-ローハンの王センゲルの妻でセオデンの母、セオドレド、エオメル、エオウィンの祖母にあたるモルウェン(Morwen)については[[モルウェン(センゲルの妻)]]を参照してください。
#author("2023-08-02T23:45:13+09:00;2020-05-05T11:50:49+09:00","","")
-ローハンの王センゲルの妻であるロッサールナハのモルウェン(Morwen of Lossarnach)については[[モルウェン(センゲルの妻)]]を参照してください。
-ゴンドールの執政オロドレスの姉妹であるモルウェン(Morwen)については[[モルウェン(オロドレスの姉妹)]]を参照してください。
-映画『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』オリジナルの登場人物モルウェン(Morwen)については、[[モルウェン(エオサインの母)]]を参照してください。
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* モルウェン [#f748d541]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Morwen|
|~その他の呼び名|エレズウェン(Eledhwen)、ドル=ローミンの奥方(Lady of Dor-lómin)|
|~その他の呼び名|モルウェン・エレズウェン(Morwen Eledhwen) &br; ドル=ローミンの奥方(Lady of Dor-lómin )&br; 魔女(Witchwife)|
|~種族|[[人間]]([[エダイン]])|
|~性別|女|
|~生没年|[[第一紀]]|
|~生没年|[[第一紀]](443)~(501)年(享年58)|
|~親|[[バラグンド]](父)|
|~兄弟||
|~配偶者|[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]|
|~子|[[トゥーリン]](息子)、[[ラライス]]、[[ニエノール]](娘)|

** 解説 [#Explanation]

[[ベオル家]]の[[バラグンド]]の娘。[[ハドル家]]の族長[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]の妻で、[[トゥーリン]]、[[ラライス]]、[[ニエノール]]の母。[[リーアン]]の従姉妹。
その美貌から「エルフの輝き」の意である''エレズウェン''と称され、上古の世の[[人間]]の女の中で最も美しかったと言われている。
[[ベオル家]]の[[バラグンド]]の娘。[[ハドル家]]の族長[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]の妻で、[[トゥーリン]]、[[ラライス]]、[[ニエノール]]の母。[[リーアン]]の従姉。
その美貌から[[シンダリン]]で「エルフの輝き(Elf-sheen)」の意である''エレズウェン''と称され、古の[[人間]]の女の中で最も美しかったと言われている。

>モルウェンは黒髪で丈高く、そのきらめく眼差しと美しい顔立ちのゆえに、人々はエレズウェン、すなわちエルフの美と呼んだ。ただしかの女にはいくぶん厳格な気質と尊大なところがあった。ベオル家にふりかかった苦難の歴史がかの女の心を暗いものにしていた。((『[[終わらざりし物語]]』「[[ナルン・イ・ヒーン・フーリン]]」))

*** ドル=ローミンの奥方 [#ze5e8753]

[[ダゴール・ブラゴルラハ]]で[[ドルソニオン]]の[[ベオルの族]]が追い散らされた時、[[エメルディア]]に指揮されて[[リーアン]]らと共に[[ドル=ローミン]]に逃げ延びる。
その地で[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]と結婚し、やがて[[トゥーリン]]と[[ラライス]]を産んだ。だがラライスは三歳の時に疫病で死に、夫フーリンは[[ニアナイス・アルノイディアド]]に出陣したまま行方知れずになった。
[[ダゴール・ブラゴッラハ]]で[[ドルソニオン]]の[[ベオルの族]]が追い散らされた時、[[エメルディル]]に指揮されて[[リーアン]]らと共に[[ドル=ローミン]]に逃げ延びる。
その地で[[ハドル家]]の[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]と結婚し、やがて[[トゥーリン]]と[[ラライス]]を産んだ。だがラライスは三歳の時に[[悪しき吐息]]で病死し、夫フーリンは[[ニルナエス・アルノエディアド]]に出陣したまま行方知れずになった。

