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ボロミル

概要

カテゴリー人名
スペルBoromir
異訳ボロミア
その他の呼び名白の塔の長官(High Warden of the White Tower)
白の塔の大将(Captain of the White Tower)
総大将(Captain-General)
種族人間
性別
生没年第三紀2978~†3019年2月26日(享年41)
デネソール二世(父)、フィンドゥイラス(母)
兄弟ファラミル(弟)
配偶者なし
なし

解説

指輪の仲間の一人。ゴンドール執政デネソール二世の長子で、ファラミルの兄。

ゴンドールだけではなくローハンにまで名が届く勇猛な武将として知られた、剛勇の人物。その人となりはエアルヌルに似ていたと言われ、武芸を好み伴侶を持つことはなかった。
彼は自信と誇りに満ちあふれており、時にはそれが尊大に感じられることもあったが、本質的には礼儀正しく誠実な人物である。ガンダルフバルログと対峙したとき、アラゴルンとともにガンダルフを助けるため引き返そうとしたほどの勇気の持ち主でもある。

それから、少し離れたところに、気品のあるりっぱな顔立ちの、背の高い人が一人坐っていました。その人の髪の色は黒っぽく、灰色の目は誇り高くきびしい光をたたえていました。
かれのマントといい、編上げ靴といい、騎馬旅人のなりでしたが、現に、そのぜいたくな衣服も、毛皮の裏のついたマントも、長旅に汚れはてていました。かれは白い石の一つはまった銀の襟かざりをつけ、肩のあたりで巻き毛を切りそろえていました。肩から斜めにわたした飾り帯には銀の口金のついた大きな角笛をさしていたのですが、それは今は膝の上にのっていました。*1*2

ゴンドールの総大将

父のデネソールや弟のファラミルとは違い、西方の血はほとんど発現していなかった。外見的には父に似ていたものの、自尊心を除けば性格的には全く似ておらず、そのためにデネソールは一層彼を愛した。父親には冷遇されがちだったファラミルとも強い絆で繫がれており、二人の幼少期にはボロミルがファラミルの援助者であり保護者であったという。
ボロミルは長きに渡りゴンドールを守ってきた執政家を非常に誇りに思っていたが、心の底では執政が決して王にはなれないことへの不満も抱いていた。

長じると勇猛果敢な武将として知られるようになり、ゴンドールの総大将として、再興したモルドールの脅威を食い止めるべく奮戦した。国民からの信望も厚く、彼はゴンドール第一の人物と目されており、そんなボロミルをデネソールは大いに寵愛した。
だが3018年6月、モルドールより突如大軍が押し寄せてイシリエンオスギリアスの駐屯部隊は撤退を余儀なくされる。この時モルドール軍は魔王以下ナズグールが指揮を執っており、ボロミルとファラミルはただ一つ残っていた橋を落とすことで辛うじてアンドゥインの西岸を防衛することができた。

イムラドリスへの旅

オスギリアスでの戦い以降、ファラミルは何度も謎のお告げが語られる夢を見るようになり、ボロミルも一度は同じ夢を見た。二人はこの夢の言葉の意味をほとんど理解できなかったが、デネソールはお告げにある「イムラドリス」とは賢者エルロンドが住む北方の隠れ里の古称であることを教える。するとお告げの謎を解くため、ファラミルがイムラドリスを捜す旅に出ようとしたが、その旅路が不確かで危険に満ちているとしてボロミルがこの旅を買って出た。デネソールはこれに反対したものの、ボロミルは自分の意思を押し通し、イムラドリスを求めてゴンドールを出発した。

ボロミルはローハンを借り、ローハン谷を西へ抜けてエネドワイスを北上する。だが北へ向かう南北街道は使われなくなって久しく、ほとんど消失してしまっており、とうに橋の落ちたサルバドの浅瀬では馬を失うなど、その旅は困難を極めた。
三か月あまりをかけてどうにかイムラドリス(裂け谷)へ到達したボロミルは、その朝に開かれたエルロンドの会議に出席して謎解きを乞うた。その会議上で、彼は夢のお告げで語られていた「イシルドゥルの禍」である一つの指輪、「折れたる剣」であるナルシル、そして「小さい人」であるホビットを実際に見ることになった。

指輪の旅

ボロミルは指輪の仲間の一員に選ばれ、フロド・バギンズ達と旅を共にする。彼は一行の中ではガンダルフの、ガンダルフがモリアで行方不明になった後にはアラゴルンの意見と指示に基本的に従っていたが、ゴンドールの大将としての責務があるため、途中でモルドールへ向かう道を逸れて仲間と別れ、ゴンドールに帰国する予定であった。

だがボロミルはゴンドールを救う強大な力を求めており、一つの指輪を用いればすべて禍に転ずるというエルロンドガンダルフの言葉に心底から納得したわけではなかった。
無意識に一つの指輪を用いることを望むようになったボロミルは、ロスローリエンガラドリエルにその望みを指摘された後は、次第に一つの指輪の魔力に誘惑されて苦しむようになる。やがてパルス・ガレンにて我を忘れた彼は、フロドから力ずくで指輪を奪い取ろうとした。
その直後ボロミルは正気に戻りフロドに許しを請うが、すでにフロドは逃げ失せて彼の声は耳に届いていなかった。フロドはこれがきっかけとなり、仲間から離れて一人でモルドールへ向かう決意をする。

