エルロンド†
概要†
カテゴリー | 人名 |
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スペル | Elrond |
その他の呼び名 | 半エルフのエルロンド(Elrond Half-elven)*1 裂け谷の主(Lord of Rivendell) |
種族 | 半エルフ |
性別 | 男 |
生没年 | 第一紀~ |
親 | エアレンディル(父)、エルウィング(母)、マグロール(養父) |
兄弟 | エルロス(兄弟) |
配偶者 | ケレブリーアン |
子 | エルラダン(息子)、エルロヒル(息子)、アルウェン(娘)、アラゴルン二世(養子) |
解説†
名はシンダリンで「星の
北方王国滅亡後はその王家の遺児を代々養育しており、アラゴルン二世の養父にもあたる。
半エルフとして知られ、上古から続く中つ国の歴史を究めた伝承の大家である。また医術の大家でもあり、その癒やしの技は「癒やしの手」を持つアラゴルンを凌ぐ。
エルフの隠れ里裂け谷(イムラドリス)の領主であり、サウロンに抵抗する賢者達からなる白の会議の一員。エルフの三つの指輪の中で最も力のある風の指輪ヴィルヤの守護者でもあった。
エルロンドの顔は、若くもなく、年老いてもおらず、年齢がありません。とはいえそこには、記憶に残る喜びと悲しみの数々が書きこまれていたのです。夕闇の影のようなその黒髪には銀の飾り環がはめられていました。目の色は晴れた夕暮れの灰色、そしてその目に浮かぶ光は、星々の光にまがうほどでした。かれは玉座にあってあまたの齢を重ねた王のように神々しく、同時に、力に満ちあふれた百戦錬磨の戦士のように強健でした。かれは裂け谷の主であり、エルフにも、人間の間にも隠然たる力を持っていました。*4
生い立ち†
「だが、わたしの記憶は上古の時代にまでさかのぼる。エアレンディルがわが父である。わが父は没落前のゴンドリンで生まれた。わが母は、ドリアスのルーシエンの息子、ディオルの娘、エルウィングである。わたしは西方世界の三つの時代を見てきた。多くの敗北と、多くの空しい勝利を見てきた。」*5
第一紀末にシリオンの港に生まれる。
父エアレンディルがアマンを目指す航海に出て留守になると、港はシルマリルを求めるフェアノールの息子たちの攻撃を受け、母エルウィングはシルマリルを抱いたまま海に身を投げて行方不明になった。エルロンドとエルロスの兄弟は捕虜になるが、自らの行為を悔い兄弟を憐れに思ったマグロールに養育されて育ち、兄弟もマグロールを愛した。
第二紀以降、エルロンドはエルフとして生きる道を選び、中つ国に留まる。
はじめはギル=ガラド、キールダンと共にリンドンに住まい、サウロンが正体を隠してエルフに接近を試みた時には、ギル=ガラドと共に彼を訝しみリンドンから締め出した。サウロンの正体が判明し、力の指輪を巡る戦いでエレギオンが荒廃すると、エルロンドはエレギオンの残党を率いてイムラドリス(裂け谷)の隠れ家を造り、サウロンがエリアドールを席巻している間それに抵抗し続けた。
サウロンがエリアドールから駆逐されると、エルロンドはギル=ガラドよりエリアドールの副摂政に任じられ、風の指輪ヴィルヤを託される。
最後の同盟の戦いではギル=ガラドの伝令使を務め、オロドルイン山腹で行われた最後の戦いでギル=ガラドとエレンディルが倒れ、サウロンもまた打ち倒されるのを目撃した。イシルドゥルが折れたナルシルの柄本でサウロンの指から一つの指輪を奪い取ると、それをオロドルインの火に投ずるべきだと、キールダンと共に助言する。だがイシルドゥルはそれを無視して、指輪を「購いの品」として自分のものにした。
第三紀にはエルロンドは裂け谷に戻り、密かにヴィルヤの力を使ってそこを守護しつつ、叡智と伝承を蓄えた。エルロンドは「最後の憩」館の館主として、助けを求めてやってくる自由の民には誰であれ休息と助言を提供した。また、緑森大森林に影が落ち、イスタリが西方からやってくると、死人占い師の脅威に対抗するために結成された白の会議の一員となる。
アングマールの脅威にさらされたアルノールには、援助のためにグロルフィンデルをはじめとした裂け谷のエルフを派遣し、北方からサウロンの配下を駆逐するために協力した。アルノールが滅亡すると、生き残った王家の末裔(野伏の族長達)を裂け谷に引き取って養育するようになり、エルロンドの許には折れたる剣ナルシルやアンヌーミナスの王笏といった王家伝来の宝器も預けられた。
