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* ゴクリ [#ncb25332]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Gollum|
|~異訳|ゴラム|
|~その他の呼び名|スメアゴル(Sméagol)、こそつき(Slinker)、くさいの(Stinker)|
|~種族|元来[[ホビット]]([[ストゥア]])|
|~性別|男|
|~生没年|[[第三紀]]2440?~†3019|
|~生没年|[[第三紀]]2440年?~†3019年3月25日|
|~親|不明|
|~兄弟|不明|
|~配偶者|なし|
|~子|なし|

** 解説 [#Explanation]

''ゴクリ''((原語の‘Gollum’は彼が喉を鳴らす音をあらわした擬音語で、[[トールキン]]の造語。邦訳の「ゴクリ」は、それを日本語的に表現(意訳)したもの。))とはいつも喉を鳴らしていることに由来する通称で、本名は''スメアゴル''(([[あやめ野]]近辺の[[人間]]の言葉で「穴を掘る」(burrowing)、「這うように穴に入る」(worming in)を意味する名前'''Trahald'''を、[[トールキン]]が[[古英語]]で「翻訳」したもの))。スメアゴルの名は、時に彼本来の(善良な)性質を表す時に、ゴクリとは分けて使われることもある。[[サムワイズ・ギャムジー]]は「スメアゴル」のほうを''こそつき''、「ゴクリ」のほうを''くさいの''と呼んで区別した。
がりがりに瘦せて老いているが、生命力だけはぎらぎらしている哀れな生き物として描写されている。

「sss...」と摩擦音を強調した喋り方をし、これは[[邦訳>瀬田貞二]]ではハ行がサ行に置き換わった口調として翻訳されている(例、いとしいひと→[[いとしいしと]])。また孤独な生活のため、いつも自分自身に語りかけるような喋り方をし、自分のことを半ば[[指輪>一つの指輪]]と同一視して一人称には「わしら(we)」を使用する。ただしこれらの特徴は、前述の「スメアゴル」の人格が優位な時にはなりをひそめることがあった。
全身がぬらぬらしたものに覆われた黒っぽい小さな生き物で、手足には水かきがあり、カエルやイモリのように岩壁に垂直に張り付くことができる。飛び出てうるんだ目は普段は青色をしているが、怒りなどで感情が高ぶると緑の炎が灯ったように見える。
生の魚を特に好んで食べる。しかし食べられるものなら何でも喜んで食べるようで、虫や小動物はおろか、[[オーク]]や[[ホビット]]までも餌食にしようとする。[[太陽]]のことを「黄色い顔」、[[月]]のことを「白い顔」と呼んで忌み嫌い、昼も夜も光を避けて行動するのが常であった。

一見弱々しい外見とは裏腹に、油断のならない危険な存在であり、獲物に忍び寄っては強い力で首を絞め上げ、息の根を止めることを得意とする。
性質は険悪で、生き延びるためなら罪を犯すことにも誓いを破ることにも良心の呵責を感じない。特に「''[[いとしいしと]]''」([[一つの指輪]])にまつわることには恐るべき執念と意志の力を発揮する。また、[[レンバス]]や[[ヒスライン]]のロープなど、[[エルフ]]にまつわるものには強い拒否反応を示す。
その一方で、かつての善良だった頃の性質を完全に失ってしまったわけではない。

*** 生い立ち [#zf4cdf14]

>「わしには悲しい話に思える。」と、魔法使はいいました。「そういったことは、他の者にだって起こりえたじゃろうよ。わしの知り合いのホビットたちにだって、な。」((『[[指輪物語]] [[旅の仲間]]』「過去の影」))

スメアゴルは、[[アンドゥイン]]上流の[[あやめ野]]の近くに住んでいた[[ストゥア]]族に近縁の[[ホビット]]であった。
[[第三紀]]2463年頃、親族で友人である[[デアゴル]]と釣りにでかけ、そこでデアゴルが川底から[[一つの指輪]]を発見する。するとスメアゴルは直ちに指輪の魔力に捉えられ、その金の指輪を「誕生日の贈り物」として自分に渡すよう要求。断られると、デアゴルを絞め殺して指輪を奪い、死体を隠した。

