バルログ

概要

カテゴリー種族
スペルBalrog
その他の呼び名ヴァララウカール(Valaraukar)*1
恐怖の悪鬼(demons of terror)
ドゥリンの禍(Durin's Bane)
モルゴスのバルログ(Balrog of Morgoth)
ウドゥンの焔(flame of Udûn)

解説

シンダール語で「力強き悪鬼(Demon of Might)」の意。クウェンヤではヴァララウカール。
上古の世に冥王モルゴス(メルコール)に仕えた、堕落したマイアールの一団のことで、単体の固有名ではない。

そしてメルコールは、ウトゥムノにあって、悪霊共をまわりに集めていた。かれの勢威赫々たる時に真っ先にかれに追随し、その堕落の時にあっては最もかれに似るに至った精霊たちである。かれらの心は火でできているが、まとうものは暗黒であり、恐怖がかれらの露払いをした。そしてかれらは、炎の鞭を持っていた。中つ国では後に、かれらはバルログという名で呼ばれた。*2

第一紀のバルログ

ゴスモグを首領としたバルログはモルゴスの強力な召使いであり、数々の戦いにおいて猛威を発揮した。
ランモスウンゴリアントの糸に絡め取られたモルゴスを救出し、ウンゴリアントを追い払ったのもバルログであった。

ダゴール=ヌイン=ギリアスにおいてはフェアノールを殺害した。ダゴール・ブラゴルラハおよびニアナイス・アルノイディアドにおいては、と共にモルゴス軍の主力部隊の先鋒をなし、常にエルフの守りを打ち破っている。ゴンドリンの没落でも大きな役割を果たしたが、エクセリオングロールフィンデルと相打ちになる者もあった。

だが怒りの戦いで、ほとんどのバルログは滅ぼされた。

ドゥリンの禍

バルログの生き残りの1体は、霧ふり山脈の奥深くに遁れて眠っていた。
第三紀1980年、余りにもモリアを深く掘り進めていたドワーフによって、このバルログが解き放たれてしまう。その際モリアの王ドゥリン六世が殺された為、このバルログはドゥリンの禍と呼ばれるようになった。ドゥリンの禍は、翌年1981にはナイン一世をも殺し、生き残ったドワーフ達はモリアから逃れる。
以後、ドゥリンの禍はモリアの深層に潜み続け、やってきたオークトロルを恐怖によって支配した。

3019年指輪の仲間がモリアを通過しようとした時、ドゥリンの禍は深層から姿を現し、ガンダルフと対峙した。ドゥリンの橋で対面した両者は諸共に奈落へと落ちたが、そのまま地の底から無限階段を通ってケレブディルの頂に至るまで戦い続け、とうとう白昼の青空の下、ドゥリンの禍は山腹から投げ落とされて滅ぼされた(山頂の闘い)。

外見

そしてその後ろから何かがやって来ました。それがなんであるかは見えませんが、大きな影のようでその真ん中に黒い姿がありました。人間の形をしたもののようですが、人間よりずっと大きかったのです。力と暴威がその者の中に存在し、またその者の露払いをしているように思われました。
その者は火のきわまでやって来ました。火はまるで雲がかぶさってきたかのように、光がうすれました。ついでその者は一跳びで割れめを越えました。焔は迎えるようにごうごうと燃えたけり、それにからみつきました。黒い煙が渦を巻いて立ち上がりました。たなびく鬣に火がついて、その者の背後に赤々と燃え上がりました。その者の右手には切先鋭い火の舌のような刃が握られ、左手にはたくさんの革紐のついた鞭が握られていました。*3

バルログは一般に火の鞭を持っていた。バルログの王ゴスモグは黒い(まさかり)を用いており、モリアのバルログは上述のように右手には火の剣を、左手にはたくさんの革紐のついた鞭を持っていたとある。
モリアのバルログは鬣を持ち、しばしば炎を身に纏いまた吐き出すこともできたようだが、一方でガンダルフとの戦いで水に落ちて火が消えた際にはぬるぬるしたもの(thing of slime)に変化するなど、ある程度可変的な肉体を持っていたらしい描写もある。

