ギル=ガラド

概要

カテゴリー人名
スペルGil-galad
その他の呼び名エレイニオン(Ereinion)
種族エルフノルドール
性別
生没年不明~†第二紀3441年
フィンゴン(父)(父はオロドレスの可能性もあり。後述
兄弟(姉妹がフィンドゥイラスの可能性もあり。後述

解説

ノルドール上級王
第5代
トゥルゴン
472~510
第6代
エレイニオン・ギル=ガラド
第一紀510年~第二紀3441年
断絶

フィンゴンの息子エレイニオンの呼び名。中つ国における最後のノルドール上級王アエグロスの槍の使い手。エルフ三つの指輪の一つ、風の指輪ヴィルヤの最初の守護者。その最期はギル=ガラドの討死に歌われている。

ギル゠ガラドは、エルフの王なりきと、
竪琴ひきは、悲しく歌う。
海と山との間にありし、
美しき自由の国の、最後の王なりきと。*1

宝玉戦争

ダゴール・ブラゴッラハにおけるフィンゴルフィンの死後、フィンゴルフィン王家と全ノルドール王国の王位を継承したフィンゴンの使者として、ファラス地方のブリソンバールエグラレストの港に遣わされる。
ニルナエス・アルノエディアドの後、この地がモルゴスの軍によって攻撃されると、ギル=ガラドはキールダンと共にバラール島に撤退し、そこに避難所を作り上げた。やがてゴンドリンが滅亡しトゥルゴンが死ぬと、ギル=ガラドは中つ国のノルドールの上級王となった。
モルゴス怒りの戦いで打ち破られるまで、ギル=ガラドとキールダンはシリオンの河口で持ちこたえ、生き残ったエルダールエダインの最後の拠り所となった。

リンドンの王として

第二紀になってもギル=ガラドは流離のノルドール上級王として中つ国に留まり、キールダンエルロンドと共に中つ国北西部に残ったエルダールを指揮する。かれらはベレリアンドの最後の名残りであるリンドン灰色港を建造した。
ギル=ガラドとエルロンドは正体を隠して接近してきたサウロンを信用せず、やがて正体を現したサウロンによってエレギオンが滅ぼされると、その力に対抗して戦った。当時、リンドンのギル=ガラドの許にはヌーメノールの船団がしばしば訪れて交流が行われており、ギル=ガラドはタル=ミナスティルの援助を得て第二紀1700年にサウロンをエリアドールから駆逐することに成功した。

それ以後もヌーメノールとの交流は続いたが、ヌーメノール人が次第に堕落しエルフの不死を羨むようになるとそれも途絶え、ギル=ガラドの許にはヌーメノールを逃れた節士派しか訪れなくなる。王党派のヌーメノール人は中つ国の沿岸部に植民地を築き、過酷な圧制者として君臨したが、ギル=ガラドの勢力があるため北西部にやってくることはなかった。
第二紀3262年にアル=ファラゾーンによってサウロンがヌーメノールへ連れ去られると、ギル=ガラドは一時の平和を享受して勢力を霧ふり山脈を越えた先にまで拡大させる。ヌーメノールの没落を逃れて灰色港に漂着したエレンディルは、ギル=ガラドの援助を受けてエリアドールアルノールを建国し、亡国の民の王国上級王となった。

最後の同盟

しかしサウロンもまたヌーメノールの没落から生き延びて中つ国に戻っており、サウロンがゴンドールを攻撃すると、ギル=ガラドとエレンディル最後の同盟を結んで対抗した。
同盟軍は霧ふり山脈を越えてダゴルラドの合戦で勝利してモルドールに入り、バラド=ドゥールを包囲攻撃した。当時のエルフ人間の力は強く、ギル=ガラドの槍アエグロスと、エレンディルの剣ナルシルには、何者も抗しがたかった*2という。
ついにバラド=ドゥールから姿を現したサウロンとの滅びの山の戦いで、ギル=ガラドとエレンディルはサウロンを打ち倒したが、二人の上級王もまたこの戦いによって討ち死にした。ギル=ガラドの死の因はサウロンの手の黒くして、火のごとく燃えいたる熱気によるという*3