ほどなくしてスメアゴルは、その指輪をはめると自分の姿が見えなくなることに気付き、元来の詮索好きの気質を増長させてその力を悪用して親類の秘密を嗅ぎまわるようになる。そのため一族から忌み嫌われるようになり、いつも喉を鳴らすようになったためゴクリと呼ばれるようになる。やがてとうとう、族長であった祖母から集落を追放された。
同族から追われたゴクリは、やがて太陽の光から逃れるためと「根源にあるでっかい秘密」を求めて2470年頃、[[霧ふり山脈]]の地下に潜入し、地底湖を見つけ出してそこに棲み着いた。
ほどなくして、その指輪をはめると自分の姿が見えなくなることに気付くと、元来の詮索好きの気質を増長させて仲間の秘密を嗅ぎ回るようになる。そのため一族から忌み嫌われ、いつも喉を鳴らすようになった様子から''ゴクリ''と呼ばれるようになった。やがてとうとう、族長であった祖母に集落から追放された。
同族から追われたゴクリは、やがて[[太陽]]の光から逃れるためと「根源にあるでっかい秘密」を求めて2470年頃、[[霧ふり山脈]]の地下に潜入し、地底湖を見つけてそこに棲み着いた。

すでに精神の大部分を指輪の魔力に冒されていたゴクリは、それ以上新たなことを行う気力がもはや残っておらず、地底湖に棲息する目のない魚を捕らえて食べては、実に600年近くもの歳月を暗闇の中で生き続けた。やがて洞窟の上方に[[ゴブリン町]]が築かれ、[[オーク]]などが迷い込んでくるようになると、それすらも襲って食べるようになる。
彼は孤独と良心の呵責から絶えず自分自身と指輪に向かって話しかけるようになり、指輪を手に入れた一件についても自分の誕生日にデアゴルから贈られるべき物であったという噓の話をでっち上げ、やがては自分の誕生日に贈られた物であると信じ込むようになった。
すでに精神の大部分を指輪の魔力に冒されていたゴクリは、それ以上新たなことを行う気力が残っておらず、地底湖に棲息する目のない魚を捕らえて食べては、実に600年近くもの歳月を暗闇の中で生き続けた。やがて洞窟の上方に[[ゴブリン町]]が築かれ、[[オーク]]などが迷い込んでくるようになると、それすらも襲って食べるようになる。
彼は孤独と良心の呵責から絶えず自分自身と指輪に向かって話しかけるようになり、指輪を手に入れた一件についても「誕生日の贈り物」として祖母がくれたのだという嘘の話をでっち上げ、自分でもそれを信じ込むようになった。

*** 『[[ホビットの冒険]]』でのゴクリ [#o27877e6]

>深い地のおくの、この暗い水のほとりに、年よりのゴクリというものが住んでいました。これがどこから来たのか、だれなのか、どんなやつなのか、なにもわかりません。それはただ、ゴクリでした。二つの丸くて青い大目玉をのぞけば全身くらやみのようにまっ黒でした。((『[[ホビットの冒険]]』「くらやみでなぞなぞ問答」))

2941年、[[はなれ山]]に向かう途中に[[霧ふり山脈]]の洞窟へ迷い込んだ[[ビルボ・バギンズ]]が地底湖にて、ゴクリと遭遇する。
ゴクリはビルボの持つ[[エルフの短剣>つらぬき丸]]を恐れたのと、その前に[[ゴブリン]]の子供を捕食してそれほど空腹ではなかったために、彼に話しかけ、成り行きから[[なぞなぞ遊び]]で勝負をしてゴクリが勝ったらビルボを食べ、ビルボが勝ったらゴクリが彼を洞窟の出口まで案内するということになった。
2941年、[[ゴブリン町]]から逃げ出して地底湖へ迷い込んだ[[ビルボ・バギンズ]]が、ゴクリと遭遇する。
ゴクリはビルボの持つ[[エルフの短剣>つらぬき丸]]を恐れたのと、その前に[[ゴブリン]]の子供を捕食してそれほど空腹ではなかったために、彼に話しかけ、成り行きから[[なぞなぞ遊び]]でゴクリが勝ったらビルボを食べ、ビルボが勝ったらゴクリが彼を洞窟の出口まで案内するということになった。
ビルボとなぞなぞ遊びをする内に、かつてホビットであった頃の記憶が蘇ってきたゴクリはイライラを募らせ、最終的に勝負に負けてしまったことでその怒りは頂点に達する。ゴクリはビルボを裏切って彼を食おうとするが、その時になって自分が[[指輪>一つの指輪]]を失くしてしまったことに気付く。

