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ドルーエダイン

概要

カテゴリー種族
スペルDrúedain
異訳ドルエダイン
その他の呼び名野人やじん*1(Wild Men)
ウォーゼ(Wose)
ドルグ、ドルフ(Drughu)
ドルーグ(Drûg)
ドルーアス(Drúath)
ルーアタニ(Rúatani)
ローグ(róg)
オゴル=ハイ(Oghor-hai)

解説

シンダリンで、単数形はドルーアダン(Drúadan)*2共通語野人やじんと呼ばれる人間の一氏族。ローハン語ではウォーゼと呼ばれる。第一紀ハレスの族からはドルーグと呼ばれ、オークからはオゴル=ハイと呼ばれた。

その前の地面には、奇妙な恰好にうずくまった男が一人坐っていました。古さびた石のようにごつごつしており、乏しい顎鬚はこぶのような無骨な顎に乾いた苔のように散らばっていました。脚は短く、腕は太く、体も厚みがあってずんぐりしていました。身にまとっているものといえば、僅かに腰蓑を着けているだけでした。 … あの古い彫像の一つがここに生を得て生き返ったのか、それとも、遠い昔の今は忘れられた技工たちによって用いられたモデルたちの血を限りない年月の間正しく伝えてきたその直系の子孫であるかもしれません。*3

人口が少なく、歴史の表舞台に出てくることは少ない。『指輪物語』でわずかに登場する他、詳細は『終わらざりし物語』で語られている。
気むずかしく素朴な民族だが、いくつかの特異な特徴で知られており、特に見張り石という魔法の彫像を作る力があった。第一紀にはハレスの族と行動を共にしてエダインの一員と見なされており、第二紀にはヌーメノールに渡ってドゥーネダインと共に住んだこともあった。中つ国では白の山脈の周辺に定住していたが、次第に数を減じ、第三紀にはドルーアダンの森ドルーワイス・ヤウルのあたりにわずかな末裔が隠れ住むのみとなっていた。

やしろ岡の石像プーケル人はかれらが作ったものだと考えられる。
ロヒルリムはかれら野人を人間とは見なさず、狩りの対象として追い回したことがあったため、両者の関係は良くなかった。だが野人はロヒルリム以上にオークを憎んでおり、暗黒時代の再来を恐れてもいたため、指輪戦争では酋長ガーン=ブリ=ガーンセーオデンに助力を申し出た。野人の警戒と道案内のおかげでロヒルリム石車谷を通って安全かつ迅速にミナス=ティリスに到達することができ、ペレンノール野の合戦に勝利をもたらすことができた。

サウロンが滅ぼされた後、エレッサール王によってドルーアダンの森はドルーエダインのものとされ、他の人間には不可侵の地域とされた。

特徴

外見
身長は低くがっしりしている。顔は横に広く、大きく窪んだ目と濃い眉があり、目は瞳があまりにも黒いために瞳孔が識別しがたいほどであった。頭にはまばらに毛が生えているだけで、眉から下には毛が生えないが、僅かな者には顎の中央に小さな黒い房状の髭が生えており、この特徴は誇りとされた。
普段は表情に乏しく、感情を表に出すことは余り無いが、他の種族なら歌うような時に変わった声でよく笑い、その笑い声には耳にした者を一緒に笑い出させてしまう不思議な魅力があった。
能力
優れた狩猟者。暗闇でも見通せる視力や、特に極めて優れた嗅覚を持ち、狩りや追跡などの能力では他のどの種族にも勝っていたという。
護衛としても名高く、その注意力、威嚇の力の強さは、侵入者がかれらの見えざる警戒を感じ取って恐れ退くほどだった。彫像のように何日もじっと座っていることができ、威嚇の力もそうした時に発揮された。さらにこうした能力を見張り石に移し込むことができた。
奇妙な予知能力を持っていたともいい、ヌーメノールの没落を2000年も前から感じ取っていたといわれる。
一般の人間より短命。
文明・文化
高い文明は持たず、文字も使わないが、木や石を彫る優れた細工者で、見張り石という魔法の石像を作ることができた。オークに対しては毒矢で戦ったが、彼らの掟ではオーク以外の生命を毒で傷つけることは禁じられていたという。あらゆる生き物について、エルフに教えられたわけでもないのにエルフと同じぐらい詳細に把握していた。生活はつましく、質素な食事と水しか摂ろうとしなかった。
住居
森林地帯で、原始的な生活を営む。身体が頑強なため、基本的には家屋を必要としないが、定住する場合は大きな木の幹の周りに簡素な天幕や小屋を建てて満足していた。またそれとは別に、秘密の貯蔵庫や避難所として山中の洞窟を使うが、そちらは他の種族にはたとえ親しい者であろうと招かれなかった。
歴史
ゴンドールの歴史家が信じるところによれば、アンドゥインを渡った最初の人間こそドルーエダインであった。かれらは近ハラドを通ってイシリエンを北上し、他の人間がやってくるずっと前に白の山脈の谷間や山裾の森林に住みつき、モルゴスの力に何の関心も示さず、東からの人間の侵入を嫌っていたという。
ベレリアンドでは(経緯は定かではないが)ハレスの族と非常に親しく、共に暮らしていた。ハレスの族は彼らのことを、ドルーアダン自身の言葉でドルーグと呼んでいた。第一紀の頃からドルーグの数は非常に少なかったが、彼らはハレスの族の同盟者としてオークと戦い、エダインの一員と見なされた。
一説によると彼らの一部はヌーメノールの建国と共にかの地に渡ったが、ヌーメノールの没落の前に(警告を感じたのか)皆その地を去った。
第二紀中つ国では、暗黒時代の到来とともにサウロンを崇拝する褐色国人ダンレンデイングのような民族や、沿岸地方にやってきたヌーメノール人に圧迫され、アンドラスト岬の荒れ地(ドルーワイス・ヤウル)やアノーリエンの東端(ドルーアダンの森)に生き延びた。
第三紀の終わりには数は著しく減少し、アノーリエンに残っている者のみがドルーエダインの生き残りとして知られていた。第三紀ガーン=ブリ=ガーンらは彼らの末裔である。
言語
彼ら自身の言語はあるが、彼らなりのやり方で他の人間と同じ言葉を話した。しかしそれも彼らに固有の単語を多くとどめていた。第三紀には西方語を話す者もいた。
文字は持たず、象形文字のような記号を使うのみである。
偏見
オークの不倶戴天の敵で、互いに強く憎み合っている。迫害されることが多かったため、他の人間のこともほとんど信用しない。中にはドルーエダインをオークの親類と見なす者もいたが、エルダールは「かれらの笑いとオークの笑いは、アマンの光とアングバンドの闇ほども違う」と言って反論したという。
ロヒルリムはかれらを人間の一種族とは認めず、スポーツの対象として狩り立てていたことがあるため、両者の間には確執がある。