ニアナイスの後、[[ヒスルム]]には[[東夷]]がやってきて[[ハドルの族]]の生き残りは迫害されるようになるが、モルウェンはその威厳と美しさから東夷に恐れられ、手出しされなかった。しかし彼女らの生活は貧しく、東夷の[[ブロッダ]]の妻になっていた[[アイリン]]に援助されながら暮らしていた。
ニルナエスの後、[[ヒスルム]]にやってきた[[東夷]]によって[[ハドルの族]]の生き残りは迫害され、奴隷にされたが、モルウェンは東夷から[[エルフ]]と通じる魔女と噂されて恐れられ、直接の手出しはされなかった。しかし彼女らの生活は貧しく、東夷の[[ブロッダ]]の妻になっていた[[アエリン]]に援助されながら暮らしていた。
他の子供のように、トゥーリンも東夷の奴隷として奪い去られることを恐れたモルウェンは、庇護を求めて彼を[[ドリアス]]に送り出す。その後、フーリンとの間に身篭っていた[[ニエノール]]を出産した。

[[シンゴル]]はモルウェンとニエノールもドリアスに移住するよう勧めたが、モルウェンはフーリンと暮らした家を去ることを望まず、代わりに[[ハドル家]]の家宝である[[龍の兜]]を迎えの使者に預けて送り返した。とはいえはじめの内はドル=ローミンとドリアスの間を足しげく使者が行き来し、母娘と息子の近況を互いに伝え合った。
[[シンゴル]]はモルウェンとニエノールもドリアスに移住するよう勧めたが、モルウェンはフーリンと暮らした家を去ることを望まず、代わりにハドル家の家宝である[[龍の兜]]を迎えの使者に預けて送り返した。とはいえはじめの内はドル=ローミンとドリアスの間を足しげく使者が行き来し、母娘と息子の近況を互いに伝え合った。
だがそれも北方の情勢が悪化したことで途絶えるようになる。

*** トゥーリンを探しての放浪 [#h706e569]

その後情勢がいくらか好転したことで、モルウェンは成長したニエノールと共に[[ドリアス]]に逃れることができた。だがその時すでに[[トゥーリン]]はドリアスを出奔し行方知れずになっていた。実は北方の情勢が好転したのは[[ナルゴスロンド]]の[[モルメギル]]となったトゥーリンの活躍によるのだが、そのことは後になるまでドリアスでは知られなかったのである。
モルウェンとニエノールは、そのまま[[シンゴル]]と[[メリアン]]の客となってドリアスに留まっていたが、やがて滅亡したナルゴスロンドを逃れてきた遺民の口から、モルメギルこそトゥーリンであったことが明らかとなる。
その後情勢がいくらか好転したことで、モルウェンは成長した[[ニエノール]]と共に[[ドリアス]]に逃れることができた。だがその時すでに[[トゥーリン]]はドリアスを出奔し行方知れずになっていた。実は北方の情勢が好転したのはモルメギルの名で[[ナルゴスロンド]]の大将となっていたトゥーリンの活躍によるのだが、そのことは後になるまでドリアスでは知られなかったのである。
モルウェンとニエノールは、そのまま[[シンゴル]]と[[メリアン]]の客となってドリアスに留まっていた。だが、やがてモルゴスの軍の襲撃によって滅亡したナルゴスロンドを逃れた遺民の口から、モルメギルこそトゥーリンであったことが明らかとなる。

するとモルウェンは物狂いのようになってシンゴルとメリアンの制止を振りきり、トゥーリンを探しに出奔。彼女を連れ戻すため[[マブルング>マブルング(ドリアス)]]らの一行が派遣されたが、その中には兵士に変装したニエノールもいた。モルウェンもニエノールもあくまで考えを変えようとせず、説得を諦めた一行は消息を求めてそのままナルゴスロンドへ向かった。
だがナルゴスロンドの廃墟に巣食う[[グラウルング]]は一行の接近を察知しており、一行は[[アモン・エシア]]でグラウルングの襲撃を受けてちりぢりとなる。
するとモルウェンは物狂いのようになって、シンゴルとメリアンの制止を振りきり、トゥーリンを探しに出奔。彼女を連れ戻すため[[マブルング>マブルング(ドリアス)]]らの護衛が派遣されたが、その中には兵士に変装したニエノールもいた。モルウェンもニエノールもあくまでトゥーリンを捜すという考えを変えようとせず、説得を諦めたマブルング一行は、トゥーリンの消息を求めてそのままナルゴスロンドへ向かった。
だがナルゴスロンドの廃墟に巣食う[[グラウルング]]は一行の接近を察知しており、一行は[[アモン・エシル]]でグラウルングの襲撃を受けてちりぢりとなる。