半狂乱の末、ビルボがそれを手に入れた可能性に思い至ったゴクリはいよいよ怒り狂い、逃げたビルボを追跡して洞窟の出口へ向かうが、その後ろを、偶然指輪を指にはめて、姿が透明になっていたビルボがつけていた(ゴクリはビルボの存在に気づかず、彼を追跡しながら指輪の秘密を口走ってしまい、そのためビルボは指輪の透明になる力を知ることになる)。
洞窟の出口にいたる道で待ち伏せするゴクリを、ビルボは[[つらぬき丸]]で殺そうという誘惑に駆られるが、姿が見えないための自分の有利と、ゴクリの哀れな様子から思い止まり、危険を冒してゴクリの上を飛び越えて脱出することを選ぶ。
半狂乱の末、ビルボがそれを手に入れた可能性に思い至ったゴクリはいよいよ怒り狂い、逃げたビルボを追跡して洞窟の出口へ向かったが、その後ろを、偶然指輪を指にはめて姿が透明になっていたビルボがつけていた(ゴクリはビルボの存在に気づかず、彼を追跡しながら指輪の秘密を口走ってしまい、そのためビルボは指輪の透明になる力を知ることになる)。
洞窟の出口にいたる道で待ち伏せするゴクリを、ビルボは[[つらぬき丸]]で殺そうという誘惑に駆られるが、姿が見えない自分の有利と、ゴクリの哀れな様子から思い止まり、危険を冒してゴクリの上を飛び越えて脱出することを選ぶ。

ビルボに指輪を奪われて逃げられたことを悟ったゴクリは、「どろぼう」の「バギンズ」をあらん限り呪詛して生き続けることとなった。

*** 『ホビットの冒険』から『指輪物語』までのゴクリ [#vd5d7ec9]

>「かれの噂は森のいたるところで聞かれた。けものたちや鳥たちの間にさえ、恐ろしい話は広まっておった。森に住む人間たちは、何かよその恐ろしい怪物が、生血をすする幽霊が、新たに出現したと噂した。それは鳥の巣を求めて木に登り、幼獣を求めて穴に忍び込み、ゆりかごを求めて窓から忍び入るというのじゃ。」((『旅の仲間』「過去の影」))
>さんざ蹴とばされ、穴の中に追いやられ、あげくの果ては大事なものを強奪される、こんな目にあって黙って我慢してられるもんかどうか、見てておくれ。おれには今ではいい友達がたくさんいるぞ。みんな、いい友達で、とても強いんだ。きっとおれを助けてくれるだろう。バギンズに思い知らせてやるぞ。((『旅の仲間』「過去の影」 [[ガンダルフ]]の語るゴクリの一念。))