「しかし、あんたがたこの暗闇のあとも生きたら、森の野人かまわないでくれ。獣のように追うこと、もうしないでくれ。」*4

多数の名の意味

ドルグ、ドルフ(Drughu)
ドルーエダイン自身の言語での自称。
ドルーグ(Drûg)
ドルーエダインと行動を共にしていたハレスの族がドルーエダインの言葉を用いて呼んだ名。
ドルー(Drû)
「ドルグ」がベレリアンドシンダリンに取り入れられた語。ドルーは単数形で、複数形はドルーイン(Drúin)。集合名詞(種族名)はドルーアス(Drúath)。また、ドルーの民(Drû-folk)という表現もある。*5
ドルーエダイン(Drúedain)
彼らがオークと敵対関係にあることを知ったエルダールが、ドルー(Drû)にエダイン(Edain)の語を称号として加えた名。単数形はドルーアダン(Drúadan)。
ルーアタニ(Rúatani)
「ドルグ」がクウェンヤに取り入れられて変化した形のルー(Rú)に、アタニ(atani)の語を加えた名。単数形はルーアタン(Rúatan)。ルーはシンダリンのドルーに相当し、ルーアタニはドルーエダインに相当する。
野人やじん(Wild Men)
共通語での呼び名。
ウォーゼ(Wose)
ロヒルリムからの呼び名。古英語で「森の野人」の意味のウドゥ=ワーサ(wudu-wása)のワーサ(wása)を現代化した形。
ローグ(róg)
ウォーゼに「翻訳」される前のローハン語の原語。ローグは単数形で、複数形はローギン(rógin)。
オゴル=ハイ(Oghor-hai)
第一紀オークが用いた名。意味は不明。

