フロド・バギンズ

概要

カテゴリー人名
スペルFrodo Baggins*1
その他の呼び名指輪所持者
エルフの友
山の下
フロドの旦那(Master Frodo)
九本指のフロド(Nine-fingered Frodo, Frodo of the Nine Fingers)
ダウア(Daur)*2
種族ホビット
性別
生没年ホビット庄暦1368年(第三紀2968年)9月22日~不明*3
ドロゴ・バギンズ(父)、プリムラ・ブランディバック(母)、ビルボ・バギンズ(養父)
兄弟なし
配偶者なし
なし

解説

指輪物語』の主人公。指輪の仲間の一人で、一つの指輪の重荷を担い滅びの罅裂を目指した指輪所持者
ホビットの冒険』の主人公ビルボ・バギンズの養子。ビルボとの関係は厳密には「伯父と甥」ではなく、「フロドの母の、母方のいとこがビルボ」また「フロドの父の、父方のはとこがビルボ」ということになる。ビルボより78歳の年少。

111歳の誕生日に姿を消したビルボから袋小路屋敷の財産とともに、彼が前の冒険で手に入れた「魔法の指輪」を相続する。やがてガンダルフによってそれが冥王サウロンの失われた「一つの指輪」であることが明らかになると、指輪をこの世から失わせるためにホビット庄から旅立った。
性格は非常に聡明であり、ゴクリの一件ではガンダルフから伝えられた慈悲の心を示すとともに、威厳あるいかめしい姿も見せた。ビルボからはエルフ語を教わるとともにエルフとの交友を学んだエルフの友であり、クウェンヤなど上古の知識にも一部通じている。

『ずんぐりして背が低く、ほっぺたが赤い、これだけじゃたいして役に立つまいな。たいていのホビットに当てはまることじゃから、バーリマン君。だがこの者は一部のホビットたちよりは背が高く、大部分のホビットたちより色が白い。また口と顎の間にくぼみがある。目もとの晴れやかないきのいいやつだ。』*4

不意にかれは、致命的な傷を受けたあと、エルロンドの館で眠ったまま横になっていた時のフロドを思い出しました。あの時ずっと看取りを続けながら、サムは時折りかれの内部からかすかに光が射すように思われるのに気がつきました。今やその光は一層鮮明となり一層強まっていました。フロドの顔は安らかでした。恐怖と心配はその痕を留めていませんでした。しかしその顔は年老いて見えました。年老いてしかも美しく見えました。あたかも長い年月をかけて形を刻み上げてきたのみのあとが、以前は隠されていた多くの美しい線となって今現われ出たかのようでした。といっても、目鼻立ちに変化が起こったわけではありません。*5

指輪戦争の終結後、ビルボから西境の赤表紙本を引き継いで指輪戦争の記録を主に執筆するとともに、伝承集編纂の仕上げをする。だが、指輪破壊の任務で受けた傷は中つ国では癒えることがなく、サムワイズ・ギャムジーに全ての財産を遺すと、第三紀の終わりに西方へと去っていった。

前半生

「フロド様は、めったにお目にかかれねえほどりっぱな青年だ。ビルボ旦那によう似てなさる。それも、顔形よりご気性がな。」*6

ドロゴ・バギンズプリムラ・ブランディバックの息子として生まれるが、幼い頃に両親を川舟の事故で亡くし、母方の一族が住むブランディ屋敷に引き取られて少年時代を過ごした。
バック郷時代のフロドは年相応に活発な少年だったらしく、欲しさにマゴットの農場に忍び込んで見咎められ、犬に見張られながら逃げ帰るといった経験をしている(このことから後に再会するまで、マゴットと彼の犬に苦手意識を抱いていた)。

やがて身寄りのない親戚に親切にしていたビルボ・バギンズと知り合い、彼の最も親しい友人となる。二人は誕生日が同じ9月22日であり、フロドが21歳になった時、ビルボからなあ、フロド、わたしのところで一緒に暮らしたほうがいいよ。そうすりゃ、つごうよく一緒に誕生祝いができるじゃないか。*7と声をかけられ、彼の養子に迎えられて袋小路屋敷で暮らすようになった。
ビルボからは彼の前の冒険譚をはじめいくつもの歌や伝承、エルフ語などを教わり、古代語クウェンヤをも少し理解するなど、ホビットとしては相当な博識となった。