一度は外界と[[オーク]]への恐怖から[[ビルボ・バギンズ]]の追跡をあきらめたゴクリだが、[[指輪>一つの指輪]]から切り離されたことで幾分気力を回復したのと、それでも断ち切ることのできない執念から、2944年には棲家である洞窟を捨てて「どろぼう」の後を追い始める。
ビルボの足跡をたどって[[エスガロス]]や[[谷間の国]]まで来たゴクリは、ビルボに関する話を盗み聞きして「[[ホビット庄]](Shire)」なるところにいることを突き止めた。だが指輪から被った影響のためか、ゴクリはまっすぐホビット庄には向かわず、2951年には図らずも[[モルドール]]に引き寄せられ、2980年頃には[[シェロブ]]と出会う。そこで指輪を取り戻すための仲間を得ようと考えていたようだが、3009年頃にはモルドールの手先に捕らえられて[[サウロン]]の前に引き据えられ、拷問を受けた(この時、ゴクリはサウロンの九本しか指のない黒い手を目にしている)。ここからサウロンは、一つの指輪が再び見出されたこと、それが「なんとか庄(Shire)((この場面を説明するラダガストのセリフは"a land called Shire."であり、それに対してガンダルフは"The Shire,"(ホビット庄じゃよ。)と冠詞をつけて答えている。))」の「バギンズ」なる者の手に渡ったことを知るに至る。
この時以来、ゴクリはサウロンを極度に恐れる一方で、自分のいとしいしとを奪おうとしている最大の対抗者と見なすようになった。
一度は外界と[[オーク]]への恐怖から[[ビルボ・バギンズ]]の追跡をあきらめたゴクリだが、[[指輪>一つの指輪]]から切り離されたことで幾分気力を回復したのと、それでも断ち切ることのできない執念から、2944年には棲家である洞窟を捨てて「どろぼう」の追跡をはじめる。
ビルボの跡をたどって[[エスガロス]]や[[谷間の国]]まで来たゴクリは、立ち聞きをしてビルボが「[[ホビット庄]]」(Shire)なるところにいることを突き止めたが、まっすぐそこには向かわず、おそらく指輪から受けた影響のために2951年に[[モルドール]]へ引き寄せられた。
2980年頃に[[シェロブ]]と知り合ったゴクリは、そこで仲間を得ようと考えていたようだが、3009年頃にはモルドールの手先に捕らえられて[[サウロン]]の許に引き据えられ、拷問を受ける。そこでゴクリが白状した内容から、サウロンは[[一つの指輪]]が再び見出されたこと、それが「なんとか庄」(Shire)の「バギンズ」なる者の手に渡ったことを知るに至った。
この時以来、ゴクリはサウロンを極度に恐れる一方で、自分の[[いとしいしと]]を奪おうとしている最大の対抗者と見なすようになった。

3017年、ゴクリはモルドールから釈放される(ゴクリ自身は、自力で脱走したと考えていたが、実際にはゴクリが一つの指輪捜索の一助になると考えられ、敢えてサウロンに見逃されたようである)。
その後ゴクリは、[[死者の沼地]]の近くでゴクリを捜していた[[アラゴルン>アラゴルン二世]]に発見され、[[闇の森]]の[[スランドゥイル]]の王国へと連行された。そこで[[ガンダルフ]]の尋問を受け、指輪を[[アンドゥイン]]で発見した次第を白状させられる。
ゴクリは、そのまま闇の森の[[エルフ]]に捕らえられていたが、エルフ達は彼を親切に扱ったらしく、監視の共で森を散歩し木登りすることが許されていた。
しかしゴクリが、エルフと[[賢者達>白の会議]]の手に渡ったことを知ったサウロンは、敵の手から彼を奪い去るため、[[3018年>大いなる年]]6月20日[[オーク]]の部隊にスランドゥイルの王国を攻撃させる。この混乱に乗じてゴクリは逃げ出し、エルフとオーク両方の追手から逃れて8月頃に[[モリア]]に逃げ込んだ。しかし道に迷い、かろうじて[[西門>モリアの壁]]を発見するがそこから出ることができず、飢え死に寸前の状態でモリアに閉じ込められてしまった。
3017年、モルドールから釈放されたゴクリは、[[死者の沼地]]で[[アラゴルン二世]]に捕らえられ、[[闇の森]]の[[エルフ]]の許へと連行された。そこで[[ガンダルフ]]はゴクリを尋問し、指輪が[[アンドゥイン]]から発見されたことや、ゴクリがモルドールでも尋問を受けたことなどを知る。
そのままゴクリは森エルフの許に留め置かれたが、エルフ達は彼を親切に扱ったらしく、監視の下で森を散歩したり木に登ったりすることが許されていた。

しかし[[3018年(大いなる年)>大いなる年]]6月20日、サウロンの命を受けた[[オーク]]の部隊が森エルフを襲撃し、ゴクリはその混乱に乗じて逃亡する。
エルフとオーク両方に追われたゴクリは8月頃に[[モリア]]へ逃げ込んだ。だが道に迷い、かろうじて[[西門>モリアの壁]]を発見するがそこから出ることができず、飢え死に寸前の状態でモリアに閉じ込められてしまった。

