation]

[[ブリー郷]]の[[ブリー村]]にある古旅籠。数えられないほどの昔から代々バタバー一家によって経営されてきた宿屋で、[[喫煙>パイプ草]]の習慣もここから始まったという。[[指輪戦争]]の時代には[[バーリマン・バタバー]]が亭主で、彼の下で[[ボブ]]や[[ノブ]]が働いていた。
[[緑道]]と[[東街道]]の交点に位置するため、[[ブリー郷]]の[[人間]]や[[ホビット]]だけでなく、街道を旅する[[ドワーフ]]や[[アルノール]]の[[野伏]]、さらには[[魔法使い]][[ガンダルフ]]や[[トム・ボンバディル]]といった存在までもが立ち寄る稀有な場所だった。だが夜ごと小馬亭の集会所でかれらと寄り合うブリー郷の住人にとっては日常の風景であり、さして意識されていなかった。

宿は丘を背にして[[街道>東街道]]に面して立っており、建物の両翼部の間に大きなアーチが開き、厩のある中庭に通じている。入口はアーチの左側の石段の上にある。[[人間]]と[[ホビット]]が共存する[[ブリー郷]]の環境に合わせてホビット専用の部屋もあり、この部屋のある小馬亭の奥側は背後の丘が次第にせり上がってきているため、地面がホビット用の丸窓の下すぐにまで迫っている。

『[[指輪物語]]』では[[裂け谷]]に向かう[[フロド・バギンズ]]達が、[[トム・ボンバディル]]の勧めによってここに立ち寄り、[[馳夫]]に出会うこととなる。この時、[[ホビット庄]]の話を始めて調子に乗った[[ペレグリン・トゥック]]が「バギンズ」の名を出すのを防ぐため、フロドはその場に飛び込み、歌を歌ってごまかそうとしたが、その時に乗っていたテーブルから転げ落ち、「偶然」[[一つの指輪]]が指にはまってしまい、フロドの姿が消えて騒ぎとなる。結果、おそらく[[しだ家のビル]]の密告によって、フロドの居場所が[[黒の乗手>ナズグール]]に知られてしまった。
この晩、バーリマン・バタバーが[[ガンダルフ]]より受け取っていたが、[[ホビット庄]]へ送るのをすっかり忘れていた手紙をフロドは受け散る。さらに躍る小馬亭は黒の乗手の襲撃を受けたが、馳夫の忠告に従って部屋を変えていたフロド達は皆無事だった。だが、黒の乗手達によって厩につながれていた馬がすべて逃がされてしまったため、宿泊客や亭主のバタバーは大損害を被った。預かっていた馬を管理する立場だったバタバーは損害の補塡に、[[メリー>メリアドク・ブランディバック]]など馬を失った客に金を支払ったが、ほとんどの馬はその後戻ってきたため、実際にはバタバーは格安で馬を手に入れた形となった。

またフロド達は[[ホビット庄]]への帰りの旅の道中にも、[[ガンダルフ]]と共に再び立ち寄り、彼らはバタバーに自分たちの旅のことを聞かせたが、その内容はバタバーの想像力の限界を超えており、[[馳夫]]が王になったということも最後に直接説明されてやっと気がついたという状態だった。またその頃ブリー村は(おそらく[[シャーキー>サルマン]]の手先の影響で)治安が悪化していたため宿は不況だったが、約1年前に騒ぎを起こして旅立っていったフロドたちが戻ってきたという噂を聞きつけ、人が集まってきた。

[[追補編]]によると[[第三紀]]2931年3月15日に、この宿で旅の途中に立ち寄った[[トーリン二世]]と、[[ホビット庄]]で休もうと思っていた[[ガンダルフ]]が偶然出会い、[[はなれ山]]への遠征(『[[ホビットの冒険]]』)が計画される切っ掛けになったという。『[[終わらざりし物語]]』ではさらに詳しい、トーリンとガンダルフの話の経緯が書かれている。

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

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フロドたちがホビット庄から外界へと抜け出て、ホビットと人間が混在する混沌とした場所に入り込んだことなどを示すため、最初から不穏な空気を強調した演出になっている。
フロドとバタバーのやりとりはほぼカットされており、ガンダルフの手紙や、馬がいなくなった話もなく、フロドたちが帰郷時に立ち寄る場面も出てこない。
ピピンが口を滑らすのを防ぐため、フロドが歌を歌ってごまかそうとするシーンもない。原作と異なり、フロドが本名を隠していることなどの状況をよく知らないままついてくることになった[[ペレグリン・トゥック]]と[[メリアドク・ブランディバック]]が、そのままフロドを紹介しようとして、あわてて止めに行こうとしたフロドが転んだ拍子に[[一つの指輪]]が指にはまって姿が消えてしまい、騒ぎとなる。その直後再び姿を現したフロドが馳夫にいきなりつかまって部屋に連れて行かれるという展開となっている。また黒の乗手は、フロドが指輪をはめたことを直接感じ取ったように描かれており、宿に侵入した黒の乗手におびえてバタバーが隠れている場面がある。

** 映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#Hobbitmovie]

原作小説『[[ホビットの冒険]]』ではこの宿や[[ブリー郷]]、[[ブリー村]]についての言及はないが、『[[指輪物語]]』[[追補編]]にある記述を元に、第二部『竜に奪われた王国』冒頭で、[[トーリン二世]]と[[ガンダルフ]]がこの宿で出会う回想場面が描かれている。当時の亭主はバーリマンの父(Butterbur Snr)で、トーリンの注文に応じたウェイトレスはバーリマンの母のベッツィ・バタバー(Betsy Butterbur)という設定。また店内でトーリンのことを睨んでいたごろつきのひとりは、[[しだ家のビル]]の父(Bill Ferny Snr)という設定になっている。

そこではトーリンは、行方不明になっている父[[スライン二世]]が[[褐色人の国]]((日本語字幕版や吹き替え版では“焦茶の国”と訳されている))の近くにいたという噂を聞いて探しに行き、発見できずに戻ってきた途中という設定になっている。[[エクステンデッド・エディション]]では、さらにトーリンとガンダルフの会話シーンが長くなっており、スラインについて語っている。

** コメント [#Comment]

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