ビルボの後継者

時がたつにつれ、人々は、フロドにもまた「持ちのよいひと」のきざしが現われているのに気づき始めました。外から見たところ、かれは、大人と子供の境を抜け出て成人になったばかりの頑健で元気いっぱいのホビットの様子をいつまでも失わないでいました。*8

第三紀3001年9月22日、ホビット村盛大な誕生会が開かれたが、これはビルボの111歳の長寿とともにフロドの33歳の成人を祝うものであった。この席上でビルボは突如として文字通り姿を消し、ホビット庄から旅立ってしまう。遺言状によってフロドはビルボの後継者に指名され、フロドのもとには袋小路屋敷とその家財道具一式、そして指にはめると姿が消える「魔法の指輪」が遺された。
こうしてフロドは袋小路屋敷の主人となった。

フロドはホビット庄の民とその暮らしを深く愛していたが、心の奥底ではビルボと一緒に旅に出なかったことへの後悔を募らせていた。そして東街道を往来する旅人やドワーフたち、森の中を灰色港へ向けて旅立つエルフたちとすら親しく言葉を交わすようになる。
さらに受け継いだ指輪の効力によって、それを相続した33歳の時から外見が老化することがなかったため、ビルボと同様に「持ちのよいひと」として知られるようになった。
そのためフロドは変人として知られたビルボの評判をもそっくりそのまま引き継ぐことになった。

だがフロドには年下の親しい友人が何人もおり、わけてもメリアドク・ブランディバックペレグリン・トゥックフレデガー・ボルジャーらと親しくしていた。また、袋小路屋敷で庭師を務めるサムワイズ・ギャムジーとも親しく、彼から深く敬愛されていた。

ホビット庄からの旅立ち

「もしわたしにできることなら、ホビット庄を救いたいのです――時にはわたしも、ここの連中ときたらお話にならないくらい馬鹿で退屈で、いっそ地震かにでも襲われたほうがいい、なんて思ったもんですが。でも今はそうは思いません。自分があとにするホビット庄が安全で住み心地のよい土地としてある限り、わたしは放浪の旅がより耐えやすいものになるだろうと思いますよ。たとえこの足でふたたびそこに立つことはできないにしろ、どこかにしっかりした足がかりがあるとわかっていればいいんです。」*9

大いなる年第三紀3018年)の4月、10年ぶりにガンダルフの訪問を受けたフロドは、自分が相続した指輪が冥王サウロンの恐るべき「一つの指輪」であることを知らされる。指輪がもたらす脅威からホビット庄を守るため、フロドは単身故郷を後にすることを決意した。

フロドは袋小路屋敷ロベリア・サックビル=バギンズに売却して、ホビット庄の東境にあるくり窪へ引っ越す手筈を整え、そこから秘密裏に裂け谷を目指して避難する計画を立てる。そして[ビルボ>ビルボ・バギンズ]]の先例に倣い、彼が姿を消した9月23日を出立の日に定めた。
だが旅に同行するはずだったガンダルフが情報収集に出かけたまま音信不通になり、フロドは不安を抱きながらも無為に日々を過ごすことになる。予定通り9月23日になって袋小路屋敷を引き払ったフロドだが、すでにモルドールから送り込まれた黒の乗手が彼のすぐ後ろに迫っていた。

ところざわ村にいたる道からバックルベリの渡し場まで黒の乗手に追跡されたフロドたちは、末つ森で出会ったギルドール上のエルフの一行や、長年苦手にしていたマゴット氏の温かい歓迎に助けられて、24日の夜になんとかくり窪に到着する。
そこでフロドは自分を助けてくれた親しい友人達に別れを切り出そうと考えていたが、彼らは指輪の存在もフロドの目的もとっくに承知しており、これからもフロドを助けて危険な旅に同行する決意であると逆に明かされて、仰天すると共にいたく感激させられる。フロドはサムワイズ・ギャムジーメリアドク・ブランディバックペレグリン・トゥックを旅の仲間として、翌25日の夜明け前にホビット庄から旅立った。

一行は古森では柳じじいに、塚山丘陵では塚人に襲撃されたが、いずれもトム・ボンバディルの助けを得て窮地を切り抜ける。29日に日暮れにブリー村に到着した一行は、躍る小馬亭でガンダルフの友人である馳夫ことアラゴルン二世に出会う。フロドは馳夫の胡散げな外見の下に信頼できる人柄があることを見抜き、彼の先導で裂け谷を目指すことになった。