2509年、妻のケレブリーアンがロスローリエンからの帰りの途上、赤角山道でオークに捕えられ、拷問を受けた。ケレブリーアンはエルラダンとエルロヒルによって救出され、受けた傷はエルロンドが癒したものの、彼女はもはや中つ国で生きる望みを失い、翌年アマンへ去った。
2933年、野伏の族長アラソルン二世がオークとの戦いで戦死すると、その息子アラゴルン二世を裂け谷で引き取り、養子として育てた。
旅の助言者†
エルロンドは『ホビットの冒険』『指輪物語』において、共に旅の助言者として登場する。
このひとは、昔のさまざまな物語にあらわれますが、ビルボの大冒険をのべるこの物語には、あまり出てきません。おわりまで読めば、たいせつながら端役で出てくるだけだということがわかるでしょう。*6
『ホビットの冒険』においては、エレボールへ遠征する途上のソーリンとその仲間を「最後の憩」館に迎えて、休息と助言を提供した。
エルロンドはソーリン二世たちのスマウグへの復讐と山の下の王国の奪回については不本意だったが、龍を強く憎んでおり谷間の国の荒廃を嘆いていたため、彼らに協力。スラーイン二世が残したスロールの地図の月光文字を解読し、またグラムドリングとオルクリストの由来を教えた。
『指輪物語』においては、一つの指輪を携えて裂け谷へ避難しようとするフロド・バギンズを助けるため、グロルフィンデルをはじめとしたナズグールに対抗できる上のエルフを送り出し、フロドがブルイネンの浅瀬に到達した時にはガンダルフと共にブルイネン川の水を氾濫させ、ナズグールを押し流した。そして「医術の大家」として、モルグルの刃に刺されたフロドを治療し、無事に刃の破片を取り出すことに成功した。
一つの指輪の再発見と時を同じくして、各地の自由の民が助言を求めて裂け谷に集まってきたことを運命と受け取ったエルロンドは、サウロンの脅威に対抗すべく「エルロンドの会議」を開催、見出された一つの指輪の処遇を話し合った。エルロンドは一つの指輪をオロドルインの滅びの罅裂に投じて破壊すべきだと最初に提言し、名乗り出たフロド・バギンズを指輪所持者に任命した。彼と共に行く指輪の仲間を選んだのもエルロンドである。
娘との別れ†
『わたしが失うことによって人間の王権が回復されるのかもしれぬ。おそらくそのような定めであったのだろう。それゆえ、わたしはそなたを愛しているにもかかわらず、これだけはいっておく。このことより小さな目的のためにアルウェン・ウンドーミエルにその生が
享 けている恩寵を減じさせはせぬ。ゴンドールとアルノール両国を統べる王以上の人間でなければ、何人 もアルウェンを花嫁にはできぬ。その時はわれらの勝利でさえ、わたしにもたらされるのはただ悲しみと別れのみである――しかしそなたにはしばしの喜びの望みをもたらそう。』*8
また、エルロンドにとって指輪戦争はもう一つの局面を持った戦いでもあった。
第三紀2951年、養子のアラゴルン二世が娘のアルウェンに恋をし、アルウェンの選択がなされたことを知った時、エルロンドはアラゴルンを呼び出して上に述べた統一王国再建の難題を課した。このためアラゴルンは諸国を遍歴して修行を積み、王権を回復することを志すようになる。
大いなる年にエルロンドはアラゴルンを援助するため、集結した北方の野伏と共に息子のエルラダンとエルロヒルを南方に派遣し、アルウェンの織った王旗と自らの助言を託した。エルロンドの助言には死者の道のことが言及されており、これがアラゴルンに灰色の一行を率いて死者の道を経由してゴンドールに向かうことを決意させる一助となった。
指輪所持者の任務と、アラゴルンに課せられた難題とがともに達成されると、エルロンドはアルウェンおよび裂け谷家中の者を引き連れてミナス・ティリスに赴き、婚礼の式においてエレッサール王(アラゴルン)にアンヌーミナスの王笏と共にアルウェンの手を引き渡した。
エルフと人間の運命は分かたれているため、人間の運命を選択したアルウェンとエルフの運命を選択したエルロンドは、世の終わりまで別れることになった。エルロンドはエドラスでアルウェンと最後の別れを交わし、裂け谷へ戻った。
西方へ去る†
エルロンドは灰色のマントを羽織り、額に星を一つつけて、手に銀の
