森の王国

概要

カテゴリー地名
スペルWoodland Realm
その他の呼び名森エルフの王国(Wood-elves' realm)、スランドゥイルの王国(realm of Thranduil, Thranduil's realm)

解説

闇の森の北部にあるシルヴァン・エルフの王国。王はスランドゥイル指輪の仲間の一人レゴラスの出身地。
「森の王国」の名称は『二つの塔』で一度だけ使われるもので、作中では森エルフの王国スランドゥイルの王国、あるいは単に「闇の森」と言及されることが多い。

あの魔の川から四日たったころ、一同は、ほとんどブナの木ばかりしげっている場所にでました。はじめのうちは、このかわり方に声をたててよろこびました。それは、びっしり茂る下草がなく、くらがりがひどくなかったからで、あたりには緑色のほの明るさがただよい、道の両がわがかなり遠くまで見とおせるところが、ほうぼうにありました。明るいといっても、とほうもなく大きなたそがれの広間のなかに立ちならぶ柱の列のように、黒っぽい幹が限りなく列をつくっているのが見えるだけです。でも空気には動きがあり、風の音もします。もっともそれはかなしげな音でした。木の葉がひらひらまいおちてきて、森のそとには秋が来ていることを思い知らせました。いままでのかぞえきれない秋ごとに、森の中に落ちてはつもったかぎりない落葉が、ぶあつく赤いじゅうたんとなっていますが、ふきよせられて道の上にもふかくつもったその落葉を、一同はかさかさけちらして歩きました。*1

闇の森のエルフは地上や木の上に家や小屋を建てて住み(特に橅を好んだという)、森で狩りをしたり、東の土地で仕事をして生活していた。金属や宝石の採掘や加工は行わず、農業や商業にもあまり熱心ではなかった。
エスガロス湖の人とは交易を行っていた*2たての湖(沼地)の拡大でエルフ道などの森の外の土地へ通じる道が使えなくなってからは、森の川だけが唯一の安全な交易路兼移動路となった。森の王国は森の川を管理下に置き、エスガロスから川の通行料を徴収していたので、そのことで両者が揉めることもあったが、エスガロスの町がスマウグの襲撃で潰滅したことを知るといち早く救援に赴くなど、基本的には良好な関係を築いていた。

闇の森のエルフ

王国の民の大部分はシルヴァン・エルフ(森のエルフ)である。
スランドゥイルレゴラスなど統治者層の出自はシンダールであったが、かれらは森エルフの素朴な暮らしに馴染むことを望み、シルヴァン風の名前と習慣を取り入れていたという。
そのため闇の森のエルフは、シンダールおよびノルドールの影響をより積極的に受け入れたロスローリエンのエルフ(ガラズリム)と較べて粗野であり、技量も低かった。

歴史

荒地のくにで、むかしからずっと森エルフたちは、ののぼる前とののぼる前のたそがれのなかにくらしてきました。そしてのちに、日のかげになる森の中にさまよいこんだのです。 … 人間がやってきてからは、まえよりますます多く、うす暗がりとたそがれにかくれ住むようになりました。*3

もともと緑森大森林をはじめとしたアンドゥインの谷間の一帯には、ナンドールから分かれたシルヴァン・エルフが定住していた。

終わらざりし物語』によると第二紀以降、ロヴァニオンのシルヴァンはベレリアンド崩壊を逃れてきたシンダールの公子達を統治者として受け入れた。そうした公子の一人オロフェアは、アンドゥイン以東のシルヴァン・エルフを治める王となった。
当初オロフェアは闇の森の南西部、ロスローリエンの対岸にあるアモン・ランク(後のドル・グルドゥア)の近くに住んでいたが、サウロン勃興の噂におののいて三度北に移住し、第二紀末にはエミン・ドゥイア(後の闇の森山脈)の西部の谷間に住み*4、彼の民もドワーフ道(後の古森街道)より北にある森や谷間に住んだ。
かれらは最後の同盟に参加してサウロンを敵として戦ったが、独立心が強くギル=ガラドの最高指揮権を認めなかったことと、装備が軽装であったことから、必要以上の損害を蒙り、大軍であったにも関わらず森へ帰還した時にはその数はもとの三分の一にまで減少していたという*5

オロフェアが最後の同盟の戦いで戦死したため、その息子のスランドゥイル第三紀を通じての王であった。
森のエルフの数は再び増え始めたが、第三紀の中つ国は着実に人間の世界へ変化していき、エルフはそれを感じ取って不安に満たされるようになった。森の周囲に北方の自由の民東夷などの人間が増え、ドル・グルドゥアの闇の勢力が拡大するに伴い、エルフは森の北東部へ後退していき、スランドゥイルは森の端に近い場所に宮殿である岩屋を築いた。

第三紀2941年には王国内に侵入したトーリン二世彼の仲間たちを虜囚にするも、ビルボ・バギンズの機転で脱獄を許してしまう。その後、事態を注視していたスランドゥイルスマウグ死亡の報を聞いてはなれ山に向けて出陣するが、まずは破壊されたエスガロスへの援助を優先し、町の再建の目途が立つとバルド率いる湖の人の軍勢と共にはなれ山へ向かった。五軍の合戦で森の王国のエルフは三軍の一員として戦い、犠牲を出しつつも勝利した。
第三紀3018年から3019年指輪戦争では、森の王国はドル・グルドゥアから攻撃を受け、火によって森林に大きな被害が出たが、最後には攻撃を撃退した(闇の森樹下の合戦)。指輪戦争が終結するとスランドゥイルは闇の森の真ん中でケレボルンと会見し、闇の森をエリン・ラスガレンに改名するとともに、闇の森山脈以北の森を自らの王国とした。

第四紀になると、一部のエルフはレゴラスに率いられてイシリアンへ移住し、その地を美しく豊かにしたが、大部分の森のエルフはエリン・ラスガレンで落ち着いて暮らしたようである。

映画『ホビット』における設定

原作『ホビットの冒険』では存在が言及されていないレゴラスや、映画オリジナルキャラクターのタウリエルが森の王国のエルフとして登場する。

コメント

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  • 岩波書店のホビットでは、この国のエルフの大部分は王の岩屋に住んでいるとされているが、ただの誤訳なので注意(森エルフのほとんどは森の中に住んでいる)。 -- 2017-04-09 (日) 01:02:09
    • そういえば、一般のエルフがどういう住居に住んでるのか、特に何も記述されてないような。 -- 2017-04-09 (日) 02:46:32
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*1 ホビットの冒険』「ハエとクモ」
*2 特に王国内では葡萄が育たないので、森のエルフが好む葡萄酒は輸入に頼っていた。
*3 ホビットの冒険』「ハエとクモ」
*4 オロフェアが北へ移住したのはモリアドワーフや、ケレボルンガラドリエルが住むようになったロスローリエンと距離を置くためともされる。オロフェアと彼と共に来た少数のシンダールはかつてのドリアスの遺民であり、彼らは流謫のノルドールに好意を持っていなかった。
*5 とはいえ後に「あやめ野の凶事」でイシルドゥアの部隊を襲撃することになるオークの伏兵部隊が攻撃をさし控えるほどには依然として強力だった。

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Last-modified: 2017-04-10 (月) 18:26:11 (532d)