* ゴクリ [#ncb25332]
** 概要 [#Summary]

|~カテゴリー|[[人名]]|
|~スペル|Gollum|
|~異訳|ゴラム|
|~その他の呼び名|スメアゴル(Sméagol)、こそつき(Slinker)、くさいの(Stinker)|
|~種族|元来[[ホビット]]([[ストゥア]])|
|~性別|男|
|~生没年|[[第三紀]]2440?~†3019|
|~親|不明|
|~兄弟|不明|
|~配偶者|なし|
|~子|なし|

** 解説 [#Explanation]

本名スメアゴル。ゴクリ(Gollum)はいつも喉を鳴らしている音に由来する通称。Gollumの訳が「ゴクリ」とされたのは、喉を鳴らすGollumという擬音を日本語的にしたため。
本名のスメアゴルは「穴掘り」の意である(([[古英語]]のsmygelの綴りを変形したもの))。スメアゴルという名は、時に彼の本来の(善良な)性質を表す時に、ゴクリとは分けて使われることもある。[[サムワイズ・ギャムジー]]は彼の2つの人格のうち、スメアゴルのほうを「こそつき」、ゴクリのほうを「くさいの」といって区別した。

がりがりに瘦せて老いているが、生命力だけはぎらぎらしている哀れな生き物として描写されている。
「sss...」と摩擦音を強調した喋り方をし、これは[[邦訳>瀬田貞二]]ではハ行をサ行に置き換える口調として翻訳されている(例、いとしいひと→[[いとしいしと]])。また孤独な生活のため、いつも自分自身に語りかけるような喋り方をし、自分のことを半ば[[指輪>一つの指輪]]と同一視して一人称には「わしら(we)」を使用する。ただしこれらの特徴は、前述の「スメアゴル」の人格が優位な時にはなりをひそめることがあった。
全身がぬらぬらしたものに覆われた黒っぽい小さな生き物で、手足には水かきがあり、カエルやイモリのように岩壁に垂直に張り付くことができる。飛び出してうるんだ目は普段は青色をしているが、怒りなどで感情が高ぶると緑の炎が灯ったように見える。
生の魚を特に好んで食べる。しかし食べられるものなら何でも喜んで食べるようで、虫や小動物はおろか、[[オーク]]や[[ホビット]]までも餌食にしようとする。[[太陽]]のことを黄色い顔、[[月]]のことを白い顔と呼んで忌み嫌い、昼も夜もその光を避けて行動するのが常であった。

一見弱々しい外見とは裏腹に、油断のならない危険な存在であり、獲物に忍び寄っては強い力で首を絞め上げ、息の根を止めることを得意とする。
性質は険悪で、生き延びるためなら罪を犯すことにも誓いを破ることにも良心の呵責を感じない。特に「''[[いとしいしと]]''」([[一つの指輪]])にまつわることには恐るべき執念と意志の力を発揮する。また、[[レンバス]]や[[ヒスライン]]のロープ、[[エルフのマント]]など、[[エルフ]]にまつわるものには強い拒否反応を示す。
その一方で、かつての善良だった頃の性質を完全に失ってしまったわけではない。

*** 生い立ち [#zf4cdf14]

>「わしには悲しい話に思える。」と、魔法使はいいました。「そういったことは、他の者にだって起こりえたじゃろうよ。わしの知り合いのホビットたちにだって、な。」((『[[指輪物語]] [[旅の仲間]] 上』「二 過去の影」))

ゴクリの本名はスメアゴルといい、[[アンドゥイン]]上流の[[あやめ野]]の近くに住んでいた[[ストゥア]]族に近縁の[[ホビット]]であった。
[[第三紀]]2463年頃、スメアゴルは親族で友人である[[デアゴル]]と共に釣りにでかけ、そこでデアゴルが川底から[[一つの指輪]]を発見する。するとスメアゴルはただちに指輪の魔力に捉えられ、その金の指輪を「誕生日の贈り物」として自分に渡すよう要求。断られると、デアゴルを絞め殺して指輪を奪い、死体を隠した。

ほどなくしてスメアゴルは、その指輪をはめると自分の姿が見えなくなることに気付き、元来の詮索好きの気質を増長させてその力を悪用して親類の秘密を嗅ぎまわるようになる。そのため一族から忌み嫌われるようになり、いつも喉を鳴らすようになったためゴクリと呼ばれるようになる。やがてとうとう、族長であった祖母から集落を追放された。
同族から追われたゴクリは、やがて太陽の光から逃れるためと「根源にあるでっかい秘密」を求めて2470年頃、[[霧ふり山脈]]の地下に潜入、地底湖を見つけ出してそこに棲み着いた。

