クウェンヤ†
概要†
カテゴリー | 言語 |
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スペル | Quenya |
異訳 | クゥエンヤ |
その他の呼び名 | 古き言葉、古い言葉(Ancient Tongue, Ancient Speech) 古エルダール語(High Eldarin tongue) 西方の正統語(High Speech of the West) タルクウェスタ(tarquesta)*1 パルマランベ(parmalambe)*2 |
解説†
エルフ語の一つ、上のエルフの言葉。クウェンヤは元来「言葉」の意。
クウェンヤはもともと全てのエルダールが使う言語であったが、大いなる旅で同族と分かれて中つ国に留まったエルフの言葉はしだいに変化していき、別の言語となった。このため古くから続くクウェンヤを保っているのはアマンへ渡った上のエルフのみとなった。
第一紀にノルドール族がアマンから中つ国に戻ってきたことで、クウェンヤも再び中つ国にもたらされる。以後、クウェンヤは古雅な上の言葉として、エルフと親交のある種族にも教養語として用いられるようになった。
エレン スィーラ ルーメン オメンティエルヴォ
Elen síla lúmenn' omentielvoわれらのあい出会う時、一つ星が輝く
(A star shines on the hour of our meeting)*3
エルフのクウェンヤ†
アマンに暮らす上のエルフのうち、ヴァンヤール族とノルドール族はクウェンヤを日常語とした。テレリ族(ファルマリ)は他の二氏族としばらくの間分かれて暮らしていたため、そのクウェンヤはやや異なったものになった(テレリ語)。
第一紀に流謫のノルドール族がアマンから中つ国のベレリアンドに帰還したが、彼らが同族殺害を犯したことを知った同地のシンダール族の王シンゴルは、クウェンヤを忌避してシンダール族にその使用を禁じる命令を出した。一方のノルドール族も自分たちより数の多いシンダール族と交じって暮らすためにシンダリンを習得して日常で使うようになった。
こうしてクウェンヤは中つ国においては日常的に用いられない言語となったが、ノルドール族は儀礼、伝承、歌などには相変わらずクウェンヤを使用し、クウェンヤは高尚な言葉として残り続けた。しかし伝わった当時のままにはならず、幾分の変化も遂げた。
『指輪物語』劇中では、ガラドリエルの哀歌「ナマーリエ」が、クウェンヤの歌である。
人間のクウェンヤ†
第一紀のエダインはエルダール諸侯に仕えてエルフ語を教わり、中にはクウェンヤを習得した者達もいた。
その知識は第二紀のヌーメノール人に受け継がれた。ヌーメノールの公用語はアドゥーナイクであり、エルダールと交流する時にはシンダリンが用いられたが、伝承に通じた者はクウェンヤも解し、重要な地名・人名などにはクウェンヤで名がつけられた。歴代のヌーメノール王もクウェンヤの名で即位した。
しかしヌーメノール人が堕落してエルダールと疎遠になるにつれてエルフ語は忌避され、後期の王たちはアドゥーナイクの名で即位するようになった(とはいえ古来の習慣を破ることが恐れられたため、後期の王たちもクウェンヤの名を併せ持っていた)。
エルダールへの敬愛とエルフ語の知識は節士によって保たれ、ヌーメノールの没落後は亡国の民の王国(アルノールとゴンドール)に受け継がれた。両国のドゥーネダインは西方語を母語としたが、地名や人名はシンダリンで名付け、クウェンヤも高尚な伝承の言葉として扱われた。
両国の王侯は元々クウェンヤの名を持ったが、アルノールでは国が分裂して生まれた後継国家のアルセダインの王がシンダリンで名付けられるようになり、その後継である野伏の族長もそれに倣った。ゴンドールでも王統が途絶えた後に国を統治するようになった執政はクウェンヤではなくシンダリンの名を持った。
王国の再統一を果たしたアラゴルン二世は、再びクウェンヤの名エレッサールで王に即位した。
ホビットのクウェンヤ†
ホビットの大半はクウェンヤはもとより、エルフ語を解さない。
だがエルフと親しく交わったビルボ・バギンズおよびフロド・バギンズはエルフ語に堪能で、クウェンヤすら解した。ビルボは裂け谷の伝承から上古の歴史である「エルフ語から翻訳したもの」を著した。フロドもまた、ギルドールの一行にクウェンヤで話しかけて彼らを驚かし、かつ喜ばせた。
備考†
日本語の資料として『指輪物語 エルフ語を読む』がある。
トールキンは「エルフにとって(日常では使用されないが、日常言語の元になり、儀礼などでは使用され続けている)ラテン語(Wikipedia:ラテン語)に相当するもの」としてこの言葉を位置づけた。言葉自体はフィンランド語(Wikipedia:フィンランド語)が元にされている。
外部リンク†
コメント†
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