エレボール†
概要†
カテゴリー | 地名 |
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スペル | Erebor |
その他の呼び名 | はなれ山(Lonely Mountain) |
解説†
シンダリンではなれ山の意。リョヴァニオンの北東のはずれにある山。その名の通り北の灰色山脈や東のくろがね連山から、この山だけが20マイル以上は離れて孤立している。
早瀬川はこの山に発して南に流れ下り、たての湖に注いでいる。たての湖の町エスガロスとの間には竜の荒らし場が広がっている。西には闇の森の北端がある。
この山中にはかつてドワーフの山の下の王国があり、麓には人間の谷間の国があった。
『ホビットの冒険』で、ビルボ・バギンズが13人のドワーフと共に遠征した地。
そしてはるかかなたに、ひとひらのちぎれ雲をまとった黒い山のいただきが見えてきました。あの山が、ついに、おぼろにあらわれたのです! その山の北東にあたって、いちばん近くにならぶ山々も、そのあいだを結ぶ起伏の多い土地も、見えませんでした。山は一つだけきわだってそびえ、水平線のかなたに森をこえて、ながめられました。たしかに、はなれ山でした!*1
地形†
概略図はスロールの地図を参照。
六つの尾根を持つ、星形をした孤立峰である。
南の尾根の先端には、古い見張り場のからすが丘があった。
山の下にはドワーフの地下都市である山の下の王国が広がっている。
南側の二つの尾根の根本にある岸壁に表門(Front Gate)が開いている。その奥には早瀬川の源である熱水泉があり、川は水路を通って表門から滝となって流れ出る。
山の西側の斜面には、ごく一部の者にしか知られていなかった秘密の入口(Side-door)がある。その隠し戸は普段はただの岩壁にしか見えず、一年の内でドゥリンの日の決まった時間、ツグミが岩を叩き、日没の赤い光が岩壁に差し入っている間にのみ鍵穴が出現するようになっていた。
秘密の入口から続く通路はまっすぐ山中に向かって下り、スラーインの大広間(Great Hall of Thráin)へと通じている。この大広間はエレボールで最も深い場所にあり、スロール王の治世ではアーケン石が保管されていた。山の下の王国と谷間の国を滅ぼしたスマウグはこの大広間に財宝を積み上げてねぐらとした。
この他に、宴会や会議が催されるスロールの朝見の間(Great Chamber of Thrór)が、表門の近くに位置していた。
他にも多くの部屋や施設があったと思われる。
画像†
山 の下 の王国 (Kingdom under the Mountain)†
エレボール(はなれ山)の山の下に築かれた、ドワーフの王国にして地下都市。この国の王は山の下の王と呼ばれる。
山の底根で発見されたアーケン石を至宝とする。
モリアを追われた後の長鬚族の本拠であったが、龍のスマウグに滅ぼされた。
『ホビットの冒険』において、ソーリンとその仲間はこの王国を奪回すべく、はなれ山まで遠征した。
かつての山の下の王国†
そのかみドワーフたちは強き呪文を唱え、 その槌音は鐘のようになりわたった、
万物ねむる地の底深く、 山々の下に口をあけた大広間で。いにしえの王やエルフの殿のために、 ドワーフたちが作り仕上げた、
きらめく黄金の宝ものや、 剣のつかにちりばめた宝石はおびただしかった。ドワーフたちは銀の首飾りに 星の花々をつづり、
冠の上に竜の火をかかげ、 かがる鉄線には月光と日光をまぶした。*2
ドワーフの長鬚族はもともと霧ふり山脈の地下王国モリアを本拠としていたが、ミスリルを求めるあまり地下に眠っていたバルログを解き放ってしまい、モリアを追われる。
第三紀1999年、長鬚族の王スラーイン一世はエレボールにやってきてその山中に館を築き、アーケン石を発見した。
しかしスラーイン一世の息子ソーリン一世は、2210年にさらに北の灰色山脈に移り、長鬚族の本拠はしばらくそちらに置かれた。だが灰色山脈には龍の脅威があり、2589年に当時の王ダーイン一世らが冷血竜に殺されると、その息子スロールは2890年にエレボールに戻る。
山の下の王となったスロールのもとで、山の下の王国は歌に歌われる大きな繁栄を迎えた。
王国は分家にあたるくろがね連山のドワーフと交易を結ぶと、魔力ある美しい品物に加え、優れた武器甲冑の類も生産する。それによって早瀬川と赤水川の間に住む北国人の末裔は強大化した。そうした人間達はドワーフの繁栄に引き付けられて早瀬川を遡り、はなれ山の膝下に谷間の国が築かれた。さらにドワーフはからすが丘の大ガラスとも同盟を結び、遠方の報せを得ることができた。
ところが、この繁栄は再び灰色山脈の龍の耳に届き、当時の最大の龍であったスマウグを招き寄せることになってしまう。
2770年、突如飛来したスマウグによって、山の下の王国と谷間の国は滅ぼされ、その財宝は根こそぎに奪い取られた。スマウグは山中の大広間に財宝を積み上げて寝床として巣食ったたため、生き残ったドワーフは国を捨て、多くがくろがね連山へ移住した。山の隠し戸から逃げ延びたスロール王とその息子スラーイン、孫のソーリンは少数の一族郎党と共に放浪の旅に出た。
