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ドル・グルドゥル

概要

カテゴリー地名
スペルDol Guldur
異訳ドル・グルドゥア、ドル・グルデュア
その他の呼び名アモン・ランク(Amon Lanc)

解説

シンダリンで「妖術の丘(Hill of Sorcery)」の意。闇の森の南部にある死人占い師の要塞。

ただ遥か先の方で土地はふたたび高くなり、あたかも暗い荒涼とした長城が横わたっているかのように見えました。ロスローリエンを照らす太陽も、あの遥かな高い土地をおおう影をはらう力はありませんでした。
「あそこにあるのは南闇の森の要塞です。」と、ハルディルがいいました。「暗いもみの林でおおわれていて、その木々が互いに張り合い、枝々はみな枯れ朽ちています。真ん中の高くなった岩の上にドル・グルドゥルがあります。われらの敵が長い間身を隠して住んでいたところです。」*1

地理

闇の森南西部の端の高地にある、頂上に木が生えていない丘。アンドゥインを挟んでロスローリエンの東の対岸に位置している。
ホビットの冒険』ではあいつ(死人占い師)の黒い塔の見渡すかぎりの土地*2と描写されている。

歴史

元々は「はだか山(Naked Hill)」の意であるアモン・ランクと呼ばれていた。
第二紀緑森大森林のエルフ王だったオロフェルの一党は、モルドールサウロンが勃興した噂を聞いて北へ移るまではこの丘の周辺に住まっていた。

第三紀1050年頃から緑森大森林に影が広がると、1100年頃にこの地が死人占い師の要塞となっていることが判明する。
その恐怖の影から逃れるため、当時アンドゥインの谷間にいたホビットエーオセーオドはそれぞれ西と北へ移住。さらにエリアドールでは北方王国が終焉し、ゴンドールでは王統が途絶え、霧ふり山脈ではモリアが滅亡するなど、各地で災禍が続発した。
こうして2060年にはドル・グルドゥルの力が強まり、賢者たちサウロンが復活したのではないかと恐れた。そこで2063年、ガンダルフはドル・グルドゥルに潜入。正体の露呈を恐れた死人占い師は東に逃れ、しばらく警戒的平和がもたらされた。

2460年、死人占い師は力を増してドル・グルドゥルに戻り、警戒的平和が終わった。
モルドールからはウルクが現れ、灰色山脈ではが襲い、霧ふり山脈ではオークが拠点を増やすなど、再び自由の民の敵たちの動きが活発化した。2510年にケレブラントの野の戦いカレナルゾンに侵入したバルホス族はドル・グルドゥルの支配下にあり、リョヴァニオン南東部を事実上占拠していた。
2845年、放浪していたスラーイン二世がこの地に捕らえられ、彼が持っていた七つの指輪の最後のひとつが取り上げられた。
2850年、ガンダルフは再びドル・グルドゥルに潜入し、死人占い師の正体が間違いなくサウロンであることを突き止めた。またこの時、ガンダルフは土牢に放置されていたスラーインからスロールの地図エレボールの鍵を受け取った。

2941年、五軍の合戦が行われた年、白の会議はドル・グルドゥルを攻撃してサウロンを追い出したが、今度の逃亡は見せかけであった。
モルドールに帰還したサウロンは、2951年に三人のナズグールを派遣してドル・グルドゥルを再占領。指輪戦争までこの地はモルドールの前哨地であり続け、ロスローリエン及び闇の森の王国を脅かした。

大いなる年、ドル・グルドゥルの軍勢はロスローリエンを三度攻撃したが、ロスローリエンの守りを破るには至らなかった。同時期に森の王国への攻撃も行われ、闇の森樹下の合戦が戦われた。
一つの指輪が破壊されサウロンが没落すると、ドル・グルドゥルはケレボルンが指揮するロスローリエンの軍勢によって陥落し、要塞はガラドリエルによって破壊され浄化された。

映画『ホビット』における設定

字幕及び吹替での名前は『指輪物語』書籍新版に従いドル・グルドゥア
『決戦のゆくえ』エクステンデッド・エディションのメイキングによると、元来はヌーメノールの技術によって作られたことにされており、パランティールの一つが置かれている(ガンダルフを抱えたガラドリエルナズグールに包囲される場面の、ガラドリエルの側にある彫像が持っている)。

『思いがけない冒険』では闇の森の異変を感じ取ったラダガストが、この廃墟に潜入。ネクロマンサー(死人占い師)を発見し、証拠としてモルグルの刃を持ち帰るシーンが描かれている。

