ペレグリン・トゥック

概要

カテゴリー人名
スペルPeregrin Took
その他の呼び名ピピン (Pippin)
ピップ (Pip)
小さい人族の王子 (Prince of the Halflings)
エアニル イ フェリアンナス (Ernil i Pheriannath)
種族ホビット
性別
生没年庄暦1390年(第三紀2990年)~不詳*1
パラディン・トゥック二世(父)、エグランタイン・バンクス(母)
兄弟パール(姉)、ピンパネル(姉)、パーヴィンカ(姉)
配偶者ロング・クリーヴのダイアモンド
ファラミル・トゥック(息子)

解説

ホビット庄セイン
第31代
パラディン・トゥック二世
1415~1434
第三紀3015~第四紀13
第32代
ペレグリン・トゥック一世
庄暦1434~1484年(50年間)
第四紀13~63年
第33代
ファラミル・トゥック一世
1484~?
63~?

指輪の仲間の一人のホビット。本名はペレグリンだが、この名を覚えている者は友人達の中でも少なく、もっぱらピピンやピップと呼ばれていた。
指輪の仲間の四人のホビットの中では唯一の未成年。少々迂闊者な性格で、ガンダルフからは「ばか者トゥック(Fool of a Took)」や「トゥックの阿呆息子(tom-fool of a Took)」と叱責されることもあったが、どんな逆境でもへこたれない軽快さの持ち主。

パラディン・トゥック二世エグランタイン・バンクスの息子。メリーことメリアドク・ブランディバックとは父方の従兄弟。フロドの母方の祖母の兄の曾孫、つまりフロドよりも1世代下で、22歳の年少。

指輪の仲間

後にセインとなるパラディン・トゥック二世の息子として生まれる。
子供の頃からビルボ・バギンズを慕って袋小路屋敷に出入りしていた親戚たちの一人で、ビルボの別れの宴にも家族揃って招待された。

フロド・バギンズの親しい友人の一人であり、フロドが密かにホビット庄から旅立つつもりでいるのに気付くと、メリアドクから指輪の秘密を打ち明けられて陰謀団を結成、フロドを一人で行かせないように策を練った。彼らはフロドがくり窪へ引っ越すのを手伝い、ペレグリンとサムワイズ・ギャムジーはくり窪への旅に同行してフロドから目を離さないように努めた。そしてくり窪で「陰謀」を明らかにしてからは、親族としての絆と友情からあくまでフロドの危険な旅に同行する覚悟であることを告げた。

フロドがエルロンドの会議で正式に指輪所持者として認められ、使命を帯びてモルドールに向かうことが決まった後も、ペレグリンとメリアドクはホビット庄に返されるところだったのを頑固に反対し、ガンダルフの口添えもあって九人の徒歩の者の一員として旅を続けることを許された。
だが迂闊者のペレグリンはモリアを通過中、休憩していた番人の詰所で、出来心から井戸に大石を投げ込むという失態をしでかしてしまう。おそらくはこれが原因となって一行はオークなどに襲撃されてしまった。

パルス・ガレンでは、メリアドクと共にウルク=ハイに捕らえられる。しかしペレグリンはオークの隙をついて密かに手の縄を切って外し、また自分たちの生存を示すためにエルフのマントのブローチを道に落とすといった機転を発揮した。そのままアイゼンガルドまで連行されるところだったが、ローハン騎馬軍団がオーク達を包囲した隙を突き、メリアドクと共にグリシュナーハを騙して脱出に成功した。
逃げ込んだファンゴルンの森木の鬚に出会い、サルマンの裏切りを話してエントによるアイゼンガルド攻撃のきっかけを作った。またこの時エント水を飲んだため、メリアドクと共に後にホビット最高記録をしのぐ高身長となる。

