指輪(ゆびわ)物語(ものがたり)

概要

カテゴリー書籍・資料等
スペルThe Lord of the Rings
その他の呼び名指輪の王の没落と王の帰還(the Downfall of the Lord of the Rings and the Return of the King)*1

解説

ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン教授による、『ホビットの冒険』の続編として書かれた小説。中つ国第三紀指輪戦争の事が記されている。

児童文学として人気が出た『ホビットの冒険』の続編を希望されたトールキンは、当初は前作の主人公であったビルボ・バギンズを主役にして雰囲気も前作と同様の、単純な童話を想定して書き始めた。だが何度も書き直すうちに構想がどんどん膨らみ、やがてはトールキンが以前から形作っていた神話体系(シルマリルの物語の一部)も大きく組み込まれ、壮大な物語へと成長。1937年から1949年の間に断続的に執筆され、1954年~1955年にかけ全3巻の小説として出版された。
トールキン自身としてはこれは一続きの物語であり、分冊および各巻にサブタイトルを付すことは3部作(Trilogy)だと誤解されることになると反対的だったが、最終的には出版社の意向が通り現行の形となった。また、当初トールキンは『シルマリルの物語』も連続した物語であるとして、これも同時に発売することを希望していたが、とても完成が間に合わないとしてやはり見送られ、内容のごく一部が『追補編』に収録された形となった。

『指輪物語』はamazon.comで行われた「過去1000年で最高の本」アンケートのトップになった。これは大袈裟としても、『指輪物語』は20世紀最高の文学作品の一つとして認知されており、各巻ごとに約1億5000部を売り上げた。これは20世紀に執筆された小説としては最高記録である*2。またその結果、それまではおとぎ話の妖精に過ぎなかったエルフドワーフという種族のイメージを現在の形に一般化し、近代ファンタジー文学(そしてそのイメージをもとにしたゲームなど)の世界観の基礎を築いたという点は、誰もが認めるところである。

目次

全三部+追補編で構成されており、各部がさらに上下に分かれる。それぞれの巻の目次は各項目を参照。

巻頭詩

三つの指輪は、空の下なるエルフの王に、
 七つの指輪は、岩の(やかた)のドワーフの君に、
九つは、死すべき運命(さだめ)の人の子に、
 一つは、暗き御座(みくら)の冥王のため、
影横たわるモルドールの国に。
 一つの指輪は、すべてを統べ、
 一つの指輪は、すべてを見つけ、
 一つの指輪は、すべてを捕らえて、
  くらやみのなかにつなぎとめる。
影横たわるモルドールの国に。

ストーリー

ビルボ・バギンズ前回の冒険から60年後。111歳の長寿を迎えたビルボは、盛大な誕生会の席上で別れの挨拶を述べ、突如として文字通り姿を消してしまう。後継者であるフロド・バギンズのもとには、ビルボが前の冒険で手に入れた「魔法の指輪」が残された。
それから更に17年が経ち、しばらく音沙汰がなかった魔法使いガンダルフが久しぶりにフロドを訪ねてくる。ガンダルフは、ビルボが残した魔法の指輪が、実は冥王サウロンの「全てを統べる一つの指輪」であることを告げる。もしこの指輪が冥王の手に戻れば、中つ国は暗黒に包まれる。

そのためフロドは、一つの指輪を無に帰することができる唯一の場所である滅びの山を求めて旅に出る。フロドと仲間たちの前途には、数々の出会いと別れ、冥王の下僕である指輪の幽鬼の影、そして中つ国自由の民を巻き込む指輪戦争が待ち受けていた。

詳細なストーリーについては以下を参照。

標題紙のテングワール

『指輪物語』標題下部

v westmarch by jhon ronald reuel tolkien herein iz set forth
dh historí v wor v ring nd dh return v king az seen by dh hobbits.

of Westmarch by John Ronald Reuel Tolkien herein is set forth the history of the War of the Ring and the return of the King as seen by the hobbits.

訳し方については、フェアノール文字の項を参照。

翻訳について

この本は(それ以前に出版された『ホビットの冒険』を含めて)「ホビット西方語で書いた西境の赤表紙本を、トールキンが英語に翻訳した」という形で書かれている。
そのためホビットにとって馴染みのある言葉は英語で表記され、ホビット語と歴史的関連のあるローハン語古英語で表記されている。その一方で、ホビットにはわからないエルフ語などは、別の言語としてそのまま記述されている。

ゆえにトールキンは各国語に翻訳するときも、英語で表記されている部分はその国の言語に全て翻訳し、その他の言語はそのまま残すように指示している。
日本語版の『指輪物語』は可能な限りこの意をくみ取り、瀬田貞二によって(現在小説風にするなら英語を片仮名で表記するであろう所も)独特の日本語に翻訳して表記されている。

日本語版書籍

トールキン生誕100周年に合わせ、イギリスではアラン・リーの挿し絵が入った版の発行が行われたが、それにあわせて日本でも訳の修正などが行われた新版が発売された。現在発行されているのはこの新版である。

