オルサンク

概要

カテゴリー地名
スペルOrthanc
その他の呼び名オルサンクの塔(Pinnacle of Orthanc, Tower of Orthanc)

解説

シンダリンで「牙の山(Mount Fang)」または「分岐せる塔(Forked Height)」の意。ローハン語の古語では偶然にも「狡猾な心(Cunning Mind)」を意味する*1
アイゼンガルドの中心に建つ塔で、サルマンの居城。パランティールの一つが置かれていた。

しかしこれは人間業で作られたものとは見えず、その昔山々が苦しみ悶えた時大地の骨からもぎ取られてできたもののように見えました。これは岩の峰であり、岩の小島であって、黒々と硬い輝きを放っていました。多面の石を用いた四本の巨大な脚が一つに合わされているのですが、頂上近くでその脚はそれぞれ大きく口を開けた角笛の形に開き、尖塔はどれも槍の穂先のように鋭く、短剣の刃のように鋭利でした。尖塔の間に狭い空間があって、奇妙な記号を記したそこの磨かれた石の床に立つと、広場から五百フィート上になるのでした。これがサルマンの城塞、オルサンクでした。*2

構造

多面な表面を持つ漆黒の岩のような物質で形作られている。高さは約500フィート(約150メートル)。
石脚の間、東側に一つだけ大きな戸口があり、戸口までは27段の石段で上るようになっていた。戸口の上には鉄柵で囲われた露台バルコニーがある。
壁面には外に狭く内に広い狭間窓が、組み合わさった4つの尖塔のすぐ下まで続いている。
塔の頂上、4つの尖塔の間には狭い空間があり、サルマンが星を見るために用いていた(ガンダルフはこの場所に幽閉された)。

塔にはいくつもの秘密の仕掛けがあり、内部からはサルマンが要塞地下に張り巡らせた機械仕掛けを操作することができた。

歴史

流離のヌーメノール人によって、アイゼンガルドの拠点とするべく築かれる。内部には七つのパランティールの内の一つが置かれた。
カレナルゾンローハンが建国されると、アイゼンガルドはゴンドールが領有する飛び地となり、オルサンクの塔は閉ざされてその鍵は執政によって保管された。やがてゴンドールの国力の衰微によってアイゼンガルドは放棄されたが、オルサンクは閉ざされていたため何人にも侵入されることはなかった。

第三紀2759年、白のサルマンが執政ベレンからオルサンクの鍵を受け取り、この地に移り住む。こうしてアイゼンガルドはサルマンの租借するところとなり、オルサンクは彼の居城となった。サルマンは塔の内部を捜索してパランティールを発見し、密かに我が物とする。
当初はゴンドールもローハンもサルマンによって助けられたが、やがて堕落したサルマンはアイゼンガルドとオルサンクの領有を宣言し、ゴンドールローハンに敵対するようになった。

大いなる年ガンダルフはサルマンに呼び寄せられてオルサンクの頂上に一時幽閉されたが、グワイヒィルによって救出される。
角笛城の合戦に相前後して、アイゼンガルドはファンゴルンの森エントに攻撃されて廃墟と化す。だがオルサンクはヌーメノール人の高度な技術により建造されていたため、エントの力を持ってしても無数のひっかき傷とわずかな薄片をはぎ取ることができただけで、破壊することができなかった。サルマンは塔の内部に逃れて一命を取り留めたが、エントは要塞を水没させてサルマンを塔に閉じ込める。
その後、ガンダルフセーオデンらを連れてサルマンに降伏を勧告するために塔の下までやってきたが、サルマンは降伏を拒絶してあくまで塔に閉じこもる。この時、同じく塔に閉じ込められていた蛇の舌が上階からパランティールを投げ落とした。

指輪戦争の終結後、サルマンは蛇の舌を連れてオルサンクから脱出する。この時木の鬚は、彼からオルサンクの鍵を取り上げた。鍵はエレッサール王仲間達との別れのためにこの地に立ち寄った際、王に返却された。こうしてオルサンクの塔は再びゴンドールの管理下に戻った。

