ビヨルン

概要

カテゴリー人名
スペルBeorn
異訳ビヨン
その他の呼び名大主公(だいしゅこう)(great chief)
種族人間(皮をとりかえるひと)
性別
生没年第三紀*1
グリムビヨルン(息子)

解説

カーロック闇の森の間にある土地に住む人物。普段は黒い髪と鬚を生やした筋骨隆々の大男の姿をしているが、彼はいつでも自由に毛皮を取り替えることで、大熊の姿になることができた。
人の姿でいる時も十分に恐ろしいが、熊になるとその恐ろしさは比べ物にならない。一歩間違えば食い殺されかねないほど気が荒いので、トーリンの一行ガンダルフの助言により、とても注意深く彼に接触した。そのおかげで彼の好意を得ることに成功したが、もしガンダルフがいなかったらどうなっていたか判らない。
ビヨルンはゴブリンを強く憎んでおり、一行がゴブリン町大ゴブリンを倒した話を聞くと喜び、彼らに食事を与え、闇の森入り口まで行くための小馬を貸し与えるなどの援助を行った。

荒々しい気質とは裏腹に、お菓子作りやパン作りの達人という一面も持ち合わせる。特に蜂蜜を使ったお菓子は絶品。
養蜂と酪農を営んでおり、蜂蜜やクリームなどを食べる。一方で動物を愛し、彼らを傷つけることを嫌うため、肉喰はしない。そのため彼の前で毛皮に関する言葉は間違っても口にしてはならない禁句であるという。彼の家では、たいへんに賢い小馬や犬などの動物達がまるで召使のようにビヨルンに仕えて働いていた。
人間としては西方語で会話することができるが、動物達にはまるでけもののほえる声をおりまぜたような、みょうな言葉を使って指示を出すことができ、また大熊になると熊の言葉を使って吠える。

五軍の合戦では、三軍(人間エルフドワーフ)の援軍として熊の姿で現れて暴れ回り、彼一人で戦況を逆転せしめるほどの力を発揮。瀕死の状態だったトーリン二世を戦場から運び出し、ゴブリン軍の大将ボルグを倒した。
合戦後はビルボガンダルフと行動を共にして帰路につき、二人はしばらく客人として彼の家に滞在した。

その後、ビヨルンは霧ふり山脈から闇の森にかけての一帯を取り仕切る大主公に任じられたという。
彼の子孫の血筋には熊に変身する能力が受け継がれ、かれらビヨルン一党は、通行税を取る代わりにロヴァニオン北方の交通と安全を保証するようになった。

正体について

ホビットの冒険』でガンダルフはビヨルンのことを皮をとりかえるひと(skin-changer)であると述べ、「巨人が来る以前に山にいた大昔の大グマの末裔という説と、ゴブリンが来る以前からこの地に住んでいたはじめての人間の末裔という説があるが、おそらく後者」(要約)と説明している。またガンダルフはかつて熊の姿のビヨルンが奴らが滅びる日は近づいた。その時わしはもどっていくぞ霧ふり山脈に向かって吠えているのを見たことがあると言っている。

前者はおそらくモルゴス配下の巨狼などの動物変身系の悪霊を指していると思われるが、それらではないということになる。後者は明らかにエダインと共通の祖先から分かれた北方の自由の民を指している。
二つの塔』でのアラゴルン二世の台詞や『追補編』の追補Fでも、ビヨルン一党谷間の国の人間ロヒアリムの近縁であると述べられている。
ここからビヨルンとその一党は、谷間の人間の「ツグミ」、ロヒアリムの「」と同種で、かつそれ以上に深い「熊」との繋がりを持つ人間の一氏族だと考えられる。

トールキンは手紙で「ビヨルンは“皮をとりかえるひと”で、いささか魔術師めいたところはあるが、人間である」と述べている*2

名前の由来

beorn古英語で、戦士(warrior)や英雄(hero)の意味だが、語源である古ノルド語(Wikipedia:古ノルド語)のbjørn(björn)は熊(bear)の意味である。
邦訳『指輪物語』ではBeorn熊人ビヨルン熊人(ビヨルン)と訳されている箇所があるが、上記の語の由来を補完したものと思われる。

映画『ホビット』における設定

『竜に奪われた王国』より登場。熊になっているときは理性を失う、家族をアゾグに殺された、自分も以前アゾグに囚われていた、変身能力を持つ一族の最後の者(変身能力を持たない他の生き残りがいるとも、文字通りビヨルン以外死に絶えてしまったとも解釈できる台詞になっている)などという、原作とは非常に隔たった独自のキャラクター設定がなされている。
眉、頬髯、頭髪及び背中の毛が一つに繋がっており、普通の人間よりも額が大きく隆起しているなど、変身を解いた状態でも熊の面影が残る顔立ちをしている。