竪琴 を持ち、指には大きな青い石のついた金の指輪をはめていました。*9
やがて三つの指輪の力が失われてゆくと、ついに中つ国に倦み疲れたエルロンドは、第三紀3021年(第三紀最後の年)9月29日、他の指輪の守護者および指輪所持者と共に灰色港に赴き、アマンへ船出して中つ国を去った。この出来事を以て第三紀は終わり、第四紀が始まった。
映画『ロード・オブ・ザ・リング』における設定†
俳優 | ヒューゴ・ウィーヴィング |
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日本語吹き替え | 菅生隆之 |
イシルドゥルのせいで一つの指輪が滅ぼされなかったことから、人間の弱さに不信感を持ち、指輪を厄介物として扱うといった、原作とは隔たりのある独自のキャラクター付けがなされている。また指輪の仲間が出立した後、アルウェンがモルドールの力の伸長によって衰弱すると、彼女をアマンに去らせようとした。
だがアルウェンの嘆願を聞いて考え直し、鍛え直されたナルシルを馬鍬砦にいたアラゴルンに自ら届けに向かった。そして死者の軍勢を召集するようアラゴルンに直接助言している。
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俳優 | ヒューゴ・ウィーヴィング |
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日本語吹き替え | 菅生隆之 |
『思いがけない冒険』では裂け谷の近くに出没したオークを、自ら兵を率いて掃討した様子が描かれている。
エクステンデッド・エディションではガンダルフとの会話シーンなどが増えており、ソーリンが彼の祖父スロールと同様に、黄金の魅力に取り憑かれるのではないかという懸念を示す場面もある。
『決戦のゆくえ』ではサルマンとともに、ドル・グルドゥルにいたガンダルフとガラドリエルの救援に現れ、ナズグールと戦っている。この時ハザファングを使っているのが確認できる。
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グッズ†
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リンドンに暮らし執政官としてエルフ上級王ギル=ガラドに仕える。ガラドリエルとは友人であり、打倒サウロンに異常なまでに執着する彼女を窘めつつ、功績者としてヴァリノールへの帰還を許されたガラドリエル一行の船出を送り出す。
しかし、新たな脅威への懸念は抱いており、ギル=ガラドの命令で高名なエルフ鍛冶ケレブリンボールの助手となる。
ケレブリンボールから巨大炉建設構想を明かされたエルロンドは、親友であるドワーフ族のドゥリン四世の協力を仰ぐことを提案しカザド=ドゥームを訪問するが、けんもほろろな扱いを受け、「永久追放」を賭けてドゥリンに岩砕き勝負を挑むも敗北する。
その実、ドゥリンは自身の即位、結婚、子供の誕生になんの祝いも寄越さなかったエルロンドに腹を立てており、王妃ディーサの取りなしで和解に至る。
その後、ギル=ガラドが中つ国のエルフを救うため、霧ふり山脈に眠るとされる鉱石、すなわちミスリルを求めていることを知ると、全てをドゥリンに打ち明けて協力を仰ぐ。ドゥリンは協力的だったがその父王ドゥリン三世に拒否され、エルロンドはカザド=ドゥームより追い出される。
エルロンドのもとには、ドゥリンが「友情の証」として渡してくれた僅かなミスリルの破片しか残らず、諦めたエルロンドはエルフを中つ国より待避させようとしたが、エルロンドはギル=ガラドに猶予を求め、ケレブリンボールはエルロンドが持っていた僅かなミスリルをもとに三つの指輪を作成する。
妻となるケレブリーアンは登場しておらず、原作では義理の母に当たるガラドリエルとは友人関係であるとされる。
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ゲーム『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』における設定†
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