第一紀†
概要†
解説†
中つ国の歴史で、星々の時代の後、モルゴスを追うノルドール・エルフの中つ国帰還と天空に太陽が登った時から始まり、怒りの戦いとベレリアンドの崩壊によって終わる。約600年間。宝玉戦争の舞台となった時代。
ヴァリノールでメルコール(モルゴス)とウンゴリアントによって二つの木が殺害されると、ヴァラールは新たにアルダを照らすものとして二本の木の最後の花と果実から月と太陽を作り上げ、天空へ送り出した。だが、月と太陽の光はメルコールとウンゴリアントによって毒された後の二本の木から生じたものであるため、その光は不完全なものであり、これ以降中つ国は速やかに過ぎ行く時の流れに晒され、上古から存在した多くのものが衰え消え去っていくことになった。
また、太陽が昇ると同時にヒルドーリエンの地に人間が目覚めた。
二つの木を害してシルマリルを奪い、中つ国へと逃げ帰ったモルゴスはアングバンドに閉じこもり、自らのために巨大な鉄の冠を鍛えるとそれに奪ったシルマリルを嵌めこみ、世界の王を僭称した。
復讐とシルマリルの奪還のためにモルゴスを追ってアマンから中つ国へと帰還したノルドール族のエルフは、フェアノールの誓言とマンドスの宣告に追われながらも、ベレリアンドに領国を築いてアングバンドを包囲し、モルゴスを相手とした望みない戦いを続けた。ベレリアンドには、既にシンダール族のエルフの王国ドリアスなどもあったが、ドリアスは魔法帯を巡らせてモルゴスの脅威もノルドール族の暗い運命も締め出した。だが結局は、ベレンとルーシエンのシルマリルの探索がきっかけとなり、ドリアスもシルマリルを巡る運命に繋ぎ止められることになった。
またノルドール族の王国の中でもナルゴスロンドとゴンドリンはその所在を秘匿し、長らくモルゴスの脅威から逃れることができた。だが結局はどちらも発見され、ベレリアンドのエルフの王国は滅びた。
この時代の半ばよりベレリアンドに人間が到達した。かれらははじめエルフの諸侯に仕えたが、エルフを裏切ってモルゴスに与する者たちもいた。あくまでエルフへの忠義を貫いた者たちはエダインと呼ばれる。
数々の歌に歌われる武勲にも関わらず、エルフの諸侯とエダインの諸家は次々とモルゴスに滅ぼされ、アングバンドは不落だった。
だが最後には半エルフのエアレンディルとエルウィングが大海を船で渡り、シルマリルの光によってついにアマンに辿り着いた。エアレンディルはヴァラールに言上して中つ国の窮状を訴え、その結果ヴァラールは軍を起こして怒りの戦いとなり、アングバンドは破壊されてモルゴスは捕らえられた。
シルマリルは取り返されたが、一つは地中に、一つは海中に、そして最後の一つは天空(エアレンディルの星)にその永住の場を見出し、世界の終末まで再び回収されることはなくなった。
怒りの戦いによってベレリアンドは破壊され、海中に没した。禁を解かれたノルドール族やベレリアンドのエルフたちは船でアマンへ渡ったが、中つ国を去りがたく思い、留まる者もいた。
年表†
以下の年表は『シルマリルの物語』、『終わらざりし物語』、『The War of the Jewels』に基づく。
二つの木の時代から続く
年 | 事象 |
---|---|
1 | 月が昇る。フィンゴルフィンの一党が中つ国に進軍する。太陽が昇る。人間がヒルドーリエンで目覚める。フィンゴルフィンたちがアングバンドの城門でモルゴスに挑戦を呼びかける。 |
2 | フィンゴルフィンたちが退いてミスリムに野営する。 |
5 | フィンゴンが単独でマエズロスの救出に向かう。フィンゴンがソロンドールの助けを得てサンゴロドリムからマエズロスを救出する。マエズロスがフィンゴルフィンにノルドールの王権を譲る。 |
6 | ノルドールが団結。アングロドがフィンロドの使者としてドリアスに赴き、シンゴルからノルドールがベレリアンドに住む許しを得る。 |