バルログと「翼」

ガンダルフに面と向かって、敵はふたたび立ち止まりました。そしてその周りを包む黒い影が二つの巨大な翼のようにさし伸ばされました。

その中の火は消えるかのように思われましたが、それを取り巻く影はいよいよ色濃くなりました。それはゆっくりと足を踏み出して橋にさしかかりました。そして不意に体をまっすぐに伸ばして雲つくほどの高さになり、その翼を壁から壁に届くほど広げました。*4

モリアのバルログは上の引用にある通り、巨大な翼のような何物かを備えていたが、これがはたして実際に「翼」であるのか、それともバルログ本体を取り巻く影か雲のようなものの比喩表現であるに過ぎないのかは、文中からは明確ではない。付言するなら、バルログは飛行できるのか、というのはファンの間でしばしば議論されてきた疑問である。
飛行については、ウンゴリアントに襲われたメルコールを助けに駆けつけた際、バルログ達は火を吐く嵐の如くアングバンドからランモスまでの距離を短時間で通過しており、これを飛行能力の証左と見る向きもある。一方で、明確に落下したという記述(グロールフィンデルと相打ちになって崖下へ転落する、ガンダルフに橋を砕かれて奈落へ転落する、ケレブディル山頂から投げ落とされる)も多く、飛行できるのであれば何故そうしなかったのかという問題もある。
翼があるとするかどうかは描く画家によってもまちまちである。一例としてジョン・ハウは一貫して翼があるものとして描いており、彼のデザインに準拠した映画版『ロード・オブ・ザ・リング』でも翼がある姿で登場した。

グッズ

映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定

モリアの奥底に落ちて炎を失い、スライム状になったバルログも登場する予定でデザイン案も存在するが、尺と予算の問題によりカットされた。

画像

『ロード・オブ・ザ・リング』におけるバルログ

グッズ

ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定

アングマールの奥地に、サウアラックという名のバルログが登場する。

ジラグジギル(ケレブディル)では、ガンダルフによって倒された「ドゥリンの禍」の死骸が確認できる。
またドワーフの物語の回想として、「ドゥリンの禍」がモリアで解放される場面などが描かれている。

画像

『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、モリアで解き放たれたドゥリンの禍 『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、ジラクジギルに墜落したドゥリンの禍の死体 『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるサウアラック

コメント

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  • 今思うとバルログの暗きウドゥンの炎とは何だったのか?ガンダルフは「今は指輪を破壊できるほど熱い炎を体内に燃やす龍はいない」といっていたが第一期の龍の炎と関係があったのか? -- 2015-05-18 (月) 23:22:30
    • ウドゥンの炎はバルログに対しての呼び名っぽいですよ。このページでもそう扱われてます。 -- 2015-12-24 (木) 16:03:09
  • ドラゴンに跨がったバルログの大軍が押し寄せてくることも有ったと聞きました。この話の真偽は知りませんが、もし本当であればその光景を見ただけで死ぬ自信あります… -- 2015-05-19 (火) 21:30:40
    • それは極めて初期の物語(ゴンドリンの陥落など)にのみ見られる描写ですね。一応教授が書いたものではありますが、1910年代という古いもので、後のシルマリルリオンと同じ設定上にあるとするのは無理があるでしょうね。 -- 2015-05-19 (火) 22:23:18
  • 先日NASAの探査機が接近撮影した冥王星の地形名にBalrogの名が付けられています(まだ暫定らしいですが)。他にMorgoth(モルゴス)の名も見えます。 http://pluto.jhuapl.edu/Multimedia/Science-Photos/pics/Pluto-Map-Annotated.jpg -- 2015-07-31 (金) 01:21:21
    • ちょ!モルゴスちっさ! -- 2015-07-31 (金) 12:54:50
  • 翼は必要に応じて生やしたり引っ込めたりできるのでは?それでもって、一度もがれたら暫く再生できないとか -- 2017-01-08 (日) 16:55:45
    • デビルウイングですね、わかります -- 2017-01-08 (日) 23:09:34
  • サウロン以外のモルゴスに従ったマイアが皆バルログになったという事は、ごつい火だるまが闊歩するアングバンドで人間に近い姿で事務に当たってたのだろうか?それとも周りに舐められまいと、全長数メートルの鎧フル装備の巨漢の姿をとっていたのだろうか -- 2017-08-21 (月) 01:30:31
    • マイアのサウロンはヌメノール没落依然は姿形を変えることができたので、バルログたちも平常形態、戦闘形態、飛行形態など状況に応じて姿形を変えたと思ってる。 -- 2017-08-21 (月) 01:43:38
      • サウロン以外のマイアは早期に大地に縛られて変身能力を失っていったという教授の書簡がある。 -- 2017-08-21 (月) 11:03:58
      • ファイターバルログ、ガウォークバルログ、バトロイドバルログ -- 2017-08-21 (月) 13:46:40
      • ↑おもしろい笑 -- 2017-08-29 (火) 21:45:43
    • モルゴスに従ったマイアが全員バルログになったわけではありません。バルログ達がそうしたマイアールの代表格であったというだけです。 -- 2017-08-21 (月) 09:18:20
    • 「影の精」というのも、元マイアっぽいね。しかも、大地に縛られていたとも思われない。 -- 2017-08-30 (水) 20:41:47
  • DQ3のバルログが鞭と剣を持っていたのはこいつのオマージュだったのか。納得。 -- 2017-08-24 (木) 00:44:37
  • なんかシャドウオブウォーでタリオンが普通に戦えてた笑 -- 2017-08-29 (火) 21:46:33
    • いくら幽鬼のちからがあるとはいえ、たかが人間であそこまでやりあえるのには疑問がある。だとしたら、アラゴルンとかレゴラスでさえ戦えることになるよね。まあ一期のどこかの誰かさんは5人くらいこいつを葬ってたけど… -- 2017-08-29 (火) 21:50:04
      • 一撃でも攻撃食らったらほぼ即死になってるんですがそれは -- 2018-01-27 (土) 22:00:46
    • 普通に戦えてるのか、苦戦してるのか、それはプレイヤー次第ということで・・・・ -- 2017-08-29 (火) 22:05:24
  • もしモリアで指輪手に入れてたら -- 2017-10-16 (月) 00:27:36
  • まさかしぶとく生き延びて雷神ソーと対決するとはね -- 2017-11-14 (火) 23:17:35
    • しかも最終的にガラ様を倒しちゃうという・・・ -- 2018-01-17 (水) 11:14:57
      • まあ上のエルフの名士達の多くがバルログに討ち取られてるから、実際ガラ様もバルログとタイマンはったらどうなるかわからん。モリアをかなり警戒してたようだし。 -- 2018-01-17 (水) 13:07:53
  • 古の存在かつ黒くて炎の武器とか教授は厨二心を良く分かっている -- 2017-11-16 (木) 21:11:26
    • サムも炎の剣を装備してモルドールを闊歩する妄想を指輪に暴かれてたし、アラゴルンの剣も西方の焔という名前が付けられているし、教授は中々良い感じの邪気眼持ち。 -- 2018-01-10 (水) 22:45:51
      • 自分の馴れ初めをモチーフに物語を一本描く位の邪気眼。むしろ教授と比べれば大半の人は半端者ですね -- 2018-01-11 (木) 00:29:47
    • 順序が逆。トールキンが厨二的なのではなく、厨二がトールキン的なものをうわべだけ真似しているのです。 -- 2018-01-11 (木) 18:31:36
      • グアサング、ヘルカラクセ、グラウルングあたりは、言葉の響きだけで厨二ハートを震わせるものがある -- 2018-01-12 (金) 00:44:01
      • 結婚して堅い職に就いた初老男性でも、ぶっちぎりの邪気眼持ちになれるとか胸熱。 -- 2018-04-19 (木) 18:58:15
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*1 単数形ヴァララウコ(Valarauko)
*2 シルマリルの物語』「エルフたちの到来と虜囚になったメルコールのこと」
*3 指輪物語 旅の仲間』「カザド=ドゥムの橋」 現れたドゥリンの禍の描写。
*4 同上

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Last-modified: 2018-09-22 (土) 17:03:29 (1d)