原作にあった、ガンダルフが彼にこれまでの経緯を語りながらドワーフビヨルンの家に招き入れるシーンも描かれておらず、一行はオークの一隊と熊になったビヨルンから逃げるために全員で彼の家に駆け込んでいる。
エクステンデッド・エディションでは夜が明けた後、人間の姿に戻ったビヨルンに対し、ガンダルフがラダガストの名を出して自己紹介する場面や、ドワーフたちが順番にビヨルンの前に姿を現す場面など、原作に近いやりとりが追加されている。さらにドル・グルドゥア死人占い師(ネクロマンサー)魔王について、ガンダルフと話すシーンもある。

『決戦のゆくえ』における五軍の合戦には、ラダガストによって呼ばれた大鷲に運ばれて参加。エレボールの目前まで来ていたグンダバドからの新手のオークを、大鷲と共に襲う。そしてこれらのオークを壊滅させるほどに暴れ回り、五軍の合戦における人間エルフドワーフの危機を救った。だがビヨルン本人の台詞もほとんどなく、劇中での言及もない。エクステンデッド・エディションではわずかにビヨルンの戦闘シーンが増えているのと、トーリンの葬儀に参加しているシーンが追加されている。
原作ではビルボガンダルフは帰郷時、ビヨルンの家までは彼と共に旅をしたが、その描写もない。

Iron Crown Enterprisesによる設定

ビヨルンの設定に合わせビヨルン一党という種族が存在し、アトリドゥク語(Atliduk)、ワイルデュス語(Waildyth)という言語を使う。

ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定

ビヨルンの設定に合わせ、Beorning(ビヨルン一党)というクラスが存在する。

コメント

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  • 映画では文句を言いつつも、ドワーフたちのコップにミルクを注ぎながら朝食をもてなす姿が可愛いw -- 2015-11-28 (土) 04:05:01
  • あのイラストぐらい巨大にしてくれてもよかったのに -- 2016-03-14 (月) 00:44:13
  • シルマリルでベレンが巨狼の皮を被って変身しましたが、やはりエダインと先祖を同じくしていて、古代の能力を強く受け継いでいるという事でしょうかね? -- 2016-04-23 (土) 17:17:43
  • 五軍の合戦では、かなり活躍したんですね。 鳥に乗って、空から落ちてきて。 -- 2016-06-04 (土) 02:23:33
    • 原作通りボルグを倒すのはビヨルンにするべきだった -- 2016-06-06 (月) 00:07:43
      • レゴラスを叩きのめして、嬉々として止めを刺そうとしたところにビヨルンが上から降ってきてペシャッ。てところか? -- 2016-06-06 (月) 00:49:14
  • 確かギムリがレンバス食べたときにこの人のお菓子を比較に挙げてたよね。別にドワーフと仲悪いわけではないんかな。 -- 2016-06-09 (木) 02:26:21
    • 裂け谷でグローインがフロドに、ドワーフに親しみを持ってはいないが信用はできる、みたいなことを言っていたような。 -- 2016-06-09 (木) 10:45:01
  • 映画のビヨルンの鋼のような肉体はほぼミカエル氏の自前だったのか -- 2016-07-27 (水) 16:27:16
  • skin-changerって言葉から、人間に戻るときは熊の背中が裂けて中から人の姿が出てくるんじゃないかと思ってた -- 2017-09-18 (月) 13:42:04
    • 自分の脱け殻でなら革製品を作っても問題ないかもしれない -- 2018-05-16 (水) 18:37:47
  • 個人的にはバーサーカーのイメージ。毛皮をまとって忘我状態になる狂戦士、いわゆる変身するというのは何か違和感あるなあ -- 2017-09-18 (月) 17:23:44
  • EEでの未公開シーンでは、巨人?を倒してますね。 -- 2018-03-19 (月) 18:17:36
  • EE版にも入ってないけど、メイキングシーンに恐らくトーリンの葬儀の後にガンダルフとラダガストにブチギレてる場面がチラッとあった。「悪を倒しに来たのに!」って感じの台詞があったのでトーリンたちを救えなかった事を悔やんだのか、アゾグ親子を自ら倒せなかったからなのか。いずれにせよその口論後に一足先にエレボールを去ったと思われる。 -- 2018-05-16 (水) 00:41:34
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*1 Letter#144によると、指輪戦争の頃には既に故人
*2 Though a skin-changer and no doubt a bit of a magician, Beorn was a Man.Letter#144

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Last-modified: 2018-05-16 (水) 18:37:47 (7d)