*** 『[[指輪物語]]』でのゴクリ [#dc030469]

>「スメアゴルは、かわいそうによう、かわいそうによう、ずっと前にどっかへ行ってしまったよ。スメアゴルはいとしいしと取られた。それで行方知れずになったのよ。」
「お前が一緒に来てくれたら、また見つけられるかもしれない。」と、フロドがいいました。((『[[二つの塔]] 下』「一 スメアゴルならし」))
「お前が一緒に来てくれたら、また見つけられるかもしれない。」と、フロドがいいました。((『[[二つの塔]]』「スメアゴルならし」))

[[3019年>大いなる年]]1月、ゴクリにとっては幸運なことに、[[フロド・バギンズ]]をはじめとした[[指輪の仲間]]が[[モリア]]へとやってくる。ゴクリはそのままモリアから[[ロスローリエン]]国境まで一行を追跡し、さらにその後の[[アンドゥイン]]下りでも、丸太を舟代わりとして後を追った。
[[パルス・ガレン]]での指輪の仲間の離散後もゴクリはフロドをつけ続けていたが、[[エミン・ムイル]]で2月29日に、ゴクリの追跡を察知したフロドとサムに捕らえられる。ゴクリはフロドに、自分たちを[[モルドール]]に案内するように命じられると、ゴクリは「ホビットたちを助ける」と「[[いとしいしと]]」にかけて誓う(この時フロドに、「いとしいしと」は誓いの意味をねじ曲げてゴクリを破滅させようとするだろうと予言された)。
[[3019年(大いなる年)>大いなる年]]1月、ゴクリにとっては幸運なことに[[指輪の仲間]]が[[モリア]]へとやってくる。ゴクリはそのままモリアから[[ロスローリエン]]国境まで、さらに[[アンドゥイン]]では丸太を舟代わりにして[[エミン・ムイル]]まで一行を追跡。指輪の仲間が離散した後も、[[指輪>一つの指輪]]を持つ[[フロド>フロド・バギンズ]]と[[サムワイズ>サムワイズ・ギャムジー]]をつけ続けた。しかし二人はゴクリの追跡を察知しており、[[エミン・ムイル]]においてゴクリは二人に捕らえられる。

そのままゴクリはおとなしく、[[死者の沼地]]を安全に通過させるなど、[[エミン・ムイル]]から[[黒門]]へとフロドたちを案内する。またフロドたちが黒門を突破してモルドールに入ろうとしていることを知ると危険だとして反対し、もっと容易にモルドールへ潜入できる道として[[キリス・ウンゴル]]のことを話し、フロドらを案内した。ゴクリは、[[イシリアン]]にてフロドとサムが[[ファラミア]]の[[部隊>イシリアンの野伏]]に捕らわれたとき一時離ればなれになるが、[[ヘンネス・アンヌーン]]近くの泉でファラミアの部下[[アンボルン]]に発見される。捕らえられてファラミア、フロド、サムのもとへと連れてこられたゴクリは、フロドの助命懇願によって「フロドの庇護下にいる限り」命を助け自由を保障するとファラミアに約束された。この時ファラミアはゴクリと会話するうちに、彼がかつて[[人を殺めた>デアゴル]]ことがあることを見抜き、またゴクリが案内しようとしていた[[キリス・ウンゴル]]の危険性についてフロドに警告している。だがフロド、サム、ゴクリはファラミアによって釈放され、モルドールへの旅を再開した。
フロドはゴクリを憐れんで助命したのみならず、本来のスメアゴルの名で呼び、彼が善良な性質を取り戻せるように接した。この呼びかけに応えて目を覚ました「スメアゴル」はフロドに懐き、可能な限りフロドの力になろうとした。一方で「ゴクリ」の性質も消え去ったわけではなく、指輪を奪い返す機会を虎視眈々と伺っていた。
[[モルドール]]へ入るための道案内を任されたゴクリは、[[死者の沼地]]から[[黒門]]へ、そこが不通であることがわかってからは[[イシリアン]]を南下して[[キリス・ウンゴル]]の秘密の抜け道まで、二人を導いた。その間も「スメアゴル」と「ゴクリ」は葛藤を続け、サムワイズはそんなゴクリに不信の念を抱き続けた。