ゴンドールの衛士

ペレグリンはオルサンクから投げ落とされたパランティールを拾い上げたことでこの石に魅了され、ドル・バランガンダルフの隙をついて石を覗き込み、サウロンに尋問されてしまう。幸運にもサウロンがペレグリンを詳しく追及しなかったため、重要な情報が敵に漏れるのは避けられた。さらにオルサンクのパランティールに「ホビット」が応答したことは結果としてサウロンの戦略を混乱させることになった。
ガンダルフはここで生じたわずかな隙を活かすため、急ぎミナス・ティリスへ向かうことにし、(パランティールから遠ざける意味からも)ペレグリンを自分に同行させた。

ペレグリンはミナス・ティリスでデネソール二世に謁見。彼から尋問を受けたペレグリンは、不意に沸き起こった自尊心とボロミルへの恩からから、デネソールに奉公を願い出る。これは頑なになっていたデネソールの心をわずかに開かせ、ペレグリンは奉公を嘉納されて城塞の近衛兵として彼に仕えることになった*2
そこで近衛兵のベレゴンドや、彼の息子のベルギルと親交を結ぶ。さらに都の住民からは、北の地からゴンドールを加勢に来た「小さい人族の王子」(シンダリンでエアニル・イ・フェリアンナス)であるとあらぬ噂を立てられた*3
ペレグリンはデネソールの近侍として次第に狂気に陥っていくその姿を見つめることになり、デネソールが負傷したファラミルもろとも焼身自殺を図ろうとした時には、ベレゴンドとガンダルフにそのことを知らせて、ファラミルが救出されるきっかけを作った。

その後は西軍の一員として黒門の戦いに参加。山トロルの部隊と戦い、倒れたベレゴンドを助けるため塚山出土の剣によってトロルの首領を打ち倒す。そのままトロルの死体の下敷きになって気を失ってしまったが、ギムリによってホビットの裸足が突き出ていることを発見されて救出された。
コルマッレンの野の栄誉礼ではゴンドールの衛士として宴の給仕を務め、フロド・バギンズサムワイズ・ギャムジーに再会。エレッサール王の戴冠式と結婚式にも参列した。

ホビット庄の掃蕩では大スマイアルに籠城する父パラディンらに水の辺村蜂起の報せを届け、水の辺村の合戦ではメリアドク・ブランディバックと共に指揮官として重要な役割を果たした。その後、その丈高い姿と異国の武者装束、堂々とした立ち振舞はホビット庄で評判となり、名士として知られるようになった。
フロド中つ国を去る時には、ガンダルフにそのことを知らされて灰色港に駆けつけ、サムワイズ、メリアドクと共にフロドを見送った。

セイン・ペレグリン

ペレグリンはロング・クリーヴのダイアモンドと結婚し、二人の間には息子のファラミルが生まれた。
やがてトゥック家の家長となったペレグリンはセインの職を受け継いだ。

多くの著作を残したメリアドクとは違い、ペレグリン自身は本を一冊も書かなかったが、彼の下で形成された大スマイアルの蔵書にはエアレンディルに関するものや、第一紀第二紀にまつわる伝承が広汎に収集されており、ゴンドールの史料の写しも数多く収蔵されていた。この文庫の資料と、メリアドクが裂け谷から得たと思われる資料を基に、大スマイアルで「西国年代記(代々の物語)」が編纂されたと考えられている。

老後は息子に家督を譲るとメリアドク・ブランディバックと共にローハンに赴き、エーオメル王を看取った。その後二人はゴンドールで短い余生を過ごしたが、この時ペレグリンは西境の赤表紙本の写本であるセイン本エレッサール王に献上した。亡くなった二人はラス・ディーネンに葬られた。エレッサール王が崩御すると、二人の寝台は王の傍らに並べ置かれたと伝えられる。

略歴

映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定

俳優ビリー・ボイド
日本語吹き替え飯泉征貴

デネソールは自尊心故か、(原作とは異なり)ローハンに救援を求めるための烽火台を点火していなかった。そこでガンダルフの指示によって、ペレグリンが最初の烽火を点じる。
原作にはなかった、デネソールの前でを歌うシーンがある(ピピンを演じるビリー・ボイドの歌がうまかったため、急遽導入された)。
ベレゴンドが映画に登場しない分、ファラミル救出におけるペレグリンの役割が大きくなっている。

