グラウルング

概要

カテゴリー人名
スペルGlaurung
その他の呼び名龍の始祖、龍たちの祖(father of dragons)
黄金龍、金色龍(the Golden)
巨大なる長虫、大龍(Great Worm)
モルゴスの長虫(Worm of Morgoth)
種族ウルローキの祖)
性別
生没年第一紀
多数

解説

モルゴスによって生み出され、第一紀エルフ人間に対して猛威を振るったで、龍の始祖と言われる。翼は持たず空は飛ばないが、口からは炎を吐き、邪言と邪眼による強力な呪縛の力を持っていた。外見は長大かつとぐろを巻くほどしなやかであり、全身が硬い黄金色の鱗に被われているが、下腹は粘着質な柔らかい蛇腹であり、宿命的な弱点となっていた。

竜とともに恐怖がやってきた。竜は進み始めたが、その針路は真上ではなくわずかに北にそれたので、下で見ている者たちには星々をさえぎる頭の巨大な影が見えた。大きく裂けた顎には、七つの炎の舌があった。その時、竜は前方に熱い息を噴き、たちまち峡谷は一面赤い光に包まれ、岩々の間に黒い影がひるがえった。木々は竜の前にひからびて燃えあがり、石は川に落下した。*1

グラウルング最初の襲撃

アングバンドの包囲第一紀260年に突如アングバンドより現れてアルド=ガレンを襲い、エルフ達を仰天させた。だがその時グラウルングはまだ成長しきっておらず、体をよろう鱗が完全ではなかったため、フィンゴンの率いる騎馬の弓兵によって矢を射掛けられ、傷ついたグラウルングはアングバンドに逃げ戻った。モルゴスはグラウルングがあまりにも早くにその存在を露わにしたことに機嫌を損じたという。
この時姿を現したグラウルングの脅威を模してテルハールが鍛えたのが、後にトゥーリンが身に帯びることになる龍の兜である。

ダゴール・ブラゴルラハとニアナイス・アルノイディアドでの来襲

完全に成長しきったグラウルングは、ダゴール・ブラゴルラハで再び現れ、モルゴスの放った火焔流の先頭を切って出撃し、その後にバルログ達やオークの大軍が続いた。
グラウルングはオークの軍勢と共にロスランからマグロールの山間を突破し、小ゲリオン大ゲリオンに挟まれたマグロールの領地を破壊しつくした。

ニアナイス・アルノイディアドではマイズロスフィンゴンの軍勢の間に突入して多大な被害を与えたが、ベレグオストドワーフに取り囲まれて戦斧で攻撃された上、ベレグオストの王アザガールの今際の短剣を弱点である腹に受け、傷付いて逃げ帰った。

ナルゴスロンド襲撃とトゥーリンとの因縁の戦い

そして不意にかれは口を利いた。かれの中の悪霊が物を言ったのである。「これはこれは、フーリンの息子よ、よう来たな!」*2

グラウルングはナルゴスロンド襲撃で再び現れる。オークとともに進軍してきたグラウルングはエイセル・イヴリンを汚し、エルフ達を敗走させると、フィンドゥイラスを救出するためにナルゴスロンドに駆けつけたトゥーリンに邪眼の力を使い、トゥーリンの母モルウェンと妹ニエノールが危険だと思い込ませる呪縛をかけた。そのためトゥーリンは、捕虜として連れ去られていくフィンドゥイラスが目の前にいたにもかかわらず、母と妹を助けようとドル=ローミンに向かってしまう。その結果、フィンドゥイラスはテイグリンの渡り瀬オークに殺されてしまった。

グラウルングは、ナルゴスロンドを滅ぼした後はオーク達を追い払うと、ナルゴスロンドの財宝を最低の値打ちの品物に至るまで全て数え上げ、奥の広間に積み上げて寝床とし、そこに棲み付いた。

ナルゴスロンド滅亡の報せを聞き、トゥーリンを捜しに来たモルウェンとニエノールと、彼女らを護衛してきたマブルングドリアスの一行がやって来ると、グラウルングはそれを察知してナログに身を横たえて毒の水蒸気を発生させ、ドリアスの護衛達を追い払う。さらに蒸気から逃れたニエノールをアモン・エシアの山頂で待ち受けると、再び邪眼を用いて彼女に心の闇と忘却の呪いを掛けた。このためニエノールは完全に記憶を失い、ついには互いにそれと知らず実兄であるトゥーリンの妻となってしまう。