ゴクリはフロドと接しているうちに、本来の「スメアゴル」としての性質を徐々に取り戻していったが、一方で指輪を奪い返す隙を虎視眈々と狙ってもいた。キリス・ウンゴルへ至る階段において、スメアゴルは一時心底から老いた[[ホビット]]としての性質を取り戻したかに見えたが、結局は指輪の魔力から逃れることはできなかった。
[[トレヒ・ウンゴル]]においてゴクリはフロドたちを裏切り、彼らを[[シェロブ]]に売り渡して殺し、その後一つの指輪を奪おうと画策した。その試みは[[サムワイズ・ギャムジー]]の活躍により失敗したが、サムに追い払われた後もゴクリはモルドール国内、さらには[[滅びの山]]まで二人を追跡し続ける。
[[サンマス・ナウア]]を目前にして、ようやくフロド達が指輪を破壊しようとしていることに気付いたゴクリは最後の襲撃を試みるが、自らがかつて指輪にかけて誓った言葉と、その指輪を手にしたフロドの言葉の前に屈服して敗北を認め、またサムに追い払われる。
しかしすぐにフロドの後を追い、サンマス・ナウアにおいて、一つの指輪の誘惑に屈してこれを自分の物だと宣言したフロドに再び襲いかかり、彼の右手の薬指ごと嚙みちぎって((日本語版『[[指輪物語]]』では中指となっているが、third fingerの誤訳))一つの指輪を奪い返した。だがその一瞬後、狂喜して踊り狂っていたところを足を踏み外し、一つの指輪もろとも[[滅びの罅裂]]に身を落とした。
キリス・ウンゴルへ至る階段において、スメアゴルは一時心底から年老いた[[ホビット]]としての性質を取り戻すかに見えた。だが結局は指輪の魔力から逃れることはできず、[[トレヒ・ウンゴル]]においてゴクリはフロドとサムワイズを裏切り、二人を[[シェロブ]]の餌食にしようとした。
この試みはサムワイズの活躍により失敗し、モルドール国内で再びゴクリは隠れ潜みながら二人を追跡することになる。

こうして[[ガンダルフ]]が'''わしの心の奥底で声がするのじゃ。善にしろ悪にしろ、かれには死ぬまでにまだ果たすべき役割があると。そしてその時が至れば、(ゴクリを殺さなかった)ビルボの情は多くの者の運命を決することになるかもしれぬと'''((『[[指輪物語]] [[旅の仲間]]』二 過去の影))、'''裏切り者は恐らく正体を&ruby(あらわ){露};し、自分では意図しない善をなすことがあるのじゃ。'''((『王の帰還』四 ゴンドールの包囲))と予言したとおり、ゴクリがいたことによって最終的に[[指輪所持者]]の任務は達成されることになった。
[[滅びの山]]に三者が達した時、ゴクリはようやくフロド達の目的が指輪の破壊であることに気付き、最後の襲撃を試みる。[[サンマス・ナウア]]においてサムワイズを打ち倒し、フロドに襲いかかったゴクリは、彼の右手の薬指((日本語版『[[指輪物語]]』では中指となっているが、third fingerの誤訳。))ごと噛みちぎってついに[[一つの指輪]]を取り戻した。
だが狂喜したのもつかの間、バランスを失ったゴクリは足を踏み外し、[[いとしいしと]]と諸共に[[滅びの罅裂]]へと身を落としていった。

>深い奥から、「いとしいしとおお」と、泣き叫ぶかれの最後の声が聞こえ、そしてかれはいなくなりました。((『[[王の帰還]]』「滅びの山」))

こうして、かつて[[ガンダルフ]]が憐れみの意味を説き、'''わしの心の奥底で声がするのじゃ。善にしろ悪にしろ、かれには死ぬまでにまだ果たすべき役割があると。そしてその時が至れば、(ゴクリを殺さなかった)ビルボの情は多くの者の運命を決することになるかもしれぬと。'''((『[[旅の仲間]]』「過去の影」))と予言したとおり、ゴクリの働きによって最終的に[[指輪所持者]]の任務は達成された。

