- 実写映画版については、ロード・オブ・ザ・リングを参照してください。
- TVドラマシリーズについては、ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪を参照してください。
- 1978年公開のアニメ映画版については、ロード・オブ・ザ・リング 指輪物語を参照してください。
- 2024年公開予定のアニメ映画版については、The Lord of the Rings: The War of the Rohirrimを参照してください。
- ラジオドラマ版については、BBC RADIO COLLECTION The Lord of the Ringsを参照してください。
指輪物語 †
概要†
カテゴリー | 書籍・資料等 |
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スペル | The Lord of the Rings |
その他の呼び名 | 指輪の王の没落と王の帰還(the Downfall of the Lord of the Rings and the Return of the King)*1 |
解説†
ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン教授による、『ホビットの冒険』の続編として書かれた小説。中つ国第三紀の指輪戦争の事が記されている。
目次†
全三部+追補編で構成されており、各部がさらに上下に分かれる。それぞれの巻の目次は各項目を参照。
巻頭詩†
三つの指輪は、空の下なるエルフの王に、
七つの指輪は、岩の館 のドワーフの君に、
九つは、死すべき運命 の人の子に、
一つは、暗き御座 の冥王のため、
影横たわるモルドールの国に。
一つの指輪は、すべてを統べ、
一つの指輪は、すべてを見つけ、
一つの指輪は、すべてを捕らえて、
くらやみのなかにつなぎとめる。
影横たわるモルドールの国に。
ストーリー†
ビルボ・バギンズの前回の冒険から60年後。111歳の長寿を迎えたビルボは、盛大な誕生会の席上で別れの挨拶を述べ、突如として文字通り姿を消してしまう。後継者であるフロド・バギンズのもとには、ビルボが前の冒険で手に入れた「魔法の指輪」が残された。
それから更に17年が経ち、しばらく音沙汰がなかった魔法使いのガンダルフが久しぶりにフロドを訪ねてくる。ガンダルフは、ビルボが残した魔法の指輪が、実は冥王サウロンの魔力が込められた「一つの指輪」であることを告げる。もしこの指輪が冥王の手に戻れば、中つ国は暗黒に包まれる。
そのためフロドは、一つの指輪を無に帰することができる唯一の場所である滅びの山を求めて旅に出る。フロドと仲間たちの前途には、数々の出会いと別れ、冥王の手先である指輪の幽鬼の影、そして中つ国の自由の民を巻き込む指輪戦争が待ち受けていた。
詳細なストーリーについては以下を参照。
標題紙のテングワール†
v westmarč by jhon ronald reuel tolkien herəin iz set forþ
ð historī v wor v riŋ nd ð return v kiŋ az seen by ð hobbits.of Westmarch by John Ronald Reuel Tolkien herein is set forth the history of the War of the Ring and the return of the King as seen by the hobbits.
訳し方については、フェアノール文字の項を参照。
出版の経緯、その後の影響†
児童文学として人気が出た『ホビットの冒険』の続編を希望されたトールキンは、当初は前作の主人公であったビルボ・バギンズを主役にして雰囲気も前作と同様の、単純な童話を想定して書き始めた。だが何度も書き直すうちに構想がどんどん膨らみ、やがてはトールキンが以前から形作っていた神話体系(シルマリルの物語の一部)も大きく組み込まれ、壮大な物語へと成長。1937年から1949年の間に断続的に執筆され、1954年~1955年にかけ全3巻の小説として出版された。
トールキン自身としてはこれは一続きの物語であり、分冊および各巻にサブタイトルを付すことは3部作(Trilogy)だと誤解されることになると反対的だったが、最終的には出版社の意向が通り現行の形となった。また、当初トールキンは『シルマリルの物語』も連続した物語であるとして、これも同時に発売することを希望していたが、とても完成が間に合わないとしてやはり見送られ、内容のごく一部が『追補編』に収録された形となった。
出版社のアレン・アンド・アンウィンは、本職の小説家が書いたのではない、体裁・構成も一般の小説とは大きく異なるこの本が世に受け入れられるか懸念し、会社が多大な損失を受ける可能性を危惧しつつも、この本を「希代の傑作」と判断して出版に踏み切った。『指輪物語』は出版後次第に販売数を増やして英語圏を中心に大ヒットとなり、当時の大衆社会に影響を与えるまでになって、時にこの本の愛好者と批判者の間で激しい論戦が行われることもあった(以上の出版までの詳細は『J.R.R.トールキン 或る伝記』に詳しい)。