すでに精神の大部分を指輪の魔力に冒されていたゴクリは、それ以上新たなことを行う気力がもはや残っておらず、地底湖に棲息する目のない魚を捕らえて食べては、実に600年近くもの歳月を暗闇の中で生き続けた。やがて洞窟の上方に[[ゴブリン町]]が築かれ、[[オーク]]などが迷い込んでくるようになると、それすらも襲って食べるようになる。
彼は孤独と良心の呵責から絶えず自分自身と指輪に向かって話しかけるようになり、指輪を手に入れた一件についても噓の話をでっち上げ、自分でもそれを信じ込むようになった。

*** 『[[ホビットの冒険]]』でのゴクリ [#o27877e6]

2941年、[[はなれ山]]に向かう途中に[[霧ふり山脈]]の洞窟へ迷い込んだ[[ビルボ・バギンズ]]が地底湖にて、ゴクリと遭遇する。
ゴクリはビルボの持つ[[エルフの短剣>つらぬき丸]]を恐れたのと、その前に[[ゴブリン]]の子供を捕食してそれほど空腹ではなかったために、彼に話しかけ、成り行きからなぞなぞで勝負をしてゴクリが勝ったらビルボを食べ、ビルボが勝ったらゴクリが彼を洞窟の出口まで案内するということになった。
ビルボとなぞなぞ遊びをする内に、かつてホビットであった頃の記憶が蘇ってきたゴクリはイライラを募らせ、最終的に勝負に負けてしまったことでその怒りは頂点に達する。ゴクリはビルボを裏切って彼を食おうとするが、その時になって自分が[[指輪>一つの指輪]]を失くしてしまったことに気付く。

半狂乱の末、ビルボがそれを手に入れた可能性に思い至ったゴクリはいよいよ怒り狂い、逃げたビルボを追跡して洞窟の出口へ向かうが、その後ろを、偶然指輪を指にはめて、姿が透明になっていたビルボがつけていた(ゴクリはビルボの存在に気づかず、彼を追跡しながら指輪の秘密を口走ってしまい、そのためビルボは指輪の透明になる力を知ることになる)。
洞窟の出口にいたる道で待ち伏せするゴクリを、ビルボは[[つらぬき丸]]で殺そうという誘惑に駆られるが、姿が見えないための自分の有利と、ゴクリの哀れな様子から思い止まり、危険を冒してゴクリの上を飛び越えて脱出することを選ぶ。
ビルボに指輪を奪われて逃げられたことを悟ったゴクリは、“バギンズ”をあらん限り呪詛して生き続けることとなった。

*** 『ホビットの冒険』から『指輪物語』までのゴクリ [#vd5d7ec9]

一度は外界と[[オーク]]への恐怖から[[ビルボ・バギンズ]]の追跡をあきらめたゴクリだが、[[指輪>一つの指輪]]から切り離されたことで幾分気力を回復したのと、それでも断ち切ることのできない執念から、2944年には棲家である洞窟を捨てて「どろぼう」の後を追い始める。
ビルボの足跡をたどって[[谷間の国]]まで来たゴクリは、ビルボに関する話を盗み聞きして「[[ホビット庄]](Shire)」なるところにいることを突き止めた。だが指輪から被った影響のためか、ゴクリはまっすぐホビット庄には向かわず、2951年には図らずも[[モルドール]]に引き寄せられ、2980年頃には[[シェロブ]]と出会う。そこで指輪を取り戻すための仲間を得ようと考えていたようだが、3009年頃にはモルドールの手先に捕らえられて[[サウロン]]の前に引き据えられ、拷問を受けた(この時、ゴクリはサウロンの九本しか指のない黒い手を目にしている)。ここからサウロンは、一つの指輪が再び見出されたこと、それが「なんとか庄(Shire)」の「バギンズ」なる者の手に渡ったことを知るに至る。
この時以来、ゴクリはサウロンを極度に恐れる一方で、自分のいとしいしとを奪おうとしている最大の対抗者と見なすようになった。