文庫版

旅の仲間4巻、二つの塔3巻、王の帰還2巻、追補編1巻の全10巻(追補編は他より遅れて出版された。全9巻セットには、追補編は含まれていない)。表紙はアラン・リーのイラストで、寺島龍一によるモノクロの挿絵入り。
旧版では全6巻で、追補編は一部が省略されていた。

愛蔵版

旅の仲間二つの塔王の帰還各2巻、追補編1巻の全7巻。表紙はアラン・リーのイラストで、寺島龍一によるモノクロの挿絵入り。
旧版では全6巻だった。

カラー愛蔵版

旅の仲間二つの塔王の帰還各1巻の全3巻(追補編は『王の帰還』内に収録)。表紙は他の版の扉ページにもある一つの指輪のロゴマークで、アラン・リーによるカラーの挿絵入り。
トールキン生誕100周年記念として、新版で新たに出版された。

オーディオブック版

大川透?によるリーディングで、audiobook.jpにて旅の仲間上巻が発売中、以降の巻も追補編まで順次発売予定*3

他のメディアへの展開

ラジオドラマ化

イギリスでBBC RADIO COLLECTION The Lord of the Ringsが製作され、放送された。CD化もされている。

映画化

1978年にアニメ映画として『ロード・オブ・ザ・リング 指輪物語』が制作された。だが、多くの原作ファンにとって、この映画は満足のいく出来ではなかった。また、この映画の続編の形式で、1980年にTV番組アニメ『The Return of The King』が放映された。
『指輪物語』の世界観の壮大さ、多彩な幻想的表現などにより、長らく「映画化は不可能」と言われ続けていたが、CG技術の発達がそれを可能にする。
2001年から2003年にかけて実写映画『ロード・オブ・ザ・リング』三部作が公開された。

また、『指輪物語』の記述の一部を原作にして制作された非営利映画『The Hunt for Gollum』『Born of Hope』がある。

テレビドラマ化

2017年、アマゾン・スタジオがドラマ化の権利を獲得し、テレビドラマ化が決定した(Lord of the Rings TV Series)。複数シーズンの契約であり、映画『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』の前日譚となる予定。また、さらなるスピンオフシリーズの可能性も契約には含まれている模様である。

ゲーム化

『指輪物語』を直接題材にしたゲームは、特に英語圏で多く発売されている。古い物になると、日本ではスタークラフト社が日本語化して発売した『指輪物語 第1章 旅の仲間』『指輪物語 第2章 二つの塔』が比較的良く知られている(『王の帰還』は発売中止)。

映画『ロード・オブ・ザ・リング』公開に合わせ、エレクトロニック・アーツより「映画のゲーム化」という形で、多数のゲームが発売された。その後ゲーム化権はWB Gamesが獲得し、ウォー・イン・ザ・ノース:ロード・オブ・ザ・リングGuardians of Middle-Earthシャドウ・オブ・モルドールLEGO The Lord of The Ringsシャドウ・オブ・ウォーなどが発売されている。
一方で、Turbineからは「原作のゲーム化」という形で『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』のサービスが2007年より行われている(その後Turbineはワーナーに買収されるが、さらにStanding Stone Gamesとして独立)。

テーブルトークロールプレイングゲームととしては、Iron Crown Enterprises(ICE)から『指輪物語ロールプレイング(MERP)』が発売され、邦訳版も出たほか、ICEは原作を拡張する形で多数の設定を追加した。その後ICEは『指輪物語』関連の権利を手放しており、発売終了。Cubicle7社は新たに『The One Ring Roleplaying Game』を発売しているが、こちらは未邦訳。

またこれら正規のライセンスを得て制作されたものの他にも、『指輪物語』は様々な形でゲームとして登場した。『指輪物語』の世界を題材とした、Moria?Angbandというゲームがフリーソフトとして公開されているほか、『ダンジョンズ&ドラゴンズ(Wikipedia:ダンジョンズ&ドラゴンズ)』などに始まるゲーム文化に多大な影響を与えている。

コメント

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照(コメントページ直接編集もこちら)

