イスタリ†
概要†
解説†
単数形はイスタル。クウェンヤでthose who know(知る者たち)の意*4。一般に魔法使いと呼ばれる。
かれらは西方から中つ国に派遣された使者であり、自由の民がサウロンの脅威に抗することを援助する任務を帯びていた。人間の老人のような姿をしているが実際は人間ではなく、長い年月が過ぎても心労でわずかに老け込んでいくのみで、知的にも技能的にも様々な力を秘めていた。それぞれが固有の「色」の衣を身に纏い、杖を携えている。
中つ国の民の中で、彼らの正体と目的を正しく把握しているのはキールダン、エルロンド、ガラドリエルなどのごくわずかなエルフの賢者に限られていた。
(『終わらざりし物語』によると)その正体はヴァラールより遣わされたマイアの精霊である。
ヴァラールは、かつてエルフを守ろうとして自らの栄光と力を誇示したことを重大な過ちだったと考えていた(クイヴィエーネンからアマンへ移住させた時など)。そのためイスタリは、直接力でもってサウロンに対抗することも、中つ国の民を支配することも禁じられ、あくまで助言者で援助者という立場からサウロンおよびその召使と戦うことが要求された。
ゆえにイスタリは見せかけでない本物の人間の肉体を身に纏っていた。これによりアイヌル本来の叡智と力は曇り、飢えや恐れなどの肉体的脅威に晒され、容易に堕落することも死ぬこともありえた。
結果的に、任務を完遂して帰還したのはガンダルフただ一人であった。
このように、自ら進んで流浪の苦しみとサウロンの罠に耐えることで、かれらはその時代の悪を正したと言えるかもしれない。*5
魔法使いの結社(ヘレン・イスタリオン)†
「われら両人はともに、この中つ国では最もすぐれた、古い歴史のある高等なる結社の成員ではないか?」*6
魔法使いの結社(Order of Wizards)、クウェンヤでヘレン・イスタリオン(Heren Istarion)とは、中つ国のイスタリからなる組織である(白の会議とは別個のもの)。単に賢人団あるいは結社とも呼ばれる。白のサルマンが彼らの長と見なされていた。
結社の詳細は不明であるが、彼らは第三紀1000年頃に灰色港に上陸し、人知れず中つ国の知識とサウロンに対抗する方法を探し求めた。やがてサウロンが闇の森で死人占い師としての姿をとり、その影が伸びると、イスタリは自由の民の援助者として立ち上がり、その活動が賢者や王侯達に広く知られるようになる。
イスタリの持つ性向や能力はそれぞれ異なっており、かれらは結社として一丸となるというよりも、それぞれの異なった側面から独自に自由の民を助けることを想定されていたという。
イスタリの総数は『指輪物語』本編や『追補編』をはじめ、全員で五人だったと読める記述が多く*7、サルマンとガンダルフの二名が彼らの中で上位にあったという。
だが『終わらざりし物語』に収録されている草稿の中には、中つ国北西部に派遣されたイスタリの「指導者」が五人であるとする記述があり、その総数は不明であるとされている。
イスタリの名†
以上は『終わらざりし物語』で述べられている五名である。
『終わらざりし物語』によればクルモ(サルマン)はアウレに、オローリン(ガンダルフ)はマンウェとヴァルダに、アイウェンディル(ラダガスト)、はヤヴァンナに、アラタールとパルランドはオロメに属する民であったとある。
ただし青の魔法使いの二人に関しては『The Peoples of Middle-earth』などに異説もあり、はっきりしない。詳細はイスリン・ルインを参照。
その他†
ギルドールによると、魔法使には、おせっかいをやくな、変幻自在で、よくおこる (Do not meddle in the affairs of Wizards, for they are subtle and quick to anger.)*8と言われているといい、その仕業の巧妙なことと気難しいことは語り草となっていた。
Include/アイヌル†
コメント†
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