エクステンデッド・エディションではペレグリンが城塞の衛兵として帯びることになる鎧は、ファラミルが子供の頃使っていたものであることが判明する。

画像

『ロード・オブ・ザ・リング』におけるペレグリン・トゥック 『ロード・オブ・ザ・リング』におけるペレグリン・トゥック 『ロード・オブ・ザ・リング』におけるペレグリン・トゥック

グッズ

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ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定

『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における裂け谷でのメリアドク・ブランディバックとペレグリン・トゥック 『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるミナス・ティリスでのペレグリン・トゥック

Include/指輪の仲間

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • メリーの弟分って感じだけどメリーよりも主人公っぽさがある -- 2017-02-14 (火) 23:45:25
    • メリーは一人息子気質が強く出ているので、あまり兄貴分には見えない。ピピンは末っ子気質丸出し -- 2017-10-13 (金) 20:22:00
  • 作中でピピンがやらかした行為の中で、本当にダメだったのってモリアで井戸に死体落とした事だけだと思う。原作では石だったけど -- 2018-01-31 (水) 02:28:15
    • しかしあれがなかったら、ガンダルフが白にならなかったかも。 -- 2018-01-31 (水) 07:29:53
      • ガンダルフ「お前それバルログの前でも言える?」 -- 2019-01-05 (土) 18:27:48
      • それを踏まえても許される範疇を越えてると思う。あそこで9人全滅してもおかしくなかったし -- 2021-01-27 (水) 23:12:29
    • あそこのマジ切れガンダルフ可愛くて好きだわ。いや、本人からしたらそんなつもりはないんだろうが。「次は自分を投げ込め!」とか「そしたら厄介払いができるわい」とか、良くも悪くもピピン達と同じ目線だからこそ出る言葉だし。 -- 2020-08-03 (月) 22:21:23
    • 我々は事のゆくたてと結末を知っていて、その立場からあれは良かった悪かったを論じるならこれが結果的にすべての終わりに繋がっていることまで考える方が公平だ。この立場では物語で選択されなかった個々の行動の結果がどのような事態を引き起こすのかを断言できはしない。それほど複雑に糸の絡まりあった物語であるからこそ今なお多くの人に愛されているのだろう。ただやはり仮にその場に自分がいたらガンダルフのようにキレ散らかす行為だと思うし、最終的に許したとしても(あのストレス状況下でおかしくならないのは豪胆な者にすら困難な事だし、いわんや年少の者をやと思えば後から許す可能性はある。)一生、会うたびに引き合いに出すレベルで「あれはマジで無い」行為だとは思う。あくまで俯瞰的にあの行為によって何が起きたかを神の視点から知りうる立場になければだが。あるいは旅の仲間の誰かに強く感情移入していれば読者の立場としても許さないかもしれんが。・・・まあ、結果はどうあれ井戸に死体を入れるのは別の意味でダメだろと個人的に言いたい気持ちはある。 -- ウルクの吟遊詩人 2022-02-28 (月) 01:26:16
      • 我々馬鹿にも分かるように単純な表現にしてくれ -- 2022-02-28 (月) 18:35:07

      • 要約すると
        「ピピンの行動が結果的にはオーライとわかってる読者はピピンを許せるが、そんな事分かるわけない旅の仲間たちはマジギレして当然だ。
        ただモリアの井戸に死体を落としたのは倫理的にも擁護できねー」
        って感じかなぁ?
         