これを大いに悔いたボロミルは、仲間がオークに襲撃された時、身を挺してメリアドク・ブランディバックペレグリン・トゥックを守るために孤軍奮闘した。彼はゴンドールの角笛を吹き鳴らしたものの援軍が駆けつけることはなく、大勢のオークを倒したが最後には無数の矢を射かけられて彼自身も倒れた。ボロミルは、自身のいまわの際を看取ったアラゴルンホビットがさらわれたことを知らせ、また自分がフロドから指輪を奪おうとしたことを告白し、ゴンドールを救ってくれるよう言い残して息絶えた。

「おさらば、アラゴルン! ミナス・ティリスに行き、わが同胞を救ってください! わたしはだめだったが。」
「違う!」アラゴルンはそういうと、かれの手をとり、その額に口づけしました。「あなたは打ち勝ったのだ。このような勝利を収めた者はほとんどおらぬ。心を安んじられよ! ミナス・ティリスを陥落させはせぬ!」
ボロミルはほほ笑みました。*3

ボロミルの遺体はアラゴルン、レゴラスギムリの手により、ロスローリエン小船に乗せられて、アンドゥインに流されて葬られた。
その船はエルフの魔法のなせる業か、ラウロスの大瀑布に巻き込まれても沈むことなくアンドゥインを下り続け、オスギリアスに近い浜辺を流れているところをファラミルに目撃された。さらに船はアンドゥインを下り続け、ある星の夜に大海へ放たれていったと伝えられている。

映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定

俳優ショーン・ビーン
日本語吹き替え小山力也

字幕及び吹替での名前は『指輪物語』書籍新版に従いボロミア
最期はウルクラーツと戦って倒れる。原作でボロミルの死が描かれているのは『二つの塔』冒頭だが、映画では『旅の仲間』のラストシーンに変更されている。
『二つの塔 エクステンデッド・エディション』では、ファラミルの回想シーンに登場。オスギリアスを奪回した戦いの後でファラミル、デネソールと会話している。そのシーンでは夢歌のことは登場せず、デネソールはエルロンドの招集に応じてボロミルをエルロンドの会議に派遣したことになっている。
王の帰還』では、デネソールがボロミルの幻影を見るシーンがある。

画像

『ロード・オブ・ザ・リング』におけるボロミル 『ロード・オブ・ザ・リング』におけるボロミル 『ロード・オブ・ザ・リング』におけるボロミル(回想シーン)

グッズ

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ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定

『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における裂け谷でのボロミル

Include/指輪の仲間

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • 死んだ後のボロミアは、もしそれが可能ならばだけど、アラゴルンや他の仲間が来るまでマンドスの館で待ってから旅立ったと思う。生前に仕えたかっただろうし、フロドらにも色々言いたい事があっただろうから。 -- 2022-01-29 (土) 17:47:40
    • つまり親父とも会った可能性が出てくるね…。 -- 2022-01-30 (日) 09:47:05
    • 死んだ人間の魂は(怨念や邪悪な魔力に縛られていない限り)マンドスの館であれ現世には永く留まれないけれど、マンドスに仕えるマイアールに言伝てする事は有り得たかもしれない。 -- 2022-02-01 (火) 20:46:27
  • フロドを襲った嫌な部分が印象深いけど、メリーとピピンに剣を教えるシーンはマジで微笑ましかったんだよな。 -- 2022-08-09 (火) 12:22:53
    • ファラミアとの交流が削られすぎたことに加えて、演じている人のおかげでより深みが増して、
      映画限定ならピピンは息子にファラミアではなくボロミア・トゥックと名付けそうな気がする。
      映画ピピンはファラミアよりボロミアに対する思いが強い感じだったし。 -- 2022-08-09 (火) 21:14:45
      • 映画版は俺の中でも最高傑作だけど、それでもファラミアの原作比での扱いの悪さはあれを観たボロミアが弟のため憤激してニュー・ライン・シネマにカチコミを掛けてもおかしくないレベルだからなあw -- 2022-08-11 (木) 08:38:01
    • エクステンテッドエディションだとアラゴルンも一緒にぐしゃぐしゃになってて微笑ましかった -- 2024-02-24 (土) 05:41:42
  • 襤褸見る・・・違和感がすごい -- 2022-08-24 (水) 23:19:48
    • 襤褸出ろ:ボロジノ(Бородино Borodino)、國親父座ろう:クニャージ・スヴォーロフ( Князь Суворов knʲæsʲ sʊˈvorəf)みたいな。 -- 2022-09-09 (金) 23:34:59
      • それ、日露戦争の名前覚え表じゃないか -- 2022-09-10 (土) 08:08:03
      • 上のものです。名前覚え表のresありがとうございます。ちなみにうちのルンバの名前はドミトリー・ドンスコイ (Дмитрий Донской, Dmitri Donskoi) です。「ゴミ取り権助」なので・・ -- 2022-12-14 (水) 22:49:55
  • なんでボロミアじゃなくてボロミルになってんの? -- 2022-09-09 (金) 23:19:37
    • 最新訳の電子書籍版『指輪物語』で翻訳が改訂されたためです -- 管理人 2022-09-09 (金) 23:24:00
      • 電子書籍より映画見てここにくる人の方が多いだろうに… -- た 2023-06-12 (月) 23:00:50
        • このサイトが、小説の中つ国用語辞典だからね。それで映画、TV関連の用語も登録されている。と言うスタンスだからね… -- 2023-06-22 (木) 20:08:29
  • ボロミアじゃなくてファラミアが旅の仲間に加わった方がよかった気がする -- ゴルサウア 2022-09-21 (水) 10:23:19
  • その昔観たアニメ版ではボロミールって呼ばれてた。瀬田訳既読だったので大変違和感を覚えながら観ていたがこっちが正統扱いになるとは -- 2023-11-09 (木) 09:24:32
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