やがて3年後、ブレシル襲撃に送り出されたオーク達が、その地に腰を落ち着けていたトゥーリンに撃退されたのを知ったグラウルングは、さらに悪意の謀を巡らせる。ナルゴスロンドから出てきたグラウルングはテイグリンの西岸近くに横たわり、ブレシルの民に非常な恐怖を与えた。だがカベド=エン=アラスを越えようとした時、その崖下に潜んでいたトゥーリングアサングで腹を刺され致命傷を負う。グラウルングの傷口から吹き出た毒の血はトゥーリンの手を焼き、邪眼はトゥーリンを気絶させた。
その直後、身重のニーニエル(ニエノール)がトゥーリンを捜しにやって来ると、グラウルングは最後の悪意によって彼女にかけていた忘却の呪いを解き、彼女がフーリンの娘ニエノールであり、夫であるトゥーリンは彼女の実の兄であることを思い出させてから絶命した。

「これはこれはニエノール、フーリンの娘御。終わる前にまた出会うたな。喜んでもらおう、そなた、ついに兄者を見つけられたぞ。さあ、兄者のことを教えてやろう。暗闇の刺殺者、敵に対しては欺瞞者、友に対しては信義なき者、身内には禍、これがフーリンの息子トゥーリンじゃ! だが、かれの犯した最悪なる行為は、そなたがわが身の裡に感じようぞ」*3

絶望したニエノールはカベド=エン=アラスの崖からテイグリンの流れに身を投げて自殺することになり、その後に全てを知ったトゥーリンもグアサングの切っ先に身を投げて自害した。

画像

トールキン作画のナルゴスロンドから出てくるグロールンド(グラウルング)

コメント

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照(コメントページ直接編集もこちら)