7 | ノルドールがミスリムで会議を持つ。アングロドがシンゴルの言葉を伝える。フェアノールの息子たちが会議を去り、東の辺境へ移る。 |
20 | メレス・アデルサドの宴が開かれる。 |
50 | トゥルゴンとフィンロドにウルモから夢の啓示が下される。 |
52 | フィンロドとガラドリエルがドリアスに招かれる。フィンロドは夢のことをシンゴルに打ち明け、彼の助言を受けてナログの洞窟を発見し、ナルゴスロンドの造営を開始する。ガラドリエルはドリアスに留まり、メリアンとの仲を深める。 |
53 | ウルモの導きでトゥルゴンがトゥムラデンの谷間を発見し、ティリオンに倣った都市の構想を抱く。 |
60 | ダゴール・アグラレブ。アングバンドの包囲の開始。 |
64 | トゥルゴンが密かに民の一部をトゥムラデンへ送り、ゴンドリンの建設を開始する。 |
65 | ブリソンバールとエグラレストの港がノルドールの助力で改修される。バラド・ニムラスの塔が建てられる。 |
66 | ガラドリエルとメリアンの流謫のノルドールについての問答。メリアンがシンゴルにシルマリルとノルドールに関する予言と警告を与える。 |
67 | シンゴルが同族殺害を知る。シンゴルがドリアスを訪れたフィナルフィンの息子たちを詰問し、 シンダールにクウェンヤの使用を禁ずる。 |
102 | この頃ナルゴスロンドが完成。フィナルフィンの息子たちが祝宴に集まり、ガラドリエルもドリアスから来てしばらくナルゴスロンドに住む。 |
116 | ゴンドリンが完成。トゥルゴンの前にウルモが現れ、予言を与える。トゥルゴンは予言に従い、ヴィンヤマールの館に武具を残し、自分の民を密かにネヴラストからゴンドリンに移住させる。 |
150 | カランシルがドワーフと遭遇し、彼らと同盟を結ぶ。 |
155 | モルゴスがオークの軍勢をヒスルムに送り込むが、事前に察知されて撃退される。 |
260 | グラウルングがアングバンドから初めて出撃するが、フィンゴンに撃退される。「長い平和」が始まる。 |
310 | オッシリアンドでフィンロドがベオルの族と遭遇する。緑のエルフからの苦情とフィンロドの忠告を受けてベオルの族はエストラドに移る。 |
311 | フィンロドに仕えるようになったベオルがエストラドを去る。 |
312 | ハラディンの族がベレリアンドに入る。彼らは緑のエルフに冷遇されたため、サルゲリオンに定住する。 |
313 | マラハ(Marach)の族がベレリアンドに入る*1。彼らは親しいベオルの族が住むエストラドに定住する。 |
316 | アルエゼルがゴンドリンを去る。フェアノールの息子たちのもとへ向かったアルエゼルはナン・エルモスでエオルと出会い、彼の妻となる。 |
320 | ナン・エルモスでマエグリン誕生。 |
322-336 | この間、マラハ(Malach)がヒスルムに住む。 |
330-380 | この間、エストラドからノルドール諸国へのエダインの移住が進む。 |
369 | エストラドでエルダールに反感を持つエダイン(統率者はベレグ(Bereg)とアムラハ)の集会が開かれる。 |
375 | ハラディンの族がオークの襲撃を受ける。ハルダドとハルダルが戦死。カランシルの援軍でハレス(Haleth)ら生存者が救われる。 |
376-390 | この間、ハレス(Haleth)を族長とするハラディンの族がエストラドに住む。 |
400 | アルエゼルがマエグリンを連れてゴンドリンに戻る。エオルは彼らを追跡して捕らえられる。トゥルゴンの前に引き出されたエオルはアルエゼルを殺害し、処刑される。 |
405-415 | この間、ハドルがフィンゴルフィン王家に仕える。 |
410 | ボロミルにラドロスの統治権が与えられる。 |
416 | ハドルにドル=ローミンの統治権が与えられる。 |