『竜に奪われた王国』では、エレボールへの旅の途中で闇の森に入る直前、ガラドリエルの警告を受けて*3ガンダルフがエレボールへの道を逸れ、ラダガストと共に、リュダウルにある魔王ナズグールの塚が空になっているのを確認したあと、ラダガストにガラドリエルへの伝言を頼んでから、ドル・グルドゥルに潜入。アゾグや、死人占い師ことサウロンと対峙、その軍勢が集結していることも発見している。
さらにエクステンデッド・エディションではガンダルフは、行方不明になっていたスラーインともドル・グルドゥル内で遭遇している。

『決戦のゆくえ』では、ラダガストの伝言を聞き、ガンダルフを救うためにやってきたガラドリエルの前に、九人のナズグールが現れている。ナズグールは、ガラドリエルを助けに来たエルロンドサルマンと戦い、最終的にはガラドリエルの力で撃退され、サウロンも東へ去った。

画像

『ホビット』におけるドル・グルドゥル

ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定

『Siege of Mirkwood』における闇の森南部最大の敵拠点として登場。この中の最も高い塔であるBarad Guldurには、恐るべき獣に乗った、ナズグールのひとりであるLieutenant of Dol Guldur(ドル・グルドゥルの副官)がいる(権利上の問題により直接表記はされていないが、このナズグールはハムールであることが示唆されている)。
他にも、スラーイン二世が捕らえられていたという土牢(Dungeons of Dol Guldur)、ガンダルフが潜入に使ったという秘密の通路も再現されている。