  • 龍より強い生き物の想像がつかない。
    • 大鷲なんかは怒りの戦いの時に、空を飛ぶ龍を退治していますが。
      • 空飛ぶ龍は大鷲と違い火を吐けるから、大鷲達も相当な犠牲が出たんじゃないかな。 ただ、数で圧倒して勝ったのかも? -- カンナ 2010-05-27 (木) 20:11:19
    • アイヌアがいるじゃん -- 2017-04-20 (木) 20:49:56
  • グラウルングとまともに戦って勝てそうな奴はいないんだろうか。
    • ウンゴリアント? -- 2007-11-06 (火) 23:40:31
      • ウンゴリアントはモルゴスと格闘した際バルログの火の鞭によって追い払われてますから火を吐くグラウルングには勝てなかったと思います。 -- ホビット 2008-12-31 (水) 21:40:40
      • あれは火を恐れたというよりは、ヴァラ+マイアール軍団という戦力に屈しただけでは。そもそも、火に関してはバルログやグラウルングよりもモルゴスの方が恐ろしい使い手なわけですし。 -- 2009-05-20 (水) 03:19:05
    • アンカラゴンの方が強い。 -- ホビット 2008-08-15 (金) 12:31:36
      • 頭はグラウルングの方が良さそうだ。 -- 2010-01-10 (日) 08:39:58
  • 翼がないとはまるで大トカゲだな -- 2011-03-27 (日) 16:04:19
    • 長虫の異名があるから、四肢のある大蛇のほうがふさわしいかも。 現にこいつが移動する時は、身体をくねらせるとの描写がいくつもあるし。 -- 2011-04-02 (土) 22:08:16
    • それなら、足なんか要らないじゃんと思ったけど、奴は火を吐くんだよね。 足は火を吐くとき、反動で体のバランスが崩れるのを防ぐため、地面にしがみつくために必要かと。 そうなると効率的な身体をしているな。 -- 2012-05-29 (火) 22:16:11
    • HoME11の表紙のグラウルングは、10m以上はあるコモドオオトカゲの化物にしか見えない。 -- 2012-06-26 (火) 00:36:04
  • しかしながら二度に渡ってみじめに逃げ帰っているんですよね。そういった意味ではエクセリオンに殺されるまで無敗だったゴスモグに比べると勝率悪いかも、一回目は成長していなかったからという言い訳がたっただろうけど、二回目はよくモルゴスにおしおきされなかったな。それなりにお気に入りだったのだろうか? -- 2012-05-27 (日) 21:02:12
    • そのゴスモグにしてもバルログ軍団あっての勝利だからね。フェアノールもフィンゴンも純粋に一騎打ちで屠ったわけではない。グラウルングもドラゴン軍団率いていたら結果は違ったかも。 -- 2012-05-27 (日) 21:25:42
      • そういえばグラウルングって大群率いたことないですよ。統率力はあまりなかったのかもしれんませんね。 -- 2012-05-28 (月) 23:54:34
      • でもゴンドリンを攻めたのは、グラウルングタイプの龍の群れだったけどね。 この頃になると量産されていたのかもね。 でも肝心の本人は、この世にいなかったけど(笑)。 -- 2013-04-05 (金) 20:32:42
      • ↑↑グラウルングも軍率いてますよ。オークだったりバルログだったり龍の群れだったり様々ですけど。 -- 2013-12-30 (月) 01:33:43
    • おしおきされた腹いせにトゥーリンとニエノールに意地悪した。とんだとばっちり -- 2015-06-08 (月) 17:19:20
    • モルゴスお手製のぼくがつくったさいきょうのせいぶつへいきですからね。二度のミスでグラ公を責めるより、自分の設計に問題があったのではないかと考え、それこそロボコンのように改善点を見出しながら、品種改良を繰り返す。その結果が後の有翼龍。きっと怒りの戦いで大鷲やヴァラ共を蹴散らす自信作達を見て、感動の涙を流した事でしょう(勝てたとは言ってない -- 2017-08-19 (土) 01:48:30
      • 怒りの戦いにヴァラが参加したかは不明瞭じゃなかったっけ。参加してない可能性のほうが高いと思うけど。 -- 2017-08-28 (月) 15:42:53
  • 遠呂智(大蛇)ですね・・・ -- 2013-04-05 (金) 12:07:35
  • Deviantart より。素晴らしい作品でしたので。http://vaejoun.deviantart.com/art/Lord-of-the-rings-Glaurung-426161391 -- 2014-02-19 (水) 19:20:08
  • 「竜」という字は前方から見たグラウルングを表したものである〈噓〉 -- 2014-02-19 (水) 21:09:56
    • 竜よりも龍の方が彼には合ってる気もしますね(笑) -- 2014-02-19 (水) 21:20:05
    • ちなみに字としては「龍」より「竜」の方が古い字だそうです -- 2014-02-19 (水) 23:04:19
      • 「龍」より「竜」の方が古いってのは、30年以上前に某作家が書いていたが、龍は甲骨文字にある古い漢字なんだよね。 -- 2014-02-23 (日) 00:42:12
      • 間違った。龍も竜も甲骨文字からあって、より元の形に沿ってるのが竜ってとこみたいですね。これ見る限り。http://www.taishukan.co.jp/kanji/qa07.html#Q0336 -- 2014-08-02 (土) 09:02:18
  • 「黄金」竜なのに黒っぽく描かれる事が多い。鱗の色のことではないのだろうか。 -- 2014-12-27 (土) 22:48:55
    • 単にイラストレーターが原作の記述を無視しているだけだと思います。トールキンのイラストではしっかり黄色に塗られていますし。他にもネイ・スミスのグラウルングはちゃんと黄色ですし、ジョン・ハウのイラストもものによっては微妙に黄色がかって見えることもあります。 -- 2014-12-28 (日) 00:35:37
  • 龍達はどうやって財宝を数えるのだろうか。持つ事もできないだろうに -- 2015-01-14 (水) 11:29:17
    • 普通に持って数えるのでは?教授の描く龍の前足はどれも器用そうですよ。 -- 2015-01-14 (水) 13:01:22
  • 吐き出す炎の熱さではアンカラゴンより上だったのかもな。だとしたら一つの指輪もこの龍なら破壊できたのかもしれない。 -- 2015-05-18 (月) 22:04:55
    • 黒竜アンカラゴンですら無理ってガンダルフがわざわざ引き合いに出すほどなんだから、普通に考えてアンカラゴンのほうがグラウルングより焔の熱さでは上だろ。大体グラウルングの焔の方が上と取れるような描写は文中にはないし。 -- 2015-05-18 (月) 22:37:37
    • 無理でしょう。教授が書簡で一つの指輪を破壊できる方法は、サウロンよりも力・鍛冶の業が上の者(実質アウレくらいでしょう)によるか、滅びの山の炎に投じるしかない(それ以外の炎には決して融解しない)と書いてますので。 -- 2015-05-18 (月) 22:40:33
コメント: (他のコメントへの返信は、そのコメントのラジオボタンにチェックしてください)

*1 終わらざりし物語 上』「II ナイン・イ・ヒーン・フーリン」
*2 シルマリルの物語』「クウェンタ・シルマリルリオン第二十一章 トゥーリン・トゥランバールのこと」
*3 断末魔のグラウルングの言葉。

トップトップ   編集編集 凍結凍結 差分差分 バックアップバックアップ 添付添付 複製複製 名前変更名前変更 リロードリロード   新規新規 一覧一覧 単語検索単語検索 最終更新最終更新   ヘルプヘルプ   最終更新のRSS最終更新のRSS
Last-modified: 2017-08-28 (月) 15:42:53 (300d)