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グルサング

概要

カテゴリー物・品の名前
スペルGurthang
異訳グアサング
その他の呼び名アングラヒェル、アングラヘル(Anglachel)
黒の剣(Black Sword)
ブレシルの黒き棘(Black Thorn of Brethil)

解説

シンダリンで「死の鉄剣(Iron of Death)」の意。
隕鉄から鍛えられた黒く輝く刀身を持つ剣で、地から掘られた鉄ならば何でも切り裂くことができた。大なるも小なるも、ひとたびこの剣に噛まれて生きていられる者は誰もいない*1と言われたという。
この剣には邪念が宿っており、トゥーリンの非業の運命に一役買い、最後にはその命を奪った。

アングラヒェルの名で

元々この剣はアングラヒェルという名であり、アングイレルと対になっていた、エオルが作った剣だった。エオルはナン・エルモスに住む許しを得る引き換えとして、この剣をシンゴルに贈った。
ベレグが、ドリアスから去ったトゥーリンを捜しに旅立つ時、シンゴルは餞別として何なりと望みの品を与えることを約束し、ベレグはアングラヒェルを選んだ。だがこの時メリアンは、この剣には邪気があります。刀を作った鍛冶の黒い心が、今もこの剣にひそんでいるのです。これは使い手を愛さず、また、そなたの手に長くは留まらぬでしょうと、アングラヒェルの呪われた運命を予言した。

はたしてその後、オークに捕らえられたトゥーリンは、自分を救出に来たベレグを誤って敵だと思い込み、その手からアングラヒェルを奪って彼を殺してしまった。

グルサングの名で

ベレグの死後、アングラヒェルは土の中に無益に置かれているよりはモルゴスの召使いに怨みを晴らすがよいとして、ベレグに同行していたグウィンドールによってトゥーリンに手渡される。アングラヒェルはベレグの死を悼んだために刃が鈍っていたが、ナルゴスロンドにて鍛え直され、グルサングという新たな名を与えられた。
グルサングの黒い刀身のため、トゥーリン自身もナルゴスロンドでは「黒の剣」の意であるモルメギルと呼ばれ、その武勇は他国にも広く知れ渡った。

グルサングによってトゥーリンは宿敵グラウルングを仕留めた。
だがそれにより、グラウルングの呪いが解けたニエノールは自分が実の兄トゥーリンと結婚して子を成したことを悟ったため、カベド=エン=アラスの崖から身を投げた。トゥーリンはその真実を認められず逆上し、事の次第を告げた罪なきブランディルをもグルサングの刃にかけてしまう。
絶望したトゥーリンはグルサングに対し汝は汝を揮う手のほかはいかなる主も持たず、忠誠心も知らぬ。汝はいかなる血にも怯まぬであろう。それ故、汝、トゥーリン・トゥランバールを受けるや。速やかにわが命を奪うやと、自らの命を奪うよう問いかけた。するとグルサングはまるで意思があるかのように声を発した。

剣の刀身から冷たい声が響いて答えた。「然り、喜んで汝の血を呑もうぞ。わが主人ベレグの血と、不当に弑せられたブランディルの血を忘れるためだ。いかにも汝の命を速やかに奪ってやろう」*2

この答えを聞いたトゥーリンはグルサングの刃に身を投げて自害した。グルサングはこの時に砕け、破片はマブルングらによって、トゥーリンの亡骸の傍らに埋められた(不運なる者たちの墓石)。

The History of Middle-earth』によると、ダゴール・ダゴラスでは、この剣でもってトゥーリンモルゴスに止めを刺すとされている。

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • グアサングとストームブリンガー世に出たのはストームブリンガーが先って情報を見たのですが実際どうなんでしょ -- 2020-10-20 (火) 16:44:18
    • Elric of Melniboné が1972年発刊、シルマリルの物語が1977年発刊ですから世に出たのはストームブリンガーのほうが先ですね。無論シルマリルは1914年から書かれているのでグアサングのほうが古いだろうとは思いますが。 -- 2020-10-20 (火) 18:52:02
      • ベリアロクに心躍らせるちびっ子が、いつの日かここに辿り着く時が来るのだろうか…と考えると胸熱 -- 2020-10-21 (水) 22:27:14
      • ストームブリンガーに影響を与えたという記述は時系列がおかしいうえ出典の明記がないので削除しました -- 2021-10-07 (木) 20:54:53
    • なるほど、ありがとうございます -- 2020-10-20 (火) 20:19:48
    • ムアコックがエンデと違いトールキンを忌避するのは、自分だけのネダだと思ってたらそれを考えついてた先人がいたからなんですかね。 -- 2020-10-29 (木) 19:08:57
  • グアサングってダゴダゴ大戦で再びトゥーリンの手で振るわれる、って設定だけど、正直こやつ全然トゥーリンになついてない気がするんだが...。トゥーリン自死の際にも、トゥーリンは汝呼ばわりで所々に悪意じみた厳格さすら感じる。手を離れて久しいベレグは「わが主人」と呼ばれてるしブランディアも同情を寄せられてるのに...。それとも自らの血で罪を購ったからこそ、新たな主として認められたのだろうか。 -- 2020-10-20 (火) 22:43:59
    • ベレグやブランディアに対しては他人行儀で、実戦を共に戦った戦友であるトゥーリンに対しては文句を言ってやれるだけの信頼関係があるのかも分からぬ。グアサングは生真面目で厳格だが、トゥーリンが死んだら折れるあたり、トゥーリンは軽視されていないと思われる。 -- 2020-10-21 (水) 18:45:57
      • グアサングにとってべレグは主でありトゥーリンは戦友、か。確かにグアサングにとって、大いなる勲と呪われた血で我が身を飾り汚しただけでなく、地上で最も自らを見事に振るったトゥーリンには愛憎共に並ならぬ思いがありそう。そういう複雑な感情を表すのに『戦友』って言葉はぴったりですね、見事です。 -- 2020-10-21 (水) 19:49:53
  • 呪われて血を吸わないと収まらないor持ち主に必ず不幸を与える魔剣としては北欧神話にティルヴィングとダインスレイヴがあるから、それは違うんじゃないか。北欧神話は厨二界でも大御所も大御所だし、二人とも魔剣の元ネタや着想はそこからでしょう。 -- 2020-10-29 (木) 20:05:15
  • トゥーリンのお話はフィンランドの神話カレワラの英雄クレルヴォの話から着想を得ている、厳密には北欧神話ではない。いずれにせよトールキンに限っては着想はやはりここからでしょう -- 2021-01-21 (木) 00:15:26
  • アマプラドラマのTwitter公式にあるのもしかしてグアサングかな? -- 2022-02-04 (金) 09:24:08
  • この剣って、誰だったら使いこなせるの?エオルだったら使いこなせそうだけど・・・。 -- 2023-12-28 (木) 15:59:32
    • どうでしょうか。そもそも打ち手のエオル自体が自業自得?とはいえ不運とその末の非業の死に見舞われてますからね。卓越した名鍛治が優れた剣豪、戦士であるとは限りませんし。 -- 2023-12-28 (木) 17:43:40
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