436 | ハルディルとグロールエゼル、ガルドールとハレス(Hareth)がそれぞれ結婚する(ハドル家とハレス家の二重の婚姻関係)。 |
455 | 年始めの冬至の夜、ダゴール・ブラゴッラハが勃発。アングバンドの包囲が破られ、「長い平和」が終わる。バラヒルがフィンロドを救い、彼からバラヒルの一族を助ける誓いとその証の指輪を授かる。ドルソニオンとマエズロスの辺境国が突破されるが、ヒムリングの丘は持ち堪える。ケレゴルムとクルフィンがナルゴスロンドへ逃れる。アングロド、アエグノール、ブレゴラス、ハドル、グンドール戦死。 |
アングバンドの解囲を受け、トゥルゴンが密かに使者たちをシリオンの河口とバラール島に送り、船を作らせてアマンへ向かわせるが、みな航海に失敗する。 | |
456 | フィンゴルフィンがアングバンドの城門でモルゴスに一騎打ちを挑んで殺される。フィンゴンがギル=ガラドをファラスの港へ送る。 |
バラヒルがベオルの族の男たちを率いてモルゴス軍への抵抗を続ける(ドルソニオンの無宿者たち)。エメルディルが民の女子供を連れてドルソニオンから脱出する。 | |
457 | サウロンがミナス・ティリスの塔を奪い、オロドレスがナルゴスロンドへ逃れる。トル・シリオンの島はトル=イン=ガウルホスと呼ばれるようになる。 |
458 | ハルミルとベレグ(Beleg)がシリオンの山道から南下してきたオークの軍団を壊滅させる。戦いで仲間とはぐれたフーリンとフオルがソロンドールの大鷲によってゴンドリンへ運ばれ、トゥルゴンに迎えられる。 |
459 | フーリンとフオルがトゥルゴンに暇乞いをし、ドル=ローミンに帰還する。 |
460 | ゴルリムがサウロンの罠にはまり、ドルソニオンの無宿者たちがベレンを除いて全滅する(バラヒル、バラグンド、ベレグンド殺害)。ベレンがバラヒルの指輪を奪回する。ベレンはドルソニオンを放浪する孤独の無宿者となる。 |
462 | モルゴス軍がヒスルムを攻撃する。エイセル・シリオンの包囲戦でガルドール戦死。代わりにフーリンが敵を撃退する。フィンゴンはキールダンの援軍を得て勝利する。 |
463 | 東夷たちがベレリアンドに入る。マエズロスは彼らと同盟を結ぶ。 |
464 | 年始めの冬至の後、サウロンの軍に追い詰められたベレンがドルソニオンからドリアスへ向かう。 |
春、フーリンとモルウェンが結婚する。同年中にドル=ローミンでトゥーリン誕生。 | |
夏至、ネルドレスの森でベレンがルーシエンと出会い、以降彼女を捜し求める。 | |
465 | 春の初め、ルーシエンがベレンを愛するようになる。ダエロンが二人の逢瀬を知り、シンゴルに告げ口する。シンゴルの前に引き出されたベレンはルーシエンとの結婚を望み、シンゴルはその代償としてシルマリルを要求する。ベレンはナルゴスロンドを訪れ、フィンロドはバラヒルとの誓いを果たすためにベレンの「シルマリルの探索」を助ける。 |
秋、ベレンとフィンロドがエドラヒルら十人の仲間と共にナルゴスロンドを出発するが、シリオンの山道でサウロンに捕まり、トル=イン=ガウルホスの地下牢に投獄される。フィンロドが巨狼と相討ちになる。ダエロンがシンゴルに告げ口し、ルーシエンがヒーリルオルンに軟禁される。ルーシエンはヒーリルオルンから脱出し、ナルゴスロンドでは猟犬フアンの助けでケレゴルムとクルフィンから逃れる。ルーシエンとフアンがトル=イン=ガウルホスでドラウグルインら巨狼たちを倒し、サウロンを撃退し、ベレンを救出する。ナルゴスロンドを追われたケレゴルムとクルフィンがヒムリングへ向かう道中でベレンとルーシエンを襲うが、フアンの離反もあり、追い払われる。 | |
466 | ベレンとルーシエンがアングバンドに潜入し、シルマリルの一つを奪う。カルハロスがベレンの右手ごとシルマリルを食らう。ベレンとルーシエンのドリアスへの帰還と時同じくしてカルハロスが同国に侵入する。狼狩りが行われ、フアンとカルハロスは相討ちとなり、シンゴルを庇ったベレンが死ぬ。シルマリルがカルハロスの体内から回収される。 |
