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ニルナエス・アルノエディアド

概要

カテゴリー歴史・事件
スペルNirnaeth Arnoediad
異訳ニアナイス・アルノイディアド
その他の呼び名ニルナエス(Nirnaeth)、涙尽きざる合戦(Battle of Unnumbered Tears)、第五の合戦(Fifth Battle)

解説

シンダリンで「涙尽きざる(Tears Unnumbered)」の意。単にニルナエスとも呼ぶ。宝玉戦争における第五の合戦。
ベレンルーシエンが、モルゴス鉄の冠からシルマリルの一つを獲得するという偉業を達成したため、それよってモルゴスに対抗する望みを取り戻したマエズロスが、マエズロスの連合を提唱してアングバンドへの共同戦線を主張したことにより始まった戦い。
結果的には大敗北に終わり、ナルゴスロンドゴンドリン以外のノルドールの国は滅亡した。グウィンドールフーリンは捕虜になり、ハルディルアザグハールフィンゴンフオルらが討ち死にした。
この戦いが行われた年は後に嘆きの年と呼ばれるようになった。

計画段階での躓きと誤算

マエズロスは、マエズロスの連合を提唱して戦力を糾合しようとしたが、フェアノールの誓言が嫌われたためと、直接的にはベレンルーシエンシルマリルの探索を妨害したケレゴルムクルフィンの所業のせいで、ナルゴスロンドからはグウィンドールら僅かな者が参戦したのみであり、ドリアスからはマブルングベレグのみがフィンゴンの軍勢に加わって戦った以上の助力は得られなかった。

その一方、マエズロスは再び弟たち全員を集めたほか、東からはエレド・ルイン(青の山脈)ドワーフ(当時のベレグオストの王はアザグハール)から援助を得て、東夷であるボールの一族やウルファングの一族らは東国からさらに同族を呼び寄せて召集に応えた。
西からはマエズロスの親友である上級王フィンゴンヒスルムの軍勢とフーリンが率いるドル=ローミンハドルの族、そしてハルディルが率いるブレシルハラディンの族と、ファラスファラスリムが戦いに参加した。
これらの一連の消息はゴンドリントゥルゴンの耳にも達した。

マエズロスは計画が十分に熟する前に力試しを急ぎ、連合軍はドルソニオンまでのベレリアンドの北方を解放した。だがすでにこの時、モルゴスは自らの内通者であるウルファングの息子たちを通して謀を巡らせていた。

第五の合戦

ようやく糾合しうるかぎりの戦力を集め終えたマエズロスは、夏至の日に東からマエズロスの軍勢が、西からフィンゴンの軍勢がアングバンドを挟撃することに決めた。
計画ではマエズロスが正面からアンファウグリスに兵を進めてモルゴス軍をおびき出し、その後ドルソニオンの大狼煙を合図にフィンゴンがヒスルムの山道から撃って出ることになっていたが、マエズロスはウルドールからの偽りの敵襲の知らせによって進軍を遅らされていた。
だが敵味方双方が予期せずしてトゥルゴンが率いるゴンドリンの一万の軍勢が戦場に現れ、フィンゴンの軍勢の士気は高まった。

しかし、挟撃の計画をあらかじめ知っていたモルゴスは、実際よりも大軍に偽装した軍勢をフィンゴンの軍勢を挑発するために送り出した。フィンゴンはフーリンの進言によって先制攻撃を控えたが、いかなる手段を用いてでもフィンゴンの軍勢を誘い出すよう命じられていたモルゴス軍の指揮官は、ダゴール・ブラゴッラハで捕虜にしていたグウィンドールの兄弟ゲルミルを彼らの目前で惨殺させ、これに怒り狂ったグウィンドールらが先陣を切って敵に襲い掛かったことでなし崩しに戦闘が開始された。

彼らは挑発の為に送られた敵勢をたちまち全滅させ、一時はアングバンドの城門にまでなだれ込んだが、ここでモルゴスが待機させていた主力部隊をサンゴロドリムから出撃させたため、グウィンドールは生きたまま捕らえられ、ナルゴスロンドの軍勢は全滅した。戦いが始まって四日目、フィンゴンの軍勢も無数の死傷者を出して退却し、ハルディルハラディンの族はその殿後で討ち死にした。

