エント†
概要†
カテゴリー | 種族 |
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スペル | Ent(単) / Ents(複)*1 |
その他の呼び名 | 木の |
解説†
シンダリンでの名はオノドリム。ヴァリエのヤヴァンナが樹木を保護する者として願ったことから生まれた種族。木の
エントたちは、木と木と互いに異なるように、お互いに異なっていました。同じ名前でも育った場所や経歴がまったく違う木が互いに異なるように相異する者たちもいました。そしてまた、樺が橅と異なるように、樫が樅と異なるように、木の種類で異なる木々のように互いに相異する者たちもいました。年をとったエントたちも何人かいました。顎鬚を垂らし、ふしこぶだらけで、まるで年経ても元気な木のようでした。 … そしてまた背の高い強壮なエントたちもいました。手足は形よく伸び、皮膚はすべすべと、今が盛りの木々のようでした。しかしここには若いエントは一人もおりませんでした。木でいえば若木はいなかったのです。*3
特徴†
- 外見
- 木のような特徴を備えた巨人。皮膚は樹皮のようであり、また体毛は枝葉や苔のようで、手足の指はがっしりとして根のようである。木に多くの種類があり、また一つ一つの木が異なるように、エントもそれぞれに異なった外見を持つ。
- 能力
- 非常に強力な存在で、頑強な岩壁も指をかけるだけでぼろぼろにちぎることができ*4、あるいは叫び声だけでも岩を砕くことができる。腕力も強く、また必要なら非常に速い速度で動き回れる。さらに生命力も高いため毒も効かず、深手を負わせるには重い斧の一撃か火焔を用いるしかない。
寿命は存在せず簡単に死ぬことはないが、エントとエント女が離れ離れになって新たなエント(エントっ子)が生まれなくなったため、中つ国においてその存在はどんどん少なくなっていった。
知能は高く、深い智慧と知識を蓄えている。大変思慮深いため長考を重ねた上でなければ滅多な行動に出ようとはしないが、いざ動き出せば機敏であり、またひとたび怒り狂えば恐ろしい存在となる。 - 文明・文化
- 多くの知識を蓄えてはいるが、文明というものはほとんど持たず、基本的には単独で暮らす。男のエントは深い森林と樹木を好む一方で、女のエントはよく手入れされた田園や庭園を好む。エントの寄合と呼ばれるエント同士の会合を開いて重要な行動を決定することもある。
かつて人間は、エント女より農作や園芸の技術を学んだという。 - 住居
- 一人のエントは幾つかのエント小屋というものをもっており、そこに(立って)寝る。小屋といっても洞窟のようなものに過ぎず、石のテーブルがある程度。またエント小屋にはエント水が湧き出ており、エントはそれを飲むことによって活力を得る。
- 歴史
- 上古から中つ国にいたことは確かだが、冥王との戦いにはほとんど関与せず、歴史上に現れることはほとんど無かった。第一紀にドリアスを襲撃したドワーフを攻撃したことがあるというのと、第三紀末の指輪戦争の記録に現れた程度である。
エントとエント女はかつては共に暮らしていたが、性向の違いのために次第に離れ離れとなり、第二紀から第三紀にかけての戦争と混乱でエント女は行方不明になってしまっている。エントがエント女を探してさすらう話は、多くの種族に知られ歌にされたこともあったという。
かつて中つ国の大地を広大な森林が覆っていた頃、エントは森伝いにリョヴァニオンからベレリアンドにいたるまで広大な範囲を自由に歩き回っていた。だが森林の減少と、元々少子であった上にエントとエント女とが疎遠になっていったせいで、その活動は次第に低下し、上古の時代を憶えている者は第三紀には木の鬚一人となっていた。 - 氏族
- エントの女性はエント女、エントの子供はエントっ子と呼ばれる。またフオルンは、エントが語りかける内にエントのようになった木とも、逆にほとんど木のようになってものを考えることができなくなってしまったエントとも考えられる。
- 言語
- エルフが話していたのを目撃して会話することへの憧れを覚え、エルフから言葉を学んだ。エント同士が話すにはエント語を使う。エントは語学に巧みで、一度覚えたどんな言葉も忘れなかった。エント語以外ではエルフ語を特に好み、それをエント流に繋げて使うことをよく行った。西方語も知っている事が多い。一方でエント語は、その特性から他種族が習得することは不可能だった。
- 偏見
- 木の敵を憎み、木の味方を愛する。そのため森を汚すオークを強く憎んでおり、薪を切るドワーフを警戒している。
エルフに対しては友好的だが、第三紀末には、レゴラスも伝承の歌でしかエントのことを知らなかったり、ケレボルンはファンゴルンに近づかないよう指輪の仲間に忠告したりするなど、エルフにとってもエントは謎の多い存在となっていた。
ローハンには、エントに由来する地名が数多く残されているが、ロヒルリムにとってもエントは伝承上の存在でしかなかった。
登場するエントの名†
他作品に与えた影響†
トールキンは樹木に強い親愛の情を抱いており、エントはトールキンが考案した種族の中でもとりわけ独創的な存在だと評されている。
それまで樹木の精霊は、あくまで木の中に住む人間のような存在として描かれてきたのに対し、トールキンが「生きて動く木」としてエントやフオルンを登場させたことで、大きな影響を与えることになった。特に『ダンジョンズ&ドラゴンズ』初期の版では「エント」という名称がそのまま使われて登場していたが、著作権上の理由により、後の版では「トレント(Treant)」の表記になった。
その他のファンタジー作品やRPGなどのゲームにおいても、動く木のモンスター等が登場するようになり、それらでも「トレント」の名称などが使われていることが多い。
コメント†
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