だが10月6日の夜、一行は風見が丘の麓でナズグールの襲撃を受ける。フロドは恐怖のあまり一つの指輪を指にはめたために幽界に身を晒してしまい、魔王モルグルの刃で刺されてしまった。
フロドがエルベレスの御名を唱えて抵抗したために刃の切先は心臓から逸れ、左肩を刺されただけで済んだが、刃の破片は彼の体内に残り、その呪魔によってフロドは幽界に引き寄せられていった。フロドを救うため、アラゴルンはアセラスの葉を用いて治療を試みつつ、一行は裂け谷へ急ぐことになる。
ブルイネンの浅瀬でフロドは仲間から引き離されてナズグールに追い詰められたが、あくまで踏みとどまって抵抗し、間一髪のところでエルロンドガンダルフブルイネンを氾濫させたことで難を逃れた。

エルロンドの治療によって体内に残っていた刃の破片が取り除かれたことで、フロドは危険な状態を脱したが、それでも傷の影響から完全に自由になることはなく、ガンダルフはしまいにはどういうことになるのか、エルロンドにさえ予知ができない。しかしまがまがしいことにはなるまい。かれは見える目を持つ者には、澄んだ光をたたえた杯とも見えるようなものになるかもしれぬ。*10と述懐している。
10月24日にフロドは目覚め、仲間たちと再会するとともに、「最後の憩」館に身を寄せていたビルボとも再会する。

指輪所持者としての旅

「わたしが指輪を持って行きます。」と、かれはいいました。「でも、わたしは道を知りませんが……。」*11

10月25日にエルロンドの会議が開かれ、サウロンの脅威を除くためには一つの指輪モルドール滅びの山にある滅びの罅裂に投げ込むしかないことが決められる。
ほとんど望みのない任務であり、誰も他人を指名できず、また自ら名乗り出ることもできないでいたが、フロドは奇妙な使命感に突き動かされ、自分が指輪の担い手となることを申し出る。この時天啓に打たれたエルロンドもしあなたが道を見いださないのなら、だれ一人見いだす者はいないだろう。*12と評した。
こうしてフロドはあらためて指輪所持者に指名され、その旅を助けるために指輪の仲間が結成された。

指輪の仲間は12月25日の夕暮れ、裂け谷を出発した。

一行は柊郷を過ぎて霧ふり山脈の山越えを図ったが、カラズラスの山の悪意に阻まれて赤角山道を越えることができず、モリアの坑道に足を踏み入れることを余儀なくされる。そこでガンダルフバルログと相打ちになって奈落に落ちたことで、指輪隊は先導者を失ってしまった。
代わって先導を引き受けたアラゴルンのによって一行はロスローリエンに到着し、ガラドリエルから休息と贈り物を与えられる。フロドはサムと共にガラドリエルの水鏡を覗き見る機会に恵まれ、贈り物として玻璃瓶を与えられた。

ロスローリエンを過ぎて一行は小船で大河アンドゥインを下って旅を続けたが、そこから指輪がどの道を取るべきか仲間内で意見が割れるようになる。フロドはたとえどんなに危険が大きくとも指輪は一路モルドールを目指すべきであることが判っていたが、それを決心する勇気を出せないでいた。
だがパルス・ガレンにおいて、指輪の誘惑に駆られたボロミルがフロドに襲いかかるに及び、フロドは指輪の魔力が仲間内にすら作用し始めたことを悟る。ボロミルから逃れ、アモン・ヘン視る椅子に座って各地を眺めたフロドは、仲間と我が身を守るために単身でモルドールを目指す決意を固めた。
その決意を察したサムワイズ・ギャムジーだけがフロドに追いすがり、フロドは彼を唯一の従者として仲間の許から離脱した。

モルドールへの旅

「さがれ、さがれ!」かれは息をきらしながらいうと、片手を握りしめるように胸に当て、革の下着の下に隠れている指輪をしっかり握りました。「さがれ、この腹ばうものよ、そしてわたしの道をあけろ! お前の時は尽きた。もうお前はわたしを裏切ることも、殺すこともできぬ。」
その時突然サムは、前のエミン・ムイルの山の端での時と同じように、この二人の敵手を別の幻覚で見たのでした。一方は生命の影としかいえない、うずくまる姿、今やまったく見る影もなく敗北し、しかもなおおぞましい渇望と憤怒に充たされている生きもの。そして一方はその前に立って、もはや憐れみに動かされることのない、いかめしい白衣の人物、しかもその人物は胸許に火の車を掴んでいました。*13