五日目の朝、エレド・ウェスリンまで退却しきれないうちに追い詰められていたフィンゴンの軍勢は、南のシリオンの山道を守備していたトゥルゴンの軍勢が救援にやって来たことで急場を救われ、この時トゥルゴンは兄フィンゴンと、ハドル家フーリンに再会した。同じ時、ようやく東からマエズロスの軍勢が進軍してきた。

しかし、モルゴスは最後の切り札として狼乗りバルログたちとその祖であるグラウルングを解き放ち、マエズロスフィンゴンの軍勢の間に割り入らせた。同時にウルファングの息子たちが裏切ってマエズロスの軍勢を後方から襲い掛かり、他にも東の丘陵に潜んでいた新手の東夷たちと合わせて三方から挟撃にあったマエズロスの軍勢は総崩れになった。ウルファングの息子たちの内、ウルドールマグロールが討ち取り、ウルファストウルワルスボールの息子たち(ボルラドボルラハボルサンド)が討ち取ったが、ボールの息子たちもまた討ち死にした。フェアノールの息子たちノルドールドワーフの生存者を周りにかき集め、血路を開きながらかろうじて東のドルメド山に向けて逃れた。ベレグオストのドワーフたちは最後まで踏みとどまってグラウルングと闘い、グラウルングはアザグハールの死の間際の一撃を腹部に受けてアングバンドへと逃げ出し、他の怪物たちも後を追って退却していった。

西側のフィンゴンの軍勢は三倍以上の敵勢に取り囲まれ、バルログの長ゴスモグが軍勢を雪崩込ませたことでフィンゴンは孤立し、トゥルゴンフーリンたちはセレヒの沢地の方へと押しやられた。ついには近衛の兵士たちも全て倒れた中、フィンゴンはただ一人でゴスモグと闘うが、別のバルログの横槍が入り、ゴスモグによって殺された。

フーリンフオルの兄弟に率いられたハドルの族の生き残りは、退却するトゥルゴンの殿後を守った。その結果、トゥルゴンはエクセリオングロルフィンデルに守られながらシリオンの山道を渡って逃れ、ゴンドリンに帰還することができた(この時フオルはトゥルゴンとの別れの際、今しばらくゴンドリンが倒れずにあれば、自分とトゥルゴンとからエルフ人間にとっての望みが生じるであろうと予言している。この予言はエアレンディルの誕生によって実現する)。

六日目の夕暮れ、フーリンフオルらは、セレヒの沢地を背後にリヴィルの流れを前に踏みとどまって最後まで抵抗し、フオルは討ち死にした。フーリンは彼以外の全てのハドルの族が殺された後も一人で闘ったが、ついにはモルゴスの命令で生け捕りにされ、ゴスモグによってアングバンドに連行された。

合戦後、オークたちはモルゴスの命令により、この合戦で討ち死にした敵のエルフ人間の亡骸を彼らの武器や武具と共にアンファウグリスの真ん中に積み上げ、巨大な塚山ハウズ=エン=ヌデンギンを作った。

合戦後の出来事

モルゴスフーリンからゴンドリンの場所を聞き出そうとしたが、彼が屈しないのを見るとフーリンと彼の家族を呪い、サンゴロドリムの高みにある石の椅子に座らせ、自分の歪んだ目と耳で、彼の子供たちであるトゥーリンニエノールの悲惨な運命を見聞きさせた。

Include/宝玉戦争

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • この戦いで歴史の流れが不可逆になったと言う点で、「関ヶ原の戦い」と似ているなと想起してしまいました。裏切りによって戦況が決定する点も似ていますね。 -- 「ど」の字 2009-06-16 (火) 22:30:03
  • モルゴスは自由の民の死体で京観作ったわけか。ヨーロッパでもあった風習なんですかね。 -- 2017-01-30 (月) 18:59:32
  • 個人的には『指輪物語事典』の「数え尽くせぬ涙の合戦」という訳が一番語呂が良くて好き -- 2020-06-08 (月) 14:28:22
  • ウトゥーリエンアウレの大歓声も虚しい -- 2021-10-09 (土) 00:33:52
  • 敗戦とはいえこの戦いの大殊勲はベレゴストドワーフとアザガールだよね。
    グラウルングが逃げた事で他の怪物も後に続いたとあるし。 -- 2021-10-09 (土) 09:01:23
  • 何故か知らんがうちの兄弟では
    「涙涸れ尽きぬ戦い」
    として話されていた。そんな訳なかったのにな…謎。 -- 2021-10-09 (土) 09:03:44
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