アングバンドの包囲†
概要†
カテゴリー | 歴史・事件 |
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スペル | Siege of Angband, leaguer of Angband |
解説†
第一紀の宝玉戦争において、ダゴール・アグラレブの合戦からダゴール・ブラゴッラハの合戦までおよそ四百年間に渡って続いた、ノルドール族の国々による対モルゴス包囲網のこと。
ノルドールの上級王フィンゴルフィンはこの包囲について自分たちの中から裏切る者が出ない限り、モルゴスは二度と再び、エルダールの囲みを突破することも、あるいは油断を見すまして自分たちを襲うこともできないであろうと豪語したこともあったが、実際の包囲陣はモルゴスの本拠地アングバンドの後背となる鉄山脈に阻まれてその南側までしか及んでおらず、モルゴスは配下を山脈の北側から迂回させてベレリアンドへ送り込むことができた。そのため、包囲の間も完全に戦いが終息することはなかった。
とはいえノルドール族の武勇と警戒によってモルゴスの勢力の大規模な伸長が阻まれていたのは確かで、その間ベレリアンドおよび中つ国の東方の地は比較的平穏を享受することができた。
歴史†
いかにもその後、長い平和の時代が続いたのである。その間、かれらの剣が、モルゴスによる荒廃からベレリアンドを守り、モルゴスの力はその城壁の背後に閉じ込められていた。その頃は、新しい太陽と月の下に喜びがあり、全土が満ち足りていた。とはいえ、北方にはやはり大いなる影が垂れこめていたのである。*1
ダゴール=ヌイン=ギリアスの合戦後、ベレリアンドに居を構えたノルドール族の公子たちは、ベレリアンド北辺にそれぞれの領国を築いてモルゴスに対峙する。かれらはドル・ダエデロスの国境に見張りを立てる一方、ベレリアンドを広く逍遥して助けとなる者とは誰であれ連帯を深めた。
こうした警戒が功を奏し、ダゴール・アグラレブの合戦はノルドール族の勝利に終わったが、公子たちはこれを教訓としてモルゴスへの見張りと囲みをさらに強化した。アングバンドの包囲の始まりである。
西のヒスルムにはフィンゴルフィンとその息子フィンゴンが住まい、エレド・ウェスリン(影の山脈)とエレド・ローミン(谺山脈)を防壁としてこの地を防衛した。彼らはエイセル・シリオンに主要な砦を築き、アングバンドの前に広がるアルド=ガレンの平原を見張った。
中央部はフィナルフィンの子らが守った。長兄フィンロドの下、アングロドとアエグノールはドルソニオンの高地に拠り、要衝となるシリオンの山道に建てられたミナス・ティリスの塔はオロドレスに委ねられた。
東のロスランは防壁となるべき山地に乏しかったが、マエズロスの辺境国と呼ばれるこの地をあえて選んだフェアノールの息子たちは苛烈な武勇でもってこの空隙を埋めた。
この時代、アングバンドの門は閉じられ、その門前にすら緑が芽吹き、フィンゴルフィンの騎兵隊がアングバンドの近くまで遠乗りすることもあった。
ダゴール・アグラレブから百年近く後、モルゴスはオークの軍勢を極北に送り出し、包囲を迂回する形で南下させ、西からヒスルムを不意打ちしようとした。だがそこに至るまでに発見され、ドレンギストの入り江の奥の丘陵で待ち伏せていたフィンゴンの軍勢に敗れ、オークたちのほとんどは大海に追いやられた。
この戦いにより、モルゴスはオークだけではノルドールに敵わないことに気づいて別の策を模索し始めた為、平穏な状態が長く続いた。
さらに百年後、龍の祖グラウルングが初めてアングバンドの城門から出撃し、アルド=ガレンの野を蹂躙した。エルフは初めて見る龍に驚き、エレド・ウェスリン(影の山脈)やドルソニオンへ逃げてしまったが、フィンゴンの率いる騎乗弓兵が輪となってグラウルングを取り囲んで矢を射かけ、まだ完全に成長していなかったグラウルングをアングバンドに追い返した。
この勲でフィンゴンは大いに讃えられ、後年にマエズロスから龍の兜を贈られた。
グラウルングが撃退された後はほぼ二百年に渡り、長い平和(Long Peace)と呼ばれる時代が続いた。この間、国境での小競り合いを除けば戦いらしい戦いはなく、ベレリアンドのエルダールは繁栄した。ベレリアンドに人間の三氏族(エダイン)がやって来て、エルダールの盟友となったのもこの時期である。
フィンゴルフィンはエダインを含む民の増加(それに伴う戦力の増強)、包囲の不完全さ、そして依然として存在するモルゴスの脅威を踏まえてアングバンドへの攻撃を考えるようになったが、結局それが実行されることはなかった。包囲による平和裏な情勢にノルドールの多くが満足しており、彼らは勝敗を問わず大勢の犠牲が出る戦いに打って出て、その平和を終わらせることに二の足を踏んだからである。特にフェアノールの息子たちはフィンゴルフィンに同調しなかった。一方、アングバンドの正面にあるドルソニオンでモルゴスの脅威を常日頃感じていたアングロドとアエグノールは攻撃に賛成だった。
長い平和はダゴール・ブラゴッラハの合戦によって突如として破られ、エルダールとエダインの敗北によりアングバンドの包囲も終わりを迎えた。
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