3017年、ゴクリはモルドールから釈放される(ゴクリ自身は、自力で脱走したと考えていたが、実際にはゴクリが一つの指輪捜索の一助になると考えられ、敢えてサウロンに見逃されたようである)。
その後ゴクリは、[[死者の沼地]]の近くでゴクリを捜していた[[アラゴルン>アラゴルン二世]]に発見され、[[闇の森]]の[[スランドゥイル]]の王国へと連行された。そこでアラゴルンと[[ガンダルフ]]の尋問を受け、指輪を[[アンドゥイン]]で発見した次第を白状させられる。
そのまま闇の森の[[エルフ]]に捕らえられていたが、エルフ達は彼を親切に扱ったらしく、監視の共で森を散歩し木登りすることが許されていた。
しかしゴクリがエルフと[[賢者達>白の会議]]の手に渡ったことを知ったサウロンは、敵の手から彼を奪い去るため[[3018年>大いなる年]]6月20日[[オーク]]の部隊にスランドゥイルの王国を攻撃させる。この混乱に乗じてゴクリは逃げ出し、エルフとオーク両方の追手から逃れて8月頃に[[モリア]]に逃げ込んだ。しかし道に迷い、かろうじて[[西門>モリアの壁]]を発見するがそこから出ることができず(西門から外に出る時に合い言葉や鍵は必要なかったため、門の前にある池の水位が上がっていたためではないかと思われる)、飢え死に寸前の状態でモリアに閉じ込められてしまった。

*** 『[[指輪物語]]』でのゴクリ [#dc030469]

>「スメアゴルは、かわいそうによう、かわいそうによう、ずっと前にどっかへ行ってしまったよ。スメアゴルはいとしいしと取られた。それで行方知れずになったのよ。」
「お前が一緒に来てくれたら、また見つけられるかもしれない。」と、フロドがいいました。((『[[二つの塔]] 下』「一 スメアゴルならし」))

[[3019年>大いなる年]]1月、ゴクリにとっては幸運なことに、[[フロド・バギンズ]]をはじめとした[[指輪の仲間]]がモリアへとやってくる。ゴクリはそのままモリアから[[ロスローリエン]]国境まで一行を追跡し、さらにその後の[[アンドゥイン]]下りでも、丸太を舟代わりとして後を追った。
[[パルス・ガレン]]での指輪の仲間の離散後もゴクリはフロドをつけ続けていたが、2月29日にそれを察知したフロドとサムに捕らえられる。ゴクリはフロドに、自分たちを[[モルドール]]に案内するように命じられると、ゴクリは「ホビットたちを助ける」と「いとしいしと」にかけて誓う(この時フロドに、「いとしいしと」は誓いの意味をねじ曲げてゴクリを破滅させようとするだろうと予言された)。

そのままゴクリはおとなしく、[[死者の沼地]]を安全に通過させるなど、[[エミン・ムイル]]から[[黒門]]へとフロドたちを案内する。またフロドたちが黒門を突破してモルドールに入ろうとしていることを知ると危険だとして反対し、もっと容易にモルドールへ潜入できる道として[[キリス・ウンゴル]]のことを話し、フロドらを案内した。ゴクリは、[[イシリアン]]にてフロドとサムが[[ファラミア]]の[[部隊>イシリアンの野伏]]に捕らわれたとき一時離ればなれになるが、[[ヘンネス・アンヌーン]]近くの泉でファラミアの部下[[アンボルン]]に発見される。捕らえられてファラミア、フロド、サムのもとへと連れてこられたゴクリは、フロドの助命懇願によって「フロドの庇護下にいる限り」命を助け自由を保障するとファラミアに約束された。この時ファラミアはゴクリと会話するうちに、彼がかつて[[人を殺めた>デアゴル]]ことがあることを見抜き、またゴクリが案内しようとしていた[[キリス・ウンゴル]]の危険性についてフロドに警告している。だがフロド、サム、ゴクリはファラミアによって釈放され、モルドールへの旅を再開した。