ラライス誕生。 | |
467 | ルーシエンの魂がマンドスの館へ去る。 |
468 | この頃、ベレンとルーシエンの勲に刺激されたマエズロスが、マエズロスの連合を提唱する。 |
469 | この年、ベレンとルーシエンが蘇る。二人はドリアスを訪れた後、オッシリアンドのトル・ガレンに住む(ドル・フィルン=イ=グイナール)。 |
春、マエズロスが連合の時期尚早な攻撃を行い、ベレリアンドを一時的に解放する。 | |
秋、悪しき吐息の病が北方で流行る。年が終わる前にはトゥーリンが病に伏せ、ラライスが病死する。 | |
470 | ドル・フィルン=イ=グイナールでディオル誕生。 |
471 | ハルミル死去。 |
472*2 | 春の初め、フオルとリーアンが結婚する。フオルはその二か月後に出陣。 |
夏至、ニルナエス・アルノエディアドが始まる。ハルディル、フオル、アザグハール、フィンゴン戦死。グウィンドール、フーリンが囚われる。フェアノールの息子たちはオッシリアンドへ逃れる。マエズロスの辺境国、ヒスルムの王国が滅び、トル・シリオンも奪還される。モルゴスがフーリンの家族を呪い、フーリンをサンゴロドリムの椅子に座らせる。 | |
グロールエゼルが悲嘆のあまり死去。リーアンは荒野をさ迷い、ミスリムの灰色エルフに助けられる。年が終わる前の冬にトゥオル誕生。リーアンはトゥオルの養育をアンナイルら灰色エルフたちに託し、ハウズ=エン=ヌデンギンの上で死ぬ。 | |
モルゴスの命令で東夷がヒスルムに移住し、ハドルの族の生き残りを迫害して奴隷とする。秋、モルウェンがトゥーリンをドリアスへ送り出す。 | |
473 | 年の初め、ニエノール誕生。 |
トゥーリンがドリアスに到着。シンゴルに迎えられ、彼の養子となり、メネグロスで暮らすようになる。 | |
この年、モルゴスがベレリアンドへの攻撃を再開する。オークと狼が遠くナン=タスレンとオッシリアンドの境まで出没する。冬が来る前、大軍が北からファラスへ侵攻し、ブリソンバールとエグラレストの港を包囲戦の末に陥落させ、バラド・ニムラスの塔を破壊する。キールダンとギル=ガラドは船でバラール島へ逃れる。 | |
ファラスの惨状を聞いたトゥルゴンが再びアマンへの使者をシリオンの河口に送る。後に使者たちはキールダンの作った計七隻の船で船出したが、ヴォロンウェ以外消息を絶つ。 | |
481 | ドル=ローミンとドリアス間の音信が途絶える。トゥーリンが龍の兜を被ってドリアスの北の国境での戦闘に赴く。同地でトゥーリンはベレグの戦友となる。 |
484 | 夏、国境からメネグロスに戻ったトゥーリンがサエロスと揉め事を起こし、サエロスが死ぬ。トゥーリンはシンゴルの裁きを受けることを拒絶してドリアスから逃亡する。トゥーリンがテイグリン川の南の森でガウアワイスに遭遇し、ネイサンと名乗ってその一党に加わる。 |
夏の終わり近く、ネルラスの目撃証言を受けてシンゴルがトゥーリンを許す裁定を下す。ベレグがトゥーリンを捜す旅に出る。 | |
485 | トゥーリンとベレグがいなくなったことでドリアス周辺のオークの活動が活発化し、アナハの山道からは新手のオークが来る。 |
春、トゥーリンがラルナハの娘を襲ったフォルウェグを殺し、ガウアワイスの首領となる。ベレグがその事件を知り、ガウアワイスの追跡を始める。オークの軍勢を偵察していたトゥーリンが発見されて行方をくらます。ベレグはガウアワイスを見つけるが、アンドローグから手荒に扱われる。帰って来たトゥーリンはベレグと話すが、自尊心からドリアスへの帰還を拒否する。 | |
夏、ガウアワイスがミームと遭遇し、アモン・ルーズのバル=エン=ダンウェズを住処とする。アンドローグの矢でキームが死に、ミームがアンドローグを呪う。 | |
