ウンゴリアント†
概要†
解説†
上古の世を騒がせた巨大な蜘蛛の形をした悪霊。
もともとメルコール(モルゴス)が自分の召使とするために堕落させた存在だと言われるが、彼女は自らの食欲を満たすことのみをよしとしてメルコールとは袂を分かっていた。やがてアルダを取り巻く暗闇からやってくると、次第に光に引き寄せられてアマンへ忍び寄り、ペローリ山脈の東の裾野アヴァサールに潜んだ。
かの女は、峡谷に棲み、巨大な蜘蛛の形をとり、山々の裂け目に黒い蜘蛛の糸を張りめぐらせていた。そこで見出せる限りの光を吸い上げ、それを再び糸に紡いで、窒息するばかりの闇でできた暗黒の蜘蛛の巣を作り上げていたので、もはやいかなる光もかの女の棲処には達し得ず、かの女は飢餓に瀕していた。*1
そこにヴァリノールから逃走してきたメルコールがやってきて、ヴァリノールへの攻撃に協力するよう要求する。ウンゴリアントはヴァラールの力を恐れて渋ったが、メルコールは彼女の飢えが満たされるまで望むものを何でも与えると空約束をして、ついに協力を取り付ける。
二人はイルマリンで祝宴が開かれている隙をついてヴァリノールを襲撃し、メルコールが槍を突き刺した傷口からウンゴリアントが樹液を吸い上げ、毒を注入することで、二つの木を枯死させる。さらに二人はフォルメノスを襲撃するとフィンウェを殺して宝物庫からシルマリルをはじめとするノルドールの宝石を奪い、そのままヘルカラクセを渡って中つ国へと逃亡した。
この間ウンゴリアントは暗闇を紡ぎだして襲撃と逃走を大いに助けたが、そのためにメルコールは彼女から逃れることができなかった。
ウンゴリアントは二つの木の樹液とヴァルダの泉を飲み干して巨大に膨れ上がり、さらに逃走後にはメルコールにノルドールの宝石を要求してそれらをすべて喰らい、さらに強大になってしまった。
彼女はシルマリルをも要求したが、メルコールが拒んだため、怒ったウンゴリアントは彼を糸にかけて息の根を止めようとした。だがこの時メルコールは恐ろしい叫び声をあげ(ためにその地は以後ランモスと呼ばれるようになった)、その声に呼び起こされてアングバンドからバルログたちがやって来た。バルログたちは火の鞭で糸を切り裂いてメルコールを救出し、ウンゴリアントは煙幕を吐いて逃走した。
その後ウンゴリアントはシンゴルの王国への侵入を試みたがメリアンの力に阻まれたため、その北にあるエレド・ゴルゴロスの麓の谷間に長く住み着き、その地にいた蜘蛛の姿の怪物たちと番い、かつ彼らを喰らって子を残した(シーロブや闇の森の蜘蛛はその末裔に当たる)。そのため谷間はナン・ドゥンゴルセブと呼ばれるようになった。
やがてウンゴリアントは忘れられた南の地へ去った。
その後の彼女について伝える物語はないが、飢えた極みに自分自身を喰ってしまったとも言われている。
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