登場するドルーエダイン

Iron Crown Enterprisesによる設定

ドルーエダインの使用する言語はプーカエル語(Pûkael)とされている。

The Lord of the Rings Strategy Battle Game

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コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • なんで海を恐れていたのかな? 元々、海とは関わりがなかったのに。 べレリアンド水没の際、溺れかかったのが遺伝子レベルでのトラウマになったのかな? -- 2016-02-26 (金) 11:16:31
    • 溺れかかっているところをモルゴス征伐し帰還する船団に拾われたのかもしれません。 その足で船にいた生き残りのエダインと一緒に海から引き上げられたばかりのヌーメノールに向かったでしょう⛵ -- 2018-03-01 (木) 07:45:25
  • スターウォーズでいうところの古代シス民族だな。シスみたいに発展してったら中つ国を席巻できたかも。 -- 2016-06-25 (土) 10:08:06
    • シスってそういう民だったッけ? -- 2016-06-25 (土) 23:12:54
  • 映画に出ると、ローハンに対する見方が変わり、人種差別うんぬん言う人たちが余計に出てきたと思われるので、尺の都合も兼ねて存在自体が初めからカットされたのが容易に想像できる -- 2016-12-18 (日) 19:05:29
    • れっきとした白人なのに名前だけで有色人種と勘違いされてるのが悲しい -- 2016-12-18 (日) 19:22:22
      • 白人? -- 2018-02-23 (金) 10:12:18
      • 褐色人とごっちゃになってるんじゃないの? -- 2018-02-24 (土) 03:32:55
      • 彼等のモデルと、ここのコメント欄で言われているネアンデルタール人は紅毛碧眼の白人みたいな容貌に復元されてますしね。 -- 2018-03-01 (木) 07:36:34
      • 逆にネアンデルタール人以外の人類はみんな黒っぽかったらしい -- 2018-03-01 (木) 16:30:11
    • 東夷やハラドリムを明確に敵として描くのに対して、ドルーエダインに対するローハンの行いは明確に迫害として掛かれている。教授の人種・民族観が今一つ分からない原因。 -- 2019-07-14 (日) 02:27:52
      • 当時のイギリス人的だと思うな 宗教的歴史的文化的にこう夷狄視 そんな酷い迫害をしていい訳ないと ガンジーの無抵抗不服従だってイギリス人相手だから効いたのだとガンジーも言ってるから -- 2019-10-22 (火) 02:33:20
      • ジャップはクラウト共(ナチス)の手先だったからね。ヤンキーがニガーを奴隷にしたり、エクスコン(豪州人)がア・ボをハンティングしてたのとは事情が違う。 -- 2022-07-30 (土) 10:35:46
  • 明確な四季が存在して、冬には氷点下近くまで気温が下がりそうな土地に住みながら、半裸はどうなんだ・・・。 -- 2019-06-02 (日) 01:42:41
  • モンゴロイドの遠縁の祖先だったりして。西方に行かなかった支族が東夷と同化したとか。ノックスの十戒よろしく、あっちの創作界隈では東洋人=妙な力を使うみたいなイメージがあったし。 -- 2023-01-17 (火) 01:36:49
    • ・身長が低い
      ・顔が横に広い
      ・目が黒い
      ・体毛が薄い
      ・感情を表に出さない
      西洋人から見て共通するステレオイメージはこの辺りか。逆に眼窩が窪んでる所は違う。 -- 2023-01-18 (水) 19:00:44
  • モンゴロイドや東夷というか、現生人類(クロマニョン人)に対するネアンデルタール人みたいな感覚じゃないかな。
    広義で言えば同じ人類だが、もはや共に歩むのが難しいくらいに生態やら含めて別系統になってしまった存在というか。 -- 2023-01-17 (火) 15:24:13
    • それは欄の上でも言われてたから知ってるけど、それとはまた別の説を考えてみた時にこういう繋がりも微レ存かなって思ったのよ -- 2023-01-17 (火) 19:54:08
      • ネアンデルタール人は例えで出しただけよ。
        教授の時代にはネアンデルタール人は俺らの先祖と考えられてたけど、今はそうじゃないって説が主流だしね。(俺の意見は当時の学説ではなく今のネアンデルタール人の立ち位置を念頭に置いたモノだし)
        そもそも教授がどこまでネアンデルタール人や「原始人」について知っていたかはわからないしね。 -- 2023-01-17 (火) 20:21:24
        • 執筆当時のネアンデルタール人は文化や知性を持たない野卑で獣に近い種族だったとする説が根強かったから教授がどっちを信用してたかにもよるよね。 -- 2023-01-18 (水) 08:28:07
          • そもそも上にもあるように教授がネアンデルタール人やらの知識をどこまで有していたかはわからないしね。
            言語学、文化人類学の権威である時点で全くの無知って可能性は低いとはいえ。 -- 2023-01-18 (水) 10:51:33
        • どうだろう?あくまでローマ時代の伝承(プリニウスの本など)でのアフリカ原住民くらいの知識と交流度だったみたいな感じ?そこまでいかないでも中世ヨーロッパ人と北米のネイティブアメリカンくらいとか。21世紀の社会と知識のレベルでは分断してはならないのだが。 -- 2023-01-21 (土) 14:50:09
    • この程度の考察が許されてヴァリアグについては許さないという謎 -- 2023-02-07 (火) 09:53:21
      • ヴァリアグについては1人のガイキチマイルール原理主義者さんが荒ぶってただけだからねぇ…。
        普通の基準や感覚が通用するとは思えないし…。 -- 2023-02-07 (火) 10:07:55
        • ヴァリアグ=スラヴ人説に比べれば野人=モンゴロイドの方がずっとこじつけ主観レベル高いし同程度の浅い考察なんてwiki内にゴロゴロなのに何でこっちには茶々入れて来ないんだろうな、て......... -- 2023-02-07 (火) 16:11:18
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