ドリアスに戻ったベレグがシンゴルとメリアンにトゥーリンのことを報告し、暇を貰う。ベレグはその餞別としてアングラヒェルとレンバスを賜る。メリアンがアングラヒェルの不吉な運命を予言する。ベレグは北の国境に戻り、ディンバールからオークを撃退する。 | |
冬、ベレグがドリアスの北の国境から姿を消す。 | |
486 | 冬、ベレグがアモン・ルーズに龍の兜を携えてやって来る。ベレグはまたもトゥーリンの説得に失敗するが、彼への愛情からそのまま留まる。後にゴルソル(トゥーリン)とベレグはガウアワイスの「二人の首領」となり、その縄張りはドル=クーアルソルと呼ばれるようになる。 |
488 | アンナイルら灰色エルフがアンドロスの洞窟を捨ててシリオンの港へ向かうが、オークと東夷に襲われる。トゥオルは捕まり、ロルガンの奴隷となる。 |
489 | オークに捕まったミームが彼らをバル=エン=ダンウェズまで案内し、オークの襲撃でガウアワイスが全滅する。アンドローグは戦死し、トゥーリンは拉致される。ベレグは逃げ去るミームを呪い、傷が癒えるとオークを追跡する。 |
ベレグがタウル=ヌ=フインでグウィンドールと出会う。二人はオークの夜営地から眠っているトゥーリンを救出するが、目を覚ましたトゥーリンはベレグを敵と見誤り、アングラヒェルで彼を殺す。トゥーリンは自らの過ちに放心状態となる。 | |
490 | グウィンドールがトゥーリンをエイセル・イヴリンに連れて来る。水を飲んだトゥーリンが正気を取り戻し、グウィンドールからアングラヒェルを渡される。二人はナルゴスロンドへ向かい、同国で迎えられる。 |
490-495 | この間、ナルゴスロンドでトゥーリンはオロドレスに気に入られ、フィンドゥイラスから愛される。アングラヒェルがグルサングに鍛え直され、トゥーリンはモルメギル(黒の剣)の名で、ナルゴスロンドの大将として武名を轟かす。トゥーリンの影響を受けてナルゴスロンドのエルフは隠密を捨てて表立って戦うようになり、シリオン川とネンニング川の間の地から敵を駆逐する。 |
491 | トゥオルがロルガンのもとから脱走し、アンドロスの洞窟に住む孤独な無法者となる。 |
494 | モルメギルの活躍で南への旅が安全になり、モルウェンとニエノールがドル=ローミンからドリアスへ逃れ、同国の客人となる。 |
495 | 年の初め、ウルモの導きでトゥオルがアンドロスの洞窟から旅立つ。アンノン=イン=ゲリュズでゲルミルとアルミナスに出会う。キリス・ニンニアハを通ってネヴラストに入り、以降秋まで同地に住む。 |
春、ゲルミルとアルミナスがナルゴスロンドに来て、ウルモからの警告をオロドレスに伝える。ブレシルにオークが侵入し、ハンディルが戦死する。 | |
秋、モルゴスが大軍勢をナルゴスロンドへ進軍させる。グラウルングがエイセル・イヴリンを汚し、タラス・ディルネンを焼く。トゥムハラドの合戦。オロドレス、グウィンドール戦死。ナルゴスロンドの寇掠。グラウルングの呪縛に囚われたトゥーリンがドル=ローミンへ向かう。グラウルングがナルゴスロンドに棲み着く。 | |
フィンドゥイラスら捕虜の女たちを連行するオークをドルラスらハレスの族がテイグリンの渡り瀬の近くで攻撃するが、捕虜はオークに皆殺しにされる。ハレスの族はハウズ=エン=エッレスを築き、フィンドゥイラスを葬る。 | |
秋、トゥオルが七羽の白鳥たちの導きでタラス山へ向かい、ヴィンヤマールの館でトゥルゴンの武具を帯びる。ウルモが顕現し、トゥオルに自分の使者としてゴンドリンへ行くよう指示し、マントを与える。トゥオルはウルモの加護で漂着したヴォロンウェと出会い、彼の案内でゴンドリンへ向かう。道中のエイセル・イヴリンでドル=ローミンへ急ぐトゥーリンとすれ違う。過酷な冬が来る。ゴンドリンに到着したトゥオルはウルモの警告をトゥルゴンに伝える。 | |