こうして長鬚族は再び故郷を追われた放浪者となった。
王国奪回を目指しての遠征†
お暗き霧まく山なみをこえ、 古き洞穴の地の底をめざして、
われらは夜明け前に旅立たねばならぬ、 竜からハープと黄金をとりもどすため。*3
山の下の王国を追われたスロールとスラーイン二世の一党にはその後も非業がつきまとったが、やがて長鬚族の王となったソーリン・オーケンシールド(ソーリン二世)はなんとか青の山脈に落ち着き、その地に築いた館に放浪する一族を集めた。だが彼は決して王国の奪回とスマウグへの復讐を忘れなかった。
第三紀2941年、ソーリンはブリー村で魔法使いのガンダルフに出会い、彼の助力を得て王国奪回のための計画を立てる。ガンダルフの助言を容れて、スマウグに対し戦を起こすという当初の計画を放棄したソーリンは、ガンダルフがスラーインより受け取っていた、エレボールの秘密の入り口を示す地図と鍵を受け取り、12人のドワーフの仲間と、“忍びの者”としてホビットのビルボ・バギンズを連れ、エレボールへの遠征を行った(『ホビットの冒険』)。
その結果、エレボールから出てエスガロスを襲ったスマウグは、ビルボが見つけた弱点を突かれ、バルドによって討ち取られる。さらに五軍の合戦が起こってソーリンは命を落としたものの、山の下の王国の再建が成し遂げられた。くろがね連山からやってきた鉄の足ダーインが、ソーリンの跡を継いでダーイン二世として即位した。
再興された山の下の王国†
「フロド殿、あなたにぜひ一度谷間の国の水路を見ていただきたいです! それにあの山や池を! 多彩な石の舗装道路もごらんいただかなくちゃ! それに地面の下には数々の館があり、木に似せて彫ったアーチつきのトンネル通りが四通八達しておりますよ。山の中腹にはテラスが並び、塔がいくつもそそり立っていますぞ! それをごらんいただければ、われらが無為に日を過ごさなかったことがおわかりになりましょう。」*4
再興された山の下の王国は、スマウグに襲撃される以前の繁栄を偲ばせるほどには勢力を回復させ、同じく復興された谷間の国などとの交易によって栄えた。武具鍛冶や宝飾などの技術では古い時代に及ばなかったが、建築・土木の技術ではそれを凌駕する域に達したという。
指輪戦争では、山の下の王国と谷間の国はモルドールに臣従することを拒み、サウロンの同盟軍である東夷の攻撃を受ける。
ダーイン二世は討死してエレボールは包囲され、王国には多数のドワーフと谷間の国の人間が避難して籠城した。しかし一つの指輪が破壊され、南方でのモルドール敗北の知らせが届くと、ダーイン二世の跡を継いだ息子の石の兜ソーリン三世はドワーフ軍を率い、谷間の国の人間とともに出撃し、動揺した包囲軍を打ち破って勝利を収めた(谷間の国の合戦)。
以後、山の下の王国と谷間の国は再統一された王国(ゴンドールおよびアルノール)と長き友好関係を結び、西方の王の庇護下に置かれた。ドワーフたちは、ペレンノール野の合戦で破壊されたミナス・ティリスの城門をミスリルと鋼で再建したという。
山の下の王国の財宝†
劇中では、はなれ山の財宝として、以下のものが言及されている。
- スラーインのアーケン石
- ギリオンのエメラルド
- ミスリルの胴着
- 金のカップ(ビルボが盗み出し、それに気づいたスマウグを激怒させた)
- ブラードルシンの軍隊のために作られた豪華な槍(穂先は三度鍛えられ、柄には黄金細工が嵌めこんであるという)
- むかし死んだ戦士たちのために作られた盾
- スロールの金の大杯(花鳥の浮彫が施され、鳥の眼や花弁には宝石が使われているという)
- 金や銀がかぶせられた鎖かたびら
- 銀の糸をはった金の竪琴(魔法の力で美しい曲をかなでる)
- 金めっきの鎖かたびら(ソーリンが身につけたもの)
- 緋色の宝石で覆われたベルト(同上)
- 銀の柄の斧(同上)
- 黄金の冠(永遠の友情の印として、ダーイン二世からワシの王へ贈られた)
- 銀と真珠の首飾り(ダーイン二世からビルボに贈られた。ビルボはこれをエルフ王の岩屋に潜んでいたとき、盗み食いして食を繋いだ謝罪として、エルフ王に贈った)
- オルクリスト(はなれ山から発掘されたものではないが、ソーリンの死後、彼の墓所に安置された)
映画『ホビット』における設定†
『思いがけない冒険』では繁栄していた時代のエレボールの光景が映像で表現されている。その内部は幾重にも重なった階層を橋や階段、廊下で繋ぐ非常に広大で複雑な空間が広がっている。スロールの玉座の間は、巨大な吹き抜け構造になっており、その天辺に玉座がある。他にも職人が仕事をする工房や精錬所、鉱床、武器庫、居住スペース等が描かれている。
『竜に奪われた王国』でビルボとドワーフ達は、それらの施設を駆使して、スマウグと戦う事になる。
映画オリジナルの財宝としてラスガレンの白い宝石が登場する。
画像†
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2018年3月のUpdate 22より、一つの指輪が破壊された後のエレボールと山の下の王国を訪問することが可能。
コメント†
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