        ただ最後のコテハンの意味はわからん。 -- 2022-02-28 (月) 18:49:38
    • 躍る小馬亭でビルボの別れの宴を再現し「バギンズ」の名前と姿を消す場面を演じようとしたのも相当まずいでしょ。結局その後フロド自身が指輪によって姿を消すと言う致命的な失態を犯したためあまり問題視されていないが、元をただせば原因はピピンの悪ふざけにある。追っ手を避けるため敢えて危険な古森を抜けてまで隠密行動して来た意味を全く理解していなかった。 -- 2023-09-19 (火) 13:43:08
      • あの場面はピピンも非常識だけど、そもそも部屋から出て酒場に行くこと自体、みんな油断しすぎよね。メリーなんか一人で外に行ってるし。 -- 2023-09-20 (水) 01:42:48
  • どうもありがとう。文学的な表現にはうとくてね。やっぱり簡潔なのが一番だと思うよ。 -- 2022-02-28 (月) 20:00:27
    • 要約した者だが、言うほど文学的表現かな…ややこしいとは思うが。
      ただ、どんな表現するかは個人の自由だと思うよ。
      自分の価値観を押し付けたり、他人の価値観を否定するような書き込みではないしね。 -- 2022-02-28 (月) 20:12:11
    • 要約者さんもおっしゃっているように、複雑な概念を記述するためには、文章はある程度長くならざるを得ない場合があると考えます。ウルクの吟遊詩人さんのコメントはかみしめるように読むことが出来楽しかったです。私達とは相容れないウルクさんですが、二回目の音楽の時の宴会では是非ご一緒したいです。 -- 2022-02-28 (月) 21:30:56
  • 関係ないけど、いまだにここではハンドルネームつける文化が残っていてたまに軽く衝撃というかセンチメンタルな気分になる。
    20年近い前の2chでもハンドルネームやコテハン付けるやつなんて超絶レアだったからなぁ。
    そういう意味でもここは貴重な場所だね。 -- 2022-02-28 (月) 22:20:34
    • まあここの平均年齢は軽く50歳は越えていてもおかしくない。
      30代後半の俺からしても知らんネタがちょくちょく出てくる。(一般常識とかではなく)
      あと単純に文体が俺含めおじさんくさいw -- 2022-02-28 (月) 22:57:04
      • 各年代が均等にいる感じ。30代以下は他に追いかけてるコンテンツが多数あるから上の世代ほど熱心に談義には入ってこない、みたいな。当てずっぽうだけど。
        でもヴァリアグとかの頁で荒ぶってる人が40とか50だとは考えたくないな..... -- 2022-11-12 (土) 16:04:02
      • と言うか若い人なんかいないんじゃないですかね?まず。
        ヴァリアグの人なんか、逆に俺は現役世代じゃない老人ってイメージでしたね。
        定年して暇で居場所がないから、こういうとこで重箱の隅突いて居丈高に振る舞う人って印象でした。
        マンションの理事会で遭遇しがちなめんどくさいタイプ。 -- 2022-11-13 (日) 09:27:56
      • 28歳なんだけど.....若くはないけど老人というにも遠い -- 2022-11-13 (日) 17:41:29
      • Mr.ヴァリアグが28歳みたいな流れに草。 -- 2022-11-14 (月) 18:19:30
  • ピピン「唐揚げにレモンかけといたよ!」 -- 2023-04-05 (水) 14:10:30
  • ピピンの軽率な行動は批判されて然るべきものだが、平和そのものだったホビット庄の雰囲気とトゥック家の気質、ピピンの性格を考えればまぁやむなしかな。
    冷静沈着なピピンなんて何も面白くない。ガンダルフのキレ芸も見れないしw -- 2023-09-20 (水) 10:04:10
    • しかし一口にトゥック家と言ってもセインとしてごろつき達に毅然たる態度を取り徹底抗戦の末トゥック郷を守り切った父パラディンの例もある。また同じくトゥック家の気質を受け継ぐビルボと比較してもピピンの軽率さは目立ちすぎる。ビルボもトロルの財布を盗もうとして一行を危機に陥れたが、それは決して悪ふざけではなく単に忍びの者としての職務を遂行しようとして失敗したに過ぎず、これを以て軽率との評は当てはまらないだろう。 -- 2023-09-20 (水) 20:43:51
      • 別にトウック家だから軽率、と言っているわけではありませんよ。
        トウック家の冒険気質と、ピピン生来の軽はずみかつ妙に軽いフットワークが重なると、ああいう化学反応が起きるというだけです。
        ただ俺は上記のようにそれに目くじら立てるのはあんまり理解できないですね。明確にコメディリリーフの役割を与えられ、それを忠実にこなしてるわけでピピンに憎たらしさは感じないですし。 -- 2023-09-20 (水) 22:14:47
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