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • 確かケレボルンだったと思います -- 西ローマ軍人 2020-04-26 (日) 20:09:51
    • 文脈的に、ドル・グルドゥアの軍を誰が指揮していたのか?という話じゃない?ナズグルはみな指輪狩りやゴンドール攻略戦に使ってたわけだし。でも闇の森とロスローリエンへの攻撃ってぶっちゃけ定見のない「とりあえず押し寄せた」感がなんとなくあるから、ドル・グルドゥアの軍はせいぜいオークか堕落させた人間程度にしか指揮させていないと思う。サウロンからしたらゴンドールさえ潰せばあとの勢力は個別撃破できる自信があっただろうし。 -- 2020-04-27 (月) 01:44:30
    • ゴスモグみたいなオークの副官がいたと推測。アゾグやボルグの血縁者が復讐に燃えて指揮していたとか -- 2020-04-27 (月) 13:37:05
  • 結局、ドル=グルドゥアの成り立ちってよくわからんのだよね。追補でも終わらざりしでも言及ないし。なんとなくは、映画通りヌメノールの城塞が堕落(おかしな使い方だが)したイメージではあるが。当初はエリアドールへのサウロンの再侵攻を防ぐために第二紀にアイゼンガルドと対になる形で築きあげられた要塞とかだったらいいのになァ。 -- 2020-06-16 (火) 23:14:58
    • ヌーメノールがあそこに城塞作る意味がない。ゴンドールがアイゼンガルドと対で築き上げたとしても、モルドールへの監視が疎かになるのは大悪疫後。それより遥か以前からサウロンはここで活動してる。その辺鑑みても、ドル・グルドゥアはサウロンが秘密裏に建造した拠点と考えたほうが自然。 -- 2020-07-04 (土) 18:52:21
      • 戦いじゃなくて探検や交易の拠点として最初の居留地を築いた可能性はあるんじゃ。で、芳しい成果も利益も無くて短期間で放棄されたと。それを上手く利用して拡張したとか -- 2020-11-15 (日) 00:21:15
      • ↑この考えでみるとカザド=ドゥム-くろがね連山間のドワーフ交易路とゴンドール-エリアドール間の交易路に絡みつつ、南北の連絡を維持する為に築かれた拠点と言い張ることが出来なくも無い位置にありますね。それでも場所がおかしいし、交易拠点として見るとカーロックの方が断然良いとは思いますが(ただしカーロックはゴンドールから遠すぎる) -- 2020-11-15 (日) 13:40:30
      • 続き)カーロックが良いと書いたものの、あの辺りに交易拠点築くとエリン・ガレン(闇の森)を南周りにロヴァニオン側を横断する交易路の入り口になりそうでもある… -- 2020-11-15 (日) 14:31:35
      • 第二紀の最初の頃はヌメノールも内陸の詳しい地理も分かって無かっただろうし、サウロンの領域がどの範囲まで及んでるかも分からなかっただろうから、良さげなポイントには仮の拠点を随時設置してその後で取捨選択していったんじゃないでしょうか。だから探せば他の場所にも遺跡がある可能性が -- 2020-11-15 (日) 21:01:51
      • ↑×4 元はオロフェアたちエルフの領域だったんだよ、ヌーメノールの領域じゃない -- 2020-11-15 (日) 22:49:33
      • ↑原作ではなくメイキングで明かにされた映画設定の考察では -- 2020-11-15 (日) 23:04:37
      • 正体も由来もよくわからん癖に名前は変にカッチョいいのがこの城塞の魅力だな。 -- 2021-02-03 (水) 08:02:12
    • そもそもアイゼンガルドって第三紀に建てられたものでは。 -- 2020-07-04 (土) 18:55:07
      • アイゼンガルドに関してはゴンドールに知識も技術力もある時代に築かれパランティーアが据え付けられたと考えると第二紀の建造でほぼ間違いない気がします。なんとなくドル=グルドゥアはオロフェアが簡単な城塞を築いて後に廃墟になってたのを最初はこっそりと、後に公然とスクラップ&ビルドしていって原型が残ってないイメージ -- 2020-07-04 (土) 19:42:33
    • 丘の上に石造りの砦を建てるという建築様式からして、ノルドールかドゥネダインの砦だとおもうぞ。 -- 2020-07-05 (日) 03:47:54
      • 高いところに砦を建てるってのは防衛の基本セオリーなので、それだけでノルドールやドゥネダインの様式とは言えないと思います。 -- 2020-07-05 (日) 16:20:54
      • ↑いや、これはただ単に「丘の上に石造りの砦を建設」ってのを当時この場所でやれたのはエルフかドゥーネダインくらい、って意味じゃない?オークにはそんな技術ないし、技術あるドワーフはそういう建築はしないし、東夷の勢力圏でもないしさ。 -- 2020-12-26 (土) 01:14:57
    • いずれにしろロマンのある話だ。ロマンスはありえないが。 -- 2020-07-05 (日) 21:52:31
    • エルフの土地でも租借するなり許可もらって何か建てる事はできなくもないし、ヌメノールならやってそう。なんならそれで揉めて引き上げたとか。まあどんな目的があったにせよ、築いた時点ではあくまで仮設の基地でしかなかったし仮設のまま放棄されたんだと思うけど -- 2020-11-17 (火) 22:49:13
      • 中途半端な建築途上と立ち位置がこの要塞の魅力だよね。 -- 2020-11-26 (木) 13:06:13
      • 建設途中で放棄されたものが幽霊ビル呼ばわりされて地元ヤンキーの溜まり場になる、のすごい版 -- 2020-11-26 (木) 22:21:59
  • このdolと国=dorってどっちもドルだけど綴りが違うのね 発音的にLとRの区別がつかない日本語はengrishと揶揄されるだけあってやはりちと不便だな -- 2020-06-17 (水) 00:11:08
  • ここは「攻撃しづらいし落としても全くメリットないのに放置しとくと厄介」感がべらぼうにある。毒と刺だらけで食えないくせに獰猛に釣り餌を取る、しかも釣ってもつまらん心底いらねえ魚のような立ち位置だ。 -- 2020-12-23 (水) 21:23:16
  • この砦いっつも再占拠されてんなぁ
    砦として利用出来ないよう更地にしようとは思わなかったのか -- 2021-11-18 (木) 19:10:05
    • 逆に言えば、毎回毎回大なり小なり破壊されてるのに再建されてるのは、それだけ利用価値がある拠点という事なのかもしれませんね。
      歴史上には、「維持するのはしんどいし、維持しても大してメリットない癖に、敵方に渡ると途端に有効な出城として活き始める」厄介な拠点や城が幾つかありますが、ここもそうした場所だったのか。 -- 2021-11-18 (木) 20:55:32
      • こんなとこ支配しても、何処か他勢力に対して嫌がらせするためにしか使えないしな。
        そういうところでは大変便利なのも困りもの。 -- 2021-11-18 (木) 22:04:53
        • そういった維持が大変な城の場合、人間相手なら盛大に包囲して補給を絶ち、援軍を呼ばせてそいつらを殲滅、徹底的に兵糧攻めにした上で全員掃蕩し、「こいつら味方の城もまもれないでやんの」とネガティブキャンペーンを行って敵陣営の忠誠度を下げてやるのが一番なんですが、サウロン軍の将はデスルーラができる奴やそもそも捨て石だったりするのできかないでしょうな。 -- 2023-03-02 (木) 18:29:45
  • 映画ではボロボロだったな。サウロン修築工事とかしなかったんだろか。 -- 2021-12-31 (金) 15:59:03
    • 修復なんてしたら復活したことがバレるでしょ -- 2023-03-01 (水) 22:03:07
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