  • アニメ(日本の)、ドラマCD(人気声優を大勢起用)、人形劇、漫画……実写映画以外のメディア化作品も見たい -- 2016-05-18 (水) 11:19:07
    • BBC版ならCDあったような。人気声優ではないですが。って書いたら、このWikiに項目ありましたね... -- 2016-05-18 (水) 14:05:53
      • フロド(CV:神谷浩史)なら腐女子にもそれ以外の女子にも大ウケ間違いなしだな -- 2016-05-25 (水) 15:15:28
      • ピピン=(梶悠貴)とか? -- 2016-06-13 (月) 02:03:52
    • 円谷英二さん監督で「怒りの戦い」昭和30年代特撮テイストで見たい。 キャスト(例) モルゴスさん:ウルトラマンベリアル、アンカラゴンさん着ぐるみ:中島春男、マンウェさん:志村喬、ヴィンギロト:α号、音楽:伊福部昭さん・・・ 次のエルさん音楽の前にちょっと死人占い師さんに虚空から呼んでもらっていつか是非。 -- 2016-07-20 (水) 23:55:55
      • 良いね! -- 2016-07-21 (木) 22:09:15
  • 初めて「指輪物語」を読む人は頑張ってください。これを読破できれば、長い本を読みぬく”読破力”が身に付くと思いますよ。 -- 2016-07-20 (水) 09:25:14
    • 初見の方は序章にあるホビットの説明が最初の関門。あとがきと見なして、最後に流し読みするのも一つの手。よく一巻目さえ突破すればと言われてるが、個人的には「九.躍る仔馬亭で」まで辿り着ければ、後は割とスラスラ読めるという印象。 -- 2016-10-10 (月) 21:06:16
      • むしろ序章は飛ばせと声を大にして言いたい。 -- 2016-10-12 (水) 23:20:33
  • 日本国内のトールキンファンの作家で連作アンソロジーとかやってみてほしい。無論かなり厳しいだろうが -- 2016-10-12 (水) 23:18:57
  • チェスか何かのボードゲームで指輪キャラと対戦するイロモノPCゲーとかやってみたいな -- 2017-03-05 (日) 02:54:33
    • KingならぬRingを取ったら冥王側の勝ち -- 2017-03-06 (月) 15:02:38
      • 白「俺の勝ちだな」黒「ぐぬぬぬ…なんのっ!ヌメノール滅亡!」(チェス盤をひっくり返す) -- 2017-03-07 (火) 23:58:54
    • 黒側はサウロン(キング)、魔王(クイーン)、じゅう(ビショップ)、ナズグル(ナイト)、トロル(ルーク)、オーク(ポーン)とか -- 2017-03-09 (木) 14:23:24
      • 指輪物語キャラをチェスの駒にしたというだけのものなら既に色々ありますよ(Google画像検索の結果)。ただこれでゲームすると、どの駒がチェスで何にあたるかわかりにくそうですがw -- 2017-03-09 (木) 16:07:14
    • 麻雀…いや何でもない -- 2017-03-09 (木) 21:13:29
  • トールキン本当に素晴らしい物語をありがとう! -- 2017-05-28 (日) 23:52:45
  • The Lord of the Jongs(雀) -- 2017-07-25 (火) 16:05:28
    • 卓の仲間 -- 2017-07-25 (火) 16:06:30
      • アラゴルン「ロンッ!」 -- 2017-11-04 (土) 14:37:31
    • 二つの棒 -- 2017-07-25 (火) 16:07:23
    • 王の役満 -- 2017-07-25 (火) 16:08:15
  • ドラマ化の話し合いが進行中。今ならドラマで映画のクオリティを越えられるかも。それも、より原作に忠実な筋書きで -- 2017-11-04 (土) 14:35:38
    • 本当かー本当なのかー? -- 2017-11-04 (土) 16:02:14
    • 指環に関しては映画で十分完成されてると思うからやるなら他の部分を映像化してほしいな -- 2017-11-04 (土) 19:13:54
      • やはり「シルマリルリオン」の映像化を期待してしまうなあ(*´ω`*) -- 2017-11-04 (土) 20:25:48
      • 映画でやるには長すぎるけど何シーズンもやる洋ドラならなんとかなりそうだしねぇ、期待したい -- 2017-11-04 (土) 20:55:29
    • 今のアメリカは映画よりもドラマの方が主流ですからね。 映画より充実する可能性もあるでしょう。 ただ、打ち切りの危険性がつきまとうのが・・・ -- 2017-11-22 (水) 12:56:11
  • 本屋で指環物語の漫画見つけたけど良く見たら結婚指環物語とかいうパチモンだった -- 2017-11-19 (日) 17:58:43
    • 「指輪物語 夫の帰宅」 -- 2017-12-04 (月) 13:36:17
    • 一つの結婚指輪は、すべてを統べ、暗闇の中につなぎとめる…なんて恐ろしい… -- 2017-12-08 (金) 11:58:29
  • これ面白いから読んでhttp://orenonew4vip.blog.jp/archives/10494949.html -- 2018-01-27 (土) 22:06:23
    • 酷いもんだった -- 2018-02-14 (水) 03:19:44
      • 冗談が通じない人なのね -- 2018-02-14 (水) 03:45:26
  • 「指輪物語」と同じ、あるいは近い質を持ったファンタジー小説ってどんな物がありますか?洋邦新旧区別無しに教えてもらいたいのですが・・・トールキン以前のファンタジー物も面白いですかね? -- 2018-03-11 (日) 23:43:55
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*1 西境の赤表紙本に記されていた原題
*2 Wikipedia:ベストセラー本の一覧
*3 指輪物語 特集ページ - audiobook.jp

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Last-modified: 2018-03-13 (火) 21:20:35 (71d)