*** 画像 [#rec7662a]

&ref(フロド・バギンズ/AlanLee-27-TheTamingOfSmeagol.jpg,,25%,アラン・リー作画によるフロド、サム、ゴクリ);

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

|~俳優|[[アンディ・サーキス]](モーションキャプチャ及び声)|
|~日本語吹き替え|[[長島雄一]]|

字幕、吹き替え共に''ゴラム''と表記・発音されている。
モーションキャプチャを駆使したフルCGによって表現されており、その優れた「演技」は高く評価された。背などに[[モルドール]]でつけられた拷問の傷跡がある。

[[アラゴルン]]と[[ガンダルフ]]のゴクリ追跡、それと二人のゴクリの尋問と[[闇の森]]からの逃亡の話は省かれている。
『[[旅の仲間]]』の[[モリア]]のシーンでゴラムが少し登場するが、その後『[[二つの塔]]』以降で、アンディ・サーキスの表情を反映させるためにゴラムのCGが改良されたため、外見は多少異なっている。背などに[[モルドール]]でつけられた拷問の傷跡がある。
『[[旅の仲間]]』の[[モリア]]のシーンでゴラムが少し登場するが、その後『[[二つの塔]]』以降で、アンディ・サーキスの表情を反映させるためにゴラムのCGが改良されたため、外見は多少異なっている。
『[[王の帰還]]』で[[シェロブ]]の元に行く前に、ゴラムは荷物の[[レンバス]]を捨て、[[フロド]]と[[サム]]の仲を割くための演技をして、サムを追い払った。また、[[サンマス・ナウア]]ではフロドから一つの指輪を奪ったのちに、驚喜乱舞ではなく、フロドと指輪の奪い合いになり、はずみで[[滅びの罅裂]]に指輪とともに落下した。

『王の帰還』冒頭では、スメアゴルが[[デアゴル]]を殺して指輪を奪い、それがために仲間から追われてゴラムに変貌していく様が描かれた。
[[ホビット庄]]に帰還して酒場で酒を酌み交わす四人のホビット達の後ろで、アンディ・サーキス演じる[[ホビット]]が、カボチャを抱いて笑顔で踊っている姿が見られる。

*** グッズ [#Goods]

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** 映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#Hobbitmovie]

|~俳優|アンディ・サーキス(モーションキャプチャ及び声)|
|~日本語吹き替え|[[チョー]]((長島雄一の新芸名))|

原作と同様、[[ゴブリン町]]の地下深くの洞窟にいるところに[[ビルボ・バギンズ]]と遭遇。その直前にゴラムが落とした[[一つの指輪]]をビルボが拾っている。またゴラムとビルボは[[なぞなぞ遊び]]で勝負している。
外見はほぼ『ロード・オブ・ザ・リング』の時と同じだが、[[モルドール]]に行く前であるため、そこで拷問によってつけられた事になっている傷はない。

*** グッズ [#Goods]

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** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#LotRO]

[[ブルイネン]]の浅瀬の近くで、川の魚を漁り、[[オーク]]に追われているゴクリの姿を見ることができる(ただし「ゴクリ」という名前は冒険者にはわからない)。
[[エルフ]]とオークに追われて、[[モリア]]に逃げ込む直前の様子と思われる((ただし原作では、[[闇の森]]から逃れて[[おぼろ谷]]口からモリアに入ったのであり、ブルイネンの浅瀬付近に出没するのは位置関係がおかしい))。

さらにその後[[闇の森]]でゴクリを追跡し、同じくゴクリを追うオークと争うことになるクエストがある。
時間軸としては、[[指輪の仲間]]が[[ロスローリエン]]に滞在している前後の話と推定される。

&ref(ScreenShot00453.jpg,,10%,『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における死者の沼地でのゴクリ);

** 備考 [#b0908d79]

ブラジルで発見された新種のザトウムシに、スメアゴルの名に由来するIandumoema smeagolの学名が付けられた。ひっそりと洞窟に住んでいたことに由来する(([[新種のザトウムシにあのキャラクターの名前 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト:http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/112400334/]]))。

** コメント [#Comment]

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