イスリン・ルイン†
概要†
解説†
シンダリンで「青の賢者達」の意。中つ国の東方へ赴き、西方諸国では名を知られることのなかった、二人の青の魔法使いのこと。
『指輪物語』にも『シルマリルの物語』にも登場せず、何をしていたのかも全く不明である。『終わらざりし物語』と『The Peoples of Middle-earth』は、青の魔法使いにまつわる互いに異なった話を伝えている。
『終わらざりし物語』の記述†
青のイスタリのアマンにおけるクウェンヤ名はアラタールとパルランドであり、共にオロメに仕えていたマイアールとされる。
彼らは他の三人のイスタリ(クルモ(サルマン)、オローリン(ガンダルフ)、アイウェンディル(ラダガスト))と同じ時期、第三紀1000年頃に中つ国にやってきた。それからすぐ、二人はサルマンと共に東方へ旅をしたが、帰ってきたのはサルマンだけで、この二人の消息は途絶えたという。
トールキンは1958年の書簡(Letter#211)でふたりは密命を帯びてヌーメノール人の
『The Peoples of Middle-earth』の記述†
より後期の草稿では、青のイスタリはモリネフタールとローメスターモの名で呼ばれたとある。
彼らは他の三人のイスタリよりはるかに早い時期、第二紀1600年頃に中つ国にやってきて東方へ渡った。そこで二人は第三紀に至るまでサウロンの同盟軍が西方諸国に向かうことを妨害し続け、最後の同盟および指輪戦争における自由の民の勝利に大きく貢献したとされている。第三紀の初頭には、一つの指輪を失って東方に隠れ潜んでいたサウロンの居処も捜索していたが、それを見つけることはできなかったという。
派生作品における扱い†
『指輪物語』では本編のサルマンの台詞に五人の魔法使いの杖、『追補編』に賢人団(全部で五人いたと伝えられる)などとある程度で、サルマン、ガンダルフ、ラダガスト以外のこの二人のイスタリについては情報がなく、具体的に触れられているのは『終わらざりし物語』と『The Peoples of Middle-earth』だけである。
そのため青の魔法使いの名などの権利はTolkien Estateが有しているため、Middle-earth Enterprisesの権利を元に製作されている映画『ホビット』などでは名前に触れられていない。
Iron Crown Enterprisesによる設定†
『終わらざりし物語』と『The Peoples of Middle-earth』双方の記述を基にして東方に渡った後の2人の足跡について言及されている。
それによれば、アラタールは「狩人(the hunter)」及び「根の運び手(the bearer of the root)」、パルランドは「魂の守護者(the soul keeper)」の名で呼ばれ、同時に「東の青き魔法使(the blue Wizard of the East)」、「南の青き魔法使(the blue Wizard of the South)」とも呼ばれたという。2人は共に東方の人間たちの指導者となり、魔法使いの教団の国フェアマルディ(Fëamardi)とルイネマール(Luinemar)を創建した。また、中つ国の南西部を根城にするナズグール、ハムールとドワルの脅威と戦い、サウロンの勢力が拡大するのを食い止めるために、東夷の民を秘かに援助していた。結果的に、ハムールは第三紀1635年、ドワルは2941年に西方へ呼び戻された。一方で、アラタールはモルゴスの生み出した呪われた植物の生き残りを発見し、その力を利用しようと試みるなど、サルマン程ではないにせよ、野心を抱き本来の目的から逸脱した行動をとるようになった。
『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』による設定†
青の放浪者(Blue Wanderers)と呼ばれる青の魔法使いと思われる者が、バルログのサウアラックを封じるのに力を貸した。また、ドワーフたちの伝承では彼らが灰色山脈にある龍の巣窟Anvil of Winterstithを破壊して冷血龍の大群を目覚めさせた際に、魔法使いの一人がこれを再度封印したと語られており、これも青の魔法使の可能性がある。
また茶色の国を侵略している東夷、クンドラール(Khundlar)の軍団の中には、青い長衣を纏った魔術師たちがいる。彼らは師である強大な魔法使い、青きイロクサール(Yirokhsar the Blue)に背きモルドールに与したと言う。さらに別の氏族ジャンゴヴァール(Jangovar)の軍団の中には紫色の衣を纏った術師がおり、彼らの主の名は深紫のイェトケイン(Yetkeyin the Violet)と呼ばれている。明確にはされていないが彼ら二人は青のイスタリの可能性があり、東夷の魔術師たちは東方で彼らが設立した教団の構成員であると思われる。
『シャドウ・オブ・モルドール』による設定†
ゲーム後半の舞台となるヌアンでは、青の魔法使が使っていたと思われる杖の穂先や星図等の遺物や、彼らを象ったと思われる彫像などを見つけることができ、それらの遺物には、彼らと邂逅した人々の記憶が宿っている。そうした記憶は、彼らが常に二人一組で行動していたこと、誰も二人の名前を思い出せなかったこと、闇の勢力を追ってモルドールを訪れていたらしいことを示唆している。
本作最大の敵であるサウロンの黒の手は、二人のイスタリの首を持って冥王の元に参じたとも言われているが、彼には他にも素性に関する違う噂がいくつもあるため、青の魔法使いたちがどうなったのか、本当の所は明らかにされていない。像に彫られた魔法使いや黒の手が倒したという魔法使いが本当にイスタリだったのかも定かではない。像には二人の功績が刻まれており、モルドールを訪れる以前は各地で魔法使いの教団を設立していたとされている。
荒削りな像にはモルドールへ強大な悪と戦いに来た二人の不思議な魔法使いが描かれている。この二人は呪われた国から最後まで逃げられなかったようだが、彼らの偉業は詳細に描かれたため、中つ国の魔法教団の設立はこれに影響を受けた可能性がある。
彼らは二人とも道を通って来た。どちらも遥か遠くまで旅をして、多くを見すぎたような厳しい目付きをしていた。どちらも魔法使いで埃まみれになっていた。一方が話はじめ、そいつが考えるために話すのをやめると、もう一方がその話をまとめる。まるで脳みそが一つで口が二つあるみたいだった。とても不気味だったが、どちらもそれに気付いている様子はなかった。
彼らは闇の連中を探していると聞いた。見つかったかどうかは知らない。だが事を荒立てようと思えば、いくらでもできただろう。
Include/アイヌル†
コメント†
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