その死はギル=ガラドの討死に歌われ、彼の死によって中つ国におけるノルドール上級王は絶えた。

エルフの指輪の守護者

ギル=ガラドは、三つの指輪の内でもっとも力のある風の指輪ヴィルヤケレブリンボールより受け取り、その守護者となった。彼は死ぬ前にこれをエルロンドに譲った。
終わらざりし物語』によると、ギル=ガラドがエルロンドにヴィルヤを譲ったのはサウロンがエリアドールから駆逐され(第二紀1701年)、会議が開かれた時のことである。またこの時ギル=ガラドはエルロンドをエリアドール副摂政に任じたという。

血筋についての設定

The Peoples of Middle-earth』の「The Shibboleth of Fëanor」によると、『シルマリルの物語』の元になった原稿よりも後にジョン・ロナルド・ロウエル・トールキンが書いた原稿では、ギル=ガラドはフィンゴルフィン王家フィンゴンの息子ではなく、フィナルフィン王家アングロドの息子であるオロドレスの息子(フィンドゥイラスの兄弟)とされ、クリストファ・トールキンは(『シルマリルの物語』における)前者の設定を誤りだったとしている。また、ギル=ガラドがファラスの港へと送られるエピソードは彼がフェラグンドの息子として構想されていた時期の原稿から採用したものであるという。先に出版されて物語上も矛盾がなく広まっている設定を受け入れるべきか、クリストファの訂正説を受け入れるべきかは議論になっており、どちらを正史とすべきかはファンの間でも意見が分かれている。

多数の名の意味

エレイニオン(Ereinion)
シンダリンで「王家の子(Scion of Kings)」の意味。
ギル=ガラド(Gil-galad)
最もよく知られる異名。シンダリンで「燦然たる輝きの星(Star of Radiance)」の意味*4

以下の名前とその説明は『終わらざりし物語』及び『The Peoples of Middle-earth』の「The Shibboleth of Fëanor」による。

ギル=ガラド(Gil-galad)
エペッセ*5。「The Shibboleth of Fëanor」の一説では彼の母親*6はこの名で呼んだ。
Artanáro(アルタナーロ)
クウェンヤの名。
Rodnor(ロドノール)
Artanároのシンダリン形。

映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定

俳優マーク・ファーガソン
日本語吹き替え

名前は一切登場しないが、冒頭でヴィルヤを手にしている姿や、最後の同盟の戦いで槍(アエグロス)を振るって戦う姿がわずかに描写されている。

『ロード・オブ・ザ・リング』におけるギル=ガラド(左) 『ロード・オブ・ザ・リング』におけるギル=ガラド

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ドラマシリーズ『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』における設定

リンドンに住まう、上のエルフ上級王として登場。
サウロンの脅威が去った訳ではないという事は認めているものの、悪を根絶しようとするガラドリエルらの強硬な姿勢が却って敵の増長を促す事を懸念している。
そのため第二紀の戦いの終結を布告し、冥王の討伐で功を上げた者たちを褒章としてヴァリノールへ帰還させようとする。エルロンドには、ケレブリンボールの仕事を手伝うよう命じエレギオンへと派遣する。