ゴクリはフロドと接しているうちに、本来の「スメアゴル」としての性質を徐々に取り戻していったが、一方で指輪を奪い返す隙を虎視眈々と狙ってもいた。キリス・ウンゴルへ至る階段において、スメアゴルは一時心底から老いた[[ホビット]]としての性質を取り戻したかに見えたが、結局は指輪の魔力から逃れることはできなかった。
[[トレヒ・ウンゴル]]においてゴクリはフロドたちを裏切り、彼らを[[シェロブ]]に売り渡して殺し、その後一つの指輪を奪おうと画策した。その試みは[[サムワイズ・ギャムジー]]の活躍により失敗したが、サムに追い払われた後もゴクリはモルドール国内、さらには[[滅びの山]]まで二人を追跡し続ける。
[[サンマス・ナウア]]を目前にして、ようやくフロド達が指輪を破壊しようとしていることに気付いたゴクリは最後の襲撃を試みるが、自らがかつて指輪にかけて誓った言葉と、その指輪を手にしたフロドの言葉の前に屈服して敗北を認め、またサムに追い払われる。
しかしすぐにフロドの後をふたたび追い、サンマス・ナウアにおいて、一つの指輪の誘惑に屈してこれを自分の物だと宣言したフロドに再び襲いかかり、彼の右手の薬指ごと嚙みちぎって((日本語版『[[指輪物語]]』では中指となっているが、third fingerの誤訳))一つの指輪を奪い返した。だがその一瞬後、狂喜して踊り狂っていたところを足を踏み外し、一つの指輪もろとも[[滅びの罅裂]]に身を落とした。

こうして[[ガンダルフ]]が'''わしの心の奥底で声がするのじゃ。善にしろ悪にしろ、かれには死ぬまでにまだ果たすべき役割があると。そしてその時が至れば、ビルボの情は多くの者の運命を決することになるかもしれぬと'''((『[[指輪物語]] [[旅の仲間]]』二 過去の影))と予言したとおり、ゴクリがいたことによって最終的に[[指輪所持者]]の任務は達成されることになった。

** 画像 [#rec7662a]

&ref(フロド・バギンズ/AlanLee-27-TheTamingOfSmeagol.jpg,,25%,アラン・リー作画によるフロド、サム、ゴクリ);

** 映画『[[ロード・オブ・ザ・リング]]』における設定 [#Lotrmovie]

|~俳優|[[アンディ・サーキス]](モーションキャプチャ及び声)|
|~日本語吹き替え|[[長島雄一]]|

俳優の発音と合わせるためであろう、訳では「ゴラム」とそのまま片仮名表記されている。
[[アラゴルン]]と[[ガンダルフ]]のゴクリ追跡、それと二人のゴクリの尋問と[[闇の森]]からの逃亡の話は省かれている。
『[[旅の仲間]]』の[[モリア]]のシーンでゴラムが少し登場するが、その後『[[二つの塔]]』以降で、アンディ・サーキスの表情を反映させるためにゴラムのCGが改良されたため、外見は多少異なっている。
『[[王の帰還]]』で[[シェロブ]]の元に行く前に、ゴラムは荷物の[[レンバス]]を捨て、フロドとサムの仲を割くための演技をして、サムを追い払った。また、[[サンマス・ナウア]]ではフロドから一つの指輪を奪ったのちに、驚喜乱舞ではなく、フロドと指輪の奪い合いになり、はずみで[[滅びの罅裂]]に指輪とともに落下した。

『王の帰還』冒頭では、スメアゴルがデアゴルを殺して指輪を奪い、それがために仲間から追われてみじめに醜く変貌していく様が描かれた。
ホビット庄に帰還して酒場で酒を酌み交わす四人のホビット達の後ろで、アンディ・サーキス演じるホビットが、カボチャを抱いて笑顔で踊っている姿が見られる。

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** 映画『[[ホビット>ホビット(映画)]]』における設定 [#Hobbitmovie]

|~俳優|アンディ・サーキス(モーションキャプチャ及び声)|
|~日本語吹き替え|[[チョー]]((長島雄一の新芸名))|

原作と同様、[[ゴブリン町]]の地下深くの洞窟にいるところに[[ビルボ・バギンズ]]と遭遇。その直前にゴラムが落とした[[一つの指輪]]をビルボが拾っている。またゴラムとビルボは[[なぞなぞ遊び]]で勝負している。
外見はほとんど『ロード・オブ・ザ・リング』のときと同じだが、モルドールにて捕らえられ拷問されたときにつけられたことになっている身体の傷はない。

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** ゲーム『[[ロード・オブ・ザ・リングス オンライン]]』における設定 [#Lotro]

[[ブルイネン]]の浅瀬の近くで、川の魚を漁り、オークに追われているゴクリの姿を見ることができる(ただし「ゴクリ」という名前は冒険者にはわからない)。
エルフとオークに追われて、[[モリア]]に逃げ込む直前の様子と思われる。

さらにその後[[闇の森]]でゴクリを追跡し、同じくゴクリを追うオークと争うことになるクエストがある。
時間軸としては、[[指輪の仲間]]が[[ロスローリエン]]に滞在している前後の話と推定される。

** コメント [#Comment]

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