『指輪物語』は1999年にamazon.comで行われた「過去1000年で最高の本」アンケートのトップになった。これは大袈裟としても、『指輪物語』は20世紀最高の文学作品の一つとして認知されており、各巻ごとに約1億5000万部を売り上げた。これは20世紀に執筆された小説としては最高記録である*2。またその結果、それまではおとぎ話の妖精に過ぎなかったエルフやドワーフという種族のイメージを現在の形に一般化し、近代ファンタジー文学(そしてそのイメージをもとにしたゲームなど)の基礎を築いたという点は、誰もが認めるところである。
翻訳について†
この本は(それ以前に出版された『ホビットの冒険』を含めて)「ホビットが西方語で書いた西境の赤表紙本を、トールキンが英語に翻訳した」という形で書かれている。
そのためホビットにとって馴染みのある言葉は英語で表記され、ホビット語と歴史的関連のあるローハン語は古英語で表記されている。その一方で、ホビットにはわからないエルフ語などは、別の言語としてそのまま記述されている。
ゆえにトールキンは各国語に翻訳するときも、英語で表記されている部分はその国の言語に全て翻訳し、その他の言語はそのまま残すように指示している。
日本語版の『指輪物語』は可能な限りこの意をくみ取り、瀬田貞二によって(現在小説風にするなら英語を片仮名で表記するであろう所も)独特の日本語に翻訳して表記されている。
日本語版書籍†
トールキン生誕100周年に合わせ、イギリスではアラン・リーの挿し絵が入った版の発行が行われたが、それにあわせて日本でも訳の修正などが行われた新版が発売された。現在発行されているのはこの新版である。
文庫版†
#amazon(4566023710,right) #amazon(4566023826,right)旅の仲間4巻、二つの塔3巻、王の帰還2巻、追補編1巻の全10巻(追補編は他より遅れて出版された。全9巻セットには、追補編は含まれていない)。表紙はアラン・リーのイラストで、寺島龍一によるモノクロの挿絵入り。
旧版では全6巻で、追補編は一部が省略されていた。
愛蔵版†
#amazon(4566023613,right)旅の仲間、二つの塔、王の帰還各2巻、追補編1巻の全7巻。表紙はアラン・リーのイラストで、寺島龍一によるモノクロの挿絵入り。
旧版では全6巻だった。
カラー愛蔵版†
#amazon(4566023532,right)旅の仲間、二つの塔、王の帰還各1巻の全3巻(追補編は『王の帰還』内に収録)。表紙は他の版の扉ページにもある一つの指輪のロゴマークで、アラン・リーによるカラーの挿絵入り。
トールキン生誕100周年記念として、新版で新たに出版された。
オーディオブック版†
大川透(1巻、5~6巻)、森田順平(2巻~4巻)によるリーディングで、audiobook.jpにて旅の仲間上巻、下巻、二つの塔上巻、下巻、王の帰還下巻が発売中、追補編まで順次発売予定。朗読者が変わっているのは、大川透が一時期体調を崩し声優業を休業していたためと思われる。
英語では複数の朗読版があり、映画『ロード・オブ・ザ・リング』でゴラムを演じたアンディ・サーキスの朗読によるものも存在する。
電子書籍版†
#amazon(B0B2PB7XSV,right)2020年12月に、英語版の最新版の内容を反映し、さらに固有名詞を中心に翻訳の大幅な変更が行われた、日本語電子書籍版の『指輪物語』『シルマリルの物語』が公開された。挿絵はなく、第1巻には伊藤盡による「『最新版 指輪物語』カナ表記改定の解説」が追加されている。
当初電子書籍版はApple Booksでしか公開されていなかったが、2022年6月1日よりKindle版も発売されている。ただこちらの版では追補編は含まれていない。
固有名詞の翻訳の変更については電子書籍版/翻訳対比表を参照。
- Kindle電子書籍版 新版 指輪物語〈1〉/旅の仲間〈上〉
- Kindle電子書籍版 新版 指輪物語〈2〉/旅の仲間〈下〉
- Kindle電子書籍版 新版 指輪物語〈3〉/二つの塔〈上〉
- Kindle電子書籍版 新版 指輪物語〈4〉/二つの塔〈下〉
- Kindle電子書籍版 新版 指輪物語〈5〉/王の帰還〈上〉
- Kindle電子書籍版 新版 指輪物語〈6〉/王の帰還〈下〉
最新版 文庫版†
#amazon(4566023893,right)電子書籍版と同じ訳に変更されたものが、文庫にて発売された。こちらには上記の電子書籍版とは別に電子書籍版が存在するが、内容は基本的に変わらない。書籍版には、電子書籍版で省略された地図があるが、地図の地名の訳は、一部最新訳と整合性がとれていない。
- 最新版 指輪物語1 旅の仲間 上 (評論社文庫)
- 最新版 指輪物語2 旅の仲間 下 (評論社文庫)
- 最新版 指輪物語3 二つの塔 上 (評論社文庫)
- 最新版 指輪物語4 二つの塔 下 (評論社文庫)
- 最新版 指輪物語5 王の帰還 上 (評論社文庫)