画像

『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』におけるギル=ガラド

ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定

最後の同盟の戦いの回想シーンに登場。

『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における、最後の同盟の戦いでのギル=ガラド

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • 長衣の下に着てるのは単なる胴着なのか鎧なのか判別できない -- 2022-09-17 (土) 19:28:15
  • ひょっとしてサウロンが成り代わってたりして -- 2022-10-08 (土) 19:06:56
    • なら本物は何処へ... -- 2022-10-09 (日) 00:29:19
    • 映画でサルマンがやったように遠隔操作で操ってるのはあると思う。今の所サウロンにとって得になる事しかしてない辺り -- 2022-10-12 (水) 19:19:30
  • ギル=ガラドがフィンゴンの息子ではなくて、オロドレスの子という設定であれば、ガラドリエルは、叔母さんということになる...。
    ドラマ版を見ていると違和感バリバリ。俳優の年齢とドラマ版のガラドリエルの性格改変もあって、叔母というイメージではない。 -- 2022-10-14 (金) 14:38:28
    • フィンゴンの息子設定でも違和感バリバリだよ、原作だと賢王なのにドラマじゃ何でもダメ出しするひとになっちゃった -- 2022-10-14 (金) 23:06:02
      • なんであんな老害設定にしたんやろな。製作陣の中に明確に当てこすりたい人物でもいたんかってレベル。 -- 2022-10-15 (土) 13:07:08
  • 劇中の扱いはともかく、少なくとも「火を消そうと扇げばその風で余計火が燃え広がる」という言葉は正しかったと言わざるを得ない -- 2022-10-15 (土) 12:58:59
    • ギル=ガラドを頑迷な分からず屋に設定したはずなのに、ガラ様のキャラ設定や脚本の作りこみが酷いせいで正論キャラに昇華してしまったのマジ笑えねえ。 -- 2022-10-16 (日) 22:41:49
      • どちらか一方をもう一方の引き立て役にしたかったというよりは両方を違うベクトルで格下げしたかったんでしょ。保守的な者と急進的な者、両方とも頑迷で人の意見に耳を傾けないのは同じ。作り込みが酷いんじゃなくてわざとキャラと作品を嫌いになるように仕向けてるとしか。 -- 2022-10-17 (月) 15:05:39
      • 凡百な作者や、なろう系広告でよく見る
        「天才キャラという描写をしたいが製作側の頭が悪いからそれができないので、周りの知能指数を下げることで天才扱いさせる」
        なんてクソ終わってる演出をまさか10億ドルを投じた作品で観る羽目になるなんてね…。 -- 2022-10-17 (月) 17:06:06
      • 天才扱いされてるのが主人公じゃなくてラスボスな辺りなろう系よりはまだ良い。天才じゃなくて常識人レベルに見える位主役サイドが下げられてるけど。 -- 2022-10-17 (月) 18:26:24
  • 何気にガラドリエル以外のノルドールがちゃんと描かれるのは初めてだったからギルガラドとケレブリンボールには期待してたのに。かっこよくて賢明なエルフ王を返してくれ… -- 2022-10-18 (火) 12:27:34
    • マジでな。何でもダメ出しする王とか見たくなかったわ。 -- 2022-10-18 (火) 19:15:00
    • ギル=ガラド改悪は流石に酷すぎて直視難しいわ。
      あのキャラにすることにさほどストーリー的には必要性を感じないしな。 -- 2022-10-21 (金) 22:19:20
    • 多分製作陣にはギル=ガラドを殊更愚昧に描く意図は無い。あれで指導者として真っ当な判断をさせてるつもりなんだと思う。
      >かっこよくて賢明なエルフ王←これが間違ってるとは言わないけど、ただ原作の設定を知識として参照しただけではここまでの好意的なイメージは多分抱かない。そういうのは結局、個々の読者が原作の少ない記述から人物像を肉付けして、それがファンの間で交換・共有される事で少しずつ出来上がっていく物だろうから。
      特段キャラに対する思い入れも無い人間がただ第二紀の物語を描きたい!っていう大雑把な動機だけで脚本を描き進めればああなってもおかしくはないんじゃないか。 -- 2022-11-14 (月) 01:40:08
      • 最初のコメントのものですがとても納得した。少なくとも政治手腕と指輪持ちサウロンと相打ちに持ち込めるくらいの戦闘力は原作にも描写あるけど確かに思い入れがないとああいうキャラクターになることもあるよなぁ。 -- 2022-11-15 (火) 20:35:39
    • ノルドールでも武勇第一のフィンゴルフィン直系の孫だし、扱う得物の名前も知られているくらいだからギルガラドも武勇に長けているとは言えそう -- 2022-11-16 (水) 01:10:24
  • ポケモンのギルガルドの元ネタの一つだったりする?英語版の名前もAegislashとアイグロスに近いし。 -- 2023-03-30 (木) 19:45:55
    • Aeglosイーグロス=アイグロス
      Aegislashイージスラッシュ
      そんなに似てるかな…。 -- 2023-03-30 (木) 21:28:37
    • Aegislashはギリシャ神話の魔盾Aegis(アイギス/イージス)が元ネタでしょう。アイグロスとは無関係 -- 2023-03-30 (木) 22:54:52
    • 全く逆の解釈もある。ギル=ガラドの没落と言う歌では、ギル=ガラドがアイギス同様に「鏡に匹敵する程磨かれた盾」を持っていることが確認できる。英名にしてもラテン語のアエギスとアイグロスで寄せた命名であるともとれる。いずれにしても製作者に聞かないとなんとも。 -- 2023-03-31 (金) 18:42:14
    • じょうきゅうおうのギルガラドがしょうぶをしかけてきた! -- 2023-04-01 (土) 18:43:07
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