終わらざりし物語』によると、残ったパランティールを再びオルサンクに置くことを考えたエレッサール王が塔内を捜索した際、隠された鋼鉄の小部屋がギムリによって発見される。小部屋にはイシルドゥル一つの指輪を納めて首にかけていた鎖つきの金の小箱と、彼が身に付けていたエレンディルミアが保管されていた。サルマンがあやめ野付近を捜索していて見つけたものであろうと推測される。

映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定

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サルマンガンダルフが対峙した、パランティールが置かれていた部屋から屋上近くまで、中空構造になっているようである。

画像

『ロード・オブ・ザ・リング』におけるアイゼンガルドとオルサンク

ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定

『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるアイゼンガルドとオルサンク 『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』におけるアイゼンガルドとオルサンク*3

コメント

最新の6件を表示しています。 コメントページを参照

  • サルマンの杖とオルサンクの塔つて似てるよね。なんでだろう -- 2018-06-08 (金) 02:38:33
  • エルロンドの会議でガンダルフが「オルサンクの塔のてっぺんから降りるのには何千段ものせまい階段を使うほかはなく」と言っているけど一体どういうことなんでしょうか。東京タワーの外階段で調べたら約150メートルで約600段らしいです。 -- 2018-11-16 (金) 07:10:52
    • 本当に何千段も階段がある前提での推測。150mで2000段なら1段平均7.5㎝、3000段なら1段平均5.0㎝。ものすごく勾配の緩いスロープ状の螺旋階段が塔の外壁の内側に延々と設置されているものと思われる。重くて大きな荷物も塔のてっぺんまで楽に運べるようにバリアフリーな設計にしてあったんじゃないかな。   -- 2018-11-17 (土) 22:25:15
      • 勾配を緩くするならその分塔の直径を太くしないと天井が低くなって這うように登らなきゃいけなくなるぞ -- 2019-01-31 (木) 12:12:51
      • 高さ3.5m毎に一周する螺旋階段なら40周は稼げる。縦幅60cmのステップを一段毎に3.5cm登るように設置して100段で一周するようにすれば4000段置ける。問題は垂直に150m登るために一周60mのぐるぐる階段を40回くりかえして2400mも水平に移動しなければいけないことだが。 -- 2019-02-01 (金) 05:46:37
    • モリアの無限階段と同じように、オルサンクの何千段の階段も比喩な気がする。どちらもガンダルフの台詞で語られているだけなので、多分誇張を含んでいる。 -- 2019-01-31 (木) 06:53:27
    • 中途半端なところから上がったり下がったりを二、三回繰り返して段数を稼いでいる可能性も(ない -- 2019-02-02 (土) 03:34:08
  • 維持しててもコストかかる割にはあまり役立たない、もしくは状況の変化で役立たなくなり手に余る。
    その癖、敵に奪われたらめちゃくちゃ脅威となる。
    史実でもいくつかそういう「先祖が頑張って建てた結果、子孫が迷惑する」建造物あるけど、ここもそういう場所だよなぁ。 -- 2022-01-05 (水) 17:03:06
    • 都合上の問題で廃棄された要塞あるある -- 2022-01-14 (金) 18:15:06
      • ローマ防衛線(リメス)「おっ、そうだな」
        蛮族「おっ、そうだな」 -- 2022-01-14 (金) 20:54:31
  • 原作にオルサンクはバラドドゥアの真似ってあったけどオルサンク立てたのってヌーメノール人だよね? -- 2023-02-25 (土) 17:43:05
    • ハードウェア面というよりオークの養殖とか指輪の強奪とかそういった業態が似ているという意味じゃないかな? -- 2023-02-25 (土) 18:28:01
    • そんな記述はありません。あるのは「アイゼンガルドの要塞化がバラド=ドゥアを真似たもの」という記述です。 -- 2023-02-25 (土) 18:28:45
  • 王の帰還で映像を見た限りでは、屋上から階下へ降りる箇所が見当たらないのですが、どうなっているのでしょう。 -- 2023-06-05 (月) 17:08:03
  • 跳ね床式の階段の入り口とかがあるんじゃない。知らんけどさ。
    ずっと階段開け放しだと雨水とかやばそうだし。 -- 2023-06-05 (月) 18:49:01
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