496 | 年の初めの過酷な冬、トゥーリンがドル=ローミンに帰還する。トゥーリンが東夷のブロッダを彼の屋敷内で殺したことで殺し合いが起き、サドルは死に、アエリンは自害する。トゥーリンは逃亡し、アスゴンらハドルの族に助けられて山中の洞窟に隠れ、雪が止むとシリオンの谷間へ向かう。*3 |
トゥーリンがフィンドゥイラスを捜索し、ドルラス率いるハレスの族と遭遇する。トゥーリンは彼らからフィンドゥイラスの死を知らされ、ハウズ=エン=エッレスで気を失う。ドルラスらはトゥーリンをブレシルのエフェル・ブランディルへ運び、ブランディルは彼に不吉な運命を感じるが、自宅に引き取って手当てする。 | |
春、トゥーリンが目覚める。彼はトゥランバールと名乗り、ブレシルの民として生きる道を選ぶ。彼は変わらずオークと戦うが、グルサングの使用を止める。 | |
過酷な冬が過ぎる頃、ドリアスにナルゴスロンド滅亡の知らせが届く。モルメギルがトゥーリンであることを知ったモルウェンが物狂いとなってトゥーリン捜索のために出奔し、やむなくマブルングらの護衛とニエノールが同行する。ナルゴスロンドに来た一行に気付いたグラウルングが霧を発生させ、彼らを散らす。モルウェンは行方不明に。ニエノールはアモン・エシルでグラウルングに忘却の呪縛をかけられ、記憶喪失となる。マブルングはニエノールを連れて帰るが、道中でオークに襲われ、彼女も行方不明になる。マブルングはその後、ベレリアンド中で二人を捜索する。 | |
ハウズ=エン=エッレスでトゥーリンがニエノールを発見し、ニーニエルの名を与える。エフェル・ブランディルへ連れ帰る途中、ディムロストでニエノールが発作に襲われ、病に倒れる。ブランディルらがニエノールを看病し、秋が来る前までに回復する。ブランディルはニエノールと親しくなり、彼女を愛する。一方、ニエノールはトゥーリンを愛する。 | |
497 | この頃、オークはテイグリンの渡り瀬を避けた為、ブレシルは平和。トゥーリンはニエノールに求婚するが、彼女はブランディルの忠告を受けてこの時は保留する。トゥーリンはブランディルの忠告を不満に思う。 |
ディオルとニムロスが結婚する。 | |
498 | 春、トゥーリンがニエノールに再び求婚する。 |
夏至、トゥーリンとニエノールが結婚する。 | |
年の終わり、グラウルング指揮下の強力なオークの部隊がブレシルを攻撃する。ニエノールの懇願でトゥーリンは初め戦いに出ないが、敗走してきたドルラスに非難された為、グルサングを手にして戦いに出る。多くのブレシルの民が彼に従い、彼らはオークを殲滅する。 | |
499 | 春、グラウルングがナルゴスロンドから出撃し、行く先の土地を焼きながらブレシルへ向かう。 |
夏、グラウルングがブレシルに来る。トゥーリンがドルラスとフンソルを伴って龍退治に出るが、ドルラスはテイグリン川の急流に怖気づき、フンソルはカベド=エン=アラスの落石で死ぬ。トゥーリンはグルサングでグラウルングを倒すが、その血の毒と邪眼を浴びて気を失う。ニエノールが今際のグラウルングからトゥーリンが実兄であることを告げられ、記憶が戻り、テイグリン川に身投げする。ブランディルがドルラスと出会い、彼を殺す。トゥーリンが目覚め、ブランディルの言葉に怒り、グルサングで彼を殺す。トゥーリンはマブルングと再会し、彼から真相を知り、グルサングで自害する。マブルングらエルフとハレスの族は不運なる者たちの墓石を作ってトゥーリンとグルサングを葬る。 | |
ミームがナルゴスロンドに住み着く。 | |
500 | モルゴスがフーリンを解放する。ヒスルムに来たフーリンに東夷は手を出さず、ハドルの族は彼を避ける。 |
501 | フーリンがヒスルムを去り、エホリアスの麓に来て、トゥルゴンに呼びかける(これを聞いた間者によってモルゴスがゴンドリンのおおよその位置を掴む)。フーリンがカベド・ナエルアマルスに来て墓石の傍らでモルウェンと再会し、彼女の最期を看取る。 |