その二人の後を、かつて指輪を持っていたゴクリが追跡していた。エミュン・ムイルで襲いかかってきたゴクリを捕らえたフロドは、彼を殺すべきか決断を迫られたが、かつてガンダルフに説かれた慈悲の心を思い出し、その生命を助ける。フロドは優しさと威厳をもってゴクリに接して本名のスメーアゴルの名で呼び、スメーアゴルもそれに応えてかつての善良だった性質を取り戻すかに見えた。
スメーアゴルを道案内にしてモルドールへ潜入することを決めたフロドとサムは、死者の沼地から黒門へ至り、そこか通行不能であることが判ると南に進路を変えてイシリエンからキリス・ウンゴルを目指した。その途上で出会ったファラミルは、ゴクリに底意があることを警告したが、フロドはそれを承知の上でスメーアゴルの案内に身を委ねる。

はたしてスメーアゴルはゴクリの人格に打ち負かされ、トレヒ・ウンゴルにおいてフロドを裏切り、シーロブにフロドを差し出すことにする。玻璃瓶つらぬき丸によって洞窟を突破したフロドだが、サムを引き離して突出してしまったところを、第三紀3019年3月13日、シーロブの毒針に噛まれて仮死状態に陥った。
フロドは死んだものと思ったサムは、一つの指輪を取って自分が任務を続けようとしたが、横たわるフロドを発見したシャグラトゴルバグオークの部隊はその仮死状態を見抜き、取り調べのためにフロドをキリス・ウンゴルの塔に連行する。フロドはサムによって救出されたが、その装身具は奪われ、黒門の戦いにおいて西軍の大将たちを脅迫するのに使われることになった。

フロドは再び指輪を担い、いよいよモルドールに足を踏み入れて滅びの山を目指す最後の旅に立ち向かう。
二人はモルガイに沿って北上し、途中追いついてきたオークの部隊に紛れ込んでアイゼン口に至り、そこで部隊から離れてゴルゴロス高原を横断、いよいよ滅びの山に達する。
だが過酷な旅路による心身の疲弊、山に近づくにつれ力と重さを増す指輪の重圧、またその道はバラド=ドゥールに坐するサウロンに近づく道でもあったため、それが投射する恐るべき脅威、それらはフロドの意志の力を刻一刻と消耗させていった。
とうとう滅びの罅裂に到達したフロドだが、そこで運命は下り、フロドは一つの指輪に屈してしまった。

するとフロドは不動の姿勢を僅かに解き、はっきりした声でものをいいました。まったくのところこれほどはっきりした力強い声でフロドが話すのをサムは今まで一度も聞いたことがありませんでした。その声は滅びの山の鼓動と轟音を圧して、天井と壁に響き渡りました。
「わたしは来た。」と、かれはいいました。「だが、わたしがここに来てするはずだったことを、もうしないことにした。そのことをするつもりはない。指輪はわたしのものだ!」*14

指輪は自分のものだと宣言したフロドはそれを指にはめ、その瞬間サウロンはフロドの存在と居処を察知、さらに後を追ってきたゴクリが指輪を奪おうと襲いかかった。フロドはもみ合った末にゴクリに右手の薬指*15ごと指輪を食いちぎられ、一つの指輪を失う。だが指輪を取り戻したゴクリは狂喜のあまりバランスを崩して指輪もとろも滅びの罅裂に落下した。
こうして第三紀3019年3月25日、指輪所持者の任務は達成されて一つの指輪は無に帰し、サウロンその王国は滅びた。

指輪の消滅とともに滅びの山は噴火して崩壊。正気を取り戻したフロドはサムと共に、溶岩に取り巻かれて逃げ場がないことを悟る。しかし意識を失った瞬間、彼らを探しに来たガンダルフの乗るグワイヒィル大鷲が飛来し、二人は救われた。
フロドの傷はアラゴルンによって癒やされ、意識の回復した二人はコルマッレンの野において生き残った指輪の仲間たちと再会。指輪所持者として任務を達成したフロドとサムは栄誉礼を受け、かつてサムが望んだようにフロドの勲功は「九本指のフロドと滅びの指輪の物語」として歌に歌われることになった。
またエレッサール王の戴冠式においては、ゴンドールの王冠を運ぶという大役を担った。