- 最新版 指輪物語6 王の帰還 下 (評論社文庫)
- 最新版 指輪物語7 追補編 (評論社文庫)
他のメディアへの展開†
ラジオドラマ化†
特に有名なものとして、イギリスで制作、放送されたBBC RADIO COLLECTION The Lord of the Ringsがあり、リマスターされてのCD化もされている。現在はAudibleなどによるオンライン配信も行われている。
映画化†
ビートルズが出演して映画化するという話が上がったこともあったが、実現しなかった。
1978年にアニメ映画として『ロード・オブ・ザ・リング 指輪物語』が制作された。だが物語は途中で終わっており、、多くの原作ファンにとって、この映画はクオリティ的にも満足のいく出来ではなかった。それでもこの映画の続編という形で、1980年にTV番組アニメ『The Return of The King』が放映された。
『指輪物語』の世界観の壮大さ、多彩な幻想的表現などにより、長らく「実写映画化は不可能」と言われ続けていたが、CG技術の発達がそれを可能にする。結果2001年から2003年にかけて実写映画『ロード・オブ・ザ・リング』三部作が公開され、第三部『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』はアカデミー賞の最多受賞記録タイになるほどの評価を得た。
2021年6月には、追補編に詳細が記述されている槌手王ヘルムを題材としたアニメーション映画『The Lord of the Rings: The War of the Rohirrim』が2024年に公開されると発表された。
また、『指輪物語』の記述の一部を原作にして制作された非営利映画『The Hunt for Gollum』『Born of Hope』がある。
テレビドラマ化†
崩壊間際のソビエト連邦にて1991年、『Khraniteli』のタイトルでテレビドラマ化され、その後発見されたフィルムが現在YouTubeにて無料公開されている。
2017年、アマゾン・スタジオがドラマ化の権利を獲得し、『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』のタイトルで2022年9月2日より配信された。全5シーズンを予定しており、主に第二紀を題材とした内容となっている。
ゲーム化†
『指輪物語』を直接題材にしたゲームは、特に英語圏で多く発売されている。古い物になると、日本ではスタークラフト社が日本語化して発売した『指輪物語 第1章 旅の仲間』『指輪物語 第2章 二つの塔』が比較的良く知られている(『王の帰還』は発売中止)。
映画『ロード・オブ・ザ・リング』公開に合わせ、エレクトロニック・アーツより「映画のゲーム化」という形で、多数のゲームが発売された。その後ゲーム化権はWarner Bros. Gamesが獲得し、『ウォー・イン・ザ・ノース:ロード・オブ・ザ・リング』、『Guardians of Middle-Earth』、『シャドウ・オブ・モルドール』、『LEGO The Lord of The Rings』、『シャドウ・オブ・ウォー』などが発売されている。
一方で、Turbineからは「原作のゲーム化」という形でMMORPG『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』のサービスが2007年より行われている(その後Turbineはワーナーに買収されるが、さらにStanding Stone Gamesとして独立)。
他にDaedalic Entertainmentより『The Lord of the Rings: Gollum』、Free Range Games開発、North Beach Gamesで『The Lord of the Rings: Return to Moria』が発売されている。
テーブルトークロールプレイングゲームととしては、Iron Crown Enterprises(ICE)から原作小説を題材にして『指輪物語ロールプレイング(MERP)』が発売され、邦訳版も出たほか、ICEは原作を拡張する形で多数の設定を追加した。その後ICEは『指輪物語』関連の権利を手放しており、発売終了。Decipher, Inc.社はThe Lord of the Rings RolePlaying Gameを発売、さらにその後Cubicle7社(のちにFree League Publishing社に権利移譲)は新たに『一つの指輪:指輪物語TRPG』を発売している。
またこれら正規のライセンスを得て制作されたものの他にも、『指輪物語』は様々な形でゲームとして登場した。『指輪物語』の世界を題材とした、『Moria』や『Angband』というゲームがフリーソフトとして公開されているほか、『ダンジョンズ&ドラゴンズ(Wikipedia:ダンジョンズ&ドラゴンズ)』などに始まるゲーム文化に多大な影響を与えている。
コメント†
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