モルウェンも行方不明となり、以後その消息はドリアスにも全く伝わらなかった。だが、物狂いとなった彼女はその後もずっと荒野を放浪していたのだった。
モルウェンも行方不明となり、以後その消息はドリアスにも全く伝わらなかった。だが、物狂いとなった彼女はその後もずっと荒野を放浪していた。

*** 再会と死 [#h95a594d]

>[[石>不運なる者たちの墓石]]の蔭に婦人が一人、膝を抱えるように背を屈めて坐っていた。[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]が無言のまま傍らに立つと、かの女はぼろぼろの頭巾をずらして面を上げた。白髪の老女であったが、その目は突然、かれの目をまっすぐに見た。そしてかれには、かの女が分かった。なぜなら、その二つの目には狂気じみた光と恐怖の色が湛えられていたが、遠い昔、かの女に、古の人間の女の中で最も誇り高く、最も美しいエレズウェンの名を得さしめた眼の光が、今もそこにきらめいていたからである。((『[[シルマリルの物語]]』「[[クウェンタ・シルマリルリオン]]第二十二章 ドリアスの滅亡のこと」))
>[[石>不運なる者たちの墓石]]の蔭に婦人が一人、膝を抱えるように背を&ruby(こご){屈};めて坐っていた。[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]が無言のまま&ruby(かたわ){傍};らに立つと、かの女はぼろぼろの頭巾をずらして&ruby(おもて){面};を上げた。白髪の老女であったが、その目は突然、かれの目をまっすぐに見た。そしてかれには、かの女が分かった。なぜなら、その二つの目には狂気じみた光と恐怖の色が&ruby(たた){湛};えられていたが、遠い昔、かの女に、&ruby(いにしえ){古};の人間の女の中で最も誇り高く、最も美しいエレズウェンの名を得さしめた&ruby(まなこ){眼};の光が、今もそこにきらめいていたからである。((『[[シルマリルの物語]]』「[[クウェンタ・シルマリッリオン]]第二十二章 ドリアスの滅亡のこと」))

最後に[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]が[[アングバンド]]より釈放され、[[トゥーリン]]と[[ニエノール]]の墓石が築かれた[[カベド・ナイラマルス]]に辿り着いた時、そこにモルウェンがいた。二人は[[不運なる者たちの墓石]]の前で再会したが、モルウェンは子供たちがどのように再会したかは知らず、フーリンもあえてそれを語らなかった。フーリンが看取る中、日没とともにモルウェンは死んだ。
[[フーリン>フーリン(ガルドールの息子)]]が[[アングバンド]]より釈放され、[[トゥーリン]]と[[ニエノール]]の墓石([[不運なる者たちの墓石]])が築かれた[[カベド・ナエルアマルス]]に辿り着いた時、そこにモルウェンがいた。二人は墓石の前で再会したが、モルウェンは子供たちがどのように再会したかは知らず、フーリンもあえてそれを語らなかった。フーリンが看取る中、日没とともにモルウェンは死に、遺体はフーリンによって墓石の西側に葬られ、墓石にモルウェンの名が付け足された。

彼女はフーリンによって、トゥーリンとニエノールの墓の西側に葬られ、[[墓石>不運なる者たちの墓石]]にモルウェンの名が付け足された。カベド・ナイラマルスは[[ベレリアンド]]の崩壊の後も海上に残され、[[トル・モルウェン]]という島になったという。
カベド・ナエルアマルスは[[ベレリアンド]]の崩壊の後も海上に残され、[[トル・モルウェン]]という島になったという。

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