502 | トゥオルとイドリルが結婚する。 |
フーリンがナルゴスロンドに来てミームを殺す。フーリンはナルゴスロンドの宝からナウグラミールを持ち出し、メネグロスでシンゴルに贈る。 | |
シンゴルがノグロドのドワーフにナウグラミールとシルマリルを組み合わせる仕事を依頼する。完成品を巡ってシンゴルとドワーフが口論になり、シンゴルが殺される。 | |
503 | 春、ゴンドリンでエアレンディル誕生。 |
オッシリアンドでエルウィング誕生。 | |
ノグロドのドワーフの軍勢がドリアスに侵攻する。マブルングが戦死し、メネグロスが略奪される。知らせを聞いたベレンが緑のエルフを率いてサルン・アスラドでドワーフを待ち伏せて撃破し、ナウグラミールを奪還する。ディオルが妻子を連れてメネグロスに移住し、ドリアスの復興に努める。 | |
秋の夜、 ナウグラミールがディオルの許に届けられる。ディオルはナウグラミールを帯びる。 | |
505 | 誓言に縛られたフェアノールの息子たちがディオルにシルマリルの返還を要求するが、ディオルは返答せず。 |
506 | ケレゴルムが兄弟たちを煽動し、彼らはドリアスへの襲撃を準備する。 |
506~507年にかけてのユールに、フェアノールの息子たちがドリアスを襲撃する。メネグロスでの戦いでディオルとニムロスが殺される。ケレゴルムはディオルの手によって殺され、クルフィンとカランシルも死ぬ。エルレードとエルリーンがケレゴルムの召使によって森に放置される。 | |
507 | エルウィングらドリアスの生存者がシルマリルを持ってシリオンの河口へ逃れる。 |
509 | マエグリンがオークに捕まってアングバンドへ連行され、モルゴスの内通者となる。 |
510 | 夏の門の前夜、モルゴスの軍勢がゴンドリンを襲撃する。ゴンドリンの陥落。トゥルゴン戦死。エクセリオンがゴスモグと相討ちになる。トゥオルがマエグリンを殺す。キリス・ソロナスでグロルフィンデルがバルログと相討ちになる。 |
トゥオルに率いられたゴンドリンの生存者が南へ旅し、年の終わり頃ナン=タスレンで休息する。 | |
511 | ゴンドリンの遺民がシリオンの河口に着き、ドリアスの遺民と合流する。 |
512 | フェアノールの息子たちがシリオンの港にシルマリルがあることを知るが、ドリアス襲撃を後悔するマエズロスは誓言の遂行を控える。 |
525 | トゥオルがエアルラーメを建造し、イドリルと共に西方へ船出する。以降、彼らの消息は絶える。 |
エアレンディルとエルウィングが結婚する。 | |
527 | フェアノールの息子たちに誓言を果たさない苦しみが降りかかる。 |
532 | エルロス誕生。 |
534 | エアレンディルがヴィンギロトで航海に出る。 |
538 | フェアノールの息子たちがシリオンの港を襲撃する。港は滅び、エルウィングはシルマリルを抱いて海に身を投げる。アムロド、アムラス戦死。エルロスとエルロンドは捕らわれるが、マグロールに養育される。 |
ウルモに救われ、白い鳥の姿となったエルウィングがエアレンディルのもとに来る。 | |
542 | エアレンディルがヴァリノールに到達する。 |
545 | ヴァラールの軍勢がベレリアンドに上陸する。 |
545-587 | 怒りの戦い。アンカラゴンがエアレンディルによって倒される。アングバンドは破壊され、モルゴスが捕らえられる。この戦いでベレリアンドの地は破壊され、海に沈む。 |
587 | マエズロスとマグロールが二つのシルマリルを手にする。 |
590 | エルダールが中つ国から大海を渡る。モルゴスが虚空へ放逐される。第一紀終わる。 |
第二紀へ続く
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