後半生

「だが、わたしの受けた傷は深すぎたんだよ、サム。私はホビット庄を安泰に保とうとした。そしてホビット庄の安泰は保たれた。しかしわたしのためにではないよ。愛するものが危機に瀕している場合、しばしばこうならざるを得ないものだよ、サム。つまりはだれかがそのものを放棄し、失わなければならないのだ。ほかの者たちが持っておられるように。しかしお前はわたしの相続人だよ。わたしが持っていたもの、持ったかもしれないものはことごとくお前に残すからね。」*16

フロドはゴンドールに暇を告げる時、アルウェン王妃よりあなたの傷がなおもあなたを苦しめ、あなたの負うた荷の記憶が重くあなたにのしかかるようなことがあれば白い宝石を贈られる。その言葉の通り、失われた一つの指輪の記憶は絶えずフロドを苦しめ、またモルグルの刃を受けた10月6日とシーロブの毒を受けた3月13日になる毎に病んで臥せるようになった。

水の辺村の合戦ではついに自ら剣を抜くことはなく、むしろ血気にはやるホビットたちを抑制する立場に立った。愛するホビット庄サルマンとその手下のごろつきによって無残に荒廃してしまったのはフロドにとっても痛ましいことであったが、フロドはあくまでサルマンを助命しようとし、サルマンからは敬意と憎しみを表明されるとともに健康も長寿も得られないであろうと予言される。
この一連の騒動がきっかけとなって他の旅人たちは名士として名望を高めていったが、フロドはほとんど表舞台に立つことはなく、庄長の助役を一時引き受けた後はロベリアから返還された袋小路屋敷で静かな暮らしを送り、帰郷時に立ち寄った裂け谷にてビルボより受け取った赤表紙本に旅の記録を記した。
フロドは、ロージーと結婚したサムを屋敷に迎え入れて共に暮らし、サムの娘エラノールの名付け親にもなった。

そうした中でもフロドは指輪戦争で負った傷に苦しめられていた。
やがてフロドは袋小路屋敷その他一切の財産と幸せをサムに譲り、赤表紙本の完成を託すと、彼とともにホビット村を旅立つ。サムメリーピピンに見送られたフロドは、同じく指輪所持者であるビルボと、三つの指輪の守護者であるガンダルフエルロンドガラドリエルと共に、灰色港より船に乗って大海を渡って西方へと去っていった。
船上でフロドが掲げる玻璃瓶の光は瞬きながら水平線に消えていき、そしてついにある朝、フロドは至福の国の岸辺に到達したと伝えられている。

略歴

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アラン・リー作画によるフロドとガンダルフ アラン・リー作画によるフロド、サム、ゴクリ

映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定

俳優イライジャ・ウッド
日本語吹き替え浪川大輔

原作ではビルボの別れの宴からフロドがホビット庄を旅立つまで18年が経過しており、フロドの年齢も51歳の中年であるが、映画ではこの18年が短縮されており年齢設定も青年であるという大きな違いがある。そのためか、原作にあった年功者として自主性を発揮する場面のほとんどが割愛されており、受け身の主人公との印象が強くなっている。

『旅の仲間』では、全くナズグールに抵抗できない形となっている。風見が丘では無抵抗に刺されており、ブルイネンの浅瀬では傷のせいで前後不覚となったフロドの代わりにアルウェンが川を挟んで対峙している。また指輪所持者として名乗りを上げる場面では、会議の参加者が口論するなかで指輪の魔力を感じて名乗りを上げる形となっている。
『二つの塔』では、ゴラムに威厳をもって接する姿は描かれていない。ファラミルオスギリアスに連行され、そこでナズグールに襲われ、指輪の魔力に屈しそうになる。
『王の帰還』では、ゴラムの策略にはまってレンバスの粉のついたサムに失望するという独自の展開になる。また、滅びの罅裂ではゴラムに指輪を奪われたあと、取り返そうともみ合っているうちに、はずみでゴラムのみが落下、フロドも危うく落ちかけたが、サムによって引き上げられ九死に一生を得るという形になっている。失った指は、左手の人差し指になっている。

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『ロード・オブ・ザ・リング』におけるフロド・バギンズ 『ロード・オブ・ザ・リング』におけるフロド・バギンズ 『ロード・オブ・ザ・リング』におけるフロド・バギンズ

グッズ

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映画『ホビット』における設定

俳優イライジャ・ウッド
日本語吹き替え浪川大輔

『思いがけない冒険』において、ビルボ111歳の誕生日の日、袋小路屋敷からガンダルフを迎えに出て行く場面が描かれており、『ロード・オブ・ザ・リング(旅の仲間)』冒頭と繋がるようになっている。

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『ホビット』におけるフロド・バギンズ

ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定

フロド達指輪の仲間を出立するのを冒険者が見送るクエスト、パルス・ガレン及び死者の沼地でのフロドを追体験するセッションプレイがある。
他にもコルマッレンの野での栄誉礼、エレッサール王の戴冠式および結婚式でのフロドとその仲間達が再現されている。

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『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるフロドとガンダルフ 『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるフロドとサム(キリス・ウンゴルにて) Concept_Frodo_1280.jpg

Include/指輪の仲間

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • 映画だとフロドの偉大さと苦しみがわからない。
    指輪戦争最高の功労者なのになんの見返りも受けない。 -- 2022-08-15 (月) 10:02:25
    • そりゃ小説のほうが内面や詳細の描写に優れているというか向いてはいるのは間違いないが、『映画だとフロドの偉大さと苦しみがわからない』とまで言い切るのは明らかに言いすぎというか最早鑑賞者の感性の問題になっていると思うが…。 -- 2022-08-15 (月) 19:13:53
    • 映画はフロドの受難ではなく、フロドを助ける側にヒロイズムを帯びさせて描いているせいでそういう印象になるのだと思います -- 2022-08-15 (月) 22:20:34
    • 代わりにサムめっちゃ頑張ってる……!感あるよね
      昔見た時隣で親が「全部サムのおかげじゃん」って言っていたのを思い出した
      娯楽作品として見ている層からするとフロドの偉大さってやつは少し分かりづらいわな -- 2022-08-20 (土) 00:49:12
    • うちの全く感性のない親父もそう言ってたが、親父の再婚相手の方は原作未読だがフロドの痛みや使命を果たしたにもかかわらず現世には居場所がない事に同情していたぞ。
      やっぱり鑑賞側の問題は大きいと思う。もちろんそりゃ原作の方がより伝わるが、そりゃ映画と小説というツールの差や全世界向けの娯楽作品として作られた映画版という違いによるもの。 -- 2022-08-20 (土) 08:58:22
      • 親父の感想は「なんだコイツウジウジと」「あーつまらなかった」くらいだったからね。ほんと戦闘や戦争シーンだけ楽しんでた感じ。 -- 2022-08-20 (土) 09:02:06
      • 母親が谷崎の細雪を読んだとき同じような感想を述べていたぞ。主君のほうがめそめそとしていて「三女の彼氏」のような平民やその他の使用人の方が洪水その他の事故が起きた時にてきぱき対応している部分に対しての感想だ。だがモルドール行きを決定したのはフロドなので指輪を捨てたのはフロドの功績で間違いないと思うぞ。 -- 2022-08-20 (土) 09:36:34
        • 映画だとその旅立ちの決断も、覚悟や義務感ではなく指輪の誘惑みたいな描写になってるから、多少はね? -- 2023-11-24 (金) 13:14:11
  • 「ロードオブザリング」の感想を読むと「フロドがクズすぎてイライラする」とか書いてる人がたくさんいるんだよね。
    全然伝わってないと思って絶望したんだよ。 -- 2022-08-20 (土) 11:56:43
    • 一つの指輪がどれだけ人を狂わせるか、恐ろしい魔力を持っているか、映画鑑賞者の全てにはいまいち伝わってないのが根本原因かも
      それを分かってないとずっと指輪を背負ったフロドの立派さが分からないのも当然
      十分描く努力はしてると思うけど -- 2022-12-18 (日) 00:01:40
    • その影響もあってか アラゴルンが大丈夫だったのに、ボロミアはすぐ狂ったから弱い そういう印象強いんだよな 本来ならボロミアもモルドールの侵攻を長年食い止めてきた英雄なんだけど ドゥーネダインのアラゴルンと違ってごく普通の人間だから精神耐性が弱い 上のエルフのガラドリエルすら一瞬で指輪の誘惑に飲まれ掛けるから ビルボとフロド 特にビルボの方は60年耐えたから凄い -- 2023-07-10 (月) 06:59:23
    • その辺はボロミア=指輪への耐性を持たない人間らしい人が指輪に魅了され魔がさした描写で、常にあの指輪に心身を蝕まれているフロドにどれほどの心労がかかっているのか…フロドを貶している人達にも慮ってほしかったですね… -- 2023-08-09 (水) 11:36:14
  • 以前も書きましたが、原作にあったフロドの自主性(4人のホビットの最年長として敬われていること、仲間から重要な決断を常に任されてそれを立派に果たすこと、サムとゴクリとの旅になってからは主体は常にフロドにあって二人はその追随者であること、ナズグルの脅威にも精一杯自分で抵抗すること等)や、慈愛と威厳という両面(ゴクリに慈悲をかけつつもその本質を見抜いて指輪の業罰を宣告する等)を映画ではことごとくカットしているので、「状況に流されて、指輪の誘惑にすぐフラフラする、周りに助けられてばかりの主人公」という鑑賞体験になるのだと思われます。
    フロドの描写が割りを食ったのは、指輪の誘惑の恐ろしさを表現するためであったり他のサブキャラクター(サムやアラゴルン)をヒーローとして立てるためであったりすると思われますが、「あるキャラクターを盛り立てるために別のキャラクターの描写を引き下げる」という映画版で散見される悪癖が、フロドについても当てはまってしまっている問題かと思います。
    映画の構造的にこういう問題点が明確に指摘できる以上、やはり鑑賞者の資質の問題に帰することはできず、映画の描き方にそう受け取られるような問題があったと言わざるを得ないかと。 -- 2022-08-20 (土) 12:17:19
    • ファラミア「だよな」
      デネソール2世「異論はない」
      正直この2人に比べたらフロドの描き方はまだ誠意を感じるわ。
      マジでボロミアにスタジオ焼き討ちされるレベル。
      時間の尺やらスポンサーやらの商業的理由もあるから、フロドについては1000歩譲って「まぁ…うーん…しゃーないか…」となるが上記2人は可哀想にも程があるわな。
      まぁだからって映画を駄作とか言うつもりは全くない、生涯ベストのひとつだけど。 -- 2022-08-20 (土) 16:35:33
  • フロドが指輪を捨てる旅に行かずに裂け谷に止まった世界線も見たい -- ミーム 2022-12-31 (土) 10:28:11
    • 籠城戦ですかね?ヌアネン湖付近で大飢饉が起こる、他民族たちが自らの宗教に目覚めてサウロンへの同盟を破棄、生産力のないモルドール本国への補給ルートが経たれて経済的に破綻、モルドール経済圏が失墜するなどしかサウロンの負け筋があり得ないし、その場合でもエルロンド、ガラドリエル、ガンダルフの殺害と指輪の奪還という戦術目的は完遂しそうです。 -- 2022-12-31 (土) 11:00:25
      • 指輪の奪還は戦略目標じゃね?
        ぶっちゃけ他の何に失敗しようが指輪さえ取り戻したらサウロンは勝ちよ。
        それこそ(絶対にあり得ないが)バラド=ドゥアを陥されようが、逆転できるレベル。
        指輪を持ったままナズグルと身を隠し、アラゴルンあたりが世を去ってから反撃すればいいんだから…。 -- 2023-02-21 (火) 07:52:11
  • 原作未読なんだけど原作ではゴクリが誤って落ちて終わりって感じなんですか?
    映画だと落ちながらも指輪を大切に抱き込むゴクリと岩にしがみつくフロドのシーンは好きなところなんですが映画オリジナルの演出になるんですかね? -- 2023-02-21 (火) 01:25:02
    • あまり詳細をネタバレしたくはないのですが…。(他にも原作未読でこれから読みたいと思ってる人はいるかもしれないので)
      そこら辺は脚色はありますが大筋はその理解で間違いないです。
      ただゴクリの落下については凡そ「そんなふうにして落ちたんだろうなぁ」と思わせる描写があります。 -- 2023-02-21 (火) 03:57:08
  • ロベリアにお茶一杯も出さずに、洗い物まで残していくフロド酷くない? -- 2023-03-06 (月) 17:26:46
    • ああいうとこは教授の英国面が発露してるよね。
      クスッとする。実際されたらウゼーけどw